ぼんさいじいさま/木葉井 悦子:作・絵/ビリケン出版/2004年
この絵本ときめて購入したり借りたりする以外には、タイトルや表紙の絵を見て選びます。
表紙が盆栽で、「ぼんさいじいさま」とあるので、やや地味な印象でしたが、中身はまったく別の世界でした。
盆栽が大好きな、ぼんさいじいさま。
ある日、満開になったしだれ桜の盆栽をうっとりとながめていると、盆栽のなかにいたひいらぎの冠をつけた小さな小さな「ひいらぎ少年」が手を振ります。
「ぼんさいじいさま、お迎えに来ました」
「じいさま、きょうのことは ずーっとまえからきまっていました」
そこでじいさまは、縁側にすわりなおして、たばこを一服。しだれ桜の枝にちょっとさわってから、背筋をすっと伸ばしていいます。
「じゃ、でかけようか」
ぼんさいじいさまを見送るのは、ひなのとき高い木の上から落ちて怪我をしていた山場、荷馬車にひかれて骨を折ったねこのクリ。どちらもおじいさんの世話になったのです。
畑で鋤鍬をひいたり、荷馬車をひいた馬のサクラ、そして、でんでん虫、みみず、てんとう虫、からすもきつねも、みんなで「さよなら」をいいます。
二人は、ゆっくりゆくり風の向こうにきえていきます。
こんなふうにおだやかなお迎えがあったら、思い残すことはなさそうです。でも凡人にはこの境地にはなれそうもありません。
ひいらぎ少年がでてきますが、ひいらぎは、古くから邪鬼の侵入を防ぐと信じられ、庭木に使われてきたようです。
・お屋敷の七番目の父(ノルウエーの民話/アスビヨルンセン&モー 米原まり子・訳/青土社/1999年初版)
いろいろ分類されている昔話ですが、この話に類似するものはあるのでしょうか。
旅をしていた男がすばらしいお屋敷にたどりついて、こんなところで休めたらいいなと、薪を割っていた老人に、一晩とめてくれるように頼むと、台所にいって、おやじに話してごらんといわれます。
台所に行ってみると、先の老人よりもっと年老いた老人。その老人に泊めてくれるよう頼むと、テーブルのそばに座っているおやじさまに話すようにいわれます。
おなじようなやりとりが続き、六番目の老人の答えは、だいぶ時間がたってから。六番目の老人は、壁にかかっている角のなかにいるおやじに話すようにいいます。
七番目目の老人は、なにやら人間の顔めいた小さな白っぽい灰色の形をしたものがあるばかり。それでも旅の男が大声で、今晩泊めてくださいと頼むと、壁の角のなかから、「かまわんよ、ぼうや」という声。
男は豪華な料理と酒もごちそうになるという、これだけで終わる不思議な話です。
こんな話が子どもに語られたのでしょうか。七番目の父の年齢が気になります。
・ティム一家(天国を出ていく/ファージョン作/岩波少年文庫/2001年)
ファージョン(1881-1965)の「ティム一家」は、「お屋敷の七番目の父」のパロディでしょうか。年齢が逆転していきます。
ある村にみんな名前がティムという五人が住んでいました。この村では何事かおこるとか、こまったことがあるとティムの家にいって相談していました。ティム一家はうまれつき賢かったのです。
ある日、ジョンの家の納屋に、ジプシーたちが許可もうけずに、一晩ねたことがありました。
どうしたらいいか、ジョンが八十になるティムのところにいくと、六十のティムにきいてみるようにいわれ、そこでは四十のティムにきくようにいわれ、最後は赤ん坊ティムのところへ。
赤ん坊ですから何も言いません。
結局ジョンはなにもしないことに。
ジプシーたちが次の村のジョ-ジのところで断りなしに寝ると、ジョージは巡査を呼んできて、ジプシーに罰をくらわせました。すると一週間後ジョージの納屋と干し草山が焼けて、メンドリが一羽盗まれてしまいます。
ティム一家のおかげで、村では何か事件があっても、おおさわぎにならないうちに、しずまりました。
赤ん坊ティムは百歳になって亡くなりますが、後継者がいなかったため、この村もほかの村と同じように、何かに手だしをするようになりました。
楽しいのはその理由です。八十のティムは知恵が減っている、六十のティムも知恵が減っている、四十のティムは、二十のティムの知恵のほうが生きがいい、若いティムは、赤ん坊に聞くと泉からくみたてのいい知恵で教えてくれるというもの。
創作らしくちゃんと理由がついています。このあたりが昔話と創作の違いです。
やぎのアシヌーラ どこにいった?/渡辺 鉄太・作 加藤チャコ・絵/福音館書店/2011年
めすやぎのアシヌーラを市場で買ったのは、ものぐさのスタマティスじいさん。
スタマティスじいさんは、なんでもかんでもかぜまかせ。トイレのドアも締めないし、食べた皿も洗わない、庭も草ぼうぼう。夏は やぶかが ぶんぶんうるさい。
そこで楽をして草刈りをしたいとアシヌーラに草を食べてもらうと、たちまち庭はきれいに。
もっと食べたいとメーメーなくアシヌーラを借りて行ったのは農夫。ビール三本という条件。
ここでも くろいちごのやぶをみるみるうちにきれいに。
次に羊飼いがパイとひきかえに、果樹園の男がリンゴ一樽と、チーズ作りのおばあさんがチーズとひきかえに、アシヌーラを借り出して。
そのうち、スタマティスじいさんの庭が、また草ぼうぼうになってアシヌーラを思い出し、お礼のビールはどうなったと農夫のところへでかけると・・・。
作者は日本のかたですが、登場人物の名前からすると舞台はどこか外国。いい味の面々です。
個人的にも、草になやまされているので、ヤギを飼えたらと思っても、今のご時世では無理。なんともうらやましい限り。
ヤギのふんは肥料に、乳はチーズにと大活躍。自然循環には最適。
しかし、ヤギって、とげだらけのやぶ、木の皮も食べるの?
