いつもそれとなく周りに気を配っている人だった。
優しい笑顔が目に浮かぶ。
道端で転んだ時に、さり気なくスッと手を差し伸べてくれる人。
思い悩んでいる人がいれば、何も言わずにじっとそばにいてくれる人。
自分がいくら忙しくても、手を止めて話をじっくりと親身になって聞いてくれる人。
そんな人だった。
課長になりたてのとき、右も左も分からず6月議会に補正予算と議案を出すとなり、慣れない自分がうんうんと悩んでいると、連日夜遅くまで一緒にうんうんと悩んでくれた。
そばにいてくれるだけで、話を聞いてくれるだけで、こんなに人ってありがたいのだと、Oさんに思い知らされた。
若い同僚が仕事のことで思い悩んでいる様子をみると、詳しく話を聞き出そうとするわけでもなく、さりげなく、何とはなしに、一緒に飯に行こうと誘って、寄り添っていた。
Oさんに救われた人を自分以外にも知っている。
そんなOさんの周りには、自然とたくさんの人が集まった。
優しく人懐こいOさんの人柄をみんなが好きだった。
人と人とをつなぐ潤滑油のような存在。
自分を二の次において潤滑油になれる人。
今の乾いた組織に必要な人だった。
Oさんの写った写真を集めると全部で34枚になった。
Oさんらしい表情で笑っている。
おどけている写真をみていたら涙が溢れてきた。
同じ歳の友人がまた一人逝ってしまった。
自分が救われたように、自分は救えなかったことが、無念で、悔しく、残念でならない。