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沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

溶融炉に関する事故やトラブルのリスクを考える

2015-11-05 15:25:39 | 溶融炉

約3,000件の事例に基づく早稲田大学のデータベースから溶融炉に関する事故やトラブルのリスクについて整理してみました。

事故・トラブル・ヒヤリハット事例データベース

以下は、データベースからの引用です。

(1)新技術である灰溶融炉を含む灰処理設備における装置や機器が他の設備の装置・機器よりもトラブルが発生している割合が高い。

(2)焼却処理施設のトラブル事例によるトラブル発生率を見ると、事故発生率に比べトラブル発生率が約100倍高くなっている。

(3)最も事故の発生が少ないものが排水処理設備であり、受入供給設備は120倍、燃焼設備は43.5倍灰溶融設備は41倍、排ガス設備は24倍となっている。

(4)事故の発生頻度の高い燃焼設備では人身被害割合は91%、灰処理設備では人身被害割合は89%となっており、人身事故の割合が多くなっていることがわかる。

(5)この原因として、受入供給設備や排水処理設備等のように他の処理設備にはない技術であることや複雑な制御を必要とする設備であるため、機械による自動化では対処しきれないトラブルが発生し、人手を要する設備であることが考えられる。これは運転維持管理マニュアルや点検日報における作業項目数を見ると明らかである。

(6)灰溶融設備は1980年頃から最終処分場の逼迫が社会問題となり始めており、埋立処分場を延命するための減容化を目的として検討が進められ、開発された技術であり、燃焼設備に比べ歴史が浅く、予期せぬトラブルが発生し、自動化での対応ができないものが多く、人手を要する設備となっている。

(7)20施設を有する清掃組合のトラブル事例の分析を行った結果、灰溶融炉の有無により灰処理設備におけるトラブルの発生確率が約7倍に高まることが示された。これは灰溶融炉等の新技術の導入により、既存の技術も複雑化したことが一因であると考えられる。

(8)危険軽視を原因とした事故がもっとも多く、ウッカリによる事故や経験不足による事故が次いで多くなっている。

以上がデータベースからの溶融炉に関する部分の引用ですが、これを読んでいただければ、このブログの管理者が沖縄県に溶融炉は似合わないと考えている意味が分かっていただけると思います。

ちなみに、「焼却炉+溶融炉」方式は10年以上前から「ガス化溶融炉」方式に移行しているので、沖縄県においてはこれから(8)のリスクが高くなると考えています。

なお、このブログによく登場する中城村北中城村清掃事務組合が選定している溶融炉は「焼却炉+溶融炉」方式のうち、流動床炉の焼却灰(塩分濃度の高いばいじん)のみを単独で処理する溶融炉であるため、国内にある溶融炉の中でも最も運転管理が難しい(事故やトラブルのリスクが高い)溶融炉であると言えます。

※ごみ処理施設というのは焼却炉だけでも事故やトラブルが多い施設です。したがって、「焼却炉+溶融炉」方式を選定している市町村には、住民の財政負担や温室効果ガスの排出量を削減するためだけでなく、現場で働いている人たちの人身被害を減らすためにも、できる限り溶融炉の長寿命化を回避していただきたいと考えます。

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全国溶融炉人気機種ランキング


沖縄の溶融炉問題に関する過去記事一覧

2015-11-05 11:41:45 | 備忘録

ネット上に公開されている沖縄の溶融炉問題に関する過去の新聞記事を備忘録に残しておきます。記事は古い順です。

◆住民へ十分な情報を/「中城青葉苑」の地主説明会/中城村北中城村清掃事務組合(2000.05.04琉球新報)

⇒記事によると組合のごみ処理計画は広域化を目指してスタートしているようです。その期限は2015年(今年)になっています。

◆ごみ焼却工事に談合情報/中城村(2000.12.15琉球新報)

⇒この問題に関する続報はないようです。

◆5機種から選定/那覇・南風原ごみ焼却炉(2000.12.20琉球新報)

⇒那覇市長選で初当選した翁長雄志市長も機種選定過程に疑問を呈していたようです。

◆新炉反対の声相次ぐ/廃棄物処理で那覇、南風原住民(2001.01.30琉球新報)

⇒住民の代表から「焼却炉+溶融炉」は時代に逆行するという意見が出ていたようです。

◆伊平屋村の敗訴確定 ごみ処理施設訴訟(2008.11.26琉球新報)

⇒最高裁から上告を棄却されています。

◆「最新施設」も効率悪く 座間味村ごみ焼却施設訴訟(2010.10.25琉球新報)

