どんぴんからりん

昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・。それにしてもまるで森に迷い込んだ感じです。(2012.9から)

せかいいち うつくしい ぼくの村

2018年05月31日 | 私家版
 (あくまで個人的な私家版です)

 日本から西へ6200キロ離れたところにアフガニスタンという国があります。めったに雨が降らないので、乾いた土と砂ばかりの国のように思われています。でも、万年雪をかぶった高い山がつらなり、森や見わたすかぎりの大草原もあって、春になれば花が咲き乱れ、夏になれば、果物がたわわに実るうつくしい自然がいっぱいの国です。

 小さな男の子、ヤモの住むパグマンの村でも、毎年、風にゆれる 木の実の音を聞きながら、村の人たちは家族そろって、あんずや、すももや、さくらんぼをもぎとります。
ヤモも、兄さんのハルーンと競争でかごいっぱいのすももやさくらんぼをとります。
とりいれは 1年じゅうで いちばん 楽しいときです。この時期、村じゅうがあまいかおりにつつまれます。

 でも、ことしの夏、兄さんは いません。兵隊になって、戦いに行ったのです。
 アフガニスタンでは、もう何年も、民族どうしの戦争がつづいています。戦争は国じゅうに広がり、若者は次つぎと戦いにでかけていきました。

 あまいすももと 真っ赤な さくらんぼが、ロバのポンパーの背中で 重そうにゆれています。
 きょう、ヤモは はじめて ポンパーと、町へ果物を売りにいくことになりました。兄さんの代わりに、父さんの 手伝いをするのです。
 「母さん、いってきます」 ヤモは、父さんと朝早くでかけます。「おーい、ヤモ。おでかけかい」 村の人たちが声をかけます。
 「うん。とうさんと 一緒だよ」「そうかい、そうかい。たくさん売れると いいね」
 「さくらんぼは いかが! ちいさな あまい たいよう、パグマンの さくらんぼ!」
 ヤモは みちみち 父さんに 教わった文句を繰り返します。
 街道は 日がのぼって、急に 暑くなってきました。
 町へ向かうバスやトラックが、ヤモたちを追い越していきます。

 町につきました。羊の市もたって、にぎやかな こえが あっちからもこっちからもきこえてきます。戦争なんかどこにもないみたです。
 入り豆売りのおじさんが、大声をはりあげています。焼き肉やパンの焼ける匂い、絨毯や本の匂い。
 町の賑わいに、ヤモは むねが ドキドキします。
 人の いきかう 大きな広場で、いよいよ店開きです。
 「とうさんは この広場で すももを 売るから、ヤモは、まちの なかを まわって さくらんぼを売ってごらん」
 「ぼく ひとりで?」
 「ポンパーが ついているさ。ポンパーは まちじゅう しらない ところは ないんだから」
 しかたなく ヤモは、ロバのポンパーにひっぱられるようにして あるきだしました。
 ポンパーに つれられて、ヤモは まず 屋根付きバザールにいきました。色とりどりの小さな店が所狭しとならんでいます。
 買い物をする人。お茶を飲む人。
 「こんな ところで うれるかな?」 ヤモは心配になりました。
 勇気を出してよんでみました。
 「えー、さくらんぼ」 誰も ふりむいてくれません。
 もっと 大きな声で いわなくっちゃ。「さくらんぼー、パグマンの さくらんぼ!」
 果物屋の前を とおるときは 小さな声で、「・・・・さくらんぼ」
 りんりん、シャンシャン。「じゃまだ じゃまだ! あぶないぞ!」馬車タクシーが、鈴を鳴らして通り過ぎます。
 町は いそがしくて 目がまわります。さくらんぼは ちっとも 売れません。
 ヤモは がっかりして、道ばたに 座り込みました。すると、小さな女の子がやってきて「パグマンの さくらんぼ ちょうだい」と、いいました。
 ヤモはうれしくなって、うんとおまけをしてやりました。
 それから ヤモの さくらんぼは、とぶように 売れはじめました。
 「ぼうや、わたしにも おくれ。むかし、パグマンの近くで 果物をつくっていたんだ。なつかしいな」と、片足のない男の人がいいました。
 「おじさんは 戦争に いってたの?」
 「ああ、そうだよ。おかげで 片足をなくしてしまってね」
 ヤモはドキッとしました。ハルーン兄さんの顔が 思いうかびました。
 おじさんは すぐに さくらんぼを 口にいれました。
 「うーむ、あまくて、ちょっと すっぱくて、やっぱり おいしいなあ! パグマンの さくらんぼは 世界一だ」

