ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

オバケより怖い

2017-10-04 22:24:56 | 日記
週に3回やってくるお掃除のオバチャンが話しかけてきた。
(おっと失礼、オバチャンといっても同世代だ)

「ねえねえ、夜勤って怖くありません?」

それほどでも、と答えると
その反応が面白くなかったのか
昔から近くに住んでいるという彼女は
土地の者だけが知る怪談話を語り始めた。

実はこの住宅が建つ前、ここは大きな雑木林でね
死に場所に選ぶ人も少なくなかったんですよ。

首吊りもあった、焼身自殺もあった
だからこの場所には何かが出るんじゃないかと思って…
(ひっひっひ)と笑いはしないが
彼女は明らかにその日夜勤の私を怖がらせようとしている。

いやいやいや、期待に添えなくて申し訳ないが
そんな話を聞かされてもこっちは不思議なほど怖くない。

4年前にこの仕事に就いたときは
確かに夜が怖かった。
たった一人の夜勤、薄暗い廊下を歩くのが本当に怖かった。

しかし今となってはねぇ…

夜勤だったきのうのこと。
深夜1時頃にタバコを吸おうと喫煙所に向かったとき
その手前にある洗濯室からガタガタ、ゴトゴト、ドタンバタンと
大きな物音が聞こえてきた。

ひゃっ!と、さすがに驚く。
深夜の侵入者か? それともタヌキか何かが迷い込んだか?

杖とかモップとか、何か攻撃する道具はないか!?
廊下の角に身を潜めてあれこれ思い巡らせていたとき
ハッとある考えが脳裏をよぎった。

次の瞬間、私はそのフロアの奥にある認知症・ケイコの部屋に走る。
トントントン、ケイコさ~ん?
思ったとおり、そこにケイコはいない。

とすると、洗濯室にいるのはケイコだ。
間違いない。

あわてて洗濯室に走る。

勢いよくドアを開けると、いた~、ケイコがいた~。
闇の中に
白い顔、白い頭、白っぽいパジャマ姿のケイコが
泣きそうな顔で突っ立っていた。

廊下に出て彷徨っているうちに
鍵の開いている洗濯室に入り込み
出てこられなくなったらしい。

だからね、私はこの土地に彷徨っているかも知れない霊は
怖くないのよ。
それよりこの高齢者住宅に住んでいる老婆たちの方が
ず~っと怖いのよ。

全国の高齢者に告ぐ。
どうかどうか、夜は寝てくれ~~~!!!