⇒座間味村と同様に溶融炉を休止(実質上廃止)している渡名喜村の実情も記載されています。

※ネット上に残っている記事は全て琉球新報の記事でした。


宮古島市の市議会調査特別委員会の動き(続報)その5

2015-11-05 10:14:31 | 備忘録

宮古毎日新聞にも、昨日の第5回調査特別委員会に関する記事が掲載されていたので、備忘録に残しておきます。

委員会の委員の皆様の「ため息」がこちらにも聞こえてきそうです。

市、またも答弁修正/不法投棄ごみ問題

「記載ミス」撤回、「数量票あった」/5500㌧の根拠資料

宮古毎日新聞 2015.11.05

不法投棄ごみ残存問題の全容解明を目指す市議会の「調査特別委員会」(佐久本洋介委員長)の第5回会合が4日、市役所平良庁舎で行われた。

現在審議中の2012年度の一括交付金事業で、市の同年度決算における経過報告書では実際の撤去量を大幅に上回る量が記載されていた問題で、当局はこれまで「記載ミス」と説明していたが、この日の委員会で一転して「調べたら数量票が見つかった」とこれまでの説明を覆した。

この問題は、実際は750㌧の撤去量に対して市の決算経過報告書では、撤去量が「5500㌧」と記されていた。

前回の委員会では、委員の指摘を受けて、環境衛生課の宮国克信課長が「これは明らかに数字のチェックミスで記載してしまった。もう少し詳細に調査して報告したい」と述べていた。

しかし、この日の委員会では「資料を調べたら5500㌧の数量票があった。しかし、この資料がどういった経緯で環境衛生課に報告されたのかということが把握されていない」と説明した。

これに対して、委員から「その資料を出してほしい」との要求が出されたが、宮国課長は「経緯が判明した時点で出そうと思っていたので今回は準備していない」と述べ、委員からは「意味が分からない」とため息がもれた。

この問題をめぐっては、同事業を請け負った吉信産業は「市から5500㌧に書き換えた数量票と計量伝票を何度も要求され、その要求がしつこかったことから市に5500㌧に修正した『数量票』だけをメールで送った」と説明していた。

これに対して、前回の委員会で市の担当者は「自分のメール履歴には受信歴はないし、5500㌧という数字を受け取ったということがない。私は決算の報告書を作成していないし、この数字も報告していない」と述べた。

しかし、決算の報告書には実際に5500㌧と記載されており、誰がこの数字を記載したのかが、この問題の焦点となっているが、当局はまだその説明を行っていない。

そのほか、この日は吉信産業が同委員会から求められていた▽県に報告した1401㌧の計量票▽750㌧の根拠資料▽計量した際の日報-について回答書が示された。

回答書では、1401㌧の撤去量の計量票については「知らない」とし、750㌧の根拠資料については「数量票、作業前、作業中、作業後の写真を13年3月末に市に提出済み」と回答し、日報については提出に向け準備中としている。

吉信産業が参考人招致を受ける条件として示している百条委設置については、委員会後の意見交換の中で提案されたがしばらくは特別委で審議を続けることとなった。

次回の委員会は13日に予定している。 

※誰がどのような経緯で数字を記載したのか?・・・行政側からその回答がなければ市民に対する市の信頼性が著しく失われることになるので、再発防止のためにも「百条委員会」で究明するしかないと考えます。


宮古島市の市議会調査特別委員会の動き(続報)その4

2015-11-05 09:42:25 | 備忘録

宮古新報に昨日の第5回調査特別委員会に関する記事が掲載されていたので、備忘録に残しておきます。

当局根拠なき答弁続く、市議会ゴミ調査特別委員会

宮古新報 2015.10.05

宮古島市議会の不法投棄ごみ残存問題調査特別委員会 (佐久本洋介委員長) の第5回が4日、市役所平良庁舎で行われた。

この日も市当局側の答弁の根拠となる資料が未提出だったほか、書類の不備や質問に対してかみ合わない回答をするなど不誠実な対応が目立った。

多くの委員から市当局の対応について不満が続出し、「百条委に切り替えて審議すべきだ」との意見も出た。次回は13日に開催する予定。

この日は同事業の「設計業務委託」 について質疑が集中。これによると市が資料として提出した「不法投棄ゴミ撤去設計委託業務仕様書」と業者が設計業委託の成果物として提出した資料が同一の内容だったと指摘した。

これに対し担当職員は「自分には委託仕様書を作成することはできないため、業者から提出を受けた仕様書を市の委託仕様書にした。 だから同じものとなっている」と釈明するとともに、「委託業務の成果物は設計書ではなく特記仕様書一式だった」と答えた。 

また、委員会が再三提出を求めている根拠資料の提出が未だにされていないことについて佐久本委員長は「このように書類の不備が多く、審議が前に進まない。資料を小出しにするのではなく洗いざらい持ってきてほしい」と苦言を呈した。 

市当局の対応について平良哲則生活環境部長は「書類に関してはチェックしているが、もう少し気を付けていく。 委員からの指摘があった通り、書類全てを持ってきてすぐに答えることが出来るように今後はしていきたい」と述べた。 

委員会では資料提出を求められていた請負業者からの回答もあった。この中で業者は750㌧の根拠となる資料については数量票、作業前、作業中、作業後の写真など2013年3月末に担当職員へ提出とし、日報については「関連する証憑類や書類は作成より3年が経過しているため多くの日数を要する。提出日は追って知らせる」とした。

※職員の事務処理能力を考えると、記事にあるように「百条委員会」に切り替えなければ真相は究明できないかも知れません。宮古島市においては行政に対する与党議員の姿勢と存在意義が問われていると考えます。