ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

マイ・バースデー

2015-05-14 01:38:36 | 日記
なんと、57回目の誕生日である。

楽しく元気にこの日を迎えられてよかったわ。
友達もいっぱいいて、気力体力とも充実していて感謝だわ。
でもさ、この歳になっても生活のために働くとは思わなかったわ。

などなど、感想はいろいろあるが
とりあえず今日は息子とバースデイ・デートを楽しんできた。

場所は東京・高円寺。
おととし、去年に続き
今日も二人で街を歩き、明るいうちから路地裏の店で生ビールを飲み
仕上げにマスター一人で切り盛りする小さなバーでカクテルを飲み
さんざんに飲み、語り合ってきた。

めったに会わない息子との、何よりも大切な時間。
やっとまともな給料をもらえるようになったらしい息子からご馳走してもらえる
母親としては感涙ものの機会である。

もちろん息子に感謝は尽きないけれど…

おっさん、ありがと~~~!
あなたがいたから、この孝行息子と出会えた。

お金もマンションも失ってしまったけれど
かけがえのない宝を、あなたからいただきました。

追伸
明日はおっさんが私の誕生日を祝ってエビフライを作ってくれるそうな。
はっきり言って料理下手なおっさん。
どんなエビフライが出来上がるか想像しただけで怖ろしいが
どんな代物でも、笑顔で「おいしい!」と絶賛しよう。
そう、私は出来た女房だから、ね。笑



泣いてたまるか!?

2015-05-12 19:20:49 | 日記
やっちまった~!

きのう夜勤入りするなり、上司である男性マネージャーから呼び出し。
会議室に来てくださいと言う。
行くとそこにはもう一人の上司とケアマネージャーも揃っていた。

何事!? 
ただならぬ空気にいささか怖気づく。

「実は、○○様のご家族からアナタにクレームがついたんです」

○○様というのは、私を“御大(おんたい)”と呼ぶ90代の女性。
寂しさゆえにコールを連打するからヒジョーに困っているのだが
それより何より
そのご家族のモンスターぶりがスタッフみんなを悩ませている。

中心となるのはその娘と孫娘。
入居当時からあーしてこーして!とやたら注文が多く
介護サービスの範疇ではないこともごり押ししてくる。
サービスを担当する登録ヘルパーもこれまで何人も“クビ”にされてきたし
ケアマネも何かにつけ呼び出され
そのたびに「いたたたたたっ!」と胃を痛めているしだいである。

何様か!?
スタッフは怒る。
主人公であるオバアチャマはコールが多いことを除けば
かわいく、なかなかユーモアに富んだ人でもあるので
大切に介護して差し上げたい。
しかしこのモンスター家族…

彼女たちと離れるためには
物騒な話、このオバアチャマに死んでいただくしかないわけで…
(不平不満をぶつけながらもウチで“看取り”までお願いしたいと言うのだから
残された方法はそれだけなのである)

さてさて、これまでうまくおつきあいしてきた私が
今回クレームの対象となってしまった。

先月のことだ。
オバアチャマを訪問中の孫娘が
つまらない用事でわざわざ非常用のコールボタンを押してきた。
携帯しているピッチでそのコールを受けたのが、運悪く私。
事務所に他のスタッフもいないようだし、私は援助中である。
「すみません、すぐにお伺いできないのでお待ちください」
確かに私はそう言った。
言ってみれば、後回しにした。

その対応が、けしからん!というのだ。

もちろん普段から私を信頼してくれている上司たちだから
私を責めはしない。
むしろ、謝ろうとする私を制止した。
「いえいえ、僕たちはわかっていますから」と。

ありがたい。
わかってくれている上司と同僚がいるから
あんなモンスターがいても乗り越えられる。
これからもっともっと大変な利用者やその家族と
向き合わなければならないのだろう。
今回のことは、いい教訓だ。

にしても、内心は腹が立つ。
あのオバアチャマのリスク防止のために
どんなに私が陰で苦心しているか
手順書作成やヘルパーさんたちへの申し送りに
どれだけ私が時間を割いているか
家族たちは知らない。

それを言いたいが、言っても始まらない。

いいさ、こっちは縁の下の力持ちだ。
クレームをつけられようとも気に入らないと言われようとも
本人様の生命線を握っているのは私たち。
家族からのクレームごときに、泣いてたまるか!?

気を取り直して、明日からまた頑張るぞっ!と。

おっさんに託す、母の日。

2015-05-11 02:02:17 | 日記
あ~、母の日だぁ!

