まっくろ/作・高崎拓馬/絵・黒井健/講談社/2021年
まったく最後が想像できませんでした。これだけ びっくりする最後も珍しい。
先生が「こころに うかんだことを かいてみましょう」と言うと、ひとりだけ画用紙を真っ黒に塗りつぶしている男の子がいました。先生がこまった 顔をして、「ちゃんとした えを かきなさい」と言いますが、男の子はやめません。
みんなが描き終わってもまだひとり、画用紙に 黒を塗りつぶしていく男の子。
家に帰っても、朝になっても、休みになっても、男の子は、画用紙を真っ黒に塗りつづけ、大人はみんな心配顔。保健室でも 書き続ける男の子。ともだちもみんな心配顔。それでも 手を止めなかった男の子。
やがて、男の子は 黒い画用紙を 体育館に ならべはじめます。
よくよくみると、画用紙は すべてが黒だけではなく、白い部分も ありました。ならべはじめると 白いリンクなようなものが。
先生も、ともだちも みんな 集まってくるなかで、男の子が、次々に ならべていくと できあがったのは?
黒といっても、色合いはさまざま。
「心に浮かぶもの」は、百人いれば百人それぞれ。その子を 戸惑いながらも じっと見守る周囲も、素敵です。