『シャーロック・ホームズの謎を解く』(小林司・東山あかね)読みました。
文庫本なのでバッグに入れててどこででも読めて、とっても面白く、
また第一話『Study In Pink』と関連付けて書きたくなりました。
Study In Pink(1)の続きでして、ビ~ンとくるセリフやその他感じたことなどを気ままに書き散らします。
まず始まりはジェニファー・ウィルスン事件の現場であるロウリストン・ガ-デンへ向かうタクシーの中の会話から。
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Piss off!
第4の自殺事件発生。二人はタクシーで事件現場へ向かいます。
シャーロックはジョンの携帯から、どうジョンの兄さん(姉さん)の人となりを推理したかを種明かしするのだけど、説明を聞いたジョンの反応は:
JW: That..... was amazing.
SH: Do you think so?
JW: Of course it was. It was Extraordinary, it was quite extraordinary.
SH: That's not what people normally say.
JW: What do people normally say?
SH: Piss off!
思わぬジョンの称賛の言葉に驚いた様子のシャーロックだけど、内心嬉しそう。
通常の反応はそうじゃない、と言う時のシャーロック、悲しげ。
通常他の人はどんな反応なのか、とジョンにきかれて
Piss off!
『うせろ!』とか『うるせえ!』とか訳されてました。
それまではウンザリされ、ムカつくとか言われ続けてきたシャーロックの鋭すぎる推理力だったけど、ここではジョンの心からの褒め言葉。
この『Amazing!』『Extraordinary!』でシャーロックはジョンへの依存度をグッと傾斜させたのでしょうね、きっと(^^)。
だってそんな風に自分の観察力、推理力を素直に褒め称えてくれた人に会ったことがなかったのだもの。
シャーロックの嬉しそうな顔がそれを語ってます。
ところで『謎を解く』の原作ホームズ・ワトスン性格分析の項目には、こんな風に書いてあって興味深かったです。
『完全主義者』のホームズがワトスンに対して攻撃的なのは、『自分はワトスンより劣っているのでは』という不安を抱いていたから。知識、推理力では優れているけれど、人間的にみてワトスンにはかなわない、という劣等感があって、いつかワトスンから非難されるのでは、と内心ビクビクしていたのだ。しかしホームズは『依存性』が強いので、常に自分の思い通りになり、必要な時には『すごいよ、ホームズ』と言って賞賛を惜しまないワトスンなしでは生きていけないのだ。
『シャーロック』のシャーロックは劣等感持ってるかもしれないけど、ビクビクしているようには見えない。ジョンは欠くことのできない相棒で心の拠り所で、何を言っても聞き流して大目にみてくれる甘え相手、揺るぎない信頼関係を築いていくことは間違いないです。
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現場で素晴らしい推理力を発揮したシャーロックをまたまた激賞するジョン。
鼻先でドアを閉められてしまうアンダースン、憐れ。
ところで『ライオンのたてがみ』には、のっそりした鈍重な村の巡査、アンダースンが出てきました。小さな発見!
シャーロックは自分の推理の世界へ入り込んでしまって、ジョンを置き去りにして先に現場から去ってしまいます。
ひとり残されて帰ろうとしていたジョンを、勿体ぶったやり方で呼び出した謎の男性がいました。
スマホを絶えずいじっている女性秘書に連れられて、ジョンはその男と対面することに。
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I think that's none of your business.
謎の男性、マイクロフトはジョンにシャーロックとの関係を色々尋ねたり、シャーロックをスパイするように頼んだり。
話合いの最中にシャーロックからのメールが来て、読むジョン
MH : I hope I'm not distracting you.
JW: Not distracting me at all.
MH: Do you plan to continue your association wiht Sherlock Holmes?
JW: I could be wrong...but I think that's none of your business.
You're not haunted by the war, Dr. Watson...You miss it.
スパイの依頼を断って去ろうとするジョンにマイクロフトの鋭い観察眼が光り・・・
MH: I imagine people have already warned you to stay away from him, but I can see from your left hand that's not going to happen.
JW: My what?
MH: Show me.
JW: Don't...
MH: Remarkable. What is? Most people ... blunder and his city, and all they see are streets and shops and cars. When you walk with Sherlock Holmes, you see the battlefield. You've seen it already. Haven't you?
JW: What's wrong with my hand?
MH: You have an intermittent tremor in your left hand. Your therapist thinks it's post-traumatic stress disorder. She thinks you're haunted by memories of your military service.
JW: Who the hell are you? How do you know that?
MH: Fire her. She's got it the wrong way round. You're under stress right now and your hand is perfectly steady.
You're not haunted by the war, Dr. Watson...
You miss it.
