作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 友だちがいない (5) 】

2006-10-31 17:58:46 | 12 幼き日々のこと


結核を疑われ、何時の頃からか足の関節に水がたまった。

だから体操の時間はいつも見学。

イジメは耐えることがなかった。
無抵抗と決めてかかってるから、イジメはエスカレートする。

山本という新京市鉄西区の区長の息子が、当然のように
暴力を振るう。それも先生の目につかぬよう、机の下で
蹴ったり、針でつついたりする。

ある日、カレの自宅(官舎)に出かけて行った。
母親が居て、カレの行為をやめさせて欲しいと頼んだ。

彼女はビックリして在宅だった父親を呼んで来た。
区長を務める父親は、戦前の立派な日本男児だったから、
息子の卑怯な振る舞いを知って、ボクに頭を下げ申し訳ないと
謝ってくれた。
後でどんな折檻があったかは知らん。

青ざめて登校してきた山本は、両親に言われたのだろう。
ボクの前に土下座して謝った。

香山というのもいた。陰湿なヤツだった。校舎内では内履きの
靴に履き替える。外履きの靴は靴箱にしまう。その靴を
持ちだし隠すのである。そんなことが何度もあった。

ある日どんなに探しても見つからない。

香山の父は満鉄の社員だから、満鉄の社宅に住んでいる。

夕食時を見計らって訪ねていった。
玄関を開けると、すぐそこが食堂で、一家揃って夕食を
摂っていた。

いぶかう母親に、というより奥にいる父親に聞こえるように、
「香山君がいつもボクの靴を隠すので、ボクは困っています。
今日も隠されて、今まで探し回ったけれど見つかりません。
香山君、どこに隠したのか教えて欲しい。そしてこんな迷惑な
こと、もうやめて欲しい」と大声で訴えました。

香山の父も日本男児。いきなり香山のほっぺたに激しいビンタ
が飛んだ。

「すぐに靴を隠したところに小林君を案内しろ、そしてもう
絶対にしないと土下座して謝れ」

こうして徐々にイジメがなくなっていきました。



                  パパゲーノ


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