 ヤモは、まだ半分以上も売れ残ったすももの前にいる父さんのところへいきました。
 「父さん! みんな 売れちゃった!」
 「そうか! それじゃ 一休みして、ご飯を食べにいこうか」
 父さんは となりのおじさんに 店番を たのみました。
 美味しい においのする食堂で、ヤモは 父さんと 遅い昼ご飯を 食べながらバザールであったことを話しました。
 「戦争で片足をなくしたおじさんも 買ってくれたんだよ。パグマンのさくらんぼは、せかいいちだって。父さんと 食べようと思って とっといたんだ。」
 ヤモは、ひとにぎりの さくらんぼを とりだしました。
 「よく 売れたようですな?」
 となりに すわった おじさんが 声を かけてきました。
 「いやあ、このヤモの おかげですよ。なにしろ うえの息子が 戦争にいってましてね」
 「それは 心配ですな。南の方の戦いは、かなり ひどいというし」
 「来年の春には 帰ると いってたんですがね」
 ヤモは 甘いお茶を 飲みながら、父さんたちの話を聞いていました。ハルーン兄さんなら 大丈夫、きっと 春には 元気にかえってくると、ヤモは信じています。でも、なんだかむねがいっぱいになってきました。
 「ヤモ、あとで びっくりすることが あるよ」
 そんなヤモに、父さんが そっと いいました。
 「え!? なになに。おしえて?」
 「さあ、その前に もう一仕事。残りのすももを 売ってしまわなくちゃ。」
 ヤモは 最後に残ったさくらんぼを 大切に食べると、おじさんに さよならを いって食堂をでました。

 「すもも!すもも! パグマンのすももだよ」
 広場のモスクから お祈りの声が ながれてきます。町は、静かで 落ち着いた色に つつまれました。
 ヤモは すももを売りながら、ずっと父さんの 言ったことを考えていました。
 「びっくりすることって いったい なんだろう?」

 ようやく、すももも 全部売れました。
 「さて、それじゃあ びっくりするところに いくと するか」
 父さんはまっすぐ 広場を横ぎっていきます。
 ヤモは とても じっとしてなんていられません。
 父さんの 肩の上で、大きな声で歌います。
 「♪なんだ、なんだ? びっくりすることって なーんだ?」
 そこは 羊の市場でした。父さんは、もうけた お金を全部使って、真っ白な子羊を一頭買いました。 ヤモのうちの はじめての 羊。こんな きれいな 羊は、村の だれももっていません。
 「さあ ポンパー、家へ かえろう。羊をみたら、きっと みんな おどろくよ」
 ヤモは大喜びで村へもどってきました。なつかしい においが します。たった一日 いなかっただけなのに、とても 長い たびから かえったような きがします。

「パグマンはいいな。せかいいちうつくしいぼくの村」
 ヤモは、そっとつぶやきました。

「ハルーン兄さん、はやく かえっておいでよ。うちの家族がふえたんだよ」
 ヤモは 父さんに たのんで、白い子羊に 「バハール」という名前をつけようと思いました。「春」という 意味の名前です。
 でも、春はまだ先です。

 この年の冬、村は戦争で破壊され、今は もうありません。

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おばけのババヤガー・・ロシア

2018年05月31日 | 絵本(昔話・外国)

               おばけのババヤガー/カロリコフ・再話 カバリョーフ・絵 宮川やすえ・訳/岩崎書店/1988年

 ババヤガーがでてくればロシア。

 ここでは、主人公のマリョーシカを助けてくれる存在です。

 マリョーシカは、いじわるな姉たちからきずだらけにされた”たかの王子”を探しにでかけますが、これが大変な旅。なにしろ三足の鉄のくつをはきつぶし、三本の鉄の杖をつきへらし、三つの鉄の帽子がやぶれるほどの遠くまでたずねるというもの。

 最初のババヤガーは、魔法の銀のさら、金のたまご。
 二番目のババヤガーは、ひとりでに 刺繍をする銀のわくと金のはり。
 三番目のババヤガーは、ひとりでに 金の糸が出る糸巻き。

 もうひとり?助けてくれるのは、おおかみ。

 おおかみが連れていってくれたのは、ガラスのお城。この城には魔法使いの女王がすんでいて、”たかの王子”は、ここにとらわれていました。

 ババヤガーからもらったものを女王にあげて、ぐっすり眠っている王子にあおうとしますが、どうしても目をさましません。ところが三日目にマリョーシカの涙が、王子の肩に<ぽとり>とおちると・・・・。

