なにかのきっかけで河野太郎さんの「ごまめの歯ぎしり 衆議院議員河野太郎の国会日記」というメールマガジンが届いています(当然自分で申し込んだのでしょう。でも、私としては今回引退されるお父さんの河野洋平さんの方が好きです)。
そのメルマガは、全文であれば転載も可ということなので、全文引用します。
そのなかでは、最高裁で違憲判決がでたのに、現場ではその判断に従わず、届け出られた案件93件をすべてを留保、つまり処理しないで放置しているというものです。
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今年六月五日、最高裁判所大法廷で、国籍法第三条一項が違憲とさ
れた。
国籍法第三条一項は、日本人の父と外国人の母の間に生まれた子供
が、出生後に父から認知されても父母が結婚していなければ日本国
籍を認めない。(日本人の母と外国人の父の場合には、出生時に母
子の関係が確認できるので、この問題は起きない)
これが今日では憲法違反とされた。(法律の制定当初は違憲ではな
かったが、現在では違憲であるという判決だ。)
違憲判決の翌日から十月九日までに93件の国籍取得届が出され、
法務省はこれを全て留保している。大至急、国籍法を改正し、きち
んとこうした届け出を受理できるようにしなければならない。
自民党の国籍問題PTで、国籍法第三条一項の改正案の骨子につい
て、法務省から説明を求め、骨子を了承する。
PTで骨子を承認したので、法案はPTをとばして法務部会で審査
の上、政審、総務会に持ち込んでもらうことにする。野党も反対で
はないはずだから、国対にもお願いして、この臨時国会で改正でき
る手はずを整えたい。
さらにPTで、自己都合で外国籍を取得し、本来日本国籍を
持たないはずの者が、喪失届けを出さない限り、投票やパスポート
の取得などができてしまうという現在の国籍法の運用の実態につい
て法務省から説明。
父母の国際結婚により二重国籍を持つ子どもたちが本来二十二歳ま
でに国籍の選択をしなければならないのに、現実には行われてこな
かったと同様に、日本国籍を持つものが自己都合で外国籍を取得し
たときに、法律と運用に差があることが明確になった。
二重国籍そのものをどう考えるのかという問題に取り組んでいくこ
とになった。ただし、子どもの国籍選択の廃止については、座長案
を速やかに示して、議論を先行させたい。
===========================================================
■発行:河野太郎
当レポートに掲載された記事は、全文を掲載する場合に限り転載・
再配布できます。
<メルマガはここまで>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
国籍法は末尾掲載のように規定しているのですが、
3条1項が違憲だというなら、
原則どおり2条1号の「出生のときに父が日本国民」という規定で解決できるのではないでしょうか。
認知の効力は、民法では出生にさかのぼりますから(民法第784条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。)、出生以後認知を受けても出生時に父が日本国民なら国籍法2条1号によればいいのではないでしょうか。
この点、認知の効力について, 「国籍法上は(民法784条にかかわらず) 遡及しない」とされているので, 日本人父により「出生後に認知された婚外子」の場合, 「出生の時に」日本人の父が存在したとはいえないので, 2条1号(上述) の適用がなく,国籍法は認知の効果をさかのぼらせないと解するようです。
でも、親が「これは自分の子だ」と認めることで、生まれたときから親子になることを確認することは、国の内外を問わず同じ道理であって、法律によって異なる扱いをするような問題ではないと考えます。子だと認めることで新たな親子関係が出来上がる養子縁組とは違うと思うのですが。
本件の判決は、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知された子は,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされるときは,同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきである。」
として解決を図りました。
いずれにせよ、『最高裁判所の判断があったからどうしていいか分からない』という姿勢はあまりにも責任回避ではないでしょうか。
このことによって、届け出た人たちの生活はどんなに不安定なものになるか。まず、そのことに想像を及ばせるべきでしょうか。
なんともできずお手上げの現場に、河野太郎さんは、法律を作り直してあげないと執行機関は自分たちの判断で最高裁の意見に従って動くことはできないので、最高裁が下した判断に従う法律を早く作ってあげよう、と言っています。
法の憲法適合性判断をする最高機関たる最高裁判所の判断を尊重し、国民の利益を考えてできる限りの工夫をしてその生活を救済する、現場のそういった姿勢が何より必要なのではないでしょうか。
<参考>
国籍法
(出生による国籍の取得)
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍 を有しないとき。
(準正による国籍の取得)
第三条 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
