キスなんて だいきらい/トミー・ウンゲラー・作 矢川澄子・訳/好学社/2023年
ねこのパイパー いつもなら 教室に、のみとりこやマタタビをやたらにふりまき、女の子のえりくびに 工作の のりを つっこむなど いたずらばかりしているのに、今日は やけに しゅんとしている。
クラスの子にからかわれ 組一番悪のジェフととっくみあい。ハイパーの耳がちぎれかけ どくどくと 血が止まらない。えいせいしつにいくことになって、まずはジェフにすすめられトイレに隠れて 葉巻で 一服してから 衛生室へ。
看護師さんのクロットさんが、ハイパーの とぎれた耳を ぬいつけ、頭を包帯でぐるぐる巻き。
昼休みに お昼を おごろうとやってきた 母親のポーは ぼうやのけがをみて なみだがぼろぼろ、むすこを だっこしながら キスぜめ。病院へ! タクシーと 大騒ぎ。
ところが ハイパーは 「おはよう おやすみ ありがとう かわいそう あついから さむいから べたべた どろどろのキス。人前で キス いやなんだ。」と 母さんの手を 振り切って わめく。そんな ハイパーを タクシーにおしこめレストランへ行くが、ごちそうにも 手をつけないパイパー。話もできなくて 気まずくなって・・。
学校に戻ったパイパーは、なぜか かんしゃくだま、よくとぶパチンコ、クラッカーのせっとを クラスの子に売ってお金を工面すると早引けし、花屋で 黄色いバラをかって 家へ・・・。
子離れできない母親と、親離れしたい 反抗期で ちょっと突っ張っているハイパーの どこかでみたことのある風景。オチと、そこまでいくギャップの大きさが 際立つ。
顔も洗わない、歯磨きがきらい 歯磨きしたふりの偽装工作をする トイレでまんがに読みふけるパイパーに 自分もそうだったと 話す父さん。ただ きつーい一言。「歯医者だけは だませなかったね。」
カバンに いきている 大グモを いれられながら しゅんとしている パイパーをみて 「どこか ぐあいでも わるいの? なんなら えいせいしつへ おゆきなさい。」と、声をかけるパリボ先生。
薬棚にヘビをいれられ 耳を ぜんぶぬりつぶしてやると 脅し 包帯を巻き終わると 「いかすわ。それで あかいリボンと ヒイラギでも つければ、まるで クリスマス・プレゼントみたい。」と、くすくす する看護のクロットさん、
わめくパイパーに「おふくろさんに あんなこと いうもんじゃない。はずかしいと思えよ」と声をかけるタクシードライバー。
なんだかんだといいながら、見守られているパイパー。大喧嘩をしながら、すぐに仲良くなって 葉巻をすすめる悪ガキ。
母親に なにかと反抗するパイパーのまわりには、ちっとやそっとでは 動じない 大人がいて 悪ガキのパイパーも 安心して 羽をのばせています。
初版は1974年。