どんぴんからりん

昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・。それにしてもまるで森に迷い込んだ感じです。(2012.9から)

鬼ぞろぞろ

2020年01月23日 | 絵本(昔話・日本)

              鬼ぞろぞろ/舟崎克彦・文 赤羽末吉・絵/偕成社/1978年

 

 大晦日の夜遅く、鬼の行列に遭遇し、唾をかけられ姿を消されてしまった身分のひくいさむらい。

 「神仏のお力にすがるほかない」男は心にきめると、三条の六角堂におまいりに。

 本堂にこもって、いっしんにいのりつづけます。はらがへるとお参り客の弁当を盗み食いしてしのいでいましたが、だれひとりきずきません。

 そのうち、姿が見えないことをいいことに、お堂にこもっている客の荷物をくすね、ちいさな盗みに飽きると、町の屋敷をねらい、すぐちかくのあばらやにためこんだので、たからものは はちきれるばかり。

 そんなある日、男は夢の中で観音さまのおつげをききます。

 「はじめにであったものの、いうことをきくがよい。それから先は、こうふくになるもならぬのも、おまえしだいじゃ。」

 一番どりの声で、お堂をとびだすと、おそろしげな牛かいに「おまえはなかなか悪い男らしいな。おれのしごとを、てつだわしてやる」と連れていかれたのは、とある大きな屋敷。

 屋敷には床に臥せった姫ぎみがいて、牛かいは、男の手に 槌を握らせ女のからだをおもうぞんぶんうつようにいいます。

 男はいわれたとおり、姫のからだをうちはじめますが、姫があわれな声をあげてなきもだえるので、すぐに自分のやっていることが我慢できなくなります。

 「なぜおれが こんなうらみもない人を痛めつけなければならないんだ。盗みを働いたり、人を痛い目にあわせたりしているうちに、おれは、人間の心をなくしてしまうぞ。それどころか もう二度と 人間の姿に もどれなくなってしまうんだ」

 男がとっさにとった行動とは?

 今昔物語のなかの物語です。

 男は、盗みでほうせきをどっさりため込み、さらにもとのすがたにもどりたい観音さまにおいのりするのは、じつに自分勝手。

 しかし、最後は、男が屋敷の跡取りにむかえられるハッピーエンド? でも、たからものをかくしたあばやらは? 男が良心を失っていないのが救いです。

  赤羽末吉さんが描く鬼、観音さまのシルエット、絵巻物風の屋敷、人物など今昔物語の世界も楽しめました。

コメント

へっこきあねさ

2020年01月22日 | 絵本(昔話・日本)

          てのひらむかしばなし へっこきあねさ/長谷川摂子・文 荒井良二・絵/岩波書店/2004年

 

 大工のあんにゃに あねさが よめにきました。

 そのうち あねさの 顔色が あおーくなってきて、あしもとも ふあんふあんしてきた。

 「どっか あんばいが わるいかや」と おばあさがきくと、「じつは へが でとうて でとうて」と あねさ。

 「なんだ へぐらい えんりょしないで こけや」というおばあさんに、あねさは 遠慮していたが とうとう こくことに。

 これがまあ でっかいでっかい へ。

 それも一回だけでなく、三回も。どっばーん! で おばあさんは天井まで舞い上がり、だっばーん! で、いろりのふちをひっつかんだまま、三発目は いしうすごと 天井までふっとばされてしまいます。

 「だいじな かかさまを こげなめに あわせる よめは うちには おかれねえ。さっさと かえってくれ」あんにゃがおこり、よめいり道具の たんすを おぶって、あねさを おくっていくとちゅうに 柿の木を見つけます。

 あんにゃが ぼうでたたいても、うまそうな実はおちてきません。

 あねさが笑って、どっばーん! とへをこくと、柿の実は一つ残らずおちてきた。

 川まできたら、渡し船が いったばかり。ここでも あねさが でっぼーん! とへをこき、へを すいこむと 舟は もどってきました。

 「こげな いい へなら さとへ かえすのは もったいない。なじょも いえに もどってくれ」と、あんにゃと あねさと ばあさとで なかよく くらしていた。

 このあとも、ぼっがーん! でっぼーん! ぼっがーん す。 でっぽーん す。とおならをこいて すって 大根を収穫するのもあります。

 へを すいこむというのは ほかの昔話にはみられません。

 おならの音の迫力は 圧倒的。

 荒井さんの絵もこの話にぴったり。着物のすそをまくりあげ おならをするあねさのおしりも もかわいいですよ。

コメント

999ひきのきょうだいの はるですよ

2020年01月21日 | 絵本(日本)

