杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・ガンの緩和ケアの理解の重要性について~その2

2012-01-14 10:35:18 | 医療
「ガンの緩和ケアの理解の重要性について」
3年前に、ある医師から緩和ケアの話を聞いた、と自分でブログに書いておいてそのことさえ忘れていましたが、
前の記事にも書いたように親しい弁護士がこの緩和ケアを積極的に実践し、これを自身のブログにアップしておられます(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005)。
ご本人を知っている者としてはその生活が垣間見られて複雑な気分ですが、
全て情報に変えて広く多くの方の役に立ててもらいたいというご本人の意思どおりの活動で、
舌を巻いています。非常に意義のあることで敬意を払うと共に、感謝しています。

ところで、3年前に書いた内容は以下のようなものでした。
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がん緩和ケアのコンセプトそのものが、未だに理解されていないということが大きな問題だ。
つまり、緩和というと亡くなる直前の医療と考えられ「緩和ケア病棟に入ったら2度と出てこられない」「もう、治療をしない」
と患者さんやご家族が考え、それだけでなく医療関係者も誤解をしている。

何十年か前にイギリスから我が国へホスピスが導入されたが、
結局は「看取りの場、亡くなる直前の医療」としてしか受け止められず、
患者さんはギリギリの段階まで、抗がん剤などの治療を受け続け、その間は緩和ケアを受けられないでいた。
がんによる心身に厳しい苦痛を感じても、医師に告げられないでいる患者さんが大半を占めている。
多くの患者さんは苦痛に関して訴えにくいもの。
また、苦痛を訴えると、そのことで治療が中断される場合もあり、それを危惧してしまう。
こうした状況は不幸としか言いようがない。

がん緩和ケアとは病気のステージにかかわらず、患者さんに苦痛があれば、行われるべきもので、
WHО(世界保健機関)のコンセプトもそう定義されている。

 癌治療には「癌を攻撃する治療」と「緩和ケア」があり、
後者は終末医療でありもはや治療などはしないものと考えられているが、それは間違い。
でも、そうした誤解が患者にだけではなく、医療関係者もまたそう考えている人も多い。

 医師が本格的ながん緩和ケアに取り組みを始めてみると、
現在のがん医療には、大きな課題がいくつもあることがわかってきた。
端的な例をいえば、がん治療には「がんに伴うこころやからだの苦痛の緩和」が不可欠で、
がん医療のもうひとつの柱になるべきで、どこかで癌は苦しむもの、という諦めから考えることは間違っている。
またこの点は、患者さんからのニーズも非常に高いにも関わらず、
ほとんどの医師はそのことを省みようともしていない
(注:3年前のお話ですので現在は変わっているかと思いますが)。

がん医療は2つの医療に分けて考えられる。
「手術や抗がん剤などで腫瘍を攻撃する医療」と「がんによる痛みなどの心身の苦痛を和らげる医療」の2つ。
本来この2つの医療が、その時々の状況によって境界なく施されなければならないが、
内科医や外科医の多くは、がんを攻撃することに手いっぱいで、患者の心身の苦痛は二の次になっている。
一方、緩和ケアを手がけている医師のなかには、緩和ケアを積極的な医療とは別個の医療と捉える傾向がありる。
実際、都内の有名病院の緩和ケア病棟でも、初診時に「うちは輸血も抗生物質の投与も行いません」と宣言する。
患者さんの高度なだるさの原因が貧血であれば輸血をする、息苦しさが肺炎を原因とするなら抗生剤を投与するなど、
病態にあった適切な治療を行うことは当然なこと。
また、緩和ケアの段階に入っても抗がん剤を使って(大変非難されたこともありますが)それが奏効することで、
モルヒネを減量、中止できたり、様々な症状が緩和されたりもする。
以上
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親しい弁護士は、この緩和ケアに対する正しい理解をもって、
現状に立ち向かい(といった気負いも感じさせないのですが)、
治療に取り組みながらも、情報を残してくれているわけで、
まわりで「緩和ケア」「痛み止めの薬物」と聞いて同情したり、落胆することはお門違いなのだと、再認識しました。

また、現在、主治医と綿密に相談しながら緩和を進めているということは、
上記の話を聞いた3年前から癌治療に対する医学界の取り組みが変わってきているということなのではないかと期待をします。

なお、知り合いの医師(梅澤充氏)も、
ガン罹患後にどう生活レベル(QOL=Quority Of Life)を維持するかが大切。
データで2ヶ月が3ヶ月に延びたことが本人にどのような意味があるのか、
活動できる2ヶ月と苦しんで動けない3ヶ月のどちらをよしと考えるか、「それは本人の選択」として、
本人の自己決定に資する適切な情報提供と、自己決定できる環境整備の重要性を言われています。
http://umezawa.blog44.fc2.com/

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