ぼくのちいさなせんちょうさん/クラウディオ・ムニョス:作・絵 山口 文生・訳/評論社/2000年
少年は船が大好きで、ある日市場で古い帆船をみつけます。
おばあちゃんにもてつだってもらい、色を塗って帆を取りつけるとまるで新品。流星丸って名前をつけます。
そして、おじいちゃんがつくってくれたのは、木彫りの船長さん。
川に帆船を浮かべていると、カモメがとんできます。
カモメと船長さんがなにかはなしているように見えます。
すると帆船はカモメをおって急に走り出します。川をどんどん下り、嵐の海に出て、波にもまれる小船へ。
小船には遭難した女の人が乗っていました。
おもちゃの船の船長は、船室にとびこみ、こわれた無線機を治しSOSを発信しますが、船長は足をはさまれて無線機の中からにげだせなくなります。
遭難した女の人は無線連絡をうけて助け出されますが、船長はどうなったのでしょう。
流星丸は、テレビのインタビューにこたえている女の人がかかえていました。おじいちゃんの電話で、船は無事に少年のもとにもどりますが・・・。
子どもがわくわくするような絵本です。
世界の猫の民話/日本民話の会・外国民話研究会/ちくま文庫/2010年
オーストリアとドイツのほぼ同じ昔話。どちらも舞台は粉屋。
(オースオリア)
粉屋のところに働かせてとやってきた若者。粉屋の心配は、徒弟を粉ひき小屋で寝かせると、きまって次の日は死んでしまうということ。
こわいもの知らずという若者が、粉ひき小屋でどんな妖怪があらわれるかと目を凝らしていると、やってきたのは猫。
猫のしっぽをつかむと遠くまで放り投げます。
次の日もやってきた猫。若者は釜で猫の前足を切り落としてしまいます。
粉屋が様子を見にやってくると、若者は前足を見せます。
おかみさんが食事を仕度する気配がないので、粉屋がおかみさんのところにいってみると、おかみさんの手がなくなっています。
猫は、かみさんだったいうのが二人の結論でした。
(ドイツ)
粉屋の主人が職人を雇うたびに、最初の晩に息が止められしまうという不思議な目にあっていました。
旅の粉屋職人がやってきて、どうしても、ここで働くと言い張ります。
粉屋職人が小麦粉でおかゆをつくり、まっていると黒猫がやってきます。それも十一匹。おかゆをふりかけ撃退しますが、さらに、もう一匹黒猫が。
おかゆがなくなっていたので、職人は猫の前足を切り取ってしまいます。
次の日、主人が心配しながらやってくると、職人は前足、それは人間の手だったのですが、その手をみるとなんと妻の手だったのです。
どうやら妻は魔女。ほかの十一匹は協力者でした。
なぜ、魔女は猫の姿であらわれるのでしょうか。
となりのまじょのマジョンナさん/ノーマン・ブリッドウェル・作 長野 ヒデ子・絵 ながつき るり・訳/偕成社/2001年
「まじょ」と「マジョンナ」をかけているのは、訳者のかたでしょうか。
なにしろおわりかたのさわやかなこと! これだけでも一見の価値があるのですが、そこまでも楽しい。
となりにすんでいるマジョンナさん、とても魔女にみえません。あいさつも普通。
でもでも、買い物では買ったものが全部つながっています。家は黒。着物も全部黒。
散歩も金魚鉢、ほうきにのったねこをひもにつないでします。
部屋の中はいつもピカピカ、おまけに風邪をひくとスープやクッキーをとどけてくれたり、凧が木の枝にひっかっても、手をぐーんと伸ばしてとってくれるし、おまけに 凧にもなってくれます。
ところが近所の人が、「近所にまじょがいるなんて めいわくだ!」「すぐにでていって!」と文句をいいます。
たいへん! マジョンナさん、髪を逆立て「ノナナ・ナノナ・ブリヒルナーナノ・ノナーナブリヒルナー」と呪文をとなえはじめます。
そのおそろしいこと おそろしいこと。ですが、ここでとったマジョンナさんの呪文の正体は?