          999ひきのきょうだいのはるですよ/木村研・文 村上康成・絵/ひさかたチャイルド/2009年

 

 今年の啓蟄は3月5日。まだ早いのですが、春の訪れを感じさせてくれるやさしさがあります。

 冬眠中だったかえるの母さんが目をさまし「はるですよー。おきなさーい。」と子どもたちをおこしました。
 あっちからもこっちからも、もこ、もこ、もこ かえるのこどもが おきてきました。
 お母さんが、こどもたちを かぞえます。ところが何度数えても998ひきしかいません。おかあさん999ひきものこどもをちゃんとわかっています。

 まだねていたのは おにいちゃん。お母さんに怒られおきてきたら、こんどは どこからか「ぐー ふぃー むにゃみにゃ」と寝息。「おねぼうさん、おきなさーい」とこえをかけると、あなからでてきたのは かめ。かめのおじいさんは、満開の桜を見て大満足。

 弟たちと、おねぼうさんを探すに行くと、とかげ、落ち葉をよけてみるとテントウムシ。テントウムシは、菜の花を探してとんでいってしまいました。

 まだおねぼうさんを探すに行くと、穴の中から「ぐー すー ふぃー ふるふるふる」。

 おにいちゃんのあとをおとうとたちがひっぱって、「オー エス、オー エス、オーオー エス」と綱引きをすると、でてきたのは?

 でてきたのはかえる。へびはかえるの天敵。でもあわてず騒がず「まだですよ。あなたは、ごはんの したくが できるまで、まだ ねてなさーい」と、寝かすお母さんはさすが。

 ででてくる生き物の目にも注目です。

 子どもと、冬眠する生き物について会話できるきっかけにもなりそうです。

コメント

昔話の類型・・ウラジミール・プロップ

2020年01月20日 | 昔話あれこれ

昔話の類型によくでてくるのはAT分類。ただこれは分類を手元においておかないと不便。

ロシアの昔話の研究をしていたウラジミール・プロップによる物語の構造を31に分類する方法がありました。いくつかの要素を選んで整理するというもの。

・物語の構造を以下の31に分類
 「留守もしくは閉じ込め」,「禁止」,「違反」,「捜索」,「密告」,「謀略」,「黙認」

 「加害または欠如」,「調停」,「主人公の同意」,「主人公の出発」

 「魔法の授与者に試される主人公(贈与者の第一機能)」,「主人公の反応」

 「魔法の手段の提供・獲得」,「主人公の移動」,「主人公と敵対者の闘争もしくは難題」

 「狙われる主人公」,「敵対者に対する勝利」,「発端の不幸または欠如の解消」

 「主人公の帰還」,「追跡される主人公」,「主人公の救出」

 「主人公が身分を隠して家に戻る」,「偽主人公の主張」,「主人公に難題が出される」

 「難題の実行」,「主人公が再確認される」,「偽主人公または敵対者の仮面がはがれる」

 「主人公の新たな変身」,「敵対者の処罰」,「結婚(もしくは即位のみ)」

 「桃太郎」の例では

 「加害または欠如」  ・鬼が村を荒らしている
 「主人公の出発」   ・鬼退治に出発
 「主人公の反応」   ・いぬ・さる・きじに団子をあげ家来にする
 「敵対者に対する勝利」・鬼退治に成功
 「主人公の帰還」   ・宝をもって帰還。
とわかりやすい。

・7つの行動領域

 登場人物が何をするかに注目して物語を分類するもの

 主人公からみた「敵対者(加害者)」,「贈与者」,「助力者」

 「王女(探し求められる者)とその父」、「派遣者(送り出す者)」

 「主人公」,「偽主人公」

 「桃太郎」の例では

 主人公・桃太郎

 敵対者・鬼が島の鬼

 贈与者・おじいさんとおばあさん(きびだんごをくれた)

 助力者・いぬ・さる・きじ

 研究者ではないので、あまりパターン化する必要もないが、頭の隅に置いておくと便利か?

