ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ショート

2014-04-15 00:52:07 | 日記
男性利用者Aさん(93歳)のイチモツは
実にショートである。
ショートすぎて
おむつパットで包もうにも包めないのである。

注釈:この方は尿失禁が激しいので
   夜間帯は尿がパジャマやシーツまで漏れないよう
   何度もおむつ交換をしなくてはならない。
   しかし安眠を妨げては―という配慮から
   簡単に交換できるようパットでくるりとイチモツを巻き
   それだけをスポッと外して取り替えるようにしている。

この間の夜勤も新人を伴ってAさんのおむつ交換に行った。
新人とはいえヨソで経験を積んできた人なので
私が手本を示すまでもない。
「では、やってみてください」と、彼女に任せてみた。

ベッド上でAさんのパジャマを下ろし
紙おむつを外した関西出身の彼女は
思わず眼を見開いて言った。
「うわっ、ショートやぁ!」

それほどまでに、Aさんのイチモツは短いのである。

身体の拘縮が激しく両足が絡まってしまっているAさんについて
入浴や移乗、排泄をどうすべきか
カンファレンスでも度々話題となる。
きのうのカンファでも
「オ○○ンが短すぎてパットが巻けないんです」
一人がそう言うと
他の職員たちもうんうんと大きくうなづいた。

そっか、みんなもAさんのイチモツの短さが
ネックになっていたのね。
笑い話のようだけれど、ここではマジメな議題だ。

認知症や脳疾患で介護を受ける高齢者は多いが
実は太りすぎとイチモツの短さが介護の障害になっている
と、言えなくもない。

イースター・エッグ!?

2014-04-13 23:45:03 | 日記
スーパーに買い物に行った。
惣菜コーナーで、厚焼き玉子が目に留まった。
ラップに「イースターだから卵を食べよう!」と、ある。
思わず、二度見。
なんでやねん!?

知識もなく吠えるのはみっともないから
一応、調べてみた。
イースターはキリストの三度目の復活を祝うお祭りで
西方教会では、3月22日から4月25日の間のいずれかの日曜日
東方教会では、4月4日から5月8日の間のいずれかの日曜日に祝われる
という。

今日は4月の13日。確かに期間中だ。
キリスト教徒にとっては大切な日なのだろうから
それは尊重すべきだろう。

でも、それを祝うほど
いや、それをお祭りの日として楽しむほど
日本人にイースターは浸透していないよねえ。

しかも、厚焼き玉子、である。
イースターにはゆで卵でしょう?
国によって彩色の施し方はさまざまだが
赤く色付けしたりビーズで飾ったりするのは
ゆで卵の殻でしょう?

なあんで厚焼き玉子に「イースターだから」と謳わなくてはならないのか?
便乗商法にも程がある!!!

でもまあ、こうやってキリスト教の文化がただのお祭り行事として
日本に広まっていくのよね。
私の子どものころにはなかったハロウィンだって
近頃じゃ認知されているみたいだし・・・。

鹿児島に住むおっさんの父親が
クリスマスを否定していたという話をよく聞かされる。
子どもたちがクリスマスケーキをねだっても
「うちは仏教徒だ!」のひと言で一蹴していたという。

由来も知らずに受け入れる海の向こうの記念日や祭事。
それにいちいちいちゃもんつけても仕方ないわ。
私だって
なんだかわからんが楽しんじゃおう!くらいの
いい加減な気持ちはあるし。

でもね
―イースターだから厚焼き玉子を食べましょう!
これだけは、どうにも納得がいかないのである。

ああ・・・

2014-04-13 01:26:39 | 日記
夜勤明けの夜、同僚より電話。
誰にでも優しく接してくださった利用者のTさんが
急逝されたという。

今朝、食堂から居室まで車椅子でお連れし
食べこぼしで汚れたエプロンを洗い
「ありがとうございます」と小声ながらも温かい言葉をいただく。
それから半日もたたないうちに絶命されたというのか!?

あまりにもあっけなさすぎて、言葉も出ない。

遠慮がちで、控えめで
でも、職員の名前を覚えることにおいては群を抜き
「ありがとうございます」「ごめんなさいね」という言葉の前に
必ず「○○さん」と、こちらの名前を呼んでくださった気配りの人。
そんな人だから
我がまま放題の利用者さんたちより先に
天に召されてしまったのか・・・

ああ。

経験こそ財産

2014-04-08 23:53:37 | 日記
理屈っぽくて能書き垂れてばかりの大口野郎S
それでも先輩だから一応たててやっている28歳のS

しかし昨日、そんな彼が私をべた褒めしていたという。

―うちの職員の中ではあの人がナンバー1!
―あの人の作る書類は完璧!

