浅草の居酒屋「松風」、深川のどじょう屋「伊せ㐂」、日本橋蛎殻町の座敷「前田」、銀座の蕎麦「利休庵」などなど、ここ数年で暖簾を下げた店を拙ブログでは(余計なお世話であるが、私なりに悲痛な思いで)たびたび名残惜しんできた。
錦糸公園のショッピングモール「Olinas」に入っているTOHOシネマズ錦糸町で映画を見た帰り、「Olinas」に入居する食べもの屋は悪いけれどまるで口に合わないので、総武線ガードをくぐって、江東橋の天ぷら屋「よこやま」へ向かって歩き、着いた瞬間ガクゼン!である。なんと「よこやま」閉店らしい。閑古鳥の鳴く店に意地で通いつめて、それでも「閉める」と言われればこちらも「致し方なし」とあきらめがつくけれど、閑古鳥でもないのに旨い店が勝手になくなるのはどういうわけなのか。私は墨田区民に責任をなすりつけたい、彼らの怠惰のせいにしたい、とそういう手前勝手な八つ当たりの気分にべたりと浸るのだった(先ほどまで江東区民と私は書いていたが、これは冤罪で、江東橋はぎりぎり墨田区である)。たしかに、隅田川以東としては値段も高くそうしょっちゅう入れる店ではなかったけれど…。主人はどこかで従業員として働いているのだろうか。
こうなったら、日本橋人形町で最近見つけた隠れ家的に食べ物も酒も旨い店「W」、それから夜遅くまで(朝早くまで)旨いカクテルを出してくれるバーテンダーのいる「A」はなんとしても潰れないように死守しなければ。さらに、小網町の鰻屋「K」も人形町の寿司屋「K」(「き」ではないほう)も繁盛店とはどうしても思えないので、私設応援団的にある程度は定期的に食べなければ。
ところで人形町といえば、金座通りに昔からあるざっかけない蕎麦屋「翁庵」も、このところ店を開けているのを見ない。おそらく廃業かと思われる。往時は故・藤田まことをはじめとして、明治座出演中の演者たちの空腹を満たす名物店だったが、その歴史がついに閉じた。それと金座通り近辺でいえば、喫茶界の名門「越路」の追悼も以前に書いた覚えがある。往時は、芳町芸者と末広亭(現・ぱぱすドラッグ)出演中の噺家、力道山ジム(現・NTT茅場兜ビル)のレスラーなどといった奇妙な取り合わせの客層が、思い思いに一息つく場所であったという。
北京宮廷料理の免許皆伝、いわゆる「正宗」の料理を出す赤坂の「涵梅舫(かんめいほう)」も忘れてはならぬ。映像制作会社オムニバス・ジャパンの道を赤坂小学校のほうへ歩いた角地のビル1階に入居していたが、再開発工事とやらで移転先さがしのため一時休業中である。一時休業という文言が本当ならいいのだが。「涵梅舫」には、友人Hに誘われて一度だけ食べに行ったことがある。最初に出た五種冷菜もさることながら、松茸と絹傘茸入りの澄まし汁が絶品で、あれはぜひ再び味わってみたいものである。北京ダックも最後の温かいデザートも旨かった。移転なら移転で、この際もっといい場所をさがしてもらいたいものだ。正直なところ従来の店内は内装がくたびれていて、「きたなくても旨い店」などという考え方は大衆店ではまかり通るが(私はそれも疑わしく思うが)、この店はそれに該当しないのである。
錦糸公園のショッピングモール「Olinas」に入っているTOHOシネマズ錦糸町で映画を見た帰り、「Olinas」に入居する食べもの屋は悪いけれどまるで口に合わないので、総武線ガードをくぐって、江東橋の天ぷら屋「よこやま」へ向かって歩き、着いた瞬間ガクゼン!である。なんと「よこやま」閉店らしい。閑古鳥の鳴く店に意地で通いつめて、それでも「閉める」と言われればこちらも「致し方なし」とあきらめがつくけれど、閑古鳥でもないのに旨い店が勝手になくなるのはどういうわけなのか。私は墨田区民に責任をなすりつけたい、彼らの怠惰のせいにしたい、とそういう手前勝手な八つ当たりの気分にべたりと浸るのだった(先ほどまで江東区民と私は書いていたが、これは冤罪で、江東橋はぎりぎり墨田区である)。たしかに、隅田川以東としては値段も高くそうしょっちゅう入れる店ではなかったけれど…。主人はどこかで従業員として働いているのだろうか。
こうなったら、日本橋人形町で最近見つけた隠れ家的に食べ物も酒も旨い店「W」、それから夜遅くまで(朝早くまで)旨いカクテルを出してくれるバーテンダーのいる「A」はなんとしても潰れないように死守しなければ。さらに、小網町の鰻屋「K」も人形町の寿司屋「K」(「き」ではないほう)も繁盛店とはどうしても思えないので、私設応援団的にある程度は定期的に食べなければ。
ところで人形町といえば、金座通りに昔からあるざっかけない蕎麦屋「翁庵」も、このところ店を開けているのを見ない。おそらく廃業かと思われる。往時は故・藤田まことをはじめとして、明治座出演中の演者たちの空腹を満たす名物店だったが、その歴史がついに閉じた。それと金座通り近辺でいえば、喫茶界の名門「越路」の追悼も以前に書いた覚えがある。往時は、芳町芸者と末広亭(現・ぱぱすドラッグ)出演中の噺家、力道山ジム(現・NTT茅場兜ビル)のレスラーなどといった奇妙な取り合わせの客層が、思い思いに一息つく場所であったという。
北京宮廷料理の免許皆伝、いわゆる「正宗」の料理を出す赤坂の「涵梅舫(かんめいほう)」も忘れてはならぬ。映像制作会社オムニバス・ジャパンの道を赤坂小学校のほうへ歩いた角地のビル1階に入居していたが、再開発工事とやらで移転先さがしのため一時休業中である。一時休業という文言が本当ならいいのだが。「涵梅舫」には、友人Hに誘われて一度だけ食べに行ったことがある。最初に出た五種冷菜もさることながら、松茸と絹傘茸入りの澄まし汁が絶品で、あれはぜひ再び味わってみたいものである。北京ダックも最後の温かいデザートも旨かった。移転なら移転で、この際もっといい場所をさがしてもらいたいものだ。正直なところ従来の店内は内装がくたびれていて、「きたなくても旨い店」などという考え方は大衆店ではまかり通るが(私はそれも疑わしく思うが)、この店はそれに該当しないのである。
24時間営業、つまみ315円均一の居酒屋で、朝酒、昼酒をやりたいときにうってつけの、下町の楽園でした。このごろは24時間営業ではなくなっていたらしいですが、閉店前にまた行っておきたかった。