40代の大人の生徒さん。
毎回よく練習され、最近はレッスンの時に小さなノートに注意することをメモもされています。
できないと悔しいと仰り、一週間でよくここまで弾けるようにされてきたなと毎回驚きます。こんなに毎回頑張られていては続かないのではと心配になるほどです。
ピアノを始めて3年目になります。
ただ、頑張られている成果が音になかなか表われません。
音はきちんと読まれてきますし、止まらずに弾いてこられますが、音が鳴らない。
男性の生徒さんですが、ずっと音がスカスカで腕の重みが鍵盤に乗りません。
指が力んでいる様子はなく、手首は下がり気味ですが固まってはいません。
どうしてだろう··
肩甲骨から弾けていないのかな、鎖骨もユルユルで腕の支えが甘いのかな。
それもありますが、何かピンとこないものがありました。
色々している内にご本人が「腕は締めないのですか?」と。
「いえ、肘を張りはしませんが胴につけることはしません」と答えると、
「ずっとここが胴から離れちゃいけないと思っていました」と上腕を指し仰いました。
そういえば、腕と胴の間が狭めだなと、やっと違和感に気付きました。
胴にピッタリとくっついているわけではないので、そこまで意識的に腕が開かないようにしているとは思っていませんでした。
もちろん、音域により上腕が胴体に付くようにはなります。
中音域や、右手が低音域にある時、左手が高音域にある時はそうです。
習い始めに真ん中のドから始めていつまでもその辺の音域を弾くデメリットはここにあります。
腕を使って弾くことを知らずに進んでしまうからです。
だから、ロシアンメソッドは黒鍵だけを使ったり、広い音域を大きく腕を拡げて弾くことから始めるのです。
私は楽器店で教えていますが、レッスン室が狭く、いつもすぐ真横でしか見れず、後ろに回るにもスペースがない部屋でドアを開ける時も毎度椅子を動かし、子供の場合は足台をピアノの奥に入れないとドアを開けられないという部屋でレッスンをしています。
楽器店の部屋はどこも似たり寄ったりですが、この生徒さんの教室は特に横も後ろもスペースがない所です。後ろからも生徒さんの演奏する姿を見なければいけないことを忘れていました。
部屋が狭いと、生徒さんも講師の指しか見ないようになってきます。あと何度言っても、ドアを開け閉めするのに椅子をピアノの方に寄せるので、自分が座るときにピアノと自分の間が狭くならないように椅子を後ろに動かさなければいけないのですが、置いてある椅子の間にお行儀よく挟まるように座る子供が多くなります。
自宅での練習でも物が後ろに置いてありスペースがなくそのように座って弾いている場合があります。
(この話とは異なりますが、練習できなかったという理由に、電子ピアノの上にお父さんが仕事のものを置いてあって使えなかった、という話を聞くことがあります。お母さんが洗濯物を置いてあったという話も聞くことがあります。親が楽器を物を置く場所という扱いにしては楽器も音楽も子供が大事にするわけがありません。)
ピアノの横と後ろにはスペースがしかっりほしいものです。
それから、講師は後ろからも生徒さんの演奏する姿を見ることを忘れずに。
反省、反省