どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

お酒にまつわる話

2017年02月28日 | 昔話(外国)

 酒にまつわる昔話はあまり多くはなさそうだが、酒の特徴をよくあらわしている話。



お酒の発見(世界の民話10 ベトナム・タイ・インドネシア/小澤俊夫・編/ぎょうせい/1999年新装版
 タイの話。

 一人の狩人が木のくぼみに甘い飲み物を発見。
 木のくぼみにたまった水の中に、鳥が麦の粒やくるみ、こしょうを落とし、発酵したものでした。
 この水を飲むと鳥はフラフラ、狩人も胸も心もいきいき。
 大声で踊りの歌をうたい、何度も飲み続けているうち、眠り込んでしまいます。
 狩人は途中であった隠者ワルナと、飲むと楽しくなり勇気が出てくる水を売ることを思いつきます。
 二人は大儲けしますが、人々は金が少し手に入ると酒を飲みつづけ、だんだん貧しくなります。

 酔うためにお金を捧げることをおそれる人はだれもいない、酒が健康を損ない理性を破壊することを知っているのだけれど、今日まで酒から逃げられないひとがいる。


ワインはグルジアから(五分間で語れるお話/マーガレット・リード・マクドナルド 佐藤涼子・訳/星雲社/2009年初版)

 お酒のみの生態がうまく表現されている話。

 ワインがまだ知られていない頃の話。
 ブドウのジュースを飲んでいると、その味の素晴らしさに、動物たちがあつまってきて喧々がくがく。

 ナイチンゲールがいうことには
   三杯飲んだら、だれでも僕のように甘い声で歌うだろう
 ライオンがいうことには
   五杯飲んだら、おれさまのように強く勇敢になるだろう
 セミがいうことには
   七杯飲んだら、わたしのようにうるさく鳴きつづけるだろう
 イヌがいうことには
   九杯飲んだら、だれでもぼくのようにほえ声をあげるだろう
 ガチョウがいうことには
   十一杯飲んだら、だれでもおろか者になるだろう
 ブタがいうことには
   十二杯飲んだら、だれでも泥の中で転げまわるだろう

 杯を重ねるごとの生態がうまく表現されていて、苦笑いです。


 酒気帯び運転で事故を起こす例があとをたちません。ときには警察官まで。
 わかってはいても理性で抑えきれない魅力があり、ほどほどというのができないのもお酒です。

 イスラム教でお酒を禁止しているのも、酒の摩訶不思議な力にきづいたのかもしれません。

 ワインの醸造の歴史は古く、この11月グルジアで発見された壺から8000年前!に醸造の痕跡が発見されたといいます。(2017.11)

 最近相撲の栃ノ心が大関になりましたが、故郷がジョージアとあって、どこかと思っていたらグルジアのことでした。「ワインはグルジアから」も、いずれは「ワインはジョージアから」と改題する必要があるかも!(2018.6)


にわのキアゲハ・・月間かがくのとも

2017年02月27日 | 絵本(自然)


        にわのアゲハ/岩淵真理・作/福音館書店/2016年

 梅が咲き、ネコヤナギが芽吹いて少しづつ春の足あとがきこえてきました。

 庭のサンショウの木には毎年ナミアゲハ?が卵をうみ、目を楽しませてくれます。

 この絵本は、キアゲハの誕生まで、さまざなドラマが存在するのをおしえてくれます。

 キアゲハが産んだ38個の卵。
 卵をねらうのは、アリ。
 卵の中には、ハチが卵を産み付けます。
 幼虫をねらうのは、アリ、クモ、カマキリ。
 
 キアゲハの幼虫のつのからは、ハチを追い払う臭いがでます。

 脱皮を繰り返し、ようやく蝶に羽化できるのは、一頭(この数え方もほかの絵本で)だけです。

 露地でブロッコリーを育てているとモンシロチョウの幼虫がいっぱいでびっくり。無数にいるアリを考えると生命力がいかに旺盛なことか!


