どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

大ザメと少年・・ハワイ諸島

2016年05月19日 | 昔話(オセアニア)

        大人と子どものための世界のむかし話5 ポリネシア・メラネシアのむかし話/ダイクストラ好子・編訳/偕成社/1989年初版


 一人の少年が、海の底にある大エビをつかまえたいと思っていましたが、人食いザメのため、手をだしかねていました。
 一計を案じ、大声で「ほかのサメたちをだます方法を、いちばんしっぽの短いサメがおしえてくれた」といい、岩のかけらを海に投げ込むと、サメたちは少年が海の中へ飛び込んだとおもい、水音のしたほうへおよいでいきます。そのすきに、少年は海に飛び込んで大エビを二匹もちかえります。

 一回だけでなく、9回も繰り返す少年。サメは十頭いる計算です。

 エビをとる前に、○○のサメから教えてもらったと大声でいうので、怒った一番大きなサメが、仲間を食べてしまったので、サメはどんどん減っていきます。
 残ったのは大ザメだけ。

 こわいサメと少年の組み合わせ。
 少年の知恵がまさっていました。

 最後は大ザメにまるごと飲み込まれるよう独り言をいい、大ザメが少年を飲み込むと、少年は両端のとがった棒をサメの口に突き立てたので、サメは口を閉じることができなくなります。
 そして、大ザメのはらのなかで、サメの肉を切り取り、料理までしてしまいます。

 少年が大ザメのはらのなかからでてきてみると、せまいサメのはらの中で頭をさんざんこすられたので、かみの毛が全部ぬけてしまい、にどと髪ははえてこなかったというオチです。

 だまされるサメがいないと話ははじまりません。このサメ、釣り糸を食いきったり、せっかくつれた魚をよこどりしたり、海にもぐった人を食い殺す存在でした。