大人と子どものための世界のむかし話8 インドネシアのむかし話/松野明久・編訳/偕成社/1990年初版
おじさんのところで、森の水牛をおうしごとをしていた、みなしごドゥアンは、おばさんからいじわるをされて、おじさんの家を飛び出します。
森の中をさまよいあるいていると、おおきなイノシシにであい、眠っているすきに、イノシシの首の金のくさりを注意深くはずし、いそいで逃げ出します。
きがついたイノシシから逃れて、海へ飛び込むとイノシシはあきらめて帰っていきます。
この金のくさりをつけると、まるで浮き輪をつけているように、かるがると水にうかびます。そして海の中を歩くこともできました。
ドゥアンは大海原をすいすいおよいで旅に出ます。
海の真ん中でであった船長が不思議に思い、金のくさりを借りて試してみます。
こんな船長がでてくると、魔法のくさりを横取りするのが普通ですが、キチンとかえしてくれるあたりが、いつもの昔話とはちがいます。
やがてドゥアンが小さな島につくと、おじいさんにであいますが、おじいさんはすわって草刈りをながめているだけ。草を刈っているのは剣でした。
おじいさんが金のくさりを試してみると、からだがぷかぷかうくのでうれしくなり、持ち主の命令をなんだってきいてくれる剣と交換してくれるようドゥアンにいうと、ドゥアンは承知するのですが、すぐ旅の手段をなくしたことに気がつき、金のくさりをかえしてくれるようにいいますが、おじいさんはうんといいません。
そこで、ドゥアンは剣にがんこじいさんをたたくように命令します。
剣でたたきのめされたおじいさんが、金のくさりをかえすと、ドゥアンは剣もかえさず、逃げ出します。
やがてついた都。
天を支配している竜が、王さまの一人息子を奪いに、おりてこようとしているところでした。
まわりの人から笑われながらも、王さまのところにいくと、「竜を退治してくれるなら、国のすべてをおまえにやろう。」といいます。
こんな話の展開では、ほとんどが王さまの娘がでてきて、めでたく結ばれるというのが多いのですが、この物語では、珍しく女性がでてきません。
金のくさりで思うところにでかけられ、剣もありますからこの勝負の結果はあきらかです。
語るとなると30分はこえそうですが、男の子むけでしょうか。
いつも思うのですが外国では結構長い話が多く、昔話=口承というのは、どのようにして受け継がれてきたのか知りたいところです。