うたう骨・・グリム、歌う骸骨・・新潟

2017年02月26日 | 昔話(日本・外国)

 グリム「うたう骨」は兄弟、「歌う骸骨」は、血のつながりがない二人。
 類似の話でも、兄が弟を殺すというのと、血のつながりがない二人が一方を殺すとでは、大分印象がちがってきます。
 日本の昔話では兄が弟をころすというのはあまり読んだことがありません。
 このあたりに外国のものとの違いもありそうなのですが・・・・。


うたう骨(語るためのグリム童話2/小澤俊夫・監訳/小峰書店/2007年初版)


 むかし、ある大きな森に、大きくて力の強いイノシシがでて、畑を荒らしたり、家畜を殺したり、ときには子どもがおそわれたりと、みんなの悩みになっていました。
 王さまは、イノシシを倒した者をお姫さまと結婚させるとおふれを出します。
 それを聞いた、まずしい二人の兄弟。

 むじゃきで優しい心の弟は東から、高慢でずるがしこい兄は西から森へ入って行きます。
 弟が森を進んで行くと、黒い槍を持ったこびとがあらわれます。
 こびとから黒い槍を手に入れた弟は、この槍でイノシシを倒します。

 一方、西から森に入った兄は、一軒の店で、酒を飲んでいました。

 兄は、弟がイノシシをかついでいるのをみるとねたましくなって、なんとか弟をへこましてやろうと声をかけます。
 やがて一緒に城に帰る途中の橋の上で、兄は、弟を川につきおとし、弟を橋の下に埋めてしまいます。。

 兄は、お姫さまと結婚。

 それから何年かたって一人の羊飼いが橋をわたっているとき、下の河原に白い骨を落ちているのに気づき、その骨で笛の口あてをつくります。
 その笛をふこうとすると骨がひとりでうたいはじめます。  
    兄がわたしをなぐり殺し
    橋の下にうめました
    王女さまをもらうために
    イノシシをうばいたくて

 不思議に思った羊飼いは、その骨の笛を王さまのところへ持っていきました。
 すると骨はさっきの歌を歌い、王さまは本当の事を知ったのです。
 弟を殺した兄は、袋に入れられ川に投げ込まれておぼれ死します。
 そして、殺された弟の骨は、墓地の美しい墓石の下にほうむられます。


歌う骸骨
 同じような話があるが、新潟県版。

 ある村の2人の男が、一稼ぎするために江戸へ。1人は働き者で、もう1人は怠け者。
 1年後、二人が村に帰る途中、怠け男は小夜の中山へ差し掛かった頃、悪心を起こし、働き者男を谷底へ落として殺し、金を自分のものとした。
 翌年、怠け男は金儲けのために再び江戸へ向かいます。途中の小夜の中山で美しい歌声がします。不思議に思っていると、あの働き者男の死体の頭蓋骨が歌を歌っていた。男は稼ぎ道具になると考え、骸骨を持ち江戸にいきます。
 そして、江戸で骸骨に金を歌わせて見世物にし、大いに金をもうけます。

 噂を聞きつけて役人が訪れ、歌を歌うという骸骨を信じず、男を調べようとした。男は本当に骸骨が歌うのだと言い張って歌わせようとするが、なぜか骸骨は歌わない。男が何とか歌うよう苦心していると、やがて歌い出した。「この男に心を許すな、小夜の中山を忘れたか」と。
 これは何かあると感じた役人が男をよく調べた末、彼が連れの男を殺して金を奪ったことが明らかになります。


ピーマン にんじん たまねぎ トマト

2017年02月22日 | 絵本(日本)


   ピーマン にんじん たまねぎ トマト/文・平田昌弘 絵・平田 景/文化出版/2005年初版

 ご夫婦で絵本をつくられるというのも素敵です。

 トマトが嫌いなゆうちゃん。

 ゆうちゃんが、おとうさんの作った料理なら、やさいだっていっぱい食べられるよと、お父さんが料理つくるなんてぜったいないとよんで、いったら、おとうさんはにやり。

 さっそく買い物。
 八百屋さんのトマトの前では、手をおおきくひろげ、ダメダメポーズのゆうちゃん。

 トマトは買わずに料理をはじめたお父さんでしたが・・・。

 ピーマン、にんじん、たまねぎ、きのこ すととととと 手際のよいお父さん。

 野菜と鶏肉をいため、入れたののは、ひみつのスープ。

 なんとトマトジュースでした。

 でもでもおいいしい料理でしたよ!

