沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中城村北中城村清掃事務組合の「明日」を考える

2015-11-14 17:15:50 | ごみ処理計画

自分なりに中城村北中城村清掃事務組合の「謎」が解けたので、今度は組合の「明日」について考えてみます。ただし、ごみ処理は市町村の自治事務なので組合の「個性的」な部分はできる限り残す方向で考えてみようと思います。

例によって大きなお世話かも知れませんが、組合の今後のごみ処理計画を検討することになる関係者の皆様の参考になれば幸いです。 

(1)溶融炉の再稼動は行わずに廃止する。

組合が今のごみ処理施設を整備したイキサツは分かりませんが、少なくとも溶融炉の長寿命化は行うべきではないと考えます。なぜなら、現時点において組合と同じ方式の溶融炉が稼動している事例も長寿命化が行われた事例もないからです。溶融炉を再稼動した場合は国の計画に従って長寿命化を行うことになります。したがって、中途半端なことは考えずに溶融炉の再稼動を回避する方法を考える必要があると思います。

 (2)できる限り県の技術的援助は受けない。

県は県の廃棄物処理計画において溶融炉の整備を推進しています。そのため、県の職員は地方公務員法の規定に従って組合に溶融炉の再稼動を求めることになります。また、廃棄物の処理やリサイクル等に関する県のその他の計画を調べた限りでは、県の中に溶融処理以外の方法で焼却灰の資源化を推進する考えはないようです。そうなると県の技術的援助を受けても組合にとっては得られるものがないことになります。

 (3)できる限り琉球大学の技術的援助を受ける。

「個性的」というよりも「地域の特徴」として、組合の行政区域内には琉球大学があります。このブログの管理者が調べた限りでは、同大学には県内の市町村が行っているごみ処理に対して技術的援助を与える能力が十分にあります。組合はその能力を有効に活用することによって溶融処理以外の方法で焼却灰の資源化を行う方法を検討すべきだと考えます。

 (4)民間の資金とノウハウを積極的に活用する。

これは、上記の(3)と連動しますが、組合が琉球大学から技術的援助を受けるようになれば、人口が少ない自治体であっても民間の資金とノウハウを活用するチャンスが生まれてきます。なぜなら、琉球大学が客観的にリスクを評価してくれるからです。ごみ処理に対する民間の技術開発は日進月歩なので、大学を通じて新しい情報(ノウハウ)を収集することも可能です。

 (5)公募型プロポーザル方式によって組合の身の丈に合った持続可能な方法を選定する。

いわゆる民間から広くアイデアを募るということになりますが、これも、上記の(3)と連動させれば組合にとって面倒な事務処理はなくなります。つまり、公募型ブロポーザル方式においても琉球大学の技術的援助を受けて実施することができるということです。

以上が、このブログの管理者が考えた中城村北中城村清掃事務組合の「明日」です。灯台下暗しと言いますが、組合はその行政区域内に琉球大学という県内における「最高学府」があることを再考する必要があると思います。

なお、広域化計画については、相手先の自治体の意向も尊重しなければならないので、まずは、法規定に従い組合が単独で行うことができるごみ処理計画を策定して、その上で、中長期的なプランとして広域化計画の実現を図って行くことが組合のリスクを最少化する措置になると考えます。

いずれにしても、組合の焼却炉は「老朽化」の入り口に差し掛かっているので、広域化計画によって溶融炉の再稼動と焼却炉の長寿命化を回避するプランはリスクが大きすぎると思います。

※今の大学は国内の他の大学や海外の大学とも連携しているので、組合が琉球大学との連携を強化することによって、最少の経費で最大の効果を挙げることができると考えます。

沖縄県におけるごみ処理施設の長寿命化の時期を考える

中城村北中城村清掃事務組合の「広域化計画」を考える


改めて中城村北中城村清掃事務組合の「謎」を考える

2015-11-14 10:33:51 | ごみ処理計画

このブログの管理者は、中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画は国内でも例を見ないほど「個性的」で、しかも「謎」の多い計画であると思っています。

そこで、今日はその「個性的」な部分を整理することによって、組合の「謎」に迫ってみたいと思います。

(1)国内で最も人気のないごみ処理施設を整備している。

「焼却炉+溶融炉」方式のうち「流動床炉+燃料式溶融炉」の組み合わせは国内に3例しかなく、そのうち1例は故障により既に廃止している。また、もう1例も故障が原因で休止している。なお、組合は環境省ではなく防衛省の補助金を利用しており、メーカーは川崎重工業である。ちなみに、同社は組合を含めて「焼却炉+溶融炉」方式を10例受注しているが、組合以外の9例は全てストーカ炉との組み合わせになっている。