紙芝居 ふしぎなしゃもじ/画:須々木博 脚本:佐々木 悦/童心社/1977年
紙芝居もいろいろあって、選択するのに苦労します。ひとつひとつ自分でみてからと思うと膨大な時間がかかります。
内容別に分類されていたら、もうすこし利用しやすくなりそうですが、図書館の分類が乳幼児、大人向け、昔話、写真などで、活用するにはいまひとつです。
保育園、幼稚園などで利用された記録があると参考になりますが、こちらも適当なものがありません。
こうしたなかで、利用しやすいのが昔話の紙芝居です。
この紙芝居も昔話に分類されています。
亡くなったじさまのために、だんごをつくったばさまでしたが、だんごがころころころがって、ねずみあなへはいってしまいます。
どうやらじぞうさまが食べてしまったのです。
そこへ鬼どもがやってきて、めしたきのばあさまがやめて困っているからと、おばあさんを鬼の国につれていきます。
三百人の、めしをたいてくれといわれ、わたされたのは米一粒としゃもじ一本。
「なんぼなんでも無理じゃ」というおばあさんに、しゃもじ一かきで一万倍にふえるといわれ、そのとおりになります。
毎日毎日めしたきをしていたばさまでしたが、やがて村にかえりたくなります。
このあとは、にげるばさまと鬼のやりとり。
「ひとかき、一まんばい
ひとかき、一まんばい」
(鬼が川の水を飲む様子)
「がぼがぼ がぼかぼ
ごぼごぼ ごぼこぼ」
リズムも楽しい紙芝居です。
世界をうごかした科学者たち 天文学者/ゲリー・ベイリー・文 本郷尚子・訳/ほるぷ出版/2019年
ガリレオ、コペルニクス、ケプラーはおなじみですが、言葉だけ知っているだけで、じつはよく知らない天文学者も多い。
宇宙の話題によくでてくハップル望遠鏡。アメリカの天文学者ハッブル(1889-1953)の名前がつけられています。
彗星があらわれるとその周期におどろきますが、彗星の周期をみいだしたのはイギリスの天文学者エドモンド・ハレー(1656-1742)。ハレー彗星は76年ごと。1758年に実際に姿を現すのを見ることはできませんでした。
一方、女性が教育をうける必要がないと考えられた時代、2400個もの変光星を発見したのがアメリカの天文学者ヘンリエッタ・スワン・レビット(1868-1921)。ケフェイド変光星を研究して星の距離を測定したとありました。
そのほか、アインシュタイン、ホーキングなども。
現在、天文学は電波、赤外線、ガンマ線といった電磁波の観測に加え、重力波、ニュートリノなどの新たな観測の方法が利用されるようになって、未知のことが次々に解明されていくのは驚きですが、個人的には一番身近な地球のことがよく解明されていないのが物足りません。
おじいちゃんがおばけになったわけ/キム・フォップス・オーカソン・文 エヴァ・エリクソン・絵 菱木 晃子・訳/あすなろ書房/2005年
大好きなおじいちゃんとの突然のわかれ。おじいさんが心臓発作でなくなったのでした。
死んだらどうなるの?」エリックが小さな声で聞くと、ママは「天国へ行くのよ。」パパは「土になるんだ。」といいますが、どうもぴんときません。
その夜、死んじゃったはずのじいじがエリックの部屋にいます。
「じいじは、おばけになったんだね?」と、壁を通りぬけようエリックがいうと、おじいさんは、ほんとうに壁をとおりぬけます。
次の夜も、おじいさんがエリックの部屋にやってきます。
エリックが、本によると「この世に忘れ物がある人はおばけになる」と書いてあるよ。じいじ、何か忘れている事があるんじゃないの?」と、きくと、おじいさんは「そいつがわかればなあ」とため息をつきます。
それから夜は、二人で忘れ物さがしがはじまります。
じいじの家にいくと、小さかったころのこと、おばあさんとであったこと、エリックのパパのことを思い出します。
でもまだなにか忘れているものが。
次の夜は、工場で働いていたこと、ノリウエーの島まで遊びに行ったこと
でもまだ忘れていることが。
それは孫のエリックとの思い出。遊園地にいったこと、サッカーでチューリップをめちゃくちゃにしたこと、アメがのどのつまりそうだったこと、おじいちゃんが「おしりのうた」をうたってくれたこと。
おじいちゃんとエリックの長い夜がおわります。夜、おじいちゃんと一緒だったので学校をやすんでいたエリックでしたが、いつもの生活にもどります。
突然の死だったので、おじいちゃんはエリックに、さよならをいうのを忘れていたのです。
誰にでもやってくる死。個人的に残り少ない人生になったいま、忘れ物がないか自問しました。
例年小学校終業式にあわせ開催されている図書館主催の春休みおはなし会。