コメント

かんぺきなこども

2020年01月19日 | 絵本(外国)

           かんぺきなこども/ミカエル・エスコフィエ・作 マチュー・モデ・絵 石津ちひろ・訳/ポプラ社/2019年

 

 マカロン夫妻のピエールという子。

 かわいくて、かしこくて、れいぎただしい。

 あそんでも ちっとも ちらかさないし、よくねむり ぎょうぎもよくて 勉強もよくできて・・・。

 いうことなしのかんぺきなピエール。

 ところがある日、パパ、ママが朝おきるのが遅く、ピエールを仮装大会があるとミツバチの恰好をさせて、急いで学校に送り出すと、その日はクラスの写真を撮る日で、みんなから大笑いされてしまいます。

 「ぼく、いやだぁー!!」と 駄々をこねるピエールを パパ、ママがつれていったさきは?

 でだしにびっくりです。なにしろ「こどもストアー」があって、おんがくかタイプやすうがくしゃタイプなどの あらゆるタイプの こどもをかうことができるのです。

 ピエールは、マカロン夫妻が「かんぺきなこども」と注文したものでした。

 駄々をこねないように、こどもストアで 修理しようとすると、ピエールは「かんぺきな パパとママに、かえてほしい」といいます。

 裏表紙で、親子があそんでいて、ピエールは普通の子に。ピエールには虫歯もあります。

 こどもを買うというのは、いただけませんが、完璧な子どもも親もいないというのが結論でしょうか。裏表紙が本来の親子関係です。

 親は子どもを選べませんし、子どもも親を選べません。

コメント

おわりのない話

2020年01月19日 | 昔話(外国)

          世界むかし話8/イギリス・アイルランド/三宅忠明/ほるぷ出版/1979年

 

 暗いあらしの晩、一等航海士が船長にむかし話をきかせてくれといわれ、語ったのが・・

 「暗いあらしの晩でした。船長さんがブリッジで一等航海士にいいました。「むかし話をきかせてくれ。」 そこで、一等航海士は語りはじめました。『暗いあらしの晩でした。船長さんがブリッジで一等航海士にいいました。「むかし話をきかせてくれ。』 そこで一等航海士は語りはじめました。・・・・

 おなじ話がどこまでもつづくパターンの昔話。日本のものはめずらしくありませんでしたが、これまで外国のものはほとんどよんだことがありませんでした。この話はイングランドの昔話。

 多分、子どもが寝るまで語られたであろう、おわりのない話。多分外国にも数多くありそうですので、紹介されていないだけなのかもしれません。

コメント

きょうのぼくは どこまでだって はしれるよ

2020年01月18日 | 絵本(日本)

         きょうのぼくは どこまでだってはしれるよ/荒井良二/NHK出版/2019年

 

はみ出すほどの白い馬は”あさやけ”。

おおきなまちのおいわいのひ

森 山をこえて まちへ。

いよいよ ぼくは みんなのまえで 走ります。

「きょうのぼくは どこまでだって はしれるよ!」がなんども繰り返されます。

希望の象徴でしょうか。

「ちょうちょが へやのなかに まよいこんできましたよ しばらく ここで みちくさしてね しばらく ここで あそんでね」とよびかける やさしいまなざし。

一ページ、一ページが絵画をみるようです。開いたページをそのままにして ファンタステックな風景を 眺めつづけました。

この詩には手書き文字がふさわしいようです。

コメント

きょうはすてきなドーナツようび

2020年01月17日 | 絵本(日本)

               きょうはすてきなドーナツようび/竹下文子・文 山田詩子・絵/アリス館/2012年

 

 目立たないけど、一度食べた人は必ずまた買いにくるほど美味しいという、まちの小さなドーナツ屋さん。おじさんひとりで切り盛りし、たくさんの木と花にかこまれたお店です。