管理者の意見⇒組合が独自に機種選定委員会等に諮問していれば、「流動床炉+燃料式溶融炉」の組み合わせは、①実績がない、②維持管理費が高い、③温室効果ガスの排出量が多い、④水蒸気爆発のリスクが高い等といった理由によりほぼ間違いなく機種選定から除外されていたはずです。したがって、国とメーカーとコンサルタントと組合の管理者及び副管理者の間で機種選定が行われていたものと思われます。

(2)溶融炉の休止に当ってごみ処理計画を改正している。

廃止の場合はごみ処理計画を改正する必要があるが休止の場合はその必要はない。なぜなら、休止のためにごみ処理計画を改正してしまうと再稼動するときに再度ごみ処理計画を改正しなければならないからである。

管理者の意見⇒10年間は休止することにしたので、実質的には廃止と同じことになると判断してごみ処理計画を改正したものと思われます。

(3)県の廃棄物処理計画を上位計画としてごみ処理計画を策定している。

県の計画は溶融炉の整備を推進して最終処分場の延命化を図ることになっているが、組合の計画は県の計画とは反対に溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行うことになっている。したがって、県の計画を上位計画とすることはできない。

管理者の意見⇒人口の少ない自治体においてはごみ処理計画の策定をコンサルタントに丸投げすることが多いので、県の計画を上位計画としたのは事務方とコンサルタントのミスと思われます。なお、このミスは現在に至るまで修正されていません。

(4)改正したごみ処理計画に焼却炉の長寿命化に関する課題が抽出されていない。

改正したごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針や閣議決定されている廃棄物処理施設整備計画に適合していないため、国の補助金を利用できない計画になっている。しかし、供用開始から約10年を経過しているのに、焼却炉の長寿命化の時期や財源の確保、予算の見通し等に関することはまったく明示されていない。

管理者の意見⇒組合において国の補助制度や廃棄物処理施設の長寿命化等に関する認識が不十分であったと思われます。なお、組合が平成26年3月にごみ処理計画を改正する前(平成25年11月)に国はインフラ長寿命化基本計画を決定しています。

(5)改正したごみ処理計画に焼却灰の民間委託処分に関する課題が抽出されていない。

市町村によるごみ処理の民間委託についてはやむを得ない理由(天災地変、事故や故障、大規模修繕等)がある場合に行うことができるとされている。しかし、組合のごみ処理計画にはやむを得ない理由は認められない。「運転経費が高い」という理由で溶融炉を休止することは組合の都合であって、やむを得ない理由にはならない。

管理者の意見⇒民間と同じように廃棄物処理法の処理基準に適合していれば問題はないという考え方をしていると思われます。そうでなければ、市町村(公共)が自己の都合だけでごみ処理計画を改正するはずがありません。

(6)休止から2年足らずの間に溶融炉の再稼動やごみ処理の広域化等に関する検討が行われている。

ごみ処理計画は一般的に10年間の中長期的な計画を策定することになっている。そして、概ね5年ごとに見直す計画になっている。また、広域化については、相手方の自治体や県との間で協議会等を設立して事務処理を行っていくことになる。したがって、外部から見ると中長期的な計画ではなく、短期的かつ場当たり的な計画に基づいてごみ処理を行っているという印象を受ける。

管理者の意見⇒昨年の9月に溶融炉の不適正な維持管理を行っている市町村に対する会計検査院の意見表示があったため、国や県から組合に対して何らかの指導(助言等)が行われていると思われます。なお、組合には補助金適正化法の規定に基づいて溶融炉の休止を中止して、再稼動を行わない場合は廃止を前提とした財産処分の承認手続を行う責務があります。

以上が、このブログの管理者が「個性的」と考えている部分とその部分に対する管理者の意見です。そして、組合における「謎」の部分については、組合の内部体制が整っていないことと、ごみ処理に関する事務方の認識が不十分であることにより、問題意識が希薄になっていることに原因があると考えます。特に(4)と(5)については、ごみ処理に関する市町村の責務に関することなので、これらのことを課題として抽出していないことは、組合の内部において今後のリスクに対する評価が行われていない証拠になると考えます。組合に問題意識があれば、(4)と(5)については重要な課題として抽出しているはずです。

なお、組合はこれから人口が増加してごみの処理量も増加する自治体なので、これを機会に内部体制を抜本的に見直す必要があると考えます。

※このブログの管理者が9月の下旬に国や県に電話で確認したところ、国(沖縄防衛局)は「組合は再稼動を検討している」という回答でした。また、県(環境整備課)は「組合からはなにも聞いていない」という回答でした。