 鉄のくつや鉄の杖、鉄の帽子がこわれるまでの旅の困難さがあまりでてこないのがややもの足りません。

 ババヤガーがすんでいる小屋は、ちゃんとおなじみの、にわとりの足にのっています。

 ババヤガーも、話によっては主人公を助けてくれる存在ですが、この絵本の中には、ババヤガーは描かれていません。

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青い帯・・ドイツ

2018年05月30日 | 昔話(外国)
                    世界むかし話 ドイツ/矢川澄子・訳/ほるぷ出版/1989年


 むかし、一人の男が死に際に、自分が亡くなったあと、兄のところで面倒をみてもらうように言い残します。

 男の妻と息子のハンスが、夫の遺言通り兄を訪ねて旅をしている途中、ハンスは道ばたに落ちている一本の青い帯をみつけます。

 妻は息子をにくんでいて、なにかにつけて息子のすることに反対していました。帯をひろうことにも反対しますが、息子は何かの役にたつかもしれないと青い帯をひろい、腕に巻き付け上着で隠します。すると不思議な力がわいてきて、誰もハンスに手出しできず、みんなこそこそにげだすようになります。

 旅をつづける途中、あるほら穴で、主の大男にあいます。大男はハンスの母親に求婚し、母親も大男が立派な男だったので、求婚をうけいれ、ほら穴で暮らすようになります。

 大男はハンスの不思議な力をおそれ、なんとかかたずけようと画策しはじめます。

 母親が仮病を装い、ライオンの乳をとりにいかせます。

 次には三人の大男の庭にあるリンゴを食べないかぎり死んでしまうからと、リンゴをとりにいかせます。

 画策はいずれも失敗し、ハンスは、つもりはないと三人の大男の地下室で、鉄の鎖につながれていたお姫さまを救い出します。

 ハンスがお姫さまの城で休んでいるとき、大男はハンスの両眼をつぶしてしまい、青い帯もとりあげてしまいます。

 それでもお姫さまは、他の男を夫にするつもりはありません。

 一匹の目の見えないウサギが小川に飛び込んで、ちゃんと目が見えるようになったのを見たお姫さまが、ハンスを水にみちびくと、ハンスも、また目が見えるようになります。

 偶然がタイミングよく出てきて安心して聞けるのが昔話です。

 青い帯はだれが落としていったのでしょうか。帯はハンス以外は魔力がきえうせてしまいます。

 ライオンがハンスを助けてくれたり、リンゴを食べると眠気におわれ、寝てしまい危機におちいるなどどうなるだろうとハラハラするところがでてきて、聞き手を飽きさせません。
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鹿姫ものがたり

2018年05月29日 | 絵本(昔話・外国)

               鹿姫ものがたり/三木 卓・文 アグネセ・マティソーネ・絵/2015年


大きな森の小さな小屋に、あたまのまっしろなおじいさんがひとりっきりでくらしていました。

森にはまっしろでとてもきれいな鹿もいました。

森のムクドリやセキレイはとても鹿がすきで、いつも鹿の上を賑やかに舞います。

ところがある日、鹿は猟師に追われ、おじさんの小屋に、にげこみます。

「ならぬ。ならぬぞ」と両手をひろげ、猟師の前にたちはだかったおじいさん。

 「この鹿はおれのもだ。じゃまだてするな」と、猟師。
 「命をかけても 守るぞ!」と おじいさん。

 たたかいはつづき、おじいさんは倒れてしまいます。そして鹿のからだからも血が。

 ところが次の瞬間・・・・。


 出版は、写真文化首都 北海道「写真の町」東川町で、発売は、かまくら春秋社です。

 東川町が出版するラトビアを舞台にした2冊目の絵本といいます。

 文は、日本語、英語、ラトビア語の併記で、日本だけでなく英語圏の人も対象にした町の意気込みをかんじさせるスケールの大きい絵本です。

 東川町は、北海道のほぼ中央に位置し、人口8000人弱(H26.3)、世帯3,500弱 (H26.3)とありました。
「写真の町」宣言したのは30年以上前のこといいますが、写真文化首都とネーミングする町の取り組みに感銘を受けました。この絵本も、もっと多く読まれてほしいと思います。


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にゅうどうぐも

2018年05月29日 | 絵本(自然)

               にゅうどうぐも/野坂勇作・作/福音館書店/1996年


 縦長で、下からページをめくっていきます。

 夏休みのまさるくんがおにいちゃんが、セミ取りのとき、みたのは綿雲(積雲)。
 綿雲はぐんぐんのびて、入道雲の誕生。
 入道雲がのびると、うす雲が横に広がっていきます。

 入道雲がつかずき、風が急に冷たくなると、稲妻が走り、雷鳴がとどろきます。
 バケツを、ひっくり返したように、雨がふりだします。
 でも、雨があがると、空一杯に虹がかかります。

 自然現象をえがくのに写真がつかわれるケースが多いのですが、この絵本では、絵でえがかれ、カミナリや雨、夕焼けが迫力満点です。それからトビが上昇気流にのって、とびまわる姿も印象に残ります。

 雲を見つめる人の姿が影絵で、空一杯に広がる雲のようすが雄大です。

 夏休みに読みたい本でしょうか。

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みんなでトイレ

2018年05月28日 | 絵本(外国)

          みんなでトイレ/アンドレア・コーニックスロウ・作 藤田 千枝・訳/福音館書店/1997年


 最後は「みんなはトイレ じょうじにできるよね」です。

 幼児絵本とありますが、おとなが呼んでも着想のおもしろさにひきこまれてしまいます。

 動物がトイレをつかったら?