 おとうさんがへんてこな歌をうたいながら料理する場面、とても楽しそうです。おとうさんのエプロン姿も板についているのですが、このあとも料理したのでしょうか。

 うちの子、ピーマンが大嫌いで、大人になってもまだかわりません。 

 好きになるかもよって言われたら、もしかすると自分も料理したかも。


いっぽんの鉛筆のむこうに

2017年02月21日 | 絵本(日本)


      いっぽんの鉛筆のむこうに/谷川俊太郎・文 坂井信彦ほか写真 堀内誠一・絵/福音館書店/1985年



 1985年に発行されていますから今とは少し事情が変わっていると思いますが、一本の鉛筆から、世界とのかかわりがみえてくる絵本です。

 鉛筆の材料の黒鉛はスリランカから、柄に使われるインセンス・シダー(ヒノキの一種)はアメリカから。インセンス・シダーは加工され、メキシコの船で日本に。

 日本の港で陸揚げされた材料は日本の工場で製品になり、文房具店へ。

 芯に使われる黒鉛を掘るスリランカのお父さん、柄に使われる木を切るアメリカのお父さん、材料を日本に運ぶ船乗りのお父さん、港で陸揚げするストラドル・キャリアを運転するお父さん、鉛筆工場で働く日本のお母さん。鉛筆を売る文房具屋のおばさん。

 写真が主ですが、各国の人びとの労働だけでなく家族とのかかわりもうかがい知ることができます。

 さまざまな過程をへて作られている鉛筆も、調べてみると生産量は減ってきているようです。
 単純計算ですが、1985年児童一人当たりの生産は66本、30年後の生産は29本。

 鉛筆は1560年にイギリスで良質の黒鉛が発見されたのが、最初とされていて、日本には徳川家康の遺品のなかに6cmのものがあるといいます。

 黒鉛は中国、ブラジルから、柄はメキシコ産の赤樫も使用されています。


綿くり娘・・埼玉・東松山

2017年02月18日 | 昔話(関東)

     新版日本の民話57 埼玉の民話/根津富夫・編/未来社/1979年初版 2016年新版


 青連寺と高坂の高済寺を舞台にした伝説。

 青連寺にお化けが出るといううわさが広がり、二人の若い衆が本当か確かめにでかけます。
 青連寺のある折之山は、数百年がたっているという松が百数十本も並んでいて、夜には真っ暗闇。

 若い衆が、こわいもんみたさに近づいていくと、ブンブンと綿をくくる音がしてきます。
 そこにには、行灯をとぼして、手ぬぐいをあねさんかぶりにした十七,八の娘がぼたんの花模様の赤だすきで綿くり機をくくっています。
 娘が顔をあげてにっこりと笑うと、すうーと消えてしまいます。

 化け物を退治してやると出かけたのは、弓の名人の岩次郎という男。

 綿くり機をくくっている娘に、弓をはなつと胸板を打ちぬきますが、娘はニコッとわらって消えてしまいます。
 二度目も同じことが。

 三度目に矢を射るとき、日ごろから進行している八幡さまに心を込めてお祈りすると、<迷わず、あんどんを射よ>と聞こえたようなきがして、そのとおり、行灯を射抜くと、「ギャー」という声がしたとたん、娘も綿くり機も消えてしまいます。

 次の日、村のひとたちは、高坂の高済寺の裏山にでっかい古狐を見つけます。 古狐は胸から背中まで月十た矢をつけたまま死んでいました。

 寺があると墓地。
 夜の墓地はお化けがでるのには格好な場所ですから、寺の数ほど同じような伝説があってもおかしくありません。
 青連寺は第二回目の元寇の年、1281年の創建といいますから由緒あるお寺です。


じょうずなわにのかぞえかた

2017年02月15日 | 絵本(昔話・外国)