Welcome back.
傘を回しながら去っていくマイクロフト。
Time to choose a side, Dr. Watson.
シャーロック同様、か、それ以上に鋭い推理力を持つマイクロフトにジョンの心は読まれていたのでした。
You're not haunted by the war, Dr. Watson...
You miss it.
Welcome back.
このセリフ、ゾクゾクする鋭さだわ。
ジョンは自分でも意識していなかった本心をズバリ突かれて言葉を失っちゃっている。
なんという兄弟なのだー。こんなじゃジョン、たまりませんね。もう、自分でも気づいていないことまで言い当てられてしまうのだから。
ところでマイクロフトとの話の最中に2度、ジョンはシャーロックからメールを受け取り、それには
『Baker Street. Come at once if convenient. SH 都合がよければ来い』しばらく後『If inconvenient, come anyway. SH 都合が悪くても来い』とある。
この勝手な呼び出しメールは『這う男』事件で、ホームズが電報使ってワトスンを呼び出した時と同じやり方だと『謎を解く』を読んで知ったので、早速『這う男』をチェック!
『Come at once if convenient--if inconvenient come all the same.』
(都合がよければ来い--都合悪くてもやっぱり来い)
あった!冒頭部分にこの電報文。原作とほぼ同じだったのだ!
こういうところ、本当に自分中心のシャーロック。
『謎を解く』によると原作のホームズが隠そうとしている性格上の弱点は『子供っぽさ』『依存性』『攻撃性』なんだそう。『シャーロック』もその性格に沿って役作りされているなぁ、と思ったのでした。
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Breathing is Boring!
呼吸なんて退屈だ!
ケータイで呼び出されてベーカー街にもどったジョンを待っていたのは・・・
JW: What are you doing?
SH: Nicotine patch. Helps me think. Impossible to sustain smoking habit in London these days. Bad news for brain work.
JW: It's good news for breathing.
SH: Oh...Breathing! Breathing's boring.
JW: Is that...three patches?
SH: It's three-patch problem.
An arch-enemy
JW: Just met a friend of yours.
SH: A friend?
JW: An enemy.
SH: Oh. Which one?
JW: Well, your arch-enemy, according to him. Do people have arch-enemy?
SH: Did he offer you money to spy on me?
JW: Yes.
SH: Did you take it?
JW: No.
SH: Pity, we could have split the fee. Think it through next time.
『残念、次は引き受けろ。山分けしよう。』
謎の兄弟です。謝礼金払ってまで弟の動向を知りたいと思う兄。どういう兄なのだー?
弟をそんな危険人物だと思っているのか、それとも自分や政府に降りかかる不利益を未然に防ごうとしているのか。
シリーズ(2)第一話で政府の計画を台無しにした弟の直観推理力を恐れていた、ということなのか。
マイクロフトがシャーロックを心配している、気にかけてくれているのは本心なのだと思うけど、モリアーティから情報を引き出すために、弟を窮地に追い込んでしまったのは問題でした。自責の念にかられ苦悩しているように見えたから、シャーロックの見せかけ自殺には必ず一枚かんでいる。なんだかんだ言っても兄だもの、陰できっと支えているはず。
原作でもシャーロック逃亡中の生活費はマイクロフトから送ってもらっていたし。あー、話が全然ズレてしまった。
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ピンクのスーツケース探し
Because you're an idiot.
君がバカだからさ。
君がバカだからさ。
推理力で犯人が捨てたピンクのスーツケースを見つけベーカー街の部屋に持ち込んだシャーロック。
被害者のケータイへ電話して犯人をおびき寄せようとする。
スーツケースはピンクだと推理したシャーロックは:
JW: Pink. You got all that because you realised the case would be pink?
SH: It had to be pink, obviously.
JW: Why didn't I think of that?
SH: Because you're an idiot. No, no, no, don't look like that. Practically everyone is.
君がバカだからさ。いやいや、心配するな。ほとんど皆バカだから。
またまたジョンに向かって酷いことを。
『謎を解く』に『ホームズはなぜあれほどワトスンをいじめ、ワトスンはなぜそれを我慢しているのだろう?』という項目があって、こう書いてありました。
『人格的にはワトスンのほうが優れていたため、ホームズは内心ワトスンを恐れ、かつ甘えていた。そしてワトスンはそれを母のように受け止めていた。』
だけど、これは後でジョンから仕返しされるセリフ。ジョンから『君がバカだからさ』って言われちゃうのだ。これは原作とは違うジョンの面。ケースブックでもジョンの切り返しは結構鋭いし(笑)
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So, I'm basically filling in for your skull?
じゃあボクは骸骨の代わりという訳か?