 ゾウがどしんと すわったら トイレは ぐしゃん
 ニワトリは」、たまごをうみたくなって といれからでてこない
 ヤギは「うめー うめー」って かみをたべちゃう 
 ビーバーは ハブラシを あつめて ダムづくりにむちゅう
 タコは といれに すぽんと はまりこんで 「ここは わたしの うちですよ」

 キリンは? ライオンは? ヘビは? アザラシは? カンガルーは?

 トイレのや床の色もページごとにかわって、ちがいをみつけるのも楽しい。

 動物とトイレの組み合わせ、子どもが大喜びしそうです。

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とくべえ と おへそ

2018年05月27日 | 絵本(日本)

               とくべえとおへそ/作・桂 文我 絵・田島 征彦/童心社/2004年


 上方落語「月宮殿星の都」よりとあります。

 大うなぎを釣り上げたのはよかったが、うなぎに釣り上げられ雲の上までのぼってしまったとくべえさん。
 そこであったのは、かつて助けたカミナリのごろぞうはん。

 ごちそうにだされたのは、虹のそうめん、どじょうのカバヤキ、あられのみぞれあえ、はるさめのしぐれ、いわしぐものしおやきと天上でしか食べられないレアもの。

 ちょうどこの日は月宮殿というお屋敷のお祭りの日。変装したカミナリの格好でいってみると、王さま、お妃さまが、カミナリが集めたおひそを蓮池に舟をうかべて食べるという。

 とくべえさん、義を見てせざるは勇無きなりとばかり、おへそを盗み出し、蓮の葉っぱの水玉に落として地上の人間に返しはじめます。

 「おへそが かえってきたあーっ」と喜ぶ声。そりゃそうですねん、おへそがないと人間、力がでませんもの。

 困ったのはコック。そこでブタのおへそを代用にすることに。

 王さま、お妃さまがおへそ料理を食べようとすると・・・。

 関西弁でテンポよく、とくべえさんとごろぞうはんの掛け合いが続いていきます。

 カミナリがおへそをあつめるのは、王さま、お妃さまの料理にするためだったとは!

 カミナリ様の世界に蓮池があるので、もしかすると、ここは極楽を模したものか?。

 祭りやカミナリがブタからおへそを集める場面など、田島さんのなんともいえない絵が楽しい。

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とっときのとっかえっこ

2018年05月26日 | 絵本(外国)

          とっときのとっかえっこ/ぶん・サリー・ウィットマン え・カレン・ガンダーシーマー やく・谷川 俊太郎/童話館出版/1995年


 バーソロミューは、毎日赤ちゃんのネリーをカートに乗せて散歩に連れていきました。でも、バーソロミューは、隣に住むおじいさん。

 バーソロミューはネリーの気持ちを大事にし、いざというときしか手をかしませんでした。

 バーソロミューが歳をとり杖を使うようになっても、二人はゆっくりあるき、階段は手すりをつかんでのぼります。
 ネリーはバーソロミューに手をかしてあげたいときもありましたが、いざというときしか手をかしませんでした。
 
 ネリーが小学生になった頃、バーソロミューは階段でころび、救急車で入院。ながいあいだ、かえってきませんでした。ネリーは毎日手紙を書きます。しばらくして退院してきたバーソロミューは車いすでの生活でした。

 「これで さんぽ おしまいだな」というバーソロミューに「そんなことはないよ わたしがつれていってあげるもん」というネリー。
 そう、今度はネリーが車いすをおして、散歩です。

 「でこぼこにきをつけて」「かわいい いぬにあうと あたまをなでてやる」、スクリンプラーがまわっているときは「すすめーーーーーーっ」。
 まるで、ネリーが赤ちゃんのころの風景です。

 「とっときのとっかえっこ」というのは、これでした。

 二人を見つめる近所の優しい目。

 散歩、ピクニック、ハローウイン、冬のふたり、どれも楽しそうです。

 人は産まれ、成長し、やがて老いていきます。子どもがあれば、またその繰り返し。

 隣のおじさん、おばあさんが、子どもを見守るというのも、遠い昔の風景になってしまいました。

 バーソロミューとネリーの心温まる関係に、とってもあたたかいものを感じました。

 ネリーが、おはなしをせがみ「おはなしが たねぎれに なることはないの?」とたずねると、「もしなっても だまってればいいんだ。なかよしなら そうしていられる」とバーソロミューが、こたえますが、言葉がなくても通じ合えるものがあります。こんな素敵な関係をもてたらいいですね!

