沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

浦添市と中北組合との広域処理に関する地域計画のまとめ

2016-02-29 07:50:08 | ごみ処理計画

年度末ということで、浦添市と中北組合(中城村・北中城村)との広域処理に関する記事をたくさん書いてきました。

今日はその「まとめ」です。

まずは、下の画像をご覧下さい。

原寸大の資料(画像を拡大)

上の画像にあるように、浦添市と中北組合がこのままごみ処理計画の見直しを行わずに地域計画(広域組合を設立する前に廃棄物処理法の基本方針に従って1市2村が共同で作成して環境省に提出する計画)を作成すると、国から条件を付されることになります。

その理由は、浦添市のごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針に適合していますが中北組合のごみ処理計画が基本方針に適合していないからです。

具体的には、平成15年度に供用を開始した中北組合の焼却炉と溶融炉の長寿命化が行われていないことです。国は築年数が25年未満のごみ処理施設については「比較的稼動期間が短い施設」としているので、設備の処分制限期間(環境省は7年、防衛省は10年)を経過している場合であっても長寿命化を行い10年以上稼動させることを求めています。

そうしなければ新しいごみ処理施設(建物を含む)の整備を行うことはできないというのが国の考え方です。

したがって、浦添市と中北組合が広域処理を行う場合は、まず、中北組合の焼却炉と溶融炉の長寿命化を行わなければならないことになります。

しかし、このブログの読者の皆様はよくご存知だと思いますが、休止している中北組合の溶融炉を再稼動して長寿命化を行うという選択肢は広域処理から除外することになります。

では、どうすればよいか?

それが下の画像(修正案)です。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

市町村(広域組合を含む)が築25年未満のごみ処理施設を所有している場合は、地域計画において長寿命化を行わなければならないことは既に書きました。それができない場合は、市町村がごみ処理施設を所有していない状態、つまり地域計画を策定する前に廃止するしか選択肢はないことになります。

上の画像の修正案(A)がその選択肢です。

ただし、この選択肢は補助金の返還が必要になります。また、新しいごみ処理施設を整備するまでは可燃ごみの処理(焼却と焼却灰の処分)を「外部委託」しなければならないことになります。

浦添市の焼却炉の処理能力に余裕があれば浦添市に「外部委託」することも可能ですが、残念ながら余裕はありません。その証拠に、現在150トン/日の処理能力を広域処理によって200トン/日に増加する予定でいます。150トン/日で余裕があるとすれば浦添市と中北組合は広域処理によって過大な施設を整備することなります。

では、補助金の返還と可燃ごみの処理の「外部委託」を回避するにはどうすればよいか?

その選択肢が修正案(B)です。

市町村が国の補助金を利用して整備したごみ処理施設が、地域の社会的・経済的な理由等によって「身の丈に合わない」と判断した場合は、「身の丈に合う」代替措置を講じることによって廃止することができます。その場合は廃止をしても補助金の返還は免除されます。

中北組合は焼却炉と溶融炉のうち、溶融炉は「身の丈に合わない」と判断して平成26年度から休止しています。しかし、代替措置を講じて廃止はしていません。したがって、広域処理を行うためにそのまま廃止すると国から補助金の返還を求められることになります。

中北組合にとって広域処理は「身の丈に合う」計画になるかも知れませんが、溶融炉を廃止するための代替措置にはなりません。なぜなら、代替措置は自主財源により講じなければならないからです。そうなると、一旦、補助金を返還した上で、新たに国の補助金を利用して広域施設を整備した方が財政的には有利になります。

しかし、それが中城村と北中城村の「身の丈に合う」計画になるかどうかはかなり疑問が残ります。

ということで、中北組合としては広域処理に対する地域計画を作成する前に自主財源により代替措置を講じて溶融炉を廃止する修正案(B)が「最善手」になると、このブログの管理者は考えています。

なお、この場合、中北組合の焼却炉は廃棄物処理法の基本方針に従って長寿命化を行うことなります。そうなると、10年間は稼動しなければなりません。しかし、中北組合の焼却炉は広域施設の処理能力(200トン/日)の20%程度の処理能力(40トン/日)しかないので、広域施設の保守点検や設備にトラブル等が発生して一定期間停止しなければならない状況になった場合、そして、想定外の災害廃棄物が発生した場合等の「予備炉」として活用することができると考えています。