じゃあボクは骸骨の代わりという訳か?
JW: Have you talked to the police?
SH: Four people are dead, there isn't time.
JW: So why are you talking to ME?
SH: Mrs. Hudson took my skull.
JW: So I'm basically filling in for your skull?
SH: Relax, you're doing fine. Well?
JW: Well, what?
SH: Well--- you could just sit there and ... watch telly.
JW: What, you want me to come with you?
SH: I like company when I go out, and I think better when I talk aloud.
The skull just attracts attention, so... Problem?
I said 'dangerous', and here you are.
そう、危険だ。君だって好きだろう。
JW: Yeah, Sergent Donovan.
SH: What about her?
JW: She said... you get off on this. You enjoy it.
SH: And I said 'dangerous', and here you are.
JW: Damn it!
とか言いながら、ジョンもまたシャーロックと一緒の『危険な体験』を求めているのでした。
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『謎を解く』にこうありました。
なぜホームズにとってワトスンはかけがえのない存在になったのか。長い間一緒に仕事をしてきたせいだけなのだろうか。
実はこの答えはホームズの依存的な性格に根ざしている。一人で大丈夫な事件でもホームズは必ずといっていいほどワトスンに同行を求めている。ワトスンが聞き役になってやることで、ホームズはまとめやすくなり、さらに推理が研ぎ澄まされたのだ。(略)
ワトスンが自分の意見を積極的に述べるというよりは、徹底的に聞き役にまわっていたことがホームズにとっては一番ありがたかった。また話を聞きながら『それはすごいね』、『実に見事だ』などとおだてる言葉を忘れなかったワトスンはホームズおかかえの見事なカウンセラーでもあったのだ。(略)
探偵業をやめる直前の事件で、ワトスンは自分のことを『私は彼の心を研ぐ砥石だった。』と記している。
『心を研ぐ砥石』かぁ。なるほど。
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I'm not his date.
アンジェロのレストランシーンはとても好き。
なのでセリフと表情のみ載せておきます。
Angelo: Sherlock! Anything on the menu, whatever you want, free. One the house, for you and for your date.
SH: Do you want to eat?
JW: I'm not his date.
Angelo: I'll get a candle for the table. It's more romantic.
JW: I'm not his date!
Girlfriend? No, not really my area.
SH: What do real people have, then, in their...'real lives'?
JW: Friend? People they know, people they like, people they don't like... Girlfriens, boyfriends.
SH: Yes, well, as I was saying - dull.
JW: You don't have a girlfriend, then.
SH: Girlfriend? No, not really my area.
JW: Mm. Oh, right. Do you have a ... boyfriend? Which is fine, by the way.
SH: I know it's fine.
JW: So you've got a boy friend then.
SH: No.
JW: Right. OK. You're unattached. Like me. Fine. Good.
SH: John, erm... I think you should know that I consider myself married to my work, and while I'm flattered, I'm really not looking for any...
JW: No, I'm ... not asking. No. I'm just saying, it's all fine.
SH: Good. Thank you.
シャーロックの表情のひとつ、ひとつ、セリフのひとつ、ひとつが好きです。
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やがて犯人を乗せていると思われるタクシーが現れ
二人は店を飛び出し、タクシー・チェイス!
ソーホーを駆け巡る二人。
このスピード感、緊張感。
結局、タクシーの客はロンドン初めてのアメリカ人と分かって二人はベーカー街はまた駆け戻る。
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And you invaded Afghanistan.
アフガニスタンに侵攻したじゃないか?
アフガニスタンに侵攻したじゃないか?
JW: That was ridiculous. That was the most ridiculous thing ... I've ever done.
SH: And you invaded Afghanistan.
JW: That wasn't just me.
心から楽しげに笑う二人。一層距離が縮まったのですが・・・
二人を待っていたのは、薬物の家宅捜査。シャーロックの部屋が手入れを受けていたのでした。
夜も更けました。この続きはまたそのうちに。。。
I AM SHERLOCKED のまま年越しです。
『シャーロック』ファンの方々、エジルファンの方々、そしてバラック応援の方々、
一年間読んでいただきありがとうございました。
来年も美しくって、可愛くって、哀しげで、どこかミステリアスな人たちを
応援していきたいです。
それでは皆さま、どうぞ良いお年を!!
来年も宜しくお願いします。
良いお年を・・!!
こちらこそ今年も宜しくお願いいたします♪
『シャーロック』、ドラマの魅力と謎、べネディクトのステキさ(一言で言うとステキーという言葉しか見つからない~)について語り(騒ぎ)ましょうね。
噛めば噛むだけ味が出て、ホント美味しいこのドラマを今年も大いに楽しみたいです。