    じょうずなわにのかぞえかた/再話:マーガレット・メイオ 絵:エミリー・ボーラム  訳・竹下 文子/偕成社/1997年

 昔話を再話したものが8編、ユーモアあふれ安心して読めるものばかりです。

・かしこい うさぎばあちゃんの話
 インド、アフリカの昔話からとあります。

 いばりちらし、わがままなライオンから、うおーとほえたらごちそうをもってこいといわれた動物たち。

 相談して、一番小さいうさぎがライオンのごちそうになることに。

 ここでうさぎばあちゃんの出番です。
 かわいいまごをライオンのところににはやれないと、一計を案じます。

 ゆっくりライオンのところにいったうさぎばあちゃん、途中でおそろしい別のライオンにあったためといい、ライオンをつれていった先は、井戸でした。

 井戸に映った自分の姿をみて、別のライオンがいると勘違いしたライオンは、相手めがけて井戸の中に飛び込みますが・・・。

 いかにもおばあちゃんの知恵がいきている話です。
 小さい子でも安心して聞けそうです。


鞍の話・・アルバニア

2017年02月15日 | 昔話(ヨーロッパ)

    鞍の話/世界の民話16 アルバニア・クロアチア/小澤俊夫・編 飯豊道男生・訳/ぎょうせい/1999年新装版

 動くことがきらいな娘と結婚した男。

 牛や羊の世話をしてかえってきた男が母親に女房が何をしていたかを聞くと、「なんにも!」という答え。
 その後も、女房は家ではなんにもしようとしません。

 男が女房と一緒に草原に行く途中、犬が言うことをきかないと、男は鉄砲で撃ち殺してしまいます。

 次に一頭の羊が麦の中に入っていくと、男はこの羊も殺してしまいます。次にはやせたロバも豆の畑からでなかったので、男はこのロバも殺してしまいます。

 いうことを聞かないととんでもないことになると、それから女房はこまめに働くことに。


 恐ろしい女房の操縦法です。男が結婚したのには成算があってのことだったのかも。
 物語だけにしたい話です。

 実家に帰ってきた娘が、すっかりかわったのを見た両親の驚きといったら・・・。


パンの皮

2017年02月14日 | 昔話(ヨーロッパ)

    パンの皮/世界の民話16 アルバニア・クロアチア/小澤俊夫・編 飯豊道男生・訳/ぎょうせい/1999年新装版

 悪魔が出てくるクロアチアの昔話。
 悪魔も昔話では道化役ですが、ここでは福の神です。

 貧しい男がわずか一枚のパンの皮をもって、薪をとりにでかけ、一息ついてパンの皮を食べようとすると影も形もありません。
 若い悪魔がやってきて、食べてしまったのです。

 若い悪魔が手柄話にしようと、悪魔の爺さんにこのことを話すと、爺さんは、その貧しい男のところに行って一年間奉公してパンの皮のぶんを返せといいます。
 そこで、若い悪魔は貧しい男のところへでかけ、不毛の土地を鋤きます。するとその年は雨が多く、砂地でこれまでにない獲り入れができます。

 小麦を脱穀し、やることがなくなった悪魔は、伯爵のところにいき、麦を脱穀するので背中にしょえるだけのものをくれるよういいます。
 弱そうできゃしゃな悪魔をみて、たいしたものはしょえないだろうと承知した伯爵。

 ところが悪魔は、村中の寝床の敷布を全部あつめ、縫い合わせるように貧しい男にいいます。
 村中の敷布ですから、その年伯爵のところで獲れた麦が全部入ってしまいます。
 大きな荷物を背中に背負いないだろうと思うと、そこは昔話で、軽々と歩き出します。

 びっくりした伯爵は、荒牛、荒馬、荒豚を次々に突っ込ませますが、悪魔はこれもかるがると肩に放り上げます。


 貧しい男にとっては、福の神、伯爵にとってはまさしく悪魔でした。

 なぜ悪魔の爺さんが、一年間奉公してパンの皮の分を返せといったかの理由はありません。
 迷惑をかけたのを反省するようにさせたのか、それとも貧しい男に同情したのかも不明です。
 これが昔話でしょうか。