 ならんでいるのは、おさとうドーナツ、チョコドーナツ、クリームドーナツ、ごまドーナツ、キャラメル ナッツにストロベリーと、どれもこれもおいしそう。

 ある日、ドーナツ屋のおじさんが 重たい小麦の缶を、うっかり 足のうえに おとし大きな怪我をしてお店は休業に。

 「ドーナツはできたてが一番おいしいのに」と、ドーナツたちは自ら売り込みに出かけます。

 メガネ屋さんに、公園の花壇に、電車のつり革に、道路の信号に、ピエロの曲芸とびいり。まちのあちこちに、美味しそうなドーナツが神出鬼没にあらわれます。

 さいごは パレードの楽隊と一緒に、ドーナツ屋さんまで、行進していきます。

 病院からもどってきたドーナツ屋のおじさんは、おおぜいの人が つめかけているのをみて、びっくり。

 店員さんも七人になって、まいにちにぎやかなドーナツ屋さんです。

 絵はカレルチャペック紅茶店代表の山田さん。最近、チェコのカレル・チャペックの短編を読んだばかりで、紅茶店の名前は、この人に由来しているのでしょうか。

 ドーナツが大好きな人たちの笑顔がいっぱいです。

 かわいいネズミや、ぼうしをかぶるドーナツ、気球にのるドーナツ、リスにも注目です。

コメント

大根どのむかし

2020年01月17日 | 創作(日本)

           百曲がりのカッパ/世界のむかし話⑫ 百曲がりのカッパ/松谷みよ子・作 梶山俊夫・画/学校図書/1984年初版


 世代をこえて読まれている絵本の「おおきなかぶ」。
 おおきなかぶをみんなで引っこ抜くというシンプルな話ですが、絵の魅力もあって楽しまれているようです。

 「大根どのむかし」も大きな大きな大根の話。

 村中の大根が雨が降らず、育たない中で一本だけ残った大助の大根。村中でこやしをかけて、みずやりしていると、千年杉ほどの大きさに。
 村中で堀り上げ、そりにつけてひっぱりはじめると山かげでごろごろという雷が。

 すると大根が「いまのは大根おろしだべ。おらおろされるのはやだやだ」と泣き始めます。
 大根が口をきいたのにおどろいた村人が、大根を食べるのをやめて、村の入り口においておくと、その大根が雪を止め、夏には涼しいかげとなって、台風もこなくなります。

 ところが大根がいつもいつも腹すいたというので、そのたんびにこやしをあげなくてはならないのに閉口した村人が、大根を追い出してしまいます。

 大根が姿をけしたとたん、嵐はくる吹雪はくる日照りがくる夕涼みもできねえなんていやなことばかり続きます。

 最後のオチも笑えます。もとは山形の昔話のようですが、方言の魅力もあるようです。

 松谷さんの監修で、絵本にもなっていました。

         だいこんどのむかし/渡辺節子・作 二俣英五郎・絵/ほるぷ出版/1992年

コメント

むかし話を知らない男・・アイルランド

2020年01月16日 | 昔話(外国)

             世界むかし話8/イギリス・アイルランド/おやゆびトム/三宅忠明・訳/ほるぷ出版/1979年

 

 むかし話のむかし話です。

 妻が編んだ靴下を売り歩いていたローリーという男が、町に着くまでに日が暮れ道にそった家に泊めてもらうことになりました。

 家の老人はこころよく泊めてくれますが、これが不思議な家。

 戸棚からナイフとフォークがとびだしてきて、たる木につるされている肉を切りとると、次に鍋がおりてきて、肉がそのなかにとびこみます。

 暖炉の火がひとりでにつき、バケツが動いて肉の鍋に水がそそぎこまれました。

 じゃがいももバケツでひとりでにあらわれ、鍋に入ります。料理がすべて勝手にすすんでいき、夕食が終わると、老人がこの家の夜の過ごし方を話し出します。

 夜の三分の一は夕食に、つぎの三分の一はむかし話をするか歌をうたって、のこった三分の一を寝てすごすというのです。

 むかし話も知らない、歌もうたえないローリーは、老人から泊まることを断られてしまいます。

 ローリーが、しばらく歩いていくと、道端で くしにさした肉を焼いていた男に会います。

 男は、くしをもって、こげないように ひっくりかえしてくれるようローリーにたのみ、姿をけします。

 ローリーが くしをまわしはじめると、くしにさした肉が「わしのひげを やくな!」とわめきます。びっくりしたローリーは、くしも肉もほうりだして一目散ににげだし、かけこんだ家は、夕食を食べた家。

 奇妙な体験を老人に話すと「ちゃんとおもしろい話を知っているじゃありませんか。どうかえんりょなくとまっていってくだされ」といいます。

 ところが、ローリーが、ぐっすり眠って翌朝目をさますと、老人も家もなく、靴下の袋をまくらにして道端の草むらに寝ていたのです。

 夕食のときテーブルクロスがひとりでにまかれ、ナイフとフォークが肉を切ってくれるというのは、まさに何がおきてもおかしくない むかし話の世界。

 この老人の正体は?