うっそ!? ぶるるっ! 気味が悪いわ。

しかし正直言って、まんざら悪い気はしない。
褒められて喜ばない人が、ましてや50女が、どこにいよう。

もちろん職員の中でナンバー1!というのは
介護技術や知識を指してのことではないと、百も承知だ。
彼が褒めているのは大方、書類作成の分野であろう。

昔取った杵柄で、記録や報告書を書くのはお手の物。
同じ量だけ抱えている書類作成も
他のみんなは未だヒーヒー言っているが
ふふん!、私はとっくに片付けちゃったもんね。
(鼻持ちならないヤツで、ごめんなさい)

これは自慢ではない。
いや、やっぱり自慢である。

大口男に褒められたことを自慢したいわけではない。
これまで経験が、今に生きていることを自慢したいのだ。

ライター時代に培った文章をまとめるテクニック。
薬局勤務で覚えた高齢者とのコミュニケーションと、薬の名前や効能。
その前の会社で必要に迫られて覚えたエクセル。
そして頻繁に書き綴っているこのブログのお陰か
どうにか衰えずにいる文字入力のスピード。

これまでの仕事経験がすべて、生かされている。
まるで介護という今の仕事に到達するための
修行であったかのように・・・。

きのう、姉と会った。
彼女の娘、私を慕ってくれている28歳の姪が
仕事を辞めようかどうしようかと思い悩んでいるという。

イラストレーターを目指して美大に入ったものの
就職活動に挫折して現在アパレル・ショップで販売をしている彼女。
「やっぱり、これは自分の道じゃない」
「やっぱり絵が描きたい」と
ウジウジしているそうだ。

若いうちはとにかくいろんな経験を積みな!
その経験は絶対ムダじゃない。
その経験が、いつか実を結ぶんだから。
―そう、言っておやり!と、姉に姪へのメッセージを託す。

モノではなく、コトにお金と時間を注ぎ込んだほうがいい。
私の持論だ。

私の強み

2014-04-05 01:44:17 | 日記
「小さいころ何して遊びました?」
トイレでYさん(78歳・男性)のパンツを上げながら
何の気なしに訊ねてみる。

答えを待つまでに何秒もかからず
「缶蹴り!」
最近すっかり幼児性を取り戻したYさんは
少年のように目を輝かせてそう言った。

―あら、缶蹴り? それなら私も大好きだったわ。
 あれ楽しかったですよねえ。
「あと、何して遊んだ?」
―えっと、私は縄跳びかな?
「そっか、女の子だもんね」
トイレで盛り上がる子どもの頃の話。
20歳以上の歳の差と
介護する側、される側という立場を超え
心を寄せ合うひとときであった。

きのうは90歳の男性Uさんを車椅子で食堂にお連れしながら
こんな会話で盛り上がる。
(建物内にあるサントリーの自動販売機を指差しながら)
「知ってますか?
サントリーという会社の創設者は鳥居さんという人なんですよ。
そこからサントリーっていう会社名がつけられたんですよ」
―あら、すごい記憶力!!
 ふふ。私も実は知ってましたよ。
 ブリジストンも、“石橋”っていう創設者の名前に由来してるんですよね。

耳が遠いゆえにコミュニケーションの取りづらいUさんだが
現役時代は特許事務所で仕事をされていたこともあり
かつて記憶した情報を
時折り思い出しては披露してくださる。
きのうは私も負けじとかつて仕入れた情報を提示したことで発奮されたらしく
その後も珍しく饒舌に語り続けたのであった。

この間も・・・
小野田少尉が亡くなったニュースを見ながら
90歳で認知症の進んだMさん(女性)と
「また一つ昭和が終わったわねえ」と
手を握りしめんばかりに心を寄せ合った。

脳梗塞でマヒのある82歳のKさんを入浴介助しながら
二人で「りんごの歌」を熱唱した。

介護に関しては経験も実力もない私だけれど
55歳という年齢ゆえに、お陰さまで
ご年配の方々とのコミュニケーション・ツールには事欠かない。

「恋するフォーチュンクッキー」も歌えるけど
「りんごの歌」はもっと得意よ!
それが今の私の強みである。