クモと糸・・月間絵本たくさんのふしぎ

2017年02月12日 | 絵本(自然)


       クモと糸/池田博明・文 荒川暢・絵/福音館書店/2015年


 どこにでも見られるクモですが知らないことばかり。

 クモというとすぐ巣をイメージしますが、むかしむかしクモは地面の下にすんでいて、地面の穴から近くにやってきた虫をつかまえていたといいます。
 それからながい時間をかけ、クモの糸は狩りの道具へ。

 日本には1600種類ものクモがいて、半分近くは網をはらず、歩き回って狩りの場所をみつけ、虫を捕まえるというのもびっくり。

 アリは大きな牙と酸で、クモからさけられているのですが、そのアリを専門に狩るのがミジングクモのなかま。

 アリとクモの関係について考えたこともありませんでした。

 クモの糸のはりかたもさまざま。

 最近は人工のクモの糸を作り出しているようですが・・・。

 あまり動かず観察しやすいクモ。もっと注意して見ていくことにします。

 この絵本に出てくるクモ。
        ワスレナグモ、キシノウエトタテグモ、ジグモ、ミスジハエトリ
        ハナグモ、アズマキシダグモ、ヒラタグモ、ナガコガネグモ
        ジョロウグモ、クロガケジグモ、アシナガグモ、クサグモ、ミズグモ
        ネコハグモ、ボカシミジングモ、オナガグモ、ズグロオニグモ、ムツトゲイセキグモ

 知っているのはジョロウグモだけ(笑)。それも名前だけ!


青い胸のコマドリ

2017年02月11日 | 昔話(北欧)

      青い胸のコマドリ/魔術師のたいこ/レーナ・ラウラヤイネン・著 荒巻和子・訳/春風社/2006年初版


 ノルウエイ、フィンランド、スエーデンにまたがる地域にすむという先住民サーメ人のあいだで語り伝えられてきたといいます。

 闇の精カーモスが支配するところに、青い胸のコマドリが迷い込んで、卵を六個うみます。
 コマドリは卵を寒さから守ろうと自分の羽をむしり取って、卵をつつみ、光の精ツオブガに卵が凍ってしまわないように頼みます。
 光の精は、カーモスに卵をおおっているマントをわきによせてくれるよう頼みますが、カーモスは聞き入れません。
 そこで光の精はマントをめがけて熱い息を吹き付けます。するとカーモスのマントは青い煙を上げてくすぶり、みるみるうちに燃え始め、東の空が金色や赤にそまってかがやきます。これが朝焼けのはじまりです。

 カーモスが逃げ出したあとラップランドは山も平地も花でおおわれ、コマドリたちの歌声が響きます。

 しかし秋がやってくるとカーモスが再びやってきて、光の精とのたたかいがはじまります。カーモスが追い払われるとラップランドには白夜の夏がきて、小鳥たちがかえってきます。

 光の精とカーモスの戦いは毎年繰り返されます。

 朝焼けだけでなく、夕焼け、白夜のようすが幻想的な物語です。


曼荼羅の河童・・埼玉 所沢

2017年02月09日 | 昔話(関東)

     新版日本の民話57 埼玉の民話/根津富夫・編/未来社/1979年初版 2016年新版


 河童にも縄張りがあるようで、川越在には、井草の袈裟棒、入間川には笹井の竹蔵、そして所沢の持明院の曼荼羅淵の河童が並び称されていたといいます。
 ところが曼荼羅の河童は夏のお中元に人間の腸を井草と笹井の河童に進物としてもっていくならわし。

 曼荼羅の河童が馬の腹にくっついているのを発見され、怒った馬方にぶんなぐられていると、持明院の和尚さんがわけを聞いて、二度と土地の人に悪さをしないという証文を書かせたというのですが・・・。

 本当かどうか確認したいところですが、明治19年に寺が火事になって証文が燃えてしまったという。

 所沢市立図書館のHPにも河童のわび証文として紹介されています。
 ここでは腸ではなく、肝です。そして笹井は狭山市水富、井草は比企郡川島町と地名が特定されています。