いずれにしても、修正案(B)は修正案(A)における可燃ごみの処理の「外部委託」を回避することができます。

したがって、浦添市にとっても修正案(B)が「最善手」になると、このブログの管理者は考えています。

※修正案(A)については、理論上の案なので、国が廃棄物処理法の基本方針に適合していると判断するかどうかはわかりません。また、修正案(B)において中北組合の焼却炉を「予備炉」として活用できるかどうかもわかりません。しかし、総合的に判断した場合は修正案(B)の方がリスクが低く評価が高くなると判断しています。


東部組合と金武組合と中北組合の違いを考える

2016-02-28 09:52:29 | ごみ処理計画

東部組合(東部清掃施設組合)と金武組合(金武地区消防施設組合)と中北組合(中城村北中城村清掃事務組合)は、現在、焼却灰の民間委託処分を行っています。しかし、東部組合と金武組合は国の補助金を利用してごみ処理施設の整備を行うことができますが、中北組合はできません。

そこで、今日は東部組合と金武組合と中北組合の違いを考えてみます。

まずは、下の画像をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

上の画像にあるように、東部組合と金武組合のごみ処理施設は焼却炉のみを整備していますが築25年以上の施設になります。一方、中北組合のごみ処理施設は焼却炉と溶融炉を整備していますが築25年未満の施設になります。

ちなみに、中北組合が溶融炉を整備しているのは平成9年度から平成15年度まで国の補助金を利用して焼却炉を整備する場合は溶融炉を併設することが義務付けられていたからです。中北組合のごみ処理施設は平成15年度に整備しているので、このルールに従って整備されています。

ところが、中北組合は平成26年度から溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っています。このため、現在は東部組合と金武組合と同じごみ処理を行っていることになります。しかし、中北組合はごみ処理施設の整備(単独更新・広域更新)に当たって国の補助金を利用できない状況になっています。

その理由は何か?

東部組合と金武組合は廃棄物処理法の基本方針に従って長寿命化を行っていますが中北組合は長寿命化を行っていないからです。

では、中北組合は東部組合と金武組合と同じように焼却炉の長寿命化を行えば国の補助金を利用できるようになるのか?

残念ながらできません。なぜなら、中北組合のごみ処理施設は築25年未満であるため、休止している溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行わなければ国の補助金を利用することはできないルールになっています。これは、補助金を交付する国が決めているルールなので、市町村が勝手に変えることはできません。その中北組合は現在、浦添市との広域処理を検討しています。

ちなみに、浦添市のごみ処理施設は焼却炉が築25年以上、溶融炉が築25年未満という変則的な整備状況になっていますが、どちらも平成24年度に国のルールに従って長寿命化を行っています。

では、浦添市が中北組合と広域処理を行うことになった場合は浦添市だけは国の補助金を利用することができるのか?

残念ながら、それもできません。なぜなら、浦添市と中北組合が広域処理を行う場合は浦添市と中城村と北中城村の1市2村において新たに広域組合を設立することになるからです。広域組合を設立すると浦添市のごみ処理施設と中北組合のごみ処理施設は広域組合のごみ処理施設になります。したがって、広域組合は築25年未満で長寿命化を行っていない焼却炉と溶融炉を所有していることになります。しかも、溶融炉は休止(実質上廃止)しています。

このことは、広域組合も中北組合と同様に国のルールに従わずにごみ処理を行っている自治体ということになります。

そうなると、広域組合は国のルールに従って、まず、溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行わなければならないことになります。その上で、広域施設を整備することになります。

ところが、築25年未満のごみ処理施設の長寿命化を行った場合は昨日のブログに書いたように10年以上は稼動しなければなりません。このため、広域施設の整備が大幅に遅れることになります。

したがって、浦添市と中北組合が浦添市のスケジュールに合わせて広域組合を設立して国の補助金を利用して広域施設を整備するためには、広域組合を設立する前に中北組合のごみ処理施設を廃止しなければならない「理屈」になります。

その場合、中北組合は築15年程度でごみ処理施設を廃止することになるので補助金(主に建物部分に利用した補助金)の返還が必要になります。

なお、浦添市が東部組合や金武組合と広域処理を行う場合は両組合が浦添市よりも前に長寿命化を行っているので、このような変則的な事務処理を行わなくても、すんなりと広域組合を設立することができます。ただし、東部組合と金武組合は既に新たなごみ処理施設の整備に着手しているので浦添市にとってはこの組み合わせによる広域処理は選択肢から除外することになります。