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ひつじがいっぴき

2018年05月25日 | 絵本(日本)

               ひつじがいっぴき/詩・木坂 涼 絵・長谷川 義史/フレーベル館/2007年


 おなじみの動物が31。動物をテーマにした詩集に、にんまりし、長谷川さんの絵で楽しめます。

 長谷川さんの絵は、カラーはちょっと。あとは黒。表紙の羊に癒され、裏表紙には遊び心も。

 言葉あそびあり、動物の生態をうまくあらわしたものあり、動物の先祖がでてきたり、俳句風あり、教訓風、名所案内風がありと盛りだくさん。

 少なくなったトラをさがす、ひのひかりとつきあかりにぎょっとしました。

 長いのですが、一つ一つが独立していていますから、いつでも、どこでも、時間があるときもない時も自由自在です。

 ひとつだけキリンを紹介すると

 ながーいくびにせっちされている
 ながーいしょくどうエレベーター
 くちといぶくろむすんでのびる
 さいこうきゅうのとくちゅうひん
 ひとよんで 
 はんすうじるしのエレベーター
 たべればじどうそうちがさどう
 したへまいりまーす うえへまいりまーす

 おじいちゃんも
 おばあちゃんも
 おとうさんも
 おかあさんも

 きのうのこと
 むかしのこと
 はんすうはんすうまたはんすう
 うえへまいりまーす したへまいりまーす

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木の穴の手紙

2018年05月24日 | 創作(外国)
               魔女のおくりもの かめのシェルオーバーのお話2/ルース・エインズワース・作 河本祥子・訳/岩波少年文庫/1997年初版


 住み慣れたところを離れて、新しい友だちができないジェームズ。

 公園では楽しそうに遊ぶ子どもたちがいますが、どうしても、その輪の中に入っていけません。

 そんなジェームズが、公園の木の幹に小さな穴をみつけます。人工的に作ったようでした。その穴の中には何か書いた紙が。

 「ピーター、うら通り 十二番地 A ぼくには、百万人の友だちがいます」

 うら通りは、ジェームズがまえにすんでいたとなりの通りでした。

 そこにいってみると一人の男の子とあいます。手紙の主のピーターでした。

 ピーターのまわりも、友だちがみんないなくなって、新しいアパートに引っ越しをするところでした。

 ピーターもジェームズのアパートで暮らすことになり、同じ学校にかよいはじめます。

 そして、学校がおわると公園で遊び、週末も一緒にあそぶようになります。

 どんな事情で引っ越しをすることになったのかは、書かれていませんが、再開発がすすみ、どんどん変わっていく街の風景と重なります。
 それまで交流があった近所の人がどんどんいなくなり、遊び友だちもいなくなって、新しい環境になれない二人。

 「ぼくは百万人の友だちがいます。」というピーターの手紙は、友だちがいなくなって、百万人の友だちがほしいという願望の裏返しです。

 子どもたちの心情がつたわってきて、”わかる わかる”とうなずきました。


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カモメ

2018年05月23日 | 昔話(外国)
          カモメ/魔女のおくりもの かめのシェルオーバーのお話2/ルース・エインズワース・作 河本祥子・訳/岩波少年文庫/1997年初版


 家を飛び出して海賊船に乗り込んだアンドリュー少年。甲板を洗ったり船長のベッドをなおしたり、ゴム長ぐつをみがいたり、ときには三目並べであそんだり。

 しゃれこうべと十文字の骨の海賊旗、金の首飾りと黒い長ぐつの堂々たる海賊ですが、どうにもさえない面々。ボロボロの地図をたよりに宝さがしをしていましたが、いつも何か間違いがあって宝物はみつかりません。

 他の船に乗り込んでも、戦利品はくつ一足、船長室のクッションなどだけ。

 ある日、難破船にであって、なにかあるというアンドリュー少年の意見を受け入れて、難破船にのりこみますが、なにもみつかりません。でもアンドリュー少年は宝物よりもっといいネコをみつけます。