コメント

げんこつげんたろう

2020年01月15日 | 絵本(日本)

              げんこつげんたろう/くすのきしげのり・作 伊藤秀男・絵/廣済堂あかつき/2015年

 

 げんたろうが絵を描いていると 男の子に絵をとりあげられ からかわれて 思わず ケンカしそうに。

 先生にとめられ 手を握って ぐっと怒りをこらえます。

 くやしいとき かなしいときは げんこつ。

 手をひらかないと 仲直りのあくしゅはできません。

 どうする げんこつ げんたろう?

 げんたろうが かいていたのは おかあさんの誕生日におくる似顔絵でした。

 げんこつは ごつごつしたイメージ。絵も力づよく 和紙にクレヨンと水彩をつかってえがかれています。

 表紙はげんこつ 裏表紙は手がひらいています。

 手を開いたら笑顔が満開です。「げん げん げんこつ ひらいたら やさしい えがおも まんかいだ」 そのとおりと いいたくなりました。

コメント

5ひきのすてきなねずみ ”おんがくかいのよる” ”ひっこしだいさくせん”

2020年01月14日 | 絵本(日本)
5ひきのすてきなねずみ おんがくかいのよる  

               5ひきのすてきなねずみ おんがくかいのよる/たしろ ちさと・さく/ほるぷ出版/2007年初版

 題名が素敵な絵本。

 満月の夜、どこからか聞こえてきた音楽にひかれて、5匹のネズミは音のするほうへあるきはじめます。
 公園まで来ると音はだんだん大きくなり、そこには「かえるのおんがくかい かえるでないものおことわり」の看板が。でも5匹がそーっとのぞいてみると、月明かりのしたで、たくさんのカエルたちが歌っています。うつくしいメロデイーを夢中で聞き入っていると、ここはカエルだけのきまりですと追い出されてしまいます。

 すばらしい音楽会のことが忘れられないネズミたちは、ちゅうちゅうというばかりでカエルのように歌えないので、楽器をつくってネズミの音楽会をすることにします。

 あちらこちらから集めた材料で楽器をつくったネズミたち。準備ができると音楽会のお知らせをあちこちの壁に張り出します。ネズミの集会所で開かれた音楽会は満員の盛況。そこにはカエルたちもきています。カエルの音楽会から追い出されたネズミたちでしたが、こころよくカエルを歓迎し、カエルたちが歌っていた歌をうたいはじめると、カエルもネズミも一緒になって歌いだします。

 すばらしい音楽会。ネズミとカエルは、また音楽会をする約束をします。次の満月の夜は、みんなの音楽会になります。
 
 ネズミの集会所が舞台になっていて、そこにはぎっしりのネズミが描かれています。マッチ箱でつくったバイオリン、短い鉛筆で作った木琴、空き缶を利用したドラムなどが楽しい。
 ネズミたちが音楽の聞こえるほうに歩いていく場面は、石畳の道で、両側にはレンガ造りの家?があるので、場所はどこか外国のよう。

 5ひきのネズミにぐれ、くろ、しろこ、ちゃたろう、ちびすけと楽しい名前がつけられ、名前の通りネズミが描き分けられていますが、それがあまり活かされていないのが残念。

          5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん/たしろ ちさと・さく/ほるぷ出版/2010年初版

 ”おんがくかい”は、2007年、”ひっこしだいさくせん”は三年後の2010年には発行されています。 

 お隣さんがおおきなネコを二匹も飼いはじめたことから、落ち着いて住める場所を探しに出た5匹のネズミたち。大通りのすみは、雨が降るとびしょびしょ。下水道の巣穴は満員。

 あちこちさがして、とうとうやってきたのはおおきな山の前のゴミ置き場。いらなくなったものを利用して、自分たちの家をつくることにします。

 板を切ってまずは床。赤い椅子は屋根。植木鉢に雨水をため、パイプをつなげるとお風呂の出来上がり。古時計は食品貯蔵庫に。自転車のタイヤは風の力でまわる観覧車。

 5匹がみちたりた気持ちでねどこにもぐりこむと、突然ニャアオオオオ!と ネコの声。

 せっかくできた家からも引っ越しか?と思わせておいて・・・・。

 手作り感いっぱいのおうち。

 ベッドはくつ テーブルは本 おまけに鉄道の線路まであり、夢がひろがっていきます。      

コメント

アナベルとふしぎなけいと

2020年01月13日 | 絵本(外国)