※中北組合と中城村と北中城村は来年度の予算案を作成するために、今年度中に、①溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行うか、②広域組合を設立する前にごみ処理施設を廃止するか、③代替措置を講じて溶融炉を廃止するかを決めなければならない状況になっています。したがって、①又は③を選択しなかった場合は②が決定することになるため、来年度から補助金の返還に伴う基金の積み立て等が必要になります。

※中北組合が浦添市との広域処理を選択肢から除外する場合は、①溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行うか、②代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければ自主財源によりごみ処理施設の整備を行っていくことになります。したがって、その場合は自主財源を確保するために来年度から基金の積み立て等が必要になります。

沖縄県の廃棄物対策の概要(平成27年12月版)

39頁にごみ処理施設の長寿命化に関する資料があります。


改めてごみ処理施設の長寿命化と国の補助制度との関係を考える

2016-02-27 12:27:21 | ごみ処理計画

ごみ処理施設のうち可燃ごみの焼却施設については設備と建物が一体化した施設として整備されています。

このうち設備(焼却炉、溶融炉、ガス化溶融炉等)は補助金適正化法の規定により処分制限期間(環境省は7年、防衛省は10年)を経過すれば補助金を返還せずに廃止することができます。ただし、建物の処分制限期間(鉄筋コンクリート造の場合は50年)を経過していない場合は、原則として建物部分の補助金を返還する必要があります。

一方、ごみ処理施設の更新に当たっては、ごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針と廃棄物処理施設整備計画に適合していなければ国の補助金を利用できないことになっています。

したがって、設備については補助金適正化法の処分制限期間を経過しているからといって簡単に廃止することはできません。

できるのは、市町村合併等によりごみ処理を行う地域において設備が過剰になる場合等に限られます。これが廃棄物処理法の規定に基づく全国共通のルールです。

ただし、このルールもごみ処理施設の築年数によって違ってきます。

という前提で下の画像をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

ごみ処理施設の築年数が25年以上の場合は、設備が老朽化していると判断した場合は国の補助金を利用して設備を更新することができます。しかし、老朽化していないと判断した場合は国の補助金を利用して長寿命化を行うことができます。そして、その後に老朽化したと判断した場合は国の補助金を利用して更新することができます。

一方、ごみ処理施設の築年数が25年未満の場合は、設備の処分制限期間を経過している場合であっても廃棄物処理法の基本方針と廃棄物処理施設整備計画に従って国の補助金を利用して長寿命化を行うことになります。

ただし、この場合は長寿命化を行ってから10年以上稼動しなければならないルールになっています。

ごみ処理施設の設備は遅くとも供用開始から15年目くらいには長寿命化を行うことになるので、そこから10年稼動すると、築年数が25年以上になります。したがって、その場合は上の画像の左側の施設に整理されることになります。

なお、国が築年数25年未満のごみ処理施設を所有している市町村が設備の長寿命化を行わずに更新(単独更新・広域更新)を行う場合に補助金を交付した場合は、上の画像の右側の施設はないことになり、国内にある全てのごみ処理施設が左側の施設に整理されることになります。

ここで、浦添市と中北組合との広域処理についてもう一度考えてみます。

浦添市は築25年以上の焼却炉と築25年未満の溶融炉を平成24年度に長寿命化しています。このため、焼却炉についてはいつでも更新できる状況になっていますが、溶融炉については平成34年度までは稼動しなければなりません。したがって、広域施設を整備(広域更新)する場合は平成35年度以降に供用を開始することになります。

ところが、広域処理のパートナーである中北組合は平成15年度に整備した焼却炉と溶融炉の長寿命化を行わずに溶融炉は平成26年度から休止しています。そうなると、普通に考えれば来年度に溶融炉を再稼動して平成29年度に焼却炉と同時に長寿命化を行い、そこから10年以上稼動しなければ広域施設を整備(広域更新)することができないことなります。

と言うことは、浦添市は平成40年度頃まで待たなければならないことになります。

また、中北組合の溶融炉にトラブルが発生して停止する期間が増えると浦添市は更に待たされることになります。万が一、長寿命化した中北組合の溶融炉が重大な事故(水蒸気爆発等)によって使用できなくなった場合は、補助金を返還して自主財源により新たな溶融炉を整備しなければなりません。しかし、仮にそうなった場合は簡単には再整備できません。なぜなら、事故原因を究明して再発防止策を講じなければならないからです。

これでは、浦添市は待ちくだびれてしまいます。

このブログで何度も書いていますが、中北組合の溶融炉は国内で稼動している事例や長寿命化が行われた事例がありません。おそらく、海外にも事例はないはずです。

では、どうすればよいか?

