
20世紀末のある時期、世界各地でほぼ同時発生的に、超天才的な頭脳を持った子供たちが一斉に生まれました。
彼ら超天才少年少女たちは独自のネットワークを構築し、多くの発明、発見で人類に貢献します。
彼らのこと、そして彼らのネットワークのことを
「アルケミー・スターズ」といいます。
アルケミー・スターズの一員、藤宮博也(高野八誠)が開発した光量子コンピューター「クリシス」。
ある日このクリシスが、恐ろしい予測を立てます。
それは近い将来、地球に破滅をもたらすものがやってくる、というものでした。
この情報をもとに世界各国は秘かに連携し、国際的防衛機構G.U.A.R.D.を秘密裏に設立、破滅をもたらすもの、「根源的破滅招来体」の襲来に備えます。
藤宮は「根源的破滅招来体」の襲来を回避する方法はないものかと、クリシスに質問を繰り返しますが、良い答えが返って来ません。
ある日藤宮はクリシスに、“あるもの”を地球上から削除したら、襲来を回避できるか否かを質問します。その回答は、「YES」。
藤宮は驚愕します。我が目を疑います。
何度も何度も、繰り返し同じ質問をしますが、答えはやはり「YES」。
藤宮はアルケミー・スターズを脱退、研究に没頭します。クリシスの回答を確かめるため、そしてできれば、
その回答を変更させるために。
クリシスが回答した削除すべきもの、それは、
「人類」でした。
藤宮はアルケミー・スターズの管理施設、「プロノーン・カラモス」に籠り、研究に没頭します。プロノーン・カラモスは地球に降り注ぐ素粒子研究の為、地下深くに巨大な水槽を設置した施設です。藤宮は水槽内のセンサーをすべて地球の地下深くに向け、地球の“意志”を知ろうとしていたのです。
その頃藤宮は、ある幻覚に苛まれていました。
瓦礫と化したビル街の側に立つ、巨大な青い影。そして「AGUL」という謎の言葉。
これが、地球の“意志”だというのだろうか…。
突然、水槽内に光が現れます。水槽に駆け寄る藤宮。
水槽が光で満たされ、その光が束となって藤宮を包み込みます。
哄笑する藤宮。そして藤宮は、光の中へ消えて行きました。
藤宮は純粋に地球を救いたかった。その思いに地球が答えたということでしょうか。
しかし地球は、藤宮に明確な答え、どうすべきかを答えてはくれません。
アグルの光と力を藤宮に与え、その後なにをするかは、人間に託したのです。
これは我夢の場合も同じ。ガイアの光と力を与え、後は完全にまかせている。
「アグル」とはおそらく「アグリズム」のアグルでしょう。まさに地球の大自然の代表者。
ガイアが太陽の慈愛を持つなら、アグルは大自然の厳しさを持つ。
そして藤宮は決断します。アグルの力を与えられたこと、そしてクリシスの回答から、
地球を救うためなら、人類の滅亡も止むを得ない。
それが地球の“意志”なら、それを成すのが、地球から託された己の使命である、と。
この藤宮の考えに、我夢は当然反発します。
「藤宮、君は間違っているぞ!」
「いいや、間違えているのはお前だ、我夢!」
目的は同じ、行きつくところは同じはずなのに反目しあう二人のウルトラマン。
二人は永遠に分かり合えないままなのだろうか…。
〈続く〉
