大人と子どものための世界のむかし話9 イランのむかし話/井本永一・編訳/偕成社/1990年初版
母親と娘二人がペテン師で、男を手玉に取る話。
一人の女が、ニワトリを売っていた男に、全部買うともちかけ、ニワトリをだまし取ります。
母親から男の話を聞いて、今度は姉がでかけていき、井戸のなかに水差しを落としたので、井戸の中から見つけてくれたらお礼のお金をあげるともちかけ、男が服を脱いで、井戸の中におりていくと、姉はその服をもちさってしまいます。
妹のほうもしたたかで、まずは高価な服を男にあたえ、男と一緒に金細工屋にでかけ、高価な指輪や金細工を手にすると、家に帰ってお金をもってくるからと、男を残して逃げてしまいます。
男を娘の主人と思った金細工屋が、だまされたことに気がつき、裁判官のところへ男をつきだしますが・・。
男としてはペテンにかかって情けないところもありますが、女性の社会的地位が低く、男優位だった社会背景をふまえないと、この話の面白さは通じないようです。