 古いお寺には伝説が多いようで、もっと調べてみると面白いかもしれません。

 腸をもらえなくなった井草、笹井の河童は、不足分を補うため人間に悪さをしたのでしょうか。


びっくりさんちのみつごちゃん

2017年02月09日 | 絵本(日本)


   びっくりさんちのみつごちゃん/角野栄子・文 西巻かな・絵/童心社/2003年初版


 とにかく楽しい。

 ビックリママとビックリパパが映画が見に出かけ、みつごの三歳の「アーちゃん」「レーちゃん」「マーちゃん」はお留守番。
 とんとんとんとおきゃくさん。ドアのガラスごしに影が映っているのですが、やってきたのはポシェットをさげた猫さん。
 また、とんとんとんとおきゃくさん。今度はリュックをしょったサボテン。
 次は、おばけ、星。

 みんなみんなみつご。

 みつごはこれだけではありません。とりもチュリップも、にわとりもコーヒーカップもろうそくもみっつです。
 そして女の人がかかえている壺もみっつ。

 三人あわせるとア、レ、マーと本当にあれまーです。

 アレマーちゃんたち、帽子をかぶって、サボテンがでてきますから、どこか南の国でしょうか。

 返事や泣くとき、笑うとき、くしゃみするとき、しゃっくりもぜんーぶみっつ。

 花やくつもびっくりしています。


馬と猫と犬と鶏

2017年02月08日 | 昔話(日本)

 グリム「ブレーメンの音楽隊」を脚色したとおもわれる昔話。

 

・馬と猫と犬と鶏(鈴木サツ全昔話集/小澤俊夫他・編/福音館書店/1999年新装初版)

 食えなくなった馬、猫、犬、鶏がいったところは、泥棒の家。

 馬、猫、犬、鶏が一斉になだれこむと、泥棒たちはびっくりして逃げてしまいます。
 腹いっぱい食べた馬たちは、宝物をもちかえり、それぞれの家にわけます。



・馬とイヌとネコとニワトリの旅(新潟のむかし話/新潟県小学校図書館協議会編/日本標準/1976年)

 ある家で飼われていた馬とイヌとネコとニワトリが、その家がどうしたことか だんだん貧乏になったので、恩返しのためになんとかお金を見つけてみようと旅に出ます。

 ある山の峠のえんま堂にガヤガヤと人の声がするので、そっと覗いてみると、中では山賊が金を前にして遊んでいました。この金をもらおうと、馬の上にイヌが、イヌの上にねこが、そのうえにニワトリがのって、おばけのばけものになり、その影をうつして、ひと声ずつないて、山賊どもを驚かすことに。

 目論見通り金を手にいれると、家に持ち帰り、もとのようにみんなが仲良く暮らすことに。


ビモのおにたいじ

2017年02月07日 | 絵本(外国)

    ビモのおにたいじ/ヌロールステッヒサーリン・スラムット・再話 ノニ・スグルノー・絵 まつもと りょう・訳/ほるぷ出版/1985年初版

 副題に「ジャワの影絵しばい」とあって、特徴ある影絵の世界が広がっています。

 物語は五人の王子のうち、二番目のビモが鬼退治します。

 従妹同士の争いから国をでた五人の王子。途中五人をうけいれてくれた家でなにやら深刻な話し合いがされていました。
 家族の一人が鬼の人身御供にならなければならなかったのです。
 そこでビモが鬼退治にでかけます。

 この物語は200以上もあるという物語の一部。五人の王子と従妹が百人でてきますから確かにごく一部のようです。

 夜の8時30分ごろからはじまって、朝の5時すぎに終わるというのですが、休憩はなし、途中での出入りも自由、影の方からも影でない方からも見物できたといいます。

 解説によると、ジャワの影絵芝居は10世紀には成立したといいます。

 古くはヤシ油ランプので投影されたという影絵。南国の夜に星空の下で見る影絵はどのようなものだったでしょうか。