幼稚園・保育園等向け、小学1~3、小学4~6年生向け、大人向けと各々会場を別にしての開催です。
2019.3.23
(幼稚園・保育園)
わらべうた えほん おはなし
(小学校1~3年生)
1 空を飛んだ亀(日本)
2 たいへんたいへん(日本)
3 ねずみのすもう(絵本)
4 屋根がチーズでできた家(スウェーデン)
5 鳥のみじい(日本)
(小学校4~6年生向け)
1 でいだんぼう(日本 おがわまちの民話と伝説 小川町総務課)
2 おおかみのおしょくじ(日本 角野栄子作)
3 賢いモリー(イギリス おはなしのろうそく1 東京子ども図書館)
4 まぬけなトッケビ(韓国 おはなしのろうそく30 東京子ども図書館))
昨年も参加したという小学生がひとり。「賢いモリー」にでてくる「髪の毛一本橋」もイメージがしっかりしていて、お話を聞きなれているようでした。
語りを聞く空間も雰囲気づくりに一役かってくれています。
(大人向けプログラム)
1 みそかい橋(日本 岩波少年文庫 日本民話選)
2 アリ・ムハメッドのお母さん(イラン 新編世界むかし話集7 インド・中近東編 文元社)
3 とんとん昔があったとぉ(日本 左近寺マサ江のとんとん昔があったとぉ つくしんぼ企画)
4 雪どけ(日本 君川みち子の文語り)
5 賢いグレーテル(子どもに語るグリムの昔話2 こぐま社)
やはり、昔話には昔話の語り口がかかせません。日本のものは語り口だけで十分楽しめました。
2018.3.24
(幼稚園・保育園)
わらべうた えほん おはなし
(小学校1~3年生)
1 アナンシと五(ジャアイカ)
2 だいくとおにろく(日本)
3 おてがみ(外国の創作)
4 屋根がチーズでできた家(スウェーデン)
5 わらう(絵本)
(小学校4~6年生向け)
1 いばらひめ(グリム)
2 妖精のぬりぐすり(イギリスの昔話)
3 魔法使いのチョコレートケーキ(外国・創作)
小学生がひとり。一人で聞くというのも贅沢かも。卒業式は昨日。月曜日は終業式です。大人が4人とこじんまりしていましたが、階段式の小部屋の雰囲気もよくて、じっくり聞けました。
(大人向けプログラム)
1 ガチョウおくさんのおふろ(外国・創作)
2 ネズミの大てがら(チベットの昔話)
3 ヘルムの雪(外国・創作)
4 世界の果ての井戸(スコットランドの昔話)
男の方が一人。広報を見て来られた方かもしれませんが、どんなきっかけがあったのか気になりました。
2017.3.24
(幼稚園・保育園)
わらべうた えほん おはなし
(小学校1~3年生)
1 ねずみじょうど(日本)
2 屋根がチーズでできた家(スウェーデン)
3 こいぬがうまれるよ(絵本)
4 王子さまの耳はロバの耳(ポルトガル)
5 お百姓と悪魔(グリム)
(小学校4~6年生)
1 とりになったきょうりゅうのはなし(絵本)
2 まぬけなトッケビ(韓国)
3 鳥呑爺(日本)
4 ねむりひめ(グリム)
(大人向けプログラム)
1 ウリボとっつあん(イタリアの昔話)
2 クナウとひばり(アイヌの昔話)
3 みるなのざしき(日本)
4 かしこいグレーテル(グリム)
5 つばめとすずめ(日本)
「ウリボとっつあん」を語りましたが、どこか飛んでしまう部分があるのは、まだまだ自分のものにできていないようです。
2016.3.25
(幼稚園・保育園)
わらべうた えほん おはなし
(小学校1~3年生)
1 マメ子と魔物(イラン)
2 犬と猫とうろこ玉(日本)
3 ぴょーん(絵本)
4 どうぶつたちのおかいもの(絵本)
5 ついでにペロリ(デンマーク)
(小学校4~6年生)
1 さるのひとりごと(日本)
2 犬と猫とうろこ玉(日本)
3 エパミナンダス(デンマーク)
4 さるとかに(日本)
(大人向けプログラム)
1 国のはじまり(日本の神話)
2 明かりをくれ(スペイン)
3 鬼の首引き(日本)
4 妖精のかえ子とバグパイプ(アイルランド)
小学校1~3年生グループにはいりました。3人のお友だち、大人の方一人でした。
和室の部屋で、畳に座って話しました。距離が近く、少ない人数だったので合いの手がはいっても受け止めやすかったです。
2015.3.27
(幼稚園・保育園)
1 おばあさんとブタ(イギリス)
2 ふしぎなナイフ(絵本)
3 ブラックさんブラウンさん(おはなしのろうそく25)
(小学校1~3年生)
1 三びきのやぎのがらがらどん(北欧)
2 こすずめのぼうけん(おはなしのろうそく13)
3 おっとおとしもの(絵本)
4 三まいのおふだ(日本)
(小学校4~6年生)
1 かしこいモリー(おはなしのろうそく1)
2 花さかじい(日本)
