すずのへいたい/原作・アンデルセン 脚本・水谷章三 画・夏目尚吾/童心社/1999年
男の子が25人の兵隊さんを、テーブルの上に ならべました。そこには 紙で作った 見事なお城が立っていました。25人の兵隊さんの最後の一人は錫が足らずに一本足でした。この兵隊さんが、お城の扉の向こうにいる踊り子に気がつきました。踊り子は 片足をあげていたので、片足のようにみえました。
錫の兵隊さんは、「あなたが すきです。ぼくの およめさんに・・」と、心の中でさけびましたが、踊り子は むこうで ずっと たちつづけているばかり。
真夜中、おもちゃたちが 箱を飛び出し踊りはじめますが、踊り子は つまさきで すっくと たったまま。踊り子を見つめる兵隊に、びっくり箱の小悪魔が飛び出し、「おいっ、あのこを じろじろみるのを やめないか。なまいきなやつ。ふんっ、いまにみてろよ」と、いいます。
つぎの日、男の子が、四階の窓から、一本足の兵隊さんを 落としてしまいます。兵隊を見つけた いたずらものが紙のボートをつくって 流しました。どしゃぶりの雨が降ってきて、ボートが どぶ板の下の ながいトンネルに はいりました。どぶねずみにおいかけられ、ボートは 大きな川に流れ込みました。川に沈んでいく途中、兵隊さんは、大きな魚に 飲み込まれてしまいました。
もう、たすからないと覚悟をきめていると、目の前に ひとすじの ひかりが 差し込んで、聞き覚えのある声が、聞こえました。そこは、男の子の家でした。錫の兵隊さんのそばには、片時も忘れことがなかった踊り子がいました。いつまでも じっとみつめあっていると、小さい男の子が、なにを 思ったのか、ぽいっと、暖炉の中へ 放り込んだのです。どうしてこんなことをしたのか、男の子にも わかりませんでした。暖炉の陰では、小悪魔が にやりと 笑っていました。
真っ赤な火の中で、兵隊さんの からだが 溶けはじめます。「ああ あついなあ。からだが とけていくなあ。これは、ぼくが むすめさんのことを あつくなるくらい あいしているからだ。きっと そうだよ。」。兵隊さんは、とけながら それでもしっかり たっていました。そのとき窓から風が吹き込んで、踊り子を 暖炉へつれていきました。踊り子は、兵隊さんの そばに とびこむと、あかかかと もえあがりました。
つぎの日、暖炉の灰の中には、とけて かたまった ハートの形をした かたまりが でてきました。
ボートで流された時も、川に沈みこんでいくときも、踊り子を愛した兵隊のいちじな思い。
男の子が、兵隊を暖炉の中へ投げ入れたのは、小悪魔のせいですが、小悪魔が なぜふたりに 嫉妬したかが わかりにくくなっています。
スズはこれまで食器などにつかわれてきましたが、いまはアルミニウムにおきかわっているようです。子どものころスズをとかして遊んだことを思い出しました。
はじめからアンデルセン童話に親しむのは困難かもしれませんが、紙芝居からだと、スムーズにはいれるのかもしれません。