新入社員のB君は、なかなかいい青年である。
まじめで礼儀正しいし
教えたことは一生懸命メモを取りながら覚えようとしているし
何より高齢者の接し方が優しく丁寧。
早くもおばあちゃま方から信頼を得ているようでもある。
しかし20代のわりに弾けたところがまったくない。
趣味を聞けば、おっとりと首をかしげながら
「しいていえば、散歩でしょうか」と答える。
これじゃあ彼女がいるはずもないだろう。
ところが、その点については「ご心配なく」とソツのない答え。
意外だわぁと失礼な感想を抱いたオバチャンは
二人きりのときを狙って突っ込んでみた。
―彼女とはどこで知り合ったの?
「あの、ネットで…」
―あ、ああネットで…。ま、最近はそういうの多いらしいね。
で、どれくらい付き合ってるの?
「2年になります」
―結構長いね。じゃあご両親にも会わせたり?
「いえ、彼女がいることは言ってあるんですが、まだ…」
そして少し躊躇しながら、彼はこう言葉を足した。
「実は僕もまだ会ったことがないんです」
・・・・・・
笑顔を作ったまま、オバチャンはぞっとした。
まじめで礼儀正しいし
教えたことは一生懸命メモを取りながら覚えようとしているし
何より高齢者の接し方が優しく丁寧。
早くもおばあちゃま方から信頼を得ているようでもある。
しかし20代のわりに弾けたところがまったくない。
趣味を聞けば、おっとりと首をかしげながら
「しいていえば、散歩でしょうか」と答える。
これじゃあ彼女がいるはずもないだろう。
ところが、その点については「ご心配なく」とソツのない答え。
意外だわぁと失礼な感想を抱いたオバチャンは
二人きりのときを狙って突っ込んでみた。
―彼女とはどこで知り合ったの?
「あの、ネットで…」
―あ、ああネットで…。ま、最近はそういうの多いらしいね。
で、どれくらい付き合ってるの?
「2年になります」
―結構長いね。じゃあご両親にも会わせたり?
「いえ、彼女がいることは言ってあるんですが、まだ…」
そして少し躊躇しながら、彼はこう言葉を足した。
「実は僕もまだ会ったことがないんです」
・・・・・・
笑顔を作ったまま、オバチャンはぞっとした。