2012年2月16日の朝に膵臓がんのため87歳で亡くなった女優、淡島千景。月並みなリストアップではありますが、A Young Guide to Okei-chanとして、わが私的なベストテンを掲載したいと思います。
1 夫婦善哉(豊田四郎)
2 珍品堂主人(豊田四郎)
3 にごりえ(今井正)
4 喜劇 とんかつ一代(川島雄三)
5 大番 4部作(千葉泰樹)
6 麦秋(小津安二郎)
7 気違い(渋谷実)
8 早春(小津安二郎)
9 カルメン純情す(木下惠介)
10 母のおもかげ(清水宏)
次点 てんやわんや(渋谷実) やつさもつさ(渋谷実) 鰯雲(成瀬巳喜男) 善魔(木下惠介) 日本橋(市川崑) お茶漬の味(小津安二郎) 真実一路(川島雄三) 新・夫婦善哉(豊田四郎)
いやぁ、すばらしい名作に、すばらしい名演ばかりですね。
彼女の代表的な出演作に東京映画の『駅前』シリーズがありますが、それらのうちどれかを選ぶというより、4位の『とんかつ一代』がそれらをがぶりと包括しているのだと推察していただけると助かります。それでも数多いうちであえて選ぶなら、『駅前団地』(久松静児)における凛々しい女医役となるでしょうか。全体的には、渋谷実作品の地位がもっと高くあるべきかもしれませんし、上の10本はシリアスなものに偏ってしまったかもしれません。淡島千景は個人的な印象では、「日本のキャサリン・ヘップバーン」という感じがします。絶世の美女というのとは少し違うが、粋で洒落ていてモダンで元気である。ふくらはぎが太い点も似ているかもしれません(失敬平伏)。
ちなみに、マキノ『武蔵と小次郎』『江戸っ子肌』、内田吐夢『酒と女と槍』、五所平之助『螢火』は未見。
テレビドラマで1つ挙げておきたいのが、松本清張原作のNHK『氷雨』(1958)。陰謀により夫を失ってから、どんどん復讐の鬼へと変貌していく未亡人を彼女が妖艶に演じ、その後の清張ドラマの基調をなしたと言って過言ではないでしょう。私は再放送で見ましたが、さいわいなことにDVD化もされています。
川島雄三『とんかつ一代』のラストシーンにおける主題歌、「♬たくましくとんかつを喰い 二人で腕を組んで 大きな鼻の穴でいっぱい空気を吸おうよ 吸おうよ はァァ、とんかつの油のにじむ接吻をしようよ 接吻をしようよ!」 と、淡島千景も森繁久彌もあでやかなる芸者衆も、上野・池之端の「とんQ」(モデルは「井泉」)のカウンターに集まって、みなで唱和するところはもう、うれし涙を流さずに画面を見続けるなどという芸当はまったく不可能でしょう。
1 夫婦善哉(豊田四郎)
2 珍品堂主人(豊田四郎)
3 にごりえ(今井正)
4 喜劇 とんかつ一代(川島雄三)
5 大番 4部作(千葉泰樹)
6 麦秋(小津安二郎)
7 気違い(渋谷実)
8 早春(小津安二郎)
9 カルメン純情す(木下惠介)
10 母のおもかげ(清水宏)
次点 てんやわんや(渋谷実) やつさもつさ(渋谷実) 鰯雲(成瀬巳喜男) 善魔(木下惠介) 日本橋(市川崑) お茶漬の味(小津安二郎) 真実一路(川島雄三) 新・夫婦善哉(豊田四郎)
いやぁ、すばらしい名作に、すばらしい名演ばかりですね。
彼女の代表的な出演作に東京映画の『駅前』シリーズがありますが、それらのうちどれかを選ぶというより、4位の『とんかつ一代』がそれらをがぶりと包括しているのだと推察していただけると助かります。それでも数多いうちであえて選ぶなら、『駅前団地』(久松静児)における凛々しい女医役となるでしょうか。全体的には、渋谷実作品の地位がもっと高くあるべきかもしれませんし、上の10本はシリアスなものに偏ってしまったかもしれません。淡島千景は個人的な印象では、「日本のキャサリン・ヘップバーン」という感じがします。絶世の美女というのとは少し違うが、粋で洒落ていてモダンで元気である。ふくらはぎが太い点も似ているかもしれません(失敬平伏)。
ちなみに、マキノ『武蔵と小次郎』『江戸っ子肌』、内田吐夢『酒と女と槍』、五所平之助『螢火』は未見。
テレビドラマで1つ挙げておきたいのが、松本清張原作のNHK『氷雨』(1958)。陰謀により夫を失ってから、どんどん復讐の鬼へと変貌していく未亡人を彼女が妖艶に演じ、その後の清張ドラマの基調をなしたと言って過言ではないでしょう。私は再放送で見ましたが、さいわいなことにDVD化もされています。
川島雄三『とんかつ一代』のラストシーンにおける主題歌、「♬たくましくとんかつを喰い 二人で腕を組んで 大きな鼻の穴でいっぱい空気を吸おうよ 吸おうよ はァァ、とんかつの油のにじむ接吻をしようよ 接吻をしようよ!」 と、淡島千景も森繁久彌もあでやかなる芸者衆も、上野・池之端の「とんQ」(モデルは「井泉」)のカウンターに集まって、みなで唱和するところはもう、うれし涙を流さずに画面を見続けるなどという芸当はまったく不可能でしょう。
池内淳子はだいたい『駅前』シリーズなんかでは芸者衆の役なり女給の役なりそういう役が多かったと思いますが(川島の佳作『花影』もそうですし、五所平之助の佳作『女と味噌汁』も)、なぜか『とんかつ一代』では恋女房役なのですね。その点が少し違いますね。