入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     かんと氏の「入笠牧場秋の星空」 (1)

2015年09月25日 | 入笠牧場からの星空

     アンドロメダ大銀河                           Photo by かんと氏
 

  3年ほど前NASAが、遠い未来のことだが、われわれの銀河である天の川銀河と、アンドロメダ銀河が衝突すると発表して、大きな話題となった。NASAは40億年後と予測したが、この衝突の時期については諸説あるらしい。幸い、そうしたことが起きたとしても、恒星間の距離は非情に大きいため(「3.2キロメートルごとに卓球のボール1個」)、両銀河は衝突することなく、すり抜けてしまうだろうと予想されている。
 以上のことは、前にも書いた。ただ不思議に思ったのは、宇宙は膨張していることになっている。よく天文学者は風船の表面に例えて空間の膨張を説明するが、ならば230万光年も離れた二つの銀河が、遠ざかるのではなく接近し一体化するということは、膨張説と矛盾する話ではないかと理解に苦しんだ。
 ところがその謎は呆気なく解けた。二つの銀河を引き寄せる力の方が、宇宙の膨張する力よりも強いという、分かってみればあまりにも単純で、当たり前の説明だった。ロケットが、地球の引力から脱出できるだけの推力、速度(11.9km/s)を得れば、地球の重力に打ち勝ち、宇宙へ飛び出していけるのと同じことだ。
 宇宙空間が膨張する勢いは、あれほどの遠距離にある二つの銀河を引き寄せる力よりも、はるかに強いと思い込んでいた。多分ビッグバンや赤方偏移に抱くイメージの影響もあったのだろう。


           IC1396                               Photo by かんと氏
 
 午前3時に目覚めた。眠れないと思うと布団の中にいるのに疲れ、居間に移った。そこで雨音を聞きながら、チラッと目に入った本のせいで、地球の運命を心配するはめになった。46億歳の太陽はいまだ壮年期だと言われていたが、その太陽によって、10億年にして地球は灼熱地獄になるらしい。そんな遠い先のことなどどうでもいいと思いながらも、少し気が滅入った。
 宇宙についていろいろなことが分かってくると、当今流行りのスピリチュアリズムや宗教は、ますます影が薄くなっていくような気がしてしまうが、サテ。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27の営業」を、また、天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「秋」 (31)

2015年09月24日 | 牧場その日その時

     ツタウルシの紅葉                             9月24日午前8時ごろの撮影

  御前中は、灰色の空の下に薄いシルエットのように見えていた中央アルプスや北アルプスの峰々も、午後になって降り出した雨が雲の中に隠してしまった。雨に濡れた秋の草花、ノコンギクが、全体に黄色の色