アメリカの弁護士で消費者運動家のラルフ・ネーダーさんが、今回のガザ地区へのイスラエルの攻撃について、ブッシュ大統領に手紙を書いているということを志村建世さんのブログから知りました。「マスコミに載らない海外記事」というブログに掲載されていたものです(引用させていただきます)
ラルフ・ネーダーという名前は、昨年の日本弁護士連合会の人権擁護大会(弁護士会最大の催し)で、憲法問題の企画にビデオ参加してくださった堤未果さんから聞いたことがありました。もちろん大統領候補者となったということも聞きましたが、『これからの弁護士の役割は、市民が法(特に憲法)を使うための橋渡し、ブリッジビルダーになるべき』と話していた方として紹介されました。
今回のブッシュ大統領への手紙は、法の正義の実現を市民を代弁して大統領に迫ったというものだと思います。その意味で緊張感を感じています。
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ガザ危機についてのブッシュへの手紙
2008年12月31日
ラルフ・ネーダー
ジョージ・W・ブッシュ様
下院議員のバーニー・フランクは、最近、バラク・オバマが言った「同時に存在する大統領は、ただ一人だ。」という言葉は、人数の過大評価だと語っています。彼は経済危機についてそう語っていたのです。しかし、ガザ危機で、ガザの民間人、ガザの公務員や公共設備が、アメリカ製のF-16やアメリカ製の攻撃型ヘリコプターによって、虐殺され、あるいは破壊されている時に、あなたは一体どこにおられるのでしょう。
大半が難民で、何カ月間も、ごく狭い地域に、空輸、海運、陸上輸送が封鎖されている150万人に対する、この暴虐を止めさせる、権力の執行をあなたが意図的に封じていることは、1956年にドワイト・アイゼンハワー大統領がとった立場とは対照的に、卑劣なものです。あの年、スエズ運河紛争の際、彼は単身、イギリス、フランスとイスラエルの飛行機によるエジプト攻撃を止めたのです。
明らかになっているだけで、これまでにガザでの死者は既に400人を超え、負傷者はほぼ2000人です。パレスチナ民間人の死傷者総計は、イスラエルが被った死傷者総計の400倍です。けれども、イラクで、そして今アフガニスタンで、はるかに多数の民間人に対し、あなたが行ったことを考えれば、イスラエル攻撃に対するあなたの全面的な支持に驚く人がいようはずはありません。
目視で確認された報道によると、イスラエルの戦闘機や軍艦が、警察署、家、病院、薬局、モスク、漁船や、電力や他の必要品を提供する様々な公共施設を、破壊したか、ひどく損傷しています。
これが、一体なぜ、あなたを悩ませるはずがあるでしょう? これはジュネーブ協定や国連憲章を含む国際法に違反しています。あなたも、繰り返し国際法に違反し、深刻な憲法違反を犯しました。
更に、重要な医薬品や、透析機のような器機、燃料、食糧、水、保守部品や電力の輸入を、様々な強度で、ほぼ二年間に亘り、イスラエル政府が封鎖しているという問題もあります。現地で、枯渇している国連支援使節団は、この違法な封鎖を、特に、子供たち、老人や弱者に図り知れない影響を与える人道的危機と呼んでいます。子供たちの慢性的栄養失調が急速に増えています。国連の食糧配給が、この貧困にあえぐ人々の80パーセントをささえています。
これらの争う余地のない事実で、一体あなたにどのように心を動かすのでしょうか? あなたは、一体、思いやり、あるいは、「キリスト教徒の慈善」とあなたが呼ぶものをお持ちなのでしょうか?
圧縮されたテキサス州が、包囲された強制収容所になったら、世界で4番目に強力な軍隊に対して、一体何をするでしょう? このように包囲されたら、テキサス人は薪を割って過ごすのでしょうか?
