![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/c2/2b976cb48c4d4553658ecc1297cfebcb.jpg)
周知のとおり、第一京浜から旧・岩崎男爵別邸(三菱開東閣)を通り過ぎた、御殿山の高級住宅街のど真ん中に建つ原美術館は、1938年完成の旧・原男爵邸を改造したモダニズム建築であり、かつては現実の家屋でもあった。この生活空間が現在の使い手の意図どおりに歪曲し、ひたすら美にのみ奉仕する空間となっていることから、美術であると同時に肥大化したジュエリーのお化けでもあるという両義性をもつオトニエル作品と、あやしくシンクロしている。オトニエル自身も、若手時代から同館を知っており、「このエレガントな空間でいつか個展を開くのが夢だった」と述べている。
ここに展示されたムラーノガラスや鏡面ガラスの作品群は、透き通って清純で、曇りがなく滑らかでありながら、引き千切られ、無残に取り出された臓物でもある。オトニエルはこれを「可変性」と言っている。『私のベッド(Mon lit)』は彼の代表的な作品。男と女が寝台でセックスをし、そこから新たな生が形成され、やがてその生は寝台の上で円環を閉じる。生と死の裏返し(エロス/タナトス)を「可変性」に富んだガラスに託したものである。
原美術館(東京・北品川)にて3月11日(日)まで開催
http://www.haramuseum.or.jp/
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