杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・「インターネットカフェ」体験記

2007-06-21 05:26:36 | Weblog
6月19日
新宿のインターネットカフェを体験。
受付のカウンターで、借りるスペースを選ぶ。
明るい雰囲気を想像していたので、全体が暗く映画館のようになっていることに、とても驚いた。また、たくさんのブース(小さく仕切られた部屋)があり、各ブースに分かれていたことも予想外だった。図書館のような左右についたてのある程度のものかと思っていたからだ。

各ブースは通路を挟んで何列にも並んだスペースを長屋のようについたてで仕切って区割りにしている。
ブースは、ソファタイプと横になれるお座敷(?)タイプがあった。また、そのほかに入り口付近にブースにはなっていないゲームセンターのように腰掛けててパソコンを使うだけの席もあった。
私は、横になれるタイプのブースを選んだ。

ブースには、机のような棚にパソコンとテレビが置かれていて、そこからテーブルが引き出せるようになっていた。座り机のような感じで床には厚さ8センチほどのマットが引かれ、敷き布団代わりになっている。ブースの中の照明は机のところのスタンドをつけ、そのほかテレビやパソコンをつけるとブースはだいぶ明るくなった。音はすべてヘッドホンで聴くようになっていて、図書館のように静かに使うようになっていた。
また、テレビゲームもでき、そのソフトは貸し出してもらえるということだった。

ブースはついたてで仕切られているだけで屋根のように上を被うものはなかった。ブースを仕切るついたては1.5Mくらいで立ち上がると他のブースがのぞけそうだった。スペースは1.5畳くらいかと思う。

ブランケットや枕などは自由に借りてこられるようになっている。飲み物の自動販売機はすべて無料で、清涼飲料水、コーヒーなど種類も豊富だった。またスナックなども置いてあった(これは買うようだった)。
また、シャワーも利用でき、カウンターへ申し出るとシャンプーとボディーソープが貸してもらえ、ドライヤーも備え付けられていた。シャワーも体験した。
60分380円の利用料だった。

感想として、思ったより、きれいなところだったし、個室もきれいに整備されていて、横になるにも窮屈のない状態だった。また全体に静かだったし、暗くて、寝ることもできそうだった。かなり便利だし、清潔でいることもできるので、生活に困らないように思った。
 ただ、自分のいる狭い空間のとなりに、息を潜めて同じように他人がいる、そして、パソコン画面に向き合っている、横になっているということがとても奇異な感じがした。

 1日のある時間、そこで休憩するとか、パソコン通信とかでその空間を利用するのは、まだ利用できるような気がした。
それは、たとえは少年院とか刑務所とかを見学に行くときに、見学した人が、思ったより住み良さそうだということをいうことがあるのだが、それは四六時中プライバシーのない、共同生活であることの辛さが分からないから、その場の利用空間や居住道具がそこそこあることを捉えて、悪くないというのだと同じようなもので、一時その空間で過ごすことと、それが続くことはかなりその質が違うのではないかと思う。

 今、ネット難民などといわれ、そこを生活の空間にしている若者がいるといわれている。
たとえば、旅行にでた時を考えてみるといいかも知れない。
生活の本拠が住所にあり、一泊とか数泊の旅行でホテルに泊まる。居心地は悪くない、むしろ快適だったりもするが、生活の根はというか、魂というか、それは住所地の、むしろ片づけの行き届かない自宅にある。同じ寝食をするにも自ずから落ち着きが違う、安定感が違う。重心を自宅と呼べるものに置いて、一時終電に乗り遅れたりしたときに一泊するのと、生活すべてをその空間に持ってくるのでは、そこで過ごす時間・空間の持つ色合いが違うのではないか。そこにしか生活の拠点がないということは、カタツムリのように家(物理的な家ではなく生活のすべてという意味)を体にまとって動いているような感じがする。

もし、ここで長い間暮らすとしたら、精神的に落ち着かない不安定な状態に精神をおくことになるのではないかと、心配になる。
そう考えると、何の遮蔽もなく生活を晒しているホームレスの方などは、いったいどんな精神状態になるのか、と不安になる。

食べられない、寝られないというのとは違い、その安定感が精神に及ぼす影響のことだから、目に見えた変化は捜しにくいと思うが、たとえば、地方で地面とふれあってどっしりと生活するのとでは大きな差があるのではないだろうか。

この生活様式が人に及ぼす影響について調べてみたいと思った。


※料金等を一部訂正しました

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1 コメント

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Unknown (志村建世)
2007-06-21 17:55:34
研究熱心と言うか、現場主義というか、行動力がありますね。私も「自分で経験してみる」主義ですが、これは未経験でした。現代若者の生息地の一つなのですね。このほかに、自動車が住み家に近い人もいるかもしれません。固定した住居に縛られない生活は、心のありようにも影響せずにはいないでしょう。
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