広域処理を「白紙撤回」しない場合は、広域組合を設立する前に中北組合のごみ処理施設を廃止しなければならないことになります。広域組合が廃棄物処理法の基本方針と廃棄物処理施設整備計画に従って広域処理を行っていく場合は、中北組合の焼却炉だけを残して焼却灰の民間委託処分を行っていくことはできないので、焼却炉と溶融炉を同時に廃止することになります。

中北組合が代替措置を講じて溶融炉を廃止しない限り、今のところ選択肢はこれしかないはずです。

このように、複数の自治体が広域処理を行う場合は、全ての設備が老朽化しているか、ほぼ同時期に長寿命化を行っていないと面倒なことになります。特に浦添市と中北組合との広域処理については中北組合が溶融炉を休止していることが大きな障害になります。

くどいようですが、市町村のごみ処理計画が補助金適正化法の規定に適合していても、廃棄物処理法の基本方針と廃棄物処理施設整備計画に適合していなければ、ごみ処理施設の整備(単独更新・広域更新)に当たって国(防衛省を含む)の補助金を利用することはできないことになっています。

また、国(防衛省を含む)は廃棄物処理法の基本方針と廃棄物処理施設整備計画に適合しないごみ処理を行っている自治体に対して国の財政的援助を受けるための技術的援助(助言)を与えることはできますが財政的援助を与えることはできないことになっています。

※広域処理に当たって中北組合が広域組合を設立する前にごみ処理施設を廃止することについては、事故や故障、老朽化等が理由ではなく、広域施設の整備に当たって国の補助金を利用するために意図的に行う事務処理になるので、「地域計画」を作成したときに環境省の承認が受けられるかどうかは分かりません。したがって、浦添市と中北組合が本気でこの「作戦」に取り組む場合は事前に環境省から技術的援助を受ける必要があります。


広域処理に関するチェックリスト

2016-02-25 09:48:19 | ごみ処理計画

市町村にとってごみ処理施設を整備する事業は多額の予算が必要になるため、廃棄物処理法の基本方針や国の補助制度等を熟知している職員が事務処理を担当することになります。

特に、広域処理によって新たにごみ処理施設を整備する場合は、関係市町村のごみ処理計画との調整も必要になるので、事務処理に当たって細心の注意を払う必要があります。

しかし、市町村の中に廃棄物処理法の基本方針や国の補助制度等に精通している職員はいても、広域処理に関する事務処理に精通している職員は滅多にいません。

なぜなら、広域処理については都道府県が中心になって行う事務処理だからです。

そこで、広域処理を検討している浦添市と中城村と北中城村のために、広域処理に関するチェックリストを作成しました。

本来であれば、このようなチェックリストの作成は沖縄県の職員の事務処理になりますが、県は平成20年度に広域化計画を終了しているので、県の職員に代わってこのブログの管理者が作成することにしました。

このチェックリストについては廃棄物処理法の基本方針に適合していないごみ処理計画を策定している中城村と北中城村の方が複雑な事務処理を行うことになるので、浦添市よりも先に説明させていただきます。

なお、このチェックリストは中城村と北中城村が中北組合の溶融炉を代替措置を講じずに廃止する前提で作成しています。

まずは、下の画像をご覧下さい。例によって文字が小さくて読めない場合は原寸大の資料をズームアップしてご覧下さい。 

原寸大の資料(画像をクリック)

このチェックリストは村の議会がチェックする形になっています。

なぜなら、村のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していないため、行政と議会による二重のチェックが必要になると考えたからです。

中北組合の溶融炉を代替措置を講じずに廃止する場合は、広域組合を設立する前に中北組合のごみ処理施設(青葉苑)を廃止することになるので、補助金の返還が必要になります。しかし、村の職員がそのことに気付いていない可能性もあります。したがって、まず、来年度の予算をチェックする必要があります。