3 クルミわりのケイト
4 旅人馬(日本昔話百選)
(大人向けプログラム)
1 ラプンツェル(グリム ねずの木)
2 かちかち山(おはなしのろうそく10)
3 よていひょう(創作 ふたりはいっしょ)
4 ガウェインと世に酷い貴婦人(アランビアナイト)
幼児のグループにはいりましたが、こども2人、おとな2人と少ないなかで、こどもの反応がよくわかるので、逆によかったかも。手遊びをすると、それをまねて熱心に手を動かしていました。今回も、藤田さんのお話の小道具を使用し、「おばあさんとぶた」「コートのはなし」の二つ。
大人向けでは、グリムのラプンツエルを矢川澄子訳で話しました。
あまり矢川訳で話される人がいないようなので、いつもと違った感じでうけとめてもらえたようです。
大人向けで、アーサー王と円卓の騎士のなかから「ガウェインと世にも醜い貴婦人」をはじめて聞きましたが、話し手の語りが舞台劇をおもわせるようで、場面を想像しながら聞いていました。
話し言葉ではないのですが、よくもこんなふうに話されると感心しました。
2014.3.26
(幼稚園・保育園)
わらべうた えほん おはなし
(小学校1~3年生)
1 ブドーリネク(チェコ)
2 カンチルと巨人(インドネシア)
3 クナウとひばり(アイヌ)
4 世界でいちばんきれいな声(ラ・フルール作)
5 ヤギとライオン(トリニダート)
(小学校4~6年生)
1 かしこいモリー(おはなしのろうそく1)
2 大工と鬼六(日本)
3 ジャックと豆のつる(イギリス)
(大人向けプログラム)
1 はなさかじい(日本)
2 なまくらトック(ボルネオ)
3 金の髪(コルシカ)
4 樹のおつげ(ラフカディオ・ハーン作)
2013.3.26
(幼稚園・保育園)
わらべうた えほん おはなし
(小学校1~3年生)
1 はなさかじい(日本)
2 エパミナンダス(創作)
3 ふしぎなたいこ(日本)
4 マーシャとくま(ロシア)
(小学校4~6年生)
1 はらとこピエトリン(イタリア)
2 クルミわりのケイト(イギリス)
3 カメのこうらは、ひびだらけ(ブラジル)
4 熊の皮を着た男(グリム)
(大人向けプログラム)
1 なんでも信じるおひめさま(デンマークの昔話)
2 うらしまたろう(日本)
3 お侍をだました小僧(日本)
4 背中にコブのある男(アランビアナイト)
5 七わのカラス(グリム)
こいぬとこねこのおかしな話/ヨゼフ・チャベック・作 木村有子・訳/岩波少年文庫/2017年
ものを大事にといってしまいがちですが、ストレートでなくてもちょっと耳が痛い話。
雨がずっとふりつづいて、遊びに行けないこいぬとこねこが、子どもたちがおもちゃを大切にしない、こわれたおもちゃをどのくらいみたことかと話し合っていました。
次の日、雨がやんで外に散歩にでかけて見つけたのは、人形でした。雨にふられ、洋服もびしょぬれ。
「おなかはすくし、ひとりぼっちでさみしい」という人形を、うちの子にしようとこいぬとこねこ。
こねこが人形の服をきれいに洗濯。ミルクとパンも食べると人形は安心して眠ります。
こいぬとこねこは、人形を自分たちの子としてめんどうをみようとしますが、人形があそべるおもちゃがないことに気がつきます。
こいぬが、人形がすてられていたのなら、ほかにも落ちているおもちゃがないか、さがしにいってみるとでてくるわ、でてくるわ。
こねこも、こいぬが入れないようなところで、おもちゃをさがしてきます。
ボールや砂場で遊ぶスコップやバケツ、つみき、おままごとのお皿やイス、笛も絵、輪投げ、色紙などなど。
人形もたくさんのおもちゃにかこまれ、自分を捨てたお母さんや女の子のことを忘れ、おもちゃで思いっきり遊びます。
作者のヨゼフ・チャベックは1887年うまれ。
亡命をすすめられたにもかかわらず、チェコに残ることを選び、1939年9月ゲショタポに連行され、正式な裁判の手続きなしに強制収容所へ。いくつかの収容所を転々とし、解放を目前にした1945年4月になくなったとされていますが、くわしくはわかっていないようです。
世界の猫の民話/日本民話の会・外国民話研究会/ちくま文庫/2010年
何度も忠告を無視してキツネの甘言にのってしまうオンドリ。
猫とツグミが取り返しますが、三度目はキツネに連れていかれます。
二度目までは助けをもとめるオンドリのさけびが猫とツグミに聞こえたのでよかったのですが、三度目は、近くにいませんでした。
キツネは、オンドリを物置小屋の袋に隠します。
このキツネには、三人の娘がありました。
猫とツグミが、素敵な声で歌いだすと、一人目の娘がでてきますが、猫とツグミは鎌で首を切り落とします。
