デヴィッド・フィンチャー監督の新作『ゾディアック』は、スコープサイズの画面が妙に充実している。この感覚は、P.T.アンダーソンの映画を『ブギーナイツ』で初めて見た時の感覚に類似している。
未解決の連続殺人事件の実話の映画化、というと韓国映画『殺人の追憶』を思い浮かぶ。冷たい事実の畳みかけ、捜査、報道など事件に関与した関係者の描き込みの執拗さ、そして作り手の入れ込みすぎない態度など、いくつかの点で『ゾディアック』は『殺人の追憶』を上回っている。
スリラーとしての出来という点では『殺人の追憶』に譲るかもしれないが、もうフィンチャーは『セブン』『ファイトクラブ』の時代のけれん味の人ではない。小品『パニックルーム』を経てフィンチャーは、オーソドキシティの方向に舵を切った。その姿は、ペドロ・アルモドバルの姿にもダブって見える。
不満な点は、エイブリー記者(ロバート・ダウニーJr.)が情報提供者と密会するくだりが、約束の場所に到着するシーンだけしか描かれなかった点。やはりエイブリー記者がどんな人物に遭遇したのかきちんと見てみたかったし、その後、エイブリー記者が肺気腫で死んだとテロップで示すだけでなく、衰弱し息を引き取るところまで執拗に描いてほしかった。
少し描写が慎ましやか過ぎる。あと30分は長くていい。
丸の内ブラゼール他でロードショー中
http://wwws.warnerbros.co.jp/zodiac/
未解決の連続殺人事件の実話の映画化、というと韓国映画『殺人の追憶』を思い浮かぶ。冷たい事実の畳みかけ、捜査、報道など事件に関与した関係者の描き込みの執拗さ、そして作り手の入れ込みすぎない態度など、いくつかの点で『ゾディアック』は『殺人の追憶』を上回っている。
スリラーとしての出来という点では『殺人の追憶』に譲るかもしれないが、もうフィンチャーは『セブン』『ファイトクラブ』の時代のけれん味の人ではない。小品『パニックルーム』を経てフィンチャーは、オーソドキシティの方向に舵を切った。その姿は、ペドロ・アルモドバルの姿にもダブって見える。
不満な点は、エイブリー記者(ロバート・ダウニーJr.)が情報提供者と密会するくだりが、約束の場所に到着するシーンだけしか描かれなかった点。やはりエイブリー記者がどんな人物に遭遇したのかきちんと見てみたかったし、その後、エイブリー記者が肺気腫で死んだとテロップで示すだけでなく、衰弱し息を引き取るところまで執拗に描いてほしかった。
少し描写が慎ましやか過ぎる。あと30分は長くていい。
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