民法第784条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。
そのメルマガは、全文であれば転載も可ということなので、全文引用します。
そのなかでは、最高裁で違憲判決がでたのに、現場ではその判断に従わず、届け出られた案件93件をすべてを留保、つまり処理しないで放置しているというものです。
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今年六月五日、最高裁判所大法廷で、国籍法第三条一項が違憲とさ
れた。
国籍法第三条一項は、日本人の父と外国人の母の間に生まれた子供
が、出生後に父から認知されても父母が結婚していなければ日本国
籍を認めない。(日本人の母と外国人の父の場合には、出生時に母
子の関係が確認できるので、この問題は起きない)
これが今日では憲法違反とされた。(法律の制定当初は違憲ではな
かったが、現在では違憲であるという判決だ。)
違憲判決の翌日から十月九日までに93件の国籍取得届が出され、
法務省はこれを全て留保している。大至急、国籍法を改正し、きち
んとこうした届け出を受理できるようにしなければならない。
自民党の国籍問題PTで、国籍法第三条一項の改正案の骨子につい
て、法務省から説明を求め、骨子を了承する。
PTで骨子を承認したので、法案はPTをとばして法務部会で審査
の上、政審、総務会に持ち込んでもらうことにする。野党も反対で
はないはずだから、国対にもお願いして、この臨時国会で改正でき
る手はずを整えたい。
さらにPTで、自己都合で外国籍を取得し、本来日本国籍を
持たないはずの者が、喪失届けを出さない限り、投票やパスポート
の取得などができてしまうという現在の国籍法の運用の実態につい
て法務省から説明。
父母の国際結婚により二重国籍を持つ子どもたちが本来二十二歳ま
でに国籍の選択をしなければならないのに、現実には行われてこな
かったと同様に、日本国籍を持つものが自己都合で外国籍を取得し
たときに、法律と運用に差があることが明確になった。
二重国籍そのものをどう考えるのかという問題に取り組んでいくこ
とになった。ただし、子どもの国籍選択の廃止については、座長案
を速やかに示して、議論を先行させたい。
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■発行:河野太郎
当レポートに掲載された記事は、全文を掲載する場合に限り転載・
再配布できます。
<メルマガはここまで>
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国籍法は末尾掲載のように規定しているのですが、
3条1項が違憲だというなら、
原則どおり2条1号の「出生のときに父が日本国民」という規定で解決できるのではないでしょうか。
認知の効力は、民法では出生にさかのぼりますから(民法第784条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。)、出生以後認知を受けても出生時に父が日本国民なら国籍法2条1号によればいいのではないでしょうか。
この点、認知の効力について, 「国籍法上は(民法784条にかかわらず) 遡及しない」とされているので, 日本人父により「出生後に認知された婚外子」の場合, 「出生の時に」日本人の父が存在したとはいえないので, 2条1号(上述) の適用がなく,国籍法は認知の効果をさかのぼらせないと解するようです。
でも、親が「これは自分の子だ」と認めることで、生まれたときから親子になることを確認することは、国の内外を問わず同じ道理であって、法律によって異なる扱いをするような問題ではないと考えます。子だと認めることで新たな親子関係が出来上がる養子縁組とは違うと思うのですが。
本件の判決は、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知された子は,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされるときは,同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきである。」
として解決を図りました。
いずれにせよ、『最高裁判所の判断があったからどうしていいか分からない』という姿勢はあまりにも責任回避ではないでしょうか。
このことによって、届け出た人たちの生活はどんなに不安定なものになるか。まず、そのことに想像を及ばせるべきでしょうか。
なんともできずお手上げの現場に、河野太郎さんは、法律を作り直してあげないと執行機関は自分たちの判断で最高裁の意見に従って動くことはできないので、最高裁が下した判断に従う法律を早く作ってあげよう、と言っています。
法の憲法適合性判断をする最高機関たる最高裁判所の判断を尊重し、国民の利益を考えてできる限りの工夫をしてその生活を救済する、現場のそういった姿勢が何より必要なのではないでしょうか。
<参考>
国籍法
(出生による国籍の取得)
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍 を有しないとき。
(準正による国籍の取得)
第三条 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
民法第784条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。