ここ数日、気にはしていたが
まるですっかり忘れていたかのように当日の朝を迎えた私。
忘れることを、花束一つ贈らない自分に呆れることを
想定内に置きながら
そんな自分をごまかすように
“あ~、母の日だぁ!”と少しうろたえて見せる。

たった一輪のカーネーションでも
贈れば母はどんなに喜んだか知れない。

でも、喜ばれることが重い。

父の元を去って孤独になった生みの母と
父と死別して孤独になった育ての母。

「あなたが頼りなの」という二人の悲痛な声が
幻聴のように私を脅かす。

言っちゃあなんだが、面倒臭いんだわ。

しかし、そんな悪態をつきながらも
一人で暮らす育ての母を放っておくこともできない。

今日は遅番。帰りは夜9時半ころになる。
母は寝ているかもしれないし
もし起きていたとしても
その時間に疲れて帰ってきて、母の長~い話に付き合う気になれない。

あ、おっさんは今日、休みだ。

玄関先まで私を見送りに来たおっさんに言う。
「今日は母の日だから、実家に電話しといてくれない?」

気軽にOKしてくれた彼に、年に一度の母孝行を託す。

夜、帰宅して話を聞くと
実家で一人暮らしをしている育ての母は
「この電話は一生忘れない」というほどに感激したそうだ。

以前から母に気に入られているおっさん。
夫よりも、他に二人いる義理の息子よりも
うちのおっさんは母のお気に入りなのだ。

おっさん、ありがと~。
お陰で親孝行できたわ。

しかし、面白いもんだ。
かつてはおっさんが私に、父の日や母の日の贈り物や電話を頼んでいた。
「俺は忙しいから、オヤジに何かプレゼントを贈っといてくれ」
「俺は帰りが遅いから、オフクロにはお前から電話しといてくれ」
・・・てな具合に。

ひっひっひ、おっさんよ。
結婚以来、よくもまあ、私を便利に使ってくれたわね。
これからはアナタを私の親孝行の道具にさせてもらいまっせ。
あの心配性で寂しがりやで生活能力のない老婆二人の話し相手を
どうか私に代わってお願いいたします。



ずりずり・・・・・

2015-05-09 00:11:41 | 日記
怖い怖い話である。

入院中の病院で洗面台の鏡に映った自分の顔に発狂しているという
お騒がせミヨが、今月末には退院してきそうなのである。

きのう、折れた大腿骨にボルトを入れる手術が行われた。
しかしスカスカの骨に入れられたボルトは
骨と骨をつなぎ合わせるにはあまりにも頼りないものらしい。

「今度転倒したらもうお手上げ!」
そんな状態で帰ってくるらしいミヨ。

私たちはどうすればいいのか!?

ケアマネは転倒を防止するために
ベッドから布団生活に切り替えることを考えていると言う。
布団なら転落する心配はない。
上半身が元気なら布団から這い出てくることも考えられるが
自分の部屋だ、ずりずりと這って歩こうが、問題はない。

しかし、ふっと怖い絵柄が浮かぶ。

不思議なほど生命力みなぎる90のミヨである。
布団生活に慣れてくれば
自由気ままに部屋中を匍匐(ほふく)前進し始めるだろう。
ずりずり、ずりずり。
そして練習の成果により匍匐前進がうまくなってくれば
やがて手を使わずに這いずる事ができるようになるだろう。

そして、以前からベッドでこそこそとお菓子を食べ
口の周りにチョコレートやらクッキーのかけらやらをつけていたミヨは
布団生活でもそれを続け
やがて獲物を平らげたような口でにか~っと笑いながら
ずりずりと部屋を這いずるようになるだろう。

頭の中に浮かぶ、へび少女の絵。
小学生のころに私を震え上がらせた、楳図かずおの“へび少女”のひとこま。

勝手な妄想を繰り広げ、私の背筋は寒くなるのである。

ボーイフレンド

2015-05-07 00:01:28 | 日記
学生時代の仲間たちと飲んできた。

メンバー5人のうち3人はメンズ。
同級生だからいずれも60近いおっさんだが
みんななかなかいい男たちである。

彼らと出会ったのは、かれこ40年近く前のこと。
女子高を出たばかりで免疫のなかった当時の私は
男子の前でどう振舞えばいいのかわからず
気軽に話すことができなかった。
その頑なな態度が恐らくかわいくなかったのだろう。
男子のほうも私を敬遠していた節がある。

ところが時を経て、こっちも恥じらいを忘れたイイおばさん。
彼らからかわいいと思われなくたっていいし
いまさら懇ろになろうなどという邪(よこしま)な思いもない。

そんな気楽な気持ちで彼らとたまに酒を飲むようになってから
10年、20年…
だんだんと彼らの魅力がわかってきて
いまさらながら、いい男たちじゃん!と思えるようになった。

ああ、残念。
あのころ、今のように誰とでも話ができるラフな私であったら
そしてあのころ、今のように細身のジーンズがはける私であったら
青春時代はバラ色に輝いていただろうに…。
(当時は今より10キロくらい太っていて、
デカケツに入るジーンズはなかなかなかった)

ま、そんなことを悔いても仕方ない。
私の人生はこれからだ。
生え際が後退してコレステロール値が高くなって
酒が弱くなって9時を過ぎたころには欠伸をし始める男たちではあるが
私にとっては心優しい貴重なボーイフレンドたち。
彼らと飲み笑う時間を大切にしながら
バラ色のシニアライフを送っていこう。

★追記
ああ、楽しかった飲み会。
高揚した気分で家のドアを開けた瞬間
そこにも長年のボーイフレンドがいたことに気づく。
「ただいま~。今日はメチャクチャいい気分だから
お弁当、作ってあげるね~」
まさに幸せの連鎖。
いつにない妻の思いやりを疑うことなく
おっさん、いたく感激しておりました。ふふっ。