 よくねずみをとるネコでしたが、アンドリュー少年は、ネコの首輪にぶらさがっている銀色のメダルに三角形のしるしをみつけます。
 少年がマストにのぼって、あたりをみまわすとメダルにかかれた三角形に似た島をみつけます。なんとか船長を説得して、島に乗り込み地面を掘ってみると、重い鉄の箱がみつかります。
 箱をこじあけてみると金貨がざっくざっく。

 カモメというには、少年がネコにつけた名前。カモメなので鳥の話かと思うと宝物のお話。

 愉快なのは、金貨が見つかったときの海賊たち。
 「おれたち全員、引退できるぞ!」と喜んだのは船長。
 「みんな陸にあがって、自分の家を持てるんだ!」
 「新しいシチューなべ、ひとそろい買って、どっかの海岸でホテルができるぞ。」とコック。

 海賊もすきで海賊になったわけでなく、いつかは足を洗いたいと考えていたんですね。

 アンドリュー少年は、分け前の金貨で皮のかばんをかい、飛行機を借り切り、カモメと家にかえります。海賊がでてくるので、少し古い時代かとおもっていると、飛行機がでてくるあたりは現代です。

 なんともコミカルで楽しい物語です。宝物を探すのも夢があります。

 ケバケバ号という海賊船の大砲は、さびついていて役にたたなかったというのも笑わせます。


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木のまたアンティ・・フィンランド、三本の金の毛のある悪魔・・グリム、ほか

2018年05月22日 | 昔話(外国)
 ヨーロッパでは髪の毛というと金髪でしょうか。

・木のまたアンティ・・フィンランド(子どもに語る北欧の昔話/福井信子・湯沢朱実 編訳/こぐま社/2001年初版)

 同じ話型の話も多いが、人間の幸せとは何かをさぐるために旅するというのに魅かれるフィンランドの話。

 同じ家に泊まることになった、予言者と金持ちの毛皮商人。
 この家に生まれた赤ん坊が、金持ちの毛皮商人の跡取りになると予言者がいっているのを聞いた毛皮商人が、お金をわたして赤ん坊をもらいうけます。
(貧しい暮らしのため、子どもの幸せのため、商人の申し出をうけるというあたりに、当時の暮らしの様子がしのばれます)

 商人は森の木のまたに子どもにおきざりにするが、狩人に助けられた子どもは、アンティという名前をつけられ、すくすく育つ。
 この狩人のところに一夜の宿をもとめてきたのが、毛皮商人。名前の由来を聞いた毛皮商人は、家族に大切な連絡をするため、アンティに手紙を届けてくれるよう狩人に話します。
(昔の旅というのは、泊まるところをさがすのに苦労したようだが、このことが逆に昔話の舞台の設定の上では好都合か)

 アンティがあずかった手紙は、「手紙を届けた者を殺してしまえ」とあったが、いたずら好きな二人組が、眠っているアンティの手紙を読んで、「手紙を届けた者を、娘と結婚させるように」と新しい手紙をアンティの手に持たせる。
 (当時は、主人の命令は絶対的か?)

 旅から帰ってきた毛皮商人は、娘と結婚したアンティをみて、おどろきをかくせないが、「お前がわたしの跡取りとしてふさわしい人間だということを見せておくれ。わたしは、人間にとって幸せとは何か、知りたいのだ」といい、ポホヨラの北の館の女主人、かしこいロウヒのところいかせる。

 旅の途中、アンティは4つのことをお願いされることに。
 一つ目は、果物がならなくなったわけ
 二つ目は、城をあけるカギのありか
 三つ目は、ずっと木の上で暮らさなければならないわけ
 四つ目は、川の渡し守を、いつまでつづけるのか

 アンティは、ロウヒの娘の力をかりて、この答えを知ることに。

 ところで、人間にとって幸せとは何かとの問いかけに、ロウヒはこう答えます。
「人間の一番の幸せは、大地とともに働くこと。木を切りたおし、根を掘りおこし、石を集めて、水路をつくり、地面をたがやすこと」
(アンティがお願いされた同様の課題は、話によっていろいろあるが、四つ目の、千年も続けてきた渡し守の仕事から解放されるあたりは、他の話でもよくでてくる)

 この話が、岩波おはなしの本では「アンチの運命」(かぎのない箱/瀬田貞二 訳/岩波書店/1963年初版)としてのっている。予言者が魔法使いとなっており、商人の娘がアリという名前ででてくる。
 また、こぐま社版では、ロウヒの娘とあるのが、岩波版では「虹むすめ」とされている。
 
 名前のあるほうが、親しみを感じさせてくれそうな気もするが・・・。

        
・三本の金の毛のある悪魔(グリム童話集 上/佐々木田鶴子・訳/岩波少年文庫/2007年初版)

