おやすて山/岩崎京子・文 田代三善・絵/佼成出版社/1993年
むかしむかし、あるくにのとのさまが、「はらけんものも やしなうのはむだじゃた」と、としよりを 山へ捨てるよう おふれをだしました。
なんと、むじひな とのさまだろうと おもっても しかたなく 父親をすてることになった若者。どんどん山のなかへはいっていった若者が、雨露のかからないところをみつけると、そこに父親をおろしました。父親は、若者が まよわず 帰れるよう、みちしるべに 木の枝を 落としていました。若者は、やさしい父親を、山へ捨てることはできないと、せおいなおすと 山をかけおり、床下に穴を掘り、父親を隠しました。
ある日、とのさまが またわけのわからないことを 命じました。灰で縄をなえというのです。みんなが こまっていると、若者の父親の言うとおり灰で縄をなうと、また、とのさまは、一本の棒をとりだし、どっちが根っこか 調べるよう いいつけます。これも、若者の父親の知恵で、解決すると、こんどは、たたかんのに 鳴りだす太鼓を 作れと またまたわけのわからないことを いいだしたとのさま。
みっつの難題をといたのが、若者の父親の知恵だったことを知ったとのさまが、おやすての とりきめを撤回します。
語りでは灰縄のイメージがよくわかなかったのですが、この絵本で納得しました。棄老説話は、中国やインドにあったものが伝わってきたといいます。
導入部は悲惨な感じがしますが、結末がわかっているとすんなり受けとめることができます。
捨てる対象が、おじいさんがでてくるものと、おばあさんがでてくるものにわかれます。この絵本だけではありませんが、六十歳という年齢が出てくるあたりは、時代を感じさせます。(かといって、70歳、80歳という年齢をもってきてもどうでしょうか)