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 風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

ウルトラマンガイア論 2 ~アグル、青いウルトラマン~

2013-11-30 14:02:02 | ウルトラマンガイア


                     


20世紀末のある時期、世界各地でほぼ同時発生的に、超天才的な頭脳を持った子供たちが一斉に生まれました。

彼ら超天才少年少女たちは独自のネットワークを構築し、多くの発明、発見で人類に貢献します。

彼らのこと、そして彼らのネットワークのことを

「アルケミー・スターズ」といいます。




アルケミー・スターズの一員、藤宮博也(高野八誠)が開発した光量子コンピューター「クリシス」。

ある日このクリシスが、恐ろしい予測を立てます。

それは近い将来、地球に破滅をもたらすものがやってくる、というものでした。

この情報をもとに世界各国は秘かに連携し、国際的防衛機構G.U.A.R.D.を秘密裏に設立、破滅をもたらすもの、「根源的破滅招来体」の襲来に備えます。

藤宮は「根源的破滅招来体」の襲来を回避する方法はないものかと、クリシスに質問を繰り返しますが、良い答えが返って来ません。

ある日藤宮はクリシスに、“あるもの”を地球上から削除したら、襲来を回避できるか否かを質問します。その回答は、「YES」。

藤宮は驚愕します。我が目を疑います。

何度も何度も、繰り返し同じ質問をしますが、答えはやはり「YES」。

藤宮はアルケミー・スターズを脱退、研究に没頭します。クリシスの回答を確かめるため、そしてできれば、

その回答を変更させるために。

クリシスが回答した削除すべきもの、それは、

「人類」でした。



藤宮はアルケミー・スターズの管理施設、「プロノーン・カラモス」に籠り、研究に没頭します。プロノーン・カラモスは地球に降り注ぐ素粒子研究の為、地下深くに巨大な水槽を設置した施設です。藤宮は水槽内のセンサーをすべて地球の地下深くに向け、地球の“意志”を知ろうとしていたのです。

その頃藤宮は、ある幻覚に苛まれていました。

瓦礫と化したビル街の側に立つ、巨大な青い影。そして「AGUL」という謎の言葉。

これが、地球の“意志”だというのだろうか…。



突然、水槽内に光が現れます。水槽に駆け寄る藤宮。

水槽が光で満たされ、その光が束となって藤宮を包み込みます。

哄笑する藤宮。そして藤宮は、光の中へ消えて行きました。




藤宮は純粋に地球を救いたかった。その思いに地球が答えたということでしょうか。

しかし地球は、藤宮に明確な答え、どうすべきかを答えてはくれません。

アグルの光と力を藤宮に与え、その後なにをするかは、人間に託したのです。

これは我夢の場合も同じ。ガイアの光と力を与え、後は完全にまかせている。

「アグル」とはおそらく「アグリズム」のアグルでしょう。まさに地球の大自然の代表者。

ガイアが太陽の慈愛を持つなら、アグルは大自然の厳しさを持つ。

そして藤宮は決断します。アグルの力を与えられたこと、そしてクリシスの回答から、

地球を救うためなら、人類の滅亡も止むを得ない。

それが地球の“意志”なら、それを成すのが、地球から託された己の使命である、と。

この藤宮の考えに、我夢は当然反発します。

「藤宮、君は間違っているぞ!」

「いいや、間違えているのはお前だ、我夢!」

目的は同じ、行きつくところは同じはずなのに反目しあう二人のウルトラマン。

二人は永遠に分かり合えないままなのだろうか…。


〈続く〉


          

ウルトラマンガイア論 1 ~地球の大地が生んだウルトラマン~

2013-11-27 22:02:42 | ウルトラマンガイア


                


ウルトラマンガイアは1998年から99年にかけて放送された、いわゆる「平成ウルトラ三部作」の第三弾にあたります。

ティガ、ダイナ、ガイアの三作品は、それまでのウルトラシリーズとは一線を画し、M78青雲からやって来た宇宙人という設定やウルトラ兄弟という設定などを一切廃し、それまでのウルトラシリーズとは全く違う世界観の下に作られたものです。

