
今朝は昨日ほど寒くない。午前5時、気温3度、曇天。それでも、外がこの気温では管理棟のガスコンロは使えない。火がついてもすぐに消えてしまうのだ。
下の彼に頼んで、中古をどこかで探してもらうという手もないではないが、今更そこまですることもないと、不便を我慢して小屋まで行ってそこで湯を沸かす。ここのコンロも中古ながら、厳冬期でも役に立ってくれた。
湯が沸くまで、小屋の外に出て鳥の声を聞いていた。あの小さな生き物がよくもあれほどなきれいな声で、周囲の静寂を生かすようにして歌うものだと感心しながら。
幾つかの違う声がキャンプ場のコナシやシラカバの木のあたりから聞こえてくるのだが、姿を見ることはできない。声の主の正体を知りたいと思い本も買って、手許には3冊もある。その上、ここに何度も写真を掲載させてもらった野鳥に詳しいUme氏には鳥の声を収録したビデオまで送ってもらいながら、とうとうその願いを果たすことができずに終わる。
野鳥ばかりではない。草木や花の本も置いてあれば、カールツアイスの双眼鏡もあるのに、あまりそれらを役に立てることはできなかった。
今回は好天が期待できず1泊で引き揚げたかんと氏、急用ができて来られなかったTBI氏など、彼ら星の狩人のお蔭で天体望遠鏡も購入したが、これも中途半端な結果で終わってしまいそうだ。
ただし、それらが無駄だったかと言えば、そうとは思わない。ここには、そういうものがどれも必要であったのだ。周囲の豊かな自然、「無窮の遠(おち)」に散りばめられた無数の星々、澄んだ声で歌う小鳥たちにそそのかされた、と言ってもいい。
それにしても、この曇り空のせいだろうか、今朝は小鳥の声がいつにもましてよく聞こえてくる。まだ練習中の下手糞なウグイスの声も遠慮がちに、ベテラン歌手の歌声と一緒に聞こえてきたりして可笑しい。
あと1か月もしないうちにコナシが花を咲かせ、そのころには周囲の森や林の木々が思いおもいに色の異なる緑の若葉で笑い、賑やかになる。
放牧地の草の色も鮮やかな緑の色に染め上がり、変わらない風景が、待てど暮らせどやってこない牛たちのことを、鹿やアナグマと同じく訝しく思うかも知れない。
そして、後期高齢者の牧守は時々「Out Of Africa」のあの人のことを思い浮かべながら、精魂込めた牧の変わりゆく姿を案じつつ、過ぎた日々を懐かしんでいるだろう。うらぶれた姿を晒し、牧のどこかで。
今年は連休前半、山はいつになく静かです。連休の予約は、まだまだ余裕があります。
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本日はこの辺で。明日は沈黙します。