                 アナベルとふしぎなけいと/マック・バーネット・文 ジョン・グラッセン・絵 中川千尋・訳/あすなろ書房/2012年

 

 どこをむいても白い雪。小さな町の冷たい午後、アナベルがひろった箱には、色とりどりのきれいな毛糸がはいっていました。

 自分のセーターを編んでも、まだ毛糸が残っていたので、犬のマースのセーターも編みました。それでも毛糸は、まだ残っていました。

 近所の男の子と、その子のイヌにセーターを編んでも、まだ毛糸はのこっていました。

 学校のクラスメートにも、おとうさんおかあさんにも、おばさんにもセーター編んであげても毛糸はなくなりますせん。

 町中のイヌとネコと動物に編んであげてもなくなりません。

 町中の家にセーターを編んであげると、街の景色がかわっていきました。

 アナベルとふしぎな毛糸の話は世界中に広まって、おしゃれで有名な海のむこうの王子が高いお金を出してほしがります。王子がお金をどんどんつりあげていきますが、アナベルは売るつもりはありませんでした。

 王子はどろぼう雇って箱を盗み、お気に入りの音楽をかけて蓋をあけてなかをみますが、箱のなかはからっぽ。

 王子が「むすめよ、おまえは このさき いっしょう しあわせに なることは ないであろう」と、呪いをかけてポイと箱を海の中へ。

 しかし、箱は氷の上にのって、またアナベルのもとへ。

 アナベルは、呪いに負けることなくずっと しあわせでした、

 

 お金でなんでも買えると思っている傲慢な人間には、不思議な毛糸は見えないのです。

 ジョン・クラッセンの絵は、これで三冊目ですが、おなじみのキャラクターがでてきて親近感がありました。毛糸の色彩がカラフルですが、鮮やかというよりおさえた色調。

 寒い冬に、毛糸という組み合わせもぴったり。

 冬が過ぎたら?と余分な心配をしましたが、セーターですから、脱げばいいだけです。

コメント

おれ、よびだしになる

2020年01月12日 | 絵本(日本)

               おれ、よびだしになる/中川ひろたか・文 石川えりこ・絵/アリス館/2019年

 

 昨年の12月に発行されたものにしては珍しいのですが、絵は ほとんどがモノクロで、きわめて地味な感じがします。

 子どもたちが将来なりたいものに、”よびだし”は、はいってくるでしょうか。

 いつもテレビ観戦でみた”よびだし”にあこがれて中学校を卒業してから、相撲の世界にとびこんだ少年の目を通して、よびだしの生活がえがかれています。

 よびだしの仕事も、土俵を作る、力水をつける力士にひひゃくと紙をわたす、制限時間をつたえる、ほうきで土俵を掃く、懸賞幕をもって土俵をまわるなどなどさまざま。

 大相撲をささえる裏方にスポットがあてられています。スポーツにかぎらず、表面の華やかさを支える裏方の存在を忘れてはいけないように思いました。

 大相撲にかかせない裏方の仕事を表現するのは、モノクロがふさわしいようです。

コメント

そばがらじさまとまめじさま

2020年01月11日 | 絵本(昔話・日本)

             そばがらじさまとまめじさま/小林輝子・再話 赤羽末吉・画/福音館書店/2008年

 

 題名からは結びつきませんでしたが、イヌ、臼、灰と花咲爺さんのパターンで、灰をまいて、雁をとります。

 作者は岩手在住の方で、土地言葉がうまくいかされていますが、その分、とっつきにくいかもしれません。

 いぬっこが、おおきくなるところは

  いっぱい くわせれば いっぱいだけ

  にはい くわせれば にはいだけ

  さんばい くわせれば さんばいだけ

 まめじさまが 山にかりにいくところで、いぬが ほえるところでは

  あっちの がけから ぼっかぼか こっちの がけから ぼっかぼっか あおじし ではれ

 すぐに昔話の世界に入っていけます。いつもながら赤羽さんの絵もぴったり。

 そばがら、まめ、ししじる、しろいおこめ、がんじると、食べ物にちなんだものがでてきますが、十分な食料を手に入れることが困難だった背景を象徴しているようです。

コメント