ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

イエローキャップ・モンキー

2014-06-12 01:08:12 | 日記
職業訓練校の仲間たちと飲んできて
家に帰ってもなんだかピ~ヒャラ楽しくて
一人、飲み直し。
(こんな生活を続けながらも
健康診断で肝機能の数値がすこぶる良いのだから不思議である)

お陰でよ~く寝た。
そして久しぶりにヘンテコな夢を見た。

泥棒が家に侵入し、お金を取ろうとしている。
やばい!
あわてて財布を握り締め、逃げる私。
タクシーを捉まえて、飛び乗る。
が、それはなんと、人力の三輪タクシー。
しかも、なぜか運転手は不在で自力走行を強いられる。
なんでよ!?と思いながらも、ペダルを漕ぎ、逃げる私。
いつの間にか、舞台は山奥。
木々に、黄色いヘルメットをかぶった猿がたくさんいる。
どうやら私の金を狙っている泥棒は大きな組織の一員で
黄色いヘルメットをかぶった猿たちは
その手下であるらしい。

山道を、人力三輪タクシーのペダルを漕いで逃げ惑う私。
木から木へと飛び移りながら
キャッキャと嘲笑うような声を発して私を追い詰めてくる
黄色いヘルメットの猿たち。

ぐったりと疲れて目が覚めた。

今からこれだ。
いつか脳が萎縮したときどんな妄想壁が現れるのか…
う~ん、気が重い。

夜間の妄想劇場、再び

2014-06-11 02:21:16 | 日記
昨夜も、Mさんに呼ばれた。
今宵はどんなMさん劇場がはじまるのかと興味津々。
緊急とは思えない夜勤中のコールは
正直、困りものであることが多いのだが
Mさんのコールなら息抜きにもなる。

昨夜もコールに応えて訪問してみると
「情けない。私、情けない」と、Mさんは語り始めた。

「私、こんな体になっちゃったでしょ?
それなのに母親はお見舞いにも来てくれないの。
こんなところに閉じ込めて、顔も見せようとしないのよ。
ひどいと思わない?
母親といっても、継母なの。
これがひどい人で、小さいころはずいぶん苛められて・・・」

延々と続く幼少期の不幸話。
実はそんな生い立ちでないことは知っているが
ひたすら傾聴するしかない。

しかし今日はいつもと違う対応を試みた。

―人生、いろんなことがあるもんですねぇ。
実は私も小さいころに母親が若い男と駆け落ちして
そのあとに来た継母がそれは意地悪な人で・・・
でも私、頑張って生きてきたんですよぉ。

実話を盛りに盛り、これでもかと不幸な身の上を語る。

するとMさん。

「そ~お、アナタも大変だったのね。
わかった。私も頑張る。私、死なない。
明日からご飯を一杯食べて、元気になってやるわ!
アナタとはお友達になれそう。
これからも遊びに来てくださる?」

―もちろんですとも、Mさん。お互いに頑張りましょうよ。

見つめあい、手を取り合うMさんと私。
不可思議な友情が生まれた一瞬だった。

夜勤が明ければ私のことなんかすっかりお忘れのMさんではあったけれど・・・

夜間の妄想劇場

2014-06-05 01:19:25 | 日記
最近ツライ夜勤に花を添えてくれているのが
M子さん劇場だ。

M子さんは90歳。
美人で上品で、働く女性の先駆者的な人だが
ついに結婚もせぬままその歳を迎えてしまい
一人娘だったがゆえに身内すらいない境遇である。

そのM子さん、このところ妄想が激しい。

楽団が部屋にやってきて、演奏している。
旅芸人たちがやってきて、うるさくて仕方ない。
自分の部屋で許可なく映画の撮影をしている。失礼だわ!