ハーレツ紙のベテラン・コラムニスト、ギデオン・レビーは、イスラエルの攻撃をイスラエル南部の国民を保護するのに必要な程度をはるかに超えた「残虐かつ凶暴な作戦」と呼んでいます。彼はつけ加えています。「外交的努力は、当初しかおこなわれておらず、こうした流血なしに、新たな停戦協定ができていたはずだろうと私は考えている.....何十機ものジェット戦闘機を送り、今日だけでも何百発もの爆弾で、全く無力な民間人社会を爆撃している。彼等は5人の姉妹を瓦礫に埋めた。これは前代未聞の出来事だ。このようなことが続いてはならない。そして、これは自衛とは無縁であり、報復とすら無関係だ。これは釣り合いがとれないものであり、まさに二年半前のレバノンと同じだ。」
このガザ破壊に反対のデモをした、予備兵も含む、何千人ものイスラエル人は、明らかにレビー氏に同意しています。しかしながら、彼らの勇気ある態度は、イスラエルによる、国際的な報道機関差し止めの為、自社記者をガザに入らせることさえできないアメリカのマスコミには届いていません。
大統領の広報担当官達は、六カ月間の停戦協定破りについて、空騒ぎを展開しています。占領者は誰でしょう? もっとも強力な軍隊は誰でしょう? 生活必需品を支配し、封鎖しているのは誰でしょう? 越境して、最も頻繁に襲撃部隊を送り込んできたのは誰でしょう? 近距離から、人口集中地域をめがけ、大砲の砲弾やミサイルを撃ち込んできたのは誰でしょう? イスラエルが1967年の国境に戻ることに、そして、もともとのパレスチナのわずか22パーセントしかない小さな独立パレスチナ人国家の創生に合意すれば可能な、2002年に発表されたアラブ諸国による包括的和平提案を再三拒否してきたのは誰でしょう?
ハマースや他の集団が発射している、記者たちが「ひどく不正確なロケット弾」と報じているものは、最新の精密兵器や、イスラエル側によってひき起こされている人的損害とは比べ物になりません。
ヨルダン川西岸から、イスラエルに飛んでくるロケット弾は皆無です。それなのに、イスラエル政府は、本質的には占領されているこの地域に、いまだに襲撃部隊を送り込み、イスラエル植民地の前哨基地を更に強化し、水と土地を奪い、検問所を増やしています。あなたがホワイト・ハウスで会談し、再三称賛している、最も従順なヨルダン川西岸の指導者、マフムード・アッバースがいても、これが続いているのです。あなたとその特使コントリーザ・ライスの発言はすべて曖昧で、本当のイニシアチブなどではありません。
和平は可能でしたが、あなたは指導力を発揮せず、それよりも、イスラエル政府のあらゆる願いと要求に沿うことを選び、2006年の南部レバノン侵略時には、イスラエルに対し、使用可能なクラスター爆弾の再供給までしたのです。
誰が最近の戦争行為をしかけたかという議論は、堂々巡りとなり、イスラエルは、無辜の民間人に対するあらゆる種類の暴力や、厳しい扱いを正当化するために、いつも、パレスチナ人のせいにします。
パレスチナ人からの目で見れば、この紛争の起源が、彼等からの土地強奪にあることを想起されるとよろしいでしょう。あなたにも多少の思いやりをもっていただきたいので、イスラエルの創始者ダヴィド・ベン-グリオンが、シオニスト指導者のナフム・ゴールドマンに言った、よく引用される発言を、想起しましょう。
「反ユダヤ主義が、ナチスのヒトラーのアウシュヴィッツがあったが、それは彼ら[パレスチナ人]の罪だろうか? 彼等が目にしているものはただひとつだ。我々がここにやってきて、彼らの国を奪ったのだ。彼等がこれを認めるはずがあるだろうか?」
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは、かつてこう述べています。「趨勢を変えられる力がある所に、義務が生まれる。」この基準からすれば、あなたは、過去8年間にわたり、パレスチナ人とイスラエル人に平和をもたらし、世界の大部分の治安を良くするという義務を、ひどく回避してきたのです。
ホワイト・ハウスでの残された日々、せめてあなたができることといえば、謙虚に、勇気を奮って、停戦と、しっかりした根拠のある停戦協定を、積極的に要求し、実現することです。そうすれば、あなたの後継者、次期大統領オバマは、アメリカ合州国の利害関係に対し、焦点をあてることを避けがちな、自主検閲をしている、いつものワシントン人形芝居より、もっと意味のあるものを受け継げるでしょう。
敬具
ラルフ・ネーダー
記事原文のurl:www.nader.org/index.php?/archives/2092-Letter-to-Bush-on-Gaza-Crisis.html
ラルフ・ネーダーという名前は、昨年の日本弁護士連合会の人権擁護大会(弁護士会最大の催し)で、憲法問題の企画にビデオ参加してくださった堤未果さんから聞いたことがありました。もちろん大統領候補者となったということも聞きましたが、『これからの弁護士の役割は、市民が法(特に憲法)を使うための橋渡し、ブリッジビルダーになるべき』と話していた方として紹介されました。