どうしてこんなに長いこと歌をきいているのかしらと、二人目の娘がでてくると、この首も切り落とされてしまいます。
三人目、キツネも首をきられてしまいます。
このあと、オンドリはおなじようなことを繰り返すのでしょうか。甘言には注意しなさいという教訓話です。
幽霊屋敷(城)で、一晩過ごし、「宝物」を手に入れる話。
なりたくて幽霊にはなりません。幽霊と話せたら幸運が舞い込むかも。
・ゆうかんな靴直し(子どもに語るイタリアの昔話/剣持弘子 訳・再話 平田美恵子 再話協力/こぐま社/2003年初版)
ある公爵がもっている屋敷。この屋敷は、中に入った者がだれも生きてもどれないという。
この屋敷で一晩、無事にすごせたら、その屋敷をあげるというのを聞いた貧乏な靴直し。
真夜中、一時のかねがなると
「落とすぞ」という声。
「ああ、落とせ」と靴直しがいうと、腕の骨が一本足元に
何回かおなじやりとりで、うでの骨、胴体の骨、頭蓋骨、足の骨が次々に落ちてきて、その骨が一つになって完全な骸骨に。
骸骨がロウソクをもって
「先に行け」というと
靴屋は「お前が先にいけ」とこたえます。
骸骨は「そのドアをあけろ」「この石を引き上げろ」「鍋を持ち上げろ」と次々にいいますが、靴直しは「お前がやれ」とこたえていきます。
そして、骸骨のいいなりにならなかった靴直しは、金貨の山を手に入れます。
・鋳掛屋と幽霊(明かりが消えたそのあとで/マーガレット・リード・マクドナルド・著 佐藤涼子・訳 出久根 育・画/編書房/2004年)
幽霊のでるお城、勇敢な男たちが幽霊を退治しようとしますが、誰一人城から無事にでられたものはありません。
幽霊を退治したものには、金貨で千リアルの褒美をくれるというので、陽気な鋳掛け屋が、生みたて卵1ダース、ぶあついベーコン、ワインの瓶、暖炉にくべる薪をもって、城にのりこみます。
鋳掛屋のエステバンがベーコンをいためはじめると、暖炉の煙突から男の脚の片方が落ちてきます。
「オウーーミー-」という声と、もう片足、胴体、腕、頭が次々に煙突から落ちてきます。
一そろいおちてくると、エステバンの前で、からだのばらばらの部分がくっついて、ちゃんとした人間の姿に。
この男は、金の袋を三つ、この城の庭に隠したのですが、盗賊たちにおわれて、からだがばらばらにされたのでした。
金持ちにしてやろうと幽霊と庭に出たエステバンが、三つの金貨の袋をみつけだします。
マーガレット・リード・マクドナルドは、参考資料をたくさんあげているようですが、訳者のかたは、割愛されたようです。イタリアの「ゆうかんな靴直し」がもとになっているのでしょうか。
職業が鋳掛屋で、城ではなく屋敷にのりこんで、やはり同じように、ばらならのからだが落ちてきて、完全な骸骨になります。そして、骸骨から金貨の山を手に入れる話です。
おなじように「落とすぞ」という声と同時に腕や胴体が落ちてきます。
どちらも、掛け声の繰り返しが楽しい話ですが、こわさをだすには、工夫が必要でしょうか。
ただ、「鋳掛け屋と幽霊」では、城の様子が「こわさ」を演出してくれているようです。
「じめじめした空気がながれ」「クモの巣が顔にかかり」「寝屋の上でコウモリが翼をはばたかせ」ています。
ネズミがでてきてもおかしくはなさそうです。
鋳掛屋は、鍋やフライパンを修理するのが仕事で、少し前までは?普通だったはずですが、今では修理せず、穴があいたら捨ててしまうので、イメージがわきにくいかもしれません。
・こわさを知らないハンス(世界のメルヒェン図書館4 山のグートブラント/小澤俊夫 編訳/ぎょうせい/1981年初版)
とてもらんぼうもので、父親のいうことをきかないハンス。牧師さんに相談すると、おどろかしてこらしめてやろうと、教会の塔の時計のねじをまく仕事をさせることに。
牧師がゆうれいのかっこうをして、驚かそうとしますが、ハンスはすこしもおどろかず、逆になげとばされてしまいます。
手に余った父親は、ハンスを遠くへ旅にいかせます。
ハンスは腕っぷしの強さにまかせて、いろいろな冒険をやり、あぶないめにあいながらも、なんとか切り抜けていきます。
やがて、ハンスは森の中の古びた黒い家に泊めてもらおうとしますが、なかにはテーブルに明かりともっていましたが、だれもいません。
そこに二人の盗賊がはいってきます。盗賊はこの家を獲物のかくし場所につかっていましたが、この家には悪い幽霊がいて、家のどこかの宝物を守っているらしいと話します。
ハンスは「三人で宝物をさがしてわけようじゃないか」と提案します。
真夜中までには、まだ、だいぶ時間があったので、ハンスが食事に準備をしていると、暖炉の煙突から