そして私が夜勤だった昨日の午前4時。
「テレビを消してくださる?」とM子さんからコール。
テレビをつけっ放しでないと寂しくて眠れないのだが
夜中にふと目を覚まし、その音声がうるさくなったらしい。

お部屋を訪問してテレビを消す。
そして幕を開けた、施設名物・M子さん劇場。

「さっきⅠさん(彼女と同じ名字)というオバアサンがきたの。
私の親戚だって言うんだけど、知らない人なの。
ナンデ来たのかしら。もうイヤになっちゃう。
帰ってほしいんだけど、全然帰ってくれないのよね」

ひたすら傾聴する私の目を見つめ
数秒間の沈黙のあと
彼女は別人格が降りてきたかのように不敵な薄笑いを浮かべて言った。

「あれは死なないね」

な、なに?
背筋をツーッと汗が伝う。

「あれは死なないね。
だって、内臓を全部取り替えて
不老不死の手術をしたらしいから・・・」

妄想とはわかっているが、恐い。
だけど、面白い。

認知症による妄想壁の脳メカニズムとは
いったどうなっているんだろう。

母親思い

2014-06-03 01:45:34 | 日記
名前は言えないが
ドラマで主役を張る有名俳優が
母親を伴ってウチの施設を見学にいらした。

どよめく職員。ときめく女性ヘルパーたち。
気もそぞろで、みんな仕事が手につかない。

さほど興味のなかった私でさえ
廊下で擦れ違ったとき
「やっぱ、カッコいいなあ」と思ったほどだ。

長身でまずまずの二枚目、しかも、職業は俳優。
それが穏やかな笑みを浮かべながら
老いた母親の腰にそっと手を当てて歩く様は
なんともイケている。

好感度アップだ。

同僚に、同じ年頃の男がいる。
タレントの江頭2:50に似た、目つきも挙措も不審な男で
正直、目を合わせるのもキツイ。

しかし老いた母親と二人で暮らす彼は
母親思いという点において、その俳優と同じだろう。
それが
ヤツが母親と二人暮しだというとみんな「ゲッ!」と眉をひそめ
今日やってきた俳優に対しては
みんな「ああ、お母さん思いの優しい人なのね」と
愛情のこもった視線を投げかける。

同僚には気の毒だが
これが現実だ。

ウルサイ女

2014-06-02 00:33:53 | 日記
私のこれまでの人生ではなかったことなのだが
うるさい女たちに囲まれている。

職場の女性社員わずか5名の中での話だが
一番仲のいいシングルのTは
まだ夫がいて息子二人が幼稚園に通っていた20年前のある朝
隣家のおじさんに挨拶をした。
「いつも子どもたちがうるさくてスミマセン」
するとそのおじさんはこう言い放ったという。
「うるさい子どもたちを叱っているアンタの声が一番うるさいよ!」。

夫と三人の息子(いずれも成人)がいる介護福祉士のⅠは
自分を構ってくれない男どもに向かって一生懸命語りかけていたら
「うるさい!」と夫から一喝。
そしてあろうことか、頭からゴミ袋をかぶせられたそうだ。

仕事中、絶えず明瞭な独り言を発しながらセカセカと動き回っている
最年長(私より2歳年上)のSは
その異常行動から“回遊魚”と陰で呼ばれているのだが
3年前の離婚は、夫のDVが原因だったという。
しかしよくよく話を聞いてみたら
「もちろん、私だって反撃してやりましたよ、はっはっは!!!」
・・・口でも腕力でも、決して負けてはいなかったらしい。

さてさて、生まれて初めて女性の多い職場で働いている我がおっさん。
最近の愚痴は、もっぱら職場にいる“うるさい女たち”のことである。
人の話を聞かずにしゃべりまくる。
子ども自慢ばかり。
夫のことをボロクソにののしる。
休憩中に繰り広げられるそんな会話に、うんざりしているらしい。

疲弊して帰宅したおっさんは
かわいく奥ゆかしい妻と晩酌をしながらつぶやく。
「お前と結婚してよかったよ」
「オシャベリで口が汚くて、そんな女たちばかりでイヤになるよ」

だろ!?
改めてこの私を見直したか、あっはっは。

夫のことを口汚くののしる女房たちは少なくない。
私は、そうはしない。
人の話を聞かずにしゃべりまくる女たちも少なくない。
私は、そうではない。

でもね、おっさんよ。
私は書くことで解消しているから口で発散しないだけよ。
現にアナタのことをここでは“おっさん”と表現しているし
職場では“仲良しの夫”なんて言っているけれど
心の中ではいっぱい、いっぱい、毒づいている。

世間の女たちを見て
「ああ、お前と結婚してよかった」なんて
鳥肌が立つような台詞を吐いているけれど
口にするか、しないか、だけのことなんだよね。

ごめん、おっさん。
実は私も、アナタが嫌う口汚くてウルサイ女なのである。