今回のブッシュ大統領への手紙は、法の正義の実現を市民を代弁して大統領に迫ったというものだと思います。その意味で緊張感を感じています。
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ガザ危機についてのブッシュへの手紙
2008年12月31日
ラルフ・ネーダー
ジョージ・W・ブッシュ様
下院議員のバーニー・フランクは、最近、バラク・オバマが言った「同時に存在する大統領は、ただ一人だ。」という言葉は、人数の過大評価だと語っています。彼は経済危機についてそう語っていたのです。しかし、ガザ危機で、ガザの民間人、ガザの公務員や公共設備が、アメリカ製のF-16やアメリカ製の攻撃型ヘリコプターによって、虐殺され、あるいは破壊されている時に、あなたは一体どこにおられるのでしょう。
大半が難民で、何カ月間も、ごく狭い地域に、空輸、海運、陸上輸送が封鎖されている150万人に対する、この暴虐を止めさせる、権力の執行をあなたが意図的に封じていることは、1956年にドワイト・アイゼンハワー大統領がとった立場とは対照的に、卑劣なものです。あの年、スエズ運河紛争の際、彼は単身、イギリス、フランスとイスラエルの飛行機によるエジプト攻撃を止めたのです。
明らかになっているだけで、これまでにガザでの死者は既に400人を超え、負傷者はほぼ2000人です。パレスチナ民間人の死傷者総計は、イスラエルが被った死傷者総計の400倍です。けれども、イラクで、そして今アフガニスタンで、はるかに多数の民間人に対し、あなたが行ったことを考えれば、イスラエル攻撃に対するあなたの全面的な支持に驚く人がいようはずはありません。
目視で確認された報道によると、イスラエルの戦闘機や軍艦が、警察署、家、病院、薬局、モスク、漁船や、電力や他の必要品を提供する様々な公共施設を、破壊したか、ひどく損傷しています。
これが、一体なぜ、あなたを悩ませるはずがあるでしょう? これはジュネーブ協定や国連憲章を含む国際法に違反しています。あなたも、繰り返し国際法に違反し、深刻な憲法違反を犯しました。
更に、重要な医薬品や、透析機のような器機、燃料、食糧、水、保守部品や電力の輸入を、様々な強度で、ほぼ二年間に亘り、イスラエル政府が封鎖しているという問題もあります。現地で、枯渇している国連支援使節団は、この違法な封鎖を、特に、子供たち、老人や弱者に図り知れない影響を与える人道的危機と呼んでいます。子供たちの慢性的栄養失調が急速に増えています。国連の食糧配給が、この貧困にあえぐ人々の80パーセントをささえています。
これらの争う余地のない事実で、一体あなたにどのように心を動かすのでしょうか? あなたは、一体、思いやり、あるいは、「キリスト教徒の慈善」とあなたが呼ぶものをお持ちなのでしょうか?
圧縮されたテキサス州が、包囲された強制収容所になったら、世界で4番目に強力な軍隊に対して、一体何をするでしょう? このように包囲されたら、テキサス人は薪を割って過ごすのでしょうか?
ハーレツ紙のベテラン・コラムニスト、ギデオン・レビーは、イスラエルの攻撃をイスラエル南部の国民を保護するのに必要な程度をはるかに超えた「残虐かつ凶暴な作戦」と呼んでいます。彼はつけ加えています。「外交的努力は、当初しかおこなわれておらず、こうした流血なしに、新たな停戦協定ができていたはずだろうと私は考えている.....何十機ものジェット戦闘機を送り、今日だけでも何百発もの爆弾で、全く無力な民間人社会を爆撃している。彼等は5人の姉妹を瓦礫に埋めた。これは前代未聞の出来事だ。このようなことが続いてはならない。そして、これは自衛とは無縁であり、報復とすら無関係だ。これは釣り合いがとれないものであり、まさに二年半前のレバノンと同じだ。」
このガザ破壊に反対のデモをした、予備兵も含む、何千人ものイスラエル人は、明らかにレビー氏に同意しています。しかしながら、彼らの勇気ある態度は、イスラエルによる、国際的な報道機関差し止めの為、自社記者をガザに入らせることさえできないアメリカのマスコミには届いていません。
大統領の広報担当官達は、六カ月間の停戦協定破りについて、空騒ぎを展開しています。占領者は誰でしょう? もっとも強力な軍隊は誰でしょう? 生活必需品を支配し、封鎖しているのは誰でしょう? 越境して、最も頻繁に襲撃部隊を送り込んできたのは誰でしょう? 近距離から、人口集中地域をめがけ、大砲の砲弾やミサイルを撃ち込んできたのは誰でしょう? イスラエルが1967年の国境に戻ることに、そして、もともとのパレスチナのわずか22パーセントしかない小さな独立パレスチナ人国家の創生に合意すれば可能な、2002年に発表されたアラブ諸国による包括的和平提案を再三拒否してきたのは誰でしょう?