 この話型と同じなのが、グリムの「三本の金の毛のある悪魔」であるが、このなかでは、ロウヒが悪魔、毛皮商人が王さまとしてあらわれる。
 書き換えられた手紙で、王さまの娘と結婚した若者が、王さまから、娘といっしょになりたかったら、地獄の悪魔の頭にはえている金の髪の毛を三本とってこいといわれてでかけていくが、途中で三つのお願いをされる。

 一つ目は、泉からワインが干上がったわけ
 二つ目は、リンゴの実がならないわけ
 三つ目は、川の渡し守を、いつまでつづけるのか
と、三つ目は同じ課題。

 主人公が若者となっていて、名前がとくにつけられていない。
 
 グリムの話よりは、個人的には、フィンランド版がすとんと入ると思うがどうだろうか。
 ただ、四つも課題があるのは整理してもおかしくはなさそう。

・三本の金の髪の毛・・チェコ(松岡享子・訳/のら書店/2013年初版)

 グリムの話に近いが、渡し守が前の2つでは、何百年も同じことをし続けてきたとあるのに、チェコ版では、20年と短い(昔話の20年はあまり長さを感じさせてない)。、
 子どもの未来を予言するのが、「運命」だったり、ロウヒが太陽としてでてくる。

    
・太陽の王の三本の金髪(太陽の木の枝 ジプシーのむかしばなし/内田莉莎子・訳/福音館文庫/2002年初版)

 主人公が太陽の王の金髪を三本を手にいれることに成功するが、ここで面白いのが、太陽の王。
 朝は小さい赤ん坊で、お昼は立派な大人、夕方は、よぼよぼのおじいさんというもの。
 また、王さまが臆病にえがかれているのも楽しい。鉄砲の音が怖いからとつかわず、狩りに出ても、きばやつめがが恐ろしく野獣や猛獣には手をださない。


・悪魔からぬいた黄金の毛(世界むかし話 フランス・スイス/八木田宣子・訳/ほるぷ出版/1988年)

 グリムがドイツならフランスにも同様の話があります。
 出だしはほかのものよりシンプルで、王さまが小さな男の子を川に流すところからはじまります。
 王さまが出した手紙を書き換えるのは、三人の娘です。
 この話では問答はなく、悪魔のおばあさんが若者に黄金の毛をとってくれます。

 渡し守がでてきて、王さまが渡し守と入れかわり、最後はおぼれてしまいます。

   
・ふしぎなこじきたち(ラング世界童話集1 みどりいろの童話集/編訳 川端康成・野上彰/偕成社文庫/1977年初版)

 ラングの再話。
 三人のおとしよりが話す子どもの運命を聞いた、お金持ちの商人。
 子どもが大きくなって、この商人の娘と結婚し、へびの王さまのところに、12年間の地代をもらい、12艙の船の行方を聞くために、でかけることに。途中に、宿題をあたえられることも同じ展開。
 一つ目は、かしの木
 二つ目は、川の渡し船をいつまでやっていなくてはならないのか(ここでは30年とみじかい)
 三つ目は、クジラの背中を、人間や馬が歩いているが、いつまでつづけるのか

 ラングの再話はわかりやすくなっているが、長すぎるのが難点か。ただクジラがでてくるというのも珍しい。
 
    
 





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「地主の頭は何斤か?」・・中国、「ふたりの兄弟の話」・・フランス

2018年05月21日 | 昔話(外国)
 「先に怒ったほうが負け」という話で、兄弟が出てきて、やりこめられた兄を弟がカバーする話。

・「地主の頭は何斤か?(子どもに語る中国の昔話/こぐま社/2009年)

 一年間働けば他より賃金を多く払うという地主のところに兄が出かけていきますが、地主からだされた3つの問題ができず、一文ももらえずにかえってきます。

 次に弟がでかけ地主をやりこめ、兄の分の賃金も持ち帰ります。

・ふたりの兄弟の話(世界むかし話 フランス・スイス/八木田宣子・訳/ほるぷ出版/1988年)

 兄が年三百フランという、そのころにしてはいい金額で農場に働きにいきますが、主人がいう条件は、さきにはらをたてた者は、背中のひふをひときれ、はぎとられる というもの。

 兄は野原でハリエニシダを刈りにいきますが、仕事を一休みしようとすると犬が噛みつきます。怒った兄がこんなところで働けないとはらをたてると、主人は、兄の背中からひふをひと切れはぎとってしまいます。

 次に弟が出かけて行って、あの手、この手。

 犬も一緒にでかけていきますが、犬の頭を切りおとしてしまいます。

 怒ることができない主人が馬、めす馬を野原に連れていって、草を食べさせ、つゆを地面におとしてもいけないと言われた弟は、斧で頭を切りおとしてしまいます。
 それでも怒るわけにいかない主人から、ブタを市につれていくようにいわれた弟が、今度はブタを商人に売り、打ったブタのしっぽを全部どろにさします。
 あとからやってきた主人が、怒りで顔を赤くすると・・・・。

