フミコはもともと、えーとこの奥様だったんだろう。
そういえば5年前に入居してきたとき
フミコは美人で気品のある老婦人との呼び声が高く
口を開けば
田園調布に家を持っていたとか
二人の息子は慶應と立教を卒業したとか
そんな自慢話ばかりしていたっけ。
それが認知症が進み
今ではパジャマのまま食堂に来たり
たっぷりの便失禁をしていても気づかずに歩いていたり
“えーとこの奥様”の影もない。
しかし以前も書いたが
気位というヤツだけは老いても消え去らないらしく…。
食堂で座っていたフミコから強烈な便臭が漂うので
トイレに連れて行った。
案の定、すごい量の軟便だ。
ズボンを脱がせ、リハパンを便ごと捨て
仕上げに彼女のお尻をキレイにする。
やっとキレイになった。さあ。新しいリハパンを履かせよう。
ふうっ!と額の汗をぬぐったその瞬間
うわっ、またしてもお尻の割れ目から
やわらかく茶色いものがニョロ~~!
フミコは立ったままだから
それはボトボトっと床に落ち
今度はそこもキレイにしなくてはならなくなった。
フミコよ、今しばらく肛門に蓋をしてくれ!
じゃないと私の涙腺が崩壊しそうだ。
さて、この一連の仕事の最中
当のフミコはどうしていたか。
下半身の衣を剥ぎ取られ
立ったままお尻をゴシゴシ、ゴシゴシ拭かれながらも
彼女は悠然と微笑みながら言い続けたのである。
「大変なお仕事ですわねえ」と。
腐っても鯛、ならぬ、ボケてもマダム。
認知症が進んでもなお
フミコは優雅な世界で生きているらしい。
そういえば5年前に入居してきたとき
フミコは美人で気品のある老婦人との呼び声が高く
口を開けば
田園調布に家を持っていたとか
二人の息子は慶應と立教を卒業したとか
そんな自慢話ばかりしていたっけ。
それが認知症が進み
今ではパジャマのまま食堂に来たり
たっぷりの便失禁をしていても気づかずに歩いていたり
“えーとこの奥様”の影もない。
しかし以前も書いたが
気位というヤツだけは老いても消え去らないらしく…。
食堂で座っていたフミコから強烈な便臭が漂うので
トイレに連れて行った。
案の定、すごい量の軟便だ。
ズボンを脱がせ、リハパンを便ごと捨て
仕上げに彼女のお尻をキレイにする。
やっとキレイになった。さあ。新しいリハパンを履かせよう。
ふうっ!と額の汗をぬぐったその瞬間
うわっ、またしてもお尻の割れ目から
やわらかく茶色いものがニョロ~~!
フミコは立ったままだから
それはボトボトっと床に落ち
今度はそこもキレイにしなくてはならなくなった。
フミコよ、今しばらく肛門に蓋をしてくれ!
じゃないと私の涙腺が崩壊しそうだ。
さて、この一連の仕事の最中
当のフミコはどうしていたか。
下半身の衣を剥ぎ取られ
立ったままお尻をゴシゴシ、ゴシゴシ拭かれながらも
彼女は悠然と微笑みながら言い続けたのである。
「大変なお仕事ですわねえ」と。
腐っても鯛、ならぬ、ボケてもマダム。
認知症が進んでもなお
フミコは優雅な世界で生きているらしい。