ハマースや他の集団が発射している、記者たちが「ひどく不正確なロケット弾」と報じているものは、最新の精密兵器や、イスラエル側によってひき起こされている人的損害とは比べ物になりません。
ヨルダン川西岸から、イスラエルに飛んでくるロケット弾は皆無です。それなのに、イスラエル政府は、本質的には占領されているこの地域に、いまだに襲撃部隊を送り込み、イスラエル植民地の前哨基地を更に強化し、水と土地を奪い、検問所を増やしています。あなたがホワイト・ハウスで会談し、再三称賛している、最も従順なヨルダン川西岸の指導者、マフムード・アッバースがいても、これが続いているのです。あなたとその特使コントリーザ・ライスの発言はすべて曖昧で、本当のイニシアチブなどではありません。
和平は可能でしたが、あなたは指導力を発揮せず、それよりも、イスラエル政府のあらゆる願いと要求に沿うことを選び、2006年の南部レバノン侵略時には、イスラエルに対し、使用可能なクラスター爆弾の再供給までしたのです。
誰が最近の戦争行為をしかけたかという議論は、堂々巡りとなり、イスラエルは、無辜の民間人に対するあらゆる種類の暴力や、厳しい扱いを正当化するために、いつも、パレスチナ人のせいにします。
パレスチナ人からの目で見れば、この紛争の起源が、彼等からの土地強奪にあることを想起されるとよろしいでしょう。あなたにも多少の思いやりをもっていただきたいので、イスラエルの創始者ダヴィド・ベン-グリオンが、シオニスト指導者のナフム・ゴールドマンに言った、よく引用される発言を、想起しましょう。
「反ユダヤ主義が、ナチスのヒトラーのアウシュヴィッツがあったが、それは彼ら[パレスチナ人]の罪だろうか? 彼等が目にしているものはただひとつだ。我々がここにやってきて、彼らの国を奪ったのだ。彼等がこれを認めるはずがあるだろうか?」
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは、かつてこう述べています。「趨勢を変えられる力がある所に、義務が生まれる。」この基準からすれば、あなたは、過去8年間にわたり、パレスチナ人とイスラエル人に平和をもたらし、世界の大部分の治安を良くするという義務を、ひどく回避してきたのです。
ホワイト・ハウスでの残された日々、せめてあなたができることといえば、謙虚に、勇気を奮って、停戦と、しっかりした根拠のある停戦協定を、積極的に要求し、実現することです。そうすれば、あなたの後継者、次期大統領オバマは、アメリカ合州国の利害関係に対し、焦点をあてることを避けがちな、自主検閲をしている、いつものワシントン人形芝居より、もっと意味のあるものを受け継げるでしょう。
敬具
ラルフ・ネーダー
記事原文のurl:www.nader.org/index.php?/archives/2092-Letter-to-Bush-on-Gaza-Crisis.html
1月10日(土)の即時停戦を求めるピースパレード、大使召還を求めるエントリ、麻生首相へのお願いFAXの3つを転載してました。
渋谷事件の際は、ネット映像を見ても、報道とのギャップに、恐くて自ブログへのリンクも貼ることができませんでした。その時に、知っていることが大切とコメントをくださったかたがおり、それにて自分も納得しておりました。今回も同様のスタンスではありますが、少しはブログを通じてでもできることはしたいと思います。
尚私は、ハマスの暴力に対しても同様に反対です。