「にげろ、さもないと落ちていくぞ!」という声。
「かまわん、落ちてこい!」とハンスがいうと、人間のふとももが落ちてきます。
なんかいかおなじやりとりがあって、うでも首も落ちてきます。
やがて、ばらばらのからだが組み合わさり、黒い服を着た強そうな大きな男があらわれます。
死神も悪魔もこわくないハンスは、大男とおくさんに料理を食べさせようとしますが、二人は食べようとはしません。
おくさんをすくってやるのは何をしたらいいのか尋ねたハンスに、おくさん(真っ白い服を着た女)は、地下室に案内します。
そこには大きな箱がありましたが、その上には大きな毛むくじゃらの犬とおんどりが。
ハンスはいとも簡単に犬とおんどりを投げ飛ばします。
すると真っ白い服を着た女は、箱のかぎをくれます。
箱を開けると、その中にはあふれんばかりの黄金が。
ハンスは黄金をリュックサックにつめて、家にかえります。
ばらばらになったからだの部分が落ちてくる場面はおなじですが、「こわさを知らないハンス」のほうは、前段部分も笑える。
「落とすぞ」
「ああ、落とせ」という繰り返しが話の世界へ引き込んでくれます。
またどこか人間の弱さをにじませている靴直しと、豪快なハンスの対照的な描き方も楽しい。
・恐いものなしのジョヴァンニ(みどりの小鳥 イタリア民話選/イタロ・カルヴィーノ 作 河島英昭 訳/岩波少年文庫/2013年初版)
「ゆうかんな靴直し」と同じ話型。(というか原型が同じで再話の方法が異なるというものか)
恐いものが何もないジョヴァンニンとよばれる若者が、世界中を歩きまわり、とある宿屋に泊めてくれとたのみますが、そこで紹介されたのが、生きて帰った人がだれもいないという屋敷。
この屋敷にのりこんだジョヴァンニンがテーブルで食事をしていると屋根の煙出しから
「落とそうか」という声。
ジョヴァンニンが「落とせ」というと、人間の片足が落ちてきます。
「次に落とそうか」と声に「落とせ」と言うと別の足が。
これを繰り返していくと、腕、胴体、首が落ちてきて大男の姿に。
この大男が「ランプをもってついてこい」というと、ジョヴァンニンは「先に行け」と言い返します。
大男が次々に言いだすことに、ジョヴァンニンがおまえがやれと答えていくと、地下には、金貨のつまったなべが三個。
ジョヴァンニンは、鍋の一つをもらって、何不自由なくその屋敷で暮らことに。
イタロ・カルヴィーノ(1923-1985)の作品では、「鋳掛屋と幽霊」とおなじように、金貨を主人公が独占するのではなく、一つは死んだと思って引き取りにくる神父に、もう一つは最初に通りかかった貧乏人にあたえます。
さらに、最後に、ふと振り返ってみた自分の影におびえて、死んでしまったという結末です。
作者は、現代イタリアの代表的作家であるが、次のように述べているという。
<民衆の口>からじかに民話を書きうつす方法はグリム兄弟の作品に出発点をもっているが、19世紀の、<科学的>志向性と合致して、語り手の方言を一字一句もらさぬよう忠実に書きとめる風潮を生じた。
けれどもグリム兄弟は今日信じられているほどには<科学的>ではなかった。その科学性は二分の一であった。それに引き換え、自分の仕事の科学性は四分の三である。
さらに、四分の一の創意の中身をいくつかにわけているが参考になるものとして
1 方言で書かれていた物語を、方言の柔軟性を失わないようにして、共通語にすること
2 物語を異校と合わせて、より豊かな民話にすること
3 欠落してしまったと思われる部分を控えめに補うこと
4 文体は個人的なものにせず、またけっして無性格なものならないようにこころがけること
こうしてみると、最後の方に作者のおもいがあらわれているようだ。
・バグダートの妖怪屋敷(子どもに語るアラビアンナイト/西尾哲夫・訳 茨木啓子・再話/こぐま社/2011年)
たいへんな遺産を手に入れたアリーという男が、湯水のように金を使って遊び暮らするところからはじまります。
金の切れ目が縁の切れ目で、金がなくなるとだれも目向きもしなくなり困窮生活をつづけたアリーは、隊商の仲間に入れてもらいますが、隊商は盗賊の一団におそわれます。
芥川龍之介「杜子春」も、金の切れ目が縁の切れ目という場面が二度でてきます。どちらも三年で財産をなくすというのも共通しています。
バグダートのほうは、このあと、泊まった者が、あくる朝になると亡くなっているという屋敷に泊まります。
他の話では、幽霊屋敷という表現がほとんどですが、イスラム教では幽霊という考え方はないといいます。
この屋敷に住みついているのは、アラビア語で「ジン」と呼ばれる超自然の存在といいます。
