「 九州 ・ 沖縄 ぐるっと探訪 」

九州・沖縄・山口を中心としたグスク(城)、灯台、石橋、文化財および近代土木遺産をめぐる。

沖縄県那覇市  ・  ウエイトリフティング 「 大城みさきの手 」

2012-07-30 19:43:13 | スポーツ








ロンドンオリンピック、ウエイトリフティング48キロ級で銀メダルに輝いた三宅宏実。
スナッチの1回目。差し挙げたのは83キロ。
その重量は、今まで沖縄の大城みさきが持っていた日本記録である。
そして2回目、三宅は85キロを挙げて日本記録を更新し、
3回目はさらに87キロを挙げて日本新記録を伸ばした。
第一回目が一番緊張するという重量をいきなり大城の持つ83キロから臨んだのは、
三宅自身がつけたかった区切りとこれから挙げてゆく重量への自信だったのではなかろうか。
この成功を皮切りに銀メダルへと一気に進んだ。


2008年の北京オリンピックでウエイトリフティング女子48キロ級8位の
大城みさきの手型が那覇の沖映通りにある。
その手形と重ね合わせてみたが、
小さくてとても日本記録保持者とは思えないものだった。
「 こんな小さな手で83キロもの重さを一気に頭上まで差し挙げていたのか 」 と感嘆しまった。

彼女のスナッチは自他共に認める一級品である。
重量挙げはしゃがんだ姿勢で踏ん張るため、
普通はかかとの高さ3センチほどの専用シューズを使う。
だが、大城はスナッチに限り、かかと部分を切除した平らなシューズを履いていた。
シューズも独特ならば、フォームも独特であった。
通常は、垂直に近い軌道でバーベルを挙げるのが基本とされるが、
大城のスナッチは 「 振り回すイメージ 」 で挙げるときに
ピョンと20センチ近く後ろに下がるのである。

このスタイルには理由がある。
沖縄県南部の南風原 ( はえばる ) 高校2年の時、比嘉敏彦監督の勧めで競技を始めたが、
当時から足首が柔らか過ぎて、しゃがむと尻が床につくことがあった。
ルール上は失敗になるため試行錯誤を重ねた結果、
卒業から2年後、独特なフォームとシューズにたどり着いたのである。

 同じ階級で、ジャークとトータルの日本記録を持つ三宅宏実について、
「 雲の上の人。でも、スナッチだけは負けない 」 と大城は云う。
自分だけの得意技に、強い自負があったのだろう。



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