広域処理に関する事務処理が順調に進むと平成30年度には青葉苑を廃止して補助金を返還することになるので、このチェックはかなり重要になります。

次に重要なのは、村がごみ処理計画の見直しを行わない可能性があることです。一般的に言って市町村のうち人口の少ない村は、ごみ処理計画の見直し等に関する事務処理を軽視しているところがあります。しかし、これから村が広域処理を推進して行く場合はごみ処理計画の見直しは不可欠になります。

なぜなら、平成26年3月に改正した村のごみ処理計画には広域処理に関する検討課題は書き込まれていないからです。

次に重要なのは、広域処理が実現した場合の1市2村の役割分担、そして、広域処理が実現しなかった場合の村(村民)の選択肢に関するチェックになります。このチェックを怠ると住民の反対運動等の「火種」になる可能性があるので、時間をかけて十分にチェックを行う必要があります。

あとは、県や国の事務処理に関するチェックになりますが、国や県においてもごみ処理施設の整備や広域処理に関する事務処理に精通している職員は少ないので、村の職員が国や県の職員から間違った指導を受けていないかチェックをしておく必要があります。

以上が中城村と北中城村における広域処理に関するチェックリストの説明です。

次は、浦添市です。

下の画像をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

浦添市の場合は、広域処理に関する市のリスクが過大であると判断した場合は、単独更新に改めてもあまり大きな影響はないので、現時点では行政がチェックすれば足りると考えました。

ただし、議会としては市のチェックを確認しておく必要はあると考えます。

浦添市にとって重要なのは、中城村と北中城村が広域組合を設立する前に青葉苑を廃止することになるため、中城村と北中城村の可燃ごみの処理に対する「外部委託」のリスクを両村と共有することになることです。また、広域組合としては変則的なごみ処理計画になるので、環境省の承認が受けられるかどうかを事前に確認しておく必要があります。

次に重要なのは、中城村と北中城村が補助金の返還を回避するために休止している溶融炉を再稼動することを決めた場合になります。ただし、その場合は浦添市はほぼ間違いなく広域処理を選択肢から除外することになるので、チェックはここで終わりになります。しかし、このブログの管理者は中城村と北中城村が溶融炉を再稼動する可能性はないと考えているので、青葉苑を廃止する前提で説明を続けます。

しつこいようですが、平成26年3月に改正した中城村と北中城村のごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針に適合していません。

また、広域処理に関する検討課題も書き込まれていません。

したがって、両村がごみ処理計画の見直しを行わなかった場合は広域処理に関する覚書を締結した場合であっても、法制度上は無効になります。

あとは、中城村や北中城村と同じように、念のため国や県の指導内容をチェックしておく必要があると考えます。

なお、広域処理は人口が多く広域施設を市内に整備することになる浦添市が中心になって事務処理を行っていくことになるので、最終処分場の整備に関する課題についてしっかりとチェックをしておく必要があります。

浦添市は市のごみ処理計画において最終処分場の整備を課題として抽出しているので問題はありませんが、中城村や北中城村がごみ処理計画の見直しに当たって最終処分場の整備を課題として抽出しなかった場合は、廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することができなくなるので、広域処理に関する覚書の締結さえもできないことになります。

なお、広域組合において新たにごみ処理計画を策定する場合であっても、廃棄物処理法の基本方針に従って最終処分場の整備については課題として抽出することになります。その場合は、常識的に考えて北中城村が最終処分場の候補地になるので、そのことを北中城村に対して事前に周知して北中城村に覚悟を決めておいてもらう必要があると考えます。

なぜなら、広域処理においては、この構成市町村における役割分担が極めて重要な問題になるからです。

以上が浦添市における広域処理に関するチェックリストの説明です。

このブログの管理者は中城村と北中城村が代替措置を講じずに溶融炉を廃止する場合(広域組合を設立する前に補助金を返還して青葉苑を廃止する場合)は広域処理が「白紙撤回」になると考えていますが、それを決めるのは浦添市になるので、浦添市が代替措置を講じないことに同意した場合を想定してチェックリストを作成しました。