中でもガイアは、ティガやダイナとも違った独自の世界観を提示。最初で最後の、地球自身の「意志」が生んだウルトラマンなのです。



ウルトラマンに変身する人間は、普通ウルトラマンの側からほぼ一方的に人間を選びます。しかしガイアの場合は、人間の側からウルトラマンになることを希望するんです。その第一話のタイトルは

「光をつかめ」

本来は実体のない光であるウルトラマンの意志と、人間の意志とか合致したとき、初めてウルトラマンは実体を伴った姿を現す。平成三部作は「人間ウルトラマン」のシリーズであると言われていますが、まさに人の「意志」が伴わないとウルトラマンは現れない。

ウルトラマンは光であって人でもある。

光と人と、この両者が揃ってこそ、「救い」は顕現する…。







大学生でアルケミー・スターズ(詳細は後日)の一員である高山我夢(吉岡毅志)は、大学の実験室で、自分の意識と地球の意識をシンクロさせるという、よくわからない(笑)実験をします。その実験の最中に我夢は意識の中で、銀色の巨人に出会います。

「ウルトラ…マン?」

この言葉が我夢の口からこぼれた途端、我夢は現実世界へ引き戻されます。

あれはなんだったのか?そんなことを思いながら、友人たちと学食へ向かう我夢。すると突然、上空に巨大な穴が穿たれ、怪獣が降り立ちます。

都市を破壊して回る怪獣。この光景に我夢は

「これが僕たちの恐れていたことだったのか!?」

そこへ現れる謎の戦闘機隊。その戦闘機隊は果敢に怪獣に攻撃を仕掛けますがどうにも歯が立たない。

「間に合わなかったのか!?僕たちは間に合わなかったのか!?」

すると突然、我夢の周囲の時間が静止し、我夢は突然奈落の底へと落下していきます。

落下した先に待っていたのは、例の銀色の巨人でした。

「ウルトラマン、地球が危ないんだ!僕は君になりたい、君の力が欲しい!」

我夢の身体が、暖かい光に包まれていきます。我夢と光は一つとなり、ウルトラマンガイアとなって、その巨大な姿を地上に顕現させるのです。






地球の意識とシンクロしたときに現れたのですから、それは地球の意志だと考えて間違いないでしょう。地球と人間、双方の意志の合致によって、ウルトラマンは誕生したと考えていい。

地球の大地が生んだウルトラマン。だから「ウルトラマンガイア」なのです。

しかし、もう少し詳しく見てみますと、ウルトラマンガイアには、赤い模様が施されているのがわかりますね。


              


まるで「日の丸」ような、真っ赤な色です。

日の丸?

そう、この赤が太陽を表しているとしたなら。

ウルトラマンガイア誕生に太陽が関わっている。それはガイアの魂に太陽が宿っている、ということでしょうか。

ガイアの魂に太陽が宿っている、というか顕現しているとするなら、それとシンクロする人の魂もまた、太陽が顕現していないと、うまくいかないような気がします。

高山我夢という青年は、真っ直ぐで正義感が強く、明るい青年です。子供の頃はその天才的頭脳故に、ずいぶん虐められもしたようですが、それが彼のパーソナリティに歪みを与えた様子はなく、その天性の明るさは、魂に太陽が顕現していたから、いや顕現まではしていなくても、ある程度顔をだしていたからこそなのではないでしょうか。

魂の太陽がシンクロした。太陽は天、ガイアは大地。そして人。

天地人の三位一体により、ウルトラマンガイアは誕生したのです。




ところで、このドラマには、ウルトラマンが「二人」登場するんです。

もう一人のウルトラマン。「青い巨人」こと、ウルトラマンアグルです。

青は地球の色です。まさしく地球生まれのウルトラマン。

このアグルについては、次回また。

〈続く〉