作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 1円くれ 】

2006-10-31 18:19:57 | 12 幼き日々のこと


淡路島では家の周りがみんな田んぼだったのに、
我が家には米が廻って来ず、芋入りの麦飯ばかり
だったので、大阪に出て来て、純米の白いご飯が
食べられるのに狂喜しました。

米屋に行けば、配給手帳無しに、自由に米が買える。
この頃1升の米が270円ぐらいだったような気が。

バイトのカネで米1升を買って、大学の食堂に
持参すると、「一合」と書いた券を10枚綴った
ものをくれる。

その券1枚に炊き賃3円を添えて、どんぶり一杯
のご飯と沢庵2切れを貰う。
余裕があったら味噌汁10円。

いよいよピンチの時、これだけは最優先で購入する
定期券で大学食堂に行き、バイト仲間の顔を探し
「1円くれ」。
3人から1円もらって、なんてこともありました。

同じ食堂で50円のカレーライスや、焼きそばを
食べている連中が、心底羨ましかった。

当時の大阪市内の下宿代が一畳千円といわれた。
朝晩二食の賄いつきで、六畳なら六千円という
次第。これが四畳半だったら四千五百円になる。

日本育英会の奨学金が月額二千円。

ボクには賄いつき下宿は高嶺の花でした。




                                       パパゲーノ


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