 「先に怒ったほうが負け」というタイプには、やはりブタがでてくる話もあります。

 フランス版は頭を切りおとすなどインパクトが強すぎますが、中国版では、地主から地主の頭の重さはどのくらいときかれて、弟は、頭を切りおとしてみましょうと切り返します。
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ぶっかけろ、ジャネット・・フランス

2018年05月20日 | 昔話(外国)
               世界むかし話 フランス・スイス/八木田宣子・訳/ほるぷ出版/1988年


 ”ぶっかけろ、ジャネット”と叫んだのは、年とった木こり。ジャネットはおかみさん。

 スープなべの中身をかけられたのは、オオカミでした。

 冬、この土地に住んでいるのは、木こり夫婦だけ。ほかの人たちは冬になると山をおりていました。

 しばらくして、木こりが森の中で、時間をわすれて薪の束をつくっていると、遭遇したのは、いつかスープをかけられてやけどをしたオオカミ。

 においで、あのときの木こりとわかったオオカミは、モミの木に登った木こりに、いつかの仕返しをしようとします。

 オオカミたちが相談してとったのは、木の根元にはやけどをしたオオカミ、その上に仲間がのり、またその上に仲間がのって、木のてっぺんの木こりにせまります。

 あわや木こりがつかまろうとしたとき、木こりが”ぶっかけろ、ジャネット”とさけぶと、このことばをおぼえていたオオカミが、煮え立ったスープなべのことを思い出し、飛び上がってしまい、上に乗っていたオオカミはみんな下に落ちてしまいます。

 クリスマスがちかづいて、木こりは小さな樽をそりに乗せて、買い物にでかけます。ところが途中山賊にであって、樽のなかに詰められ、谷底に落とされてしまいます。

 運よく助かった木こりですが、またまたやってきたのがやけどをしたオオカミ。

 樽の穴からオオカミのしっぽをつかんだ木こりが、”ぶっかけろ、ジャネット”と叫ぶと、オオカミは樽を引っ張って必死になって走り出します。ついた先は、木こり夫婦の小屋の前。

 木こりが、樽の中から”ジャネット、ジャネット”とよぶと、声に気がついたおかみさんが、すぐにだしてやります。

 こうした昔話は、年齢をとわず、だれでも楽しめそうです。

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イワーシェチカと白い鳥・・ロシア

2018年05月19日 | 絵本(昔話・外国)

               イワーシェチカと白い鳥/再話:I. カルナウーホワ・再話 松谷 さやか・訳 M・ミトゥーリチ・絵/福音館書店/2013年


 ロシアといえばバ-バ・ヤガー。むすめのアリョンカもでてきます。

 イワーシェチカを魚ごと、ふくろにいれてもちかえったバーバ・ヤガーでしたが・・・。

 魚釣りをしているイワーシェチカに、お母さんの声で、岸にもどるようにさけんだバーバ・ヤガーでしたが、お母さんの声とちがうと見破られたヤガーが、かけこんだのはかじ屋。どうやったのでしょうか、やさしい声がでるようになります。

 夜になってまた声をかけたヤガー。お母さんが呼んだと思ったイワーシェチカが、舟を岸につけると、ヤガーにつかまってしまいます。

 ヤガーのむすめアリョンカがペチカで、火を勢いよくたいて、ピザ風にこんがり焼こうとしますが、イワーシェチカが手と足をひろげてどうしてもペチカにはいりません。
 アリョンカはすぐはらをたて、「母さんが、じぶんでやけばいいのよ!」と長椅子でねてしまいます。

 ヤガーの家からぬけだしたイワーシェチカは、大きなカシの木にのぼります。

 ヤガーがイワーシェチカをみつけると、カシの木をがり がりすると二本の歯がおれてしまいます。

 またかじ屋をおどかして、鉄の歯を二本入れて、また木をかじりはじめます。

 イワーシェチカは白い大きな鳥に、つばさにのせてくれるようたのもますが、あちからくる鳥にたのみなと断られ、つぎの白い大きな鳥からも断られます。

 その間にも木はどんどんかじられ・・・。

 バーバ・ヤガーの家は普通の家?です。

 冒頭部には、イワーシェチカが両親に愛されている様子が描かれ、水彩画風の絵とあいまって落ち着いた感じです。

 ロシアには、「バーバ・ヤガーと白い鳥」「マーシャと白い鳥」などもありますが、白い鳥も欠かせないようです。




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