※代替措置の問題はともかく、広域処理については関係市町村の役割分担に関する協議が整わない間は、覚書を締結しても無駄になると考えています。


広域処理における「究極の選択肢」に関するチェックリスト

2016-02-24 08:57:46 | ごみ処理計画

浦添市と中城村・北中城村による広域処理において、1市2村が設立する広域組合が中北組合の焼却炉を残したまま焼却灰の民間委託処分を行うことはできません。

なぜなら、広域組合も中北組合と同様に廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っている(ごみ処理施設の整備に当たって国の補助金を利用できない)自治体になるからです。

また、中城村と北中城村が廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画と基本方針に適合するごみ処理計画を同時に策定することはできません。策定した場合はWスタンダードになります。

したがって、広域組合は国の補助金を利用して広域施設を整備するために焼却灰の民間委託処分を中止しなければならないことになりますが、中城村と北中城村が代替措置を講じて中北組合の溶融炉を廃止しない場合は、4つの選択肢が残ります。

このブログの管理者はその4つの選択肢を「究極の選択肢」と考えています。

なぜ「究極」なのか?

それは、どの選択肢も地方自治体の選択肢としてはリスクが高すぎると考えているからです。

という前提で下のチェックリストをご覧下さい。字が小さくて読めない場合は原寸大の資料をズームアップしてご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

このブログの管理者は4つの選択肢の中では一番上にある広域組合を設立する前に中北組合のごみ処理施設(青葉苑)を廃止する選択肢が一番リスクの少ない選択肢だと考えています。ただし、この選択肢は理論上可能という選択肢であって環境省から承認を受けることできるかどうかは分かりません。また、承認が受けられたとしても中城村と北中城村は補助金を返還しなければならないことになります。そして、浦添市は広域施設が完成するまでの間、中城村と北中城村の可燃ごみの処理に対する「外部委託」のリスクを共有することになります。

その他の選択肢は、中城村と北中城村の補助金の返還を回避するための選択肢になります。

上から2番目の選択肢は、中北組合が休止している溶融炉を再稼動して長寿命化を行うという一番オーソドックスな選択肢ですが、残念ながら中北組合の溶融炉は浦添市の溶融炉と違って国内で稼動している事例や長寿命化が行われた事例のない溶融炉なので、浦添市としては選択肢から除外せざるを得ないと考えています。また、中城村と北中城村においてもリスクの高い選択肢になると考えています。

上から3番目の選択肢は、広域組合を設立したときから広域施設が完成するまでの間、中城村と北中城村の可燃ごみを浦添市の焼却炉と溶融炉で処理するという選択肢です。ただし、この選択肢は浦添市にとってはかなりリスクの高い選択肢になるので、やはり選択肢から除外せざるを得ないと考えています。また、仮に浦添市がこの選択肢を採用することになったとしても議会や市民から理解と協力を得ることは困難であると判断しています。なぜなら、浦添市の焼却炉と溶融炉に過大な負担が生じるため、万一の場合は使用できなくなる可能性があるからです。

一番下の選択肢は中北組合の焼却炉は残しておき焼却灰だけを浦添市の溶融炉で処理するという選択肢ですが、このブログの管理者はこの選択肢が一番リスクが高い選択肢だと考えています。なぜなら、浦添市の溶融炉は中北組合の焼却灰には対応していない溶融炉だからです。そのような状態で処理量が30%以上も増加する選択肢を採用することは「無謀」と言えます。したがって、議会や市民の理解や協力を得ることは不可能であると判断しています。

このように、中城村と北中城村が代替措置を講じて中北組合の溶融炉を廃止しない場合は、結果的に1市2村が手を繋いで「危ない橋」を渡らなければならないことになります。しかし、このブログの管理者は地方自治体が議会や住民の意向を無視して「危ない橋」を渡ることはできないと考えています。

したがって、中城村と北中城村が代替措置を講じて中北組合の溶融炉を廃止しない場合は、広域処理は「白紙撤回」になると考えています。

なお、浦添市と中城村と北中城村が国の補助金を使わずに自主財源により広域施設を整備する場合は、現在の中城村や北中城村のように廃棄物処理法の基本方針を無視してごみ処理を行うことができますが、中城村や北中城村の住民の皆さんはともかく、浦添市の住民の皆さんは絶対に受け入れられない選択肢になると考えます。

※上の4つの選択肢以外にも「究極の選択肢」があるかも知れませんが、代替措置を講じて溶融炉を廃止する選択肢よりも「最小の経費で最大の効果を挙げることができる選択肢」はないと考えています。