他の昔話では、妖怪とのやりとりが主になりますが、バグダードのほうは、かなり短く「お前の上に金貨の雨を降らせてやろうか!」という声に「その金貨はどこにあるのだ」とアリーがこたえると、金貨の雨がざあとふってきて、広間が金貨でいっぱいになります。
妖怪は、答え方で宝の持ち主がわかるのですが・・・。
浮ついた友人との交わることもやめ、貧しい人々のほどこしもし、偉大な神アッラーをこころからうやまうようになると、すっきりした終わりかをします。
もくべえのうなぎのぼり/きねとうあきら・文 いのうえようすけ・画/教育画劇/2003年
もくべいさんが、にゅるにゅるにげる うなぎを おいかけて おいかけて、たどりついたのは 天の上。かみなりのごろぞうさんに助けおこされます。
ついたのは天の川神社。ちょうどお祭りの日。
祭り見物は、かみなりのかっこうというので、ごろぞうさんが頭をなぐりつけ、たんこぶが つののかわり。
からだには、あかいこな。ごろぞうさんのおかみさんのこしまきを半分にして、すみとえのぐで、きいろとくろのしまもようをつけて。
祭り見物で、ひとりはぐれた もくべえさん。のぞくのを きつく、とめられた神社の古い井戸をのぞくと、なにやらあやしいひかり。こわこわのぞくと「うわっ」と井戸にまっさまさか。
なんと、おかみさんが洗濯していたところに。
へんてこな かみなりのかっこうをみたおかみさんに、うなぎなら そこにおるで と 桶をゆびさされみてみると、そこには、おかみさんにくわそうと天までおいかけていったうなぎが。
天までうなぎをおいかけたのは、まぼろし? いやいや、かみなりの格好でおかみさんの前にあらわれますから、やっぱり本当のことで、うなぎは、さきまわりして帰っていたのかも。
日本の民話絵本とありますが、これまで読んだことはありません。
神社の廊下を拭いているのは水星、土を掘っているのは土星、さいせんかぞえているのは金星と、惑星もお手伝いです。
関西風の語り口が快調なのですが、内容はややものたりません。
それにしても、いま天然うなぎはどうなっているのでしょうか。今住んでいるところでは、昔はうなぎがとれたというのですが。
子どもに語るアジアの昔話5/アジア地域共同出版計画会議企画 ユネスコ・アジア文化センタ・編 松岡享子・訳/福音館書店/180年初版
先の王さまが亡くなり、若い王子が新しく王位につきますが、父王の死を悲しんで、政務をおろそかにするので、大臣たちが相談して総理大臣を王さまにすべく策略します。
一方総理大臣のたくらみなど何一つ知らなかった王は、宮殿の外で、「知恵を買う者ものはいらんかね」とさけぶ物売りの女の声を聞きます。
女は杖にすがって、髪の毛が白い、ひどく年とった女でした。
老婆が言うには「ねているよりは、さめているがよし。 よこになっているよりは、すわっているがよし。 すわっているよりは、立っているがよし。 立っているよりは、歩くがよし。」というのでした。
銅貨一枚で知恵を買った王さまは、じっとしていられず、古い着物を身に着けると、こっそり宮殿をぬけだし、夜のやみのなかへでていきました。ここで三人のどろぼうにであい、仲間にはいります。
王さまに、総理大臣のとこには金目のものがどっさりあるだろうといわれた三人のどろぼうは、総理大臣の家に。
総理大臣は、王さまになるべくほかの大臣たちと会合していましたが、一番目のどろぼうが特技で。みんなを眠らせてしまいます。
二番目のどろぼうは、鍵をあけるのが特技、三番目のどろぼうは、犬をだまらせるのが特技。
どろぼうたちは金目のものをあつめますが、王さまがみつけたのが、何やら重要そうにみえる紙切れ。そこには「王は、位を放棄せねばならぬ!」とありました。王さまは、総理大臣が王位を覆そうと、はかっていたのを知ります。
王さまは三人のどろぼうに、羽根を一枚づつわたし、頭巾にさしておくようといいます。そして自分の頭巾にも同じ羽根をさします。
次の日、謁見の間に姿をあらわした王さまをみて、大臣たちはおどろきます。これまでは一度も謁見の間に姿をあらわしていなかったのです。
ぬすみを職にしているものが三人いるからと、国中の人々を宮殿に集め、頭巾に羽根をさした三人を牢へ放りこもうとします。
しかし、どろぼうは、もうひとりどろぼうがいると申し立てます。王さまは一枚の羽を自分の頭巾にさして、総理大臣に紙切れを見せて、断罪しようとします。
けれども、王が政務をおこなおうとしなかったので、なんとかしようと考えたという、総理大臣の理由をきいて、これまでの態度を反省します。
自己本位では、立派な王さまになれません。政治家も見習うべきでしょう。政治家が自分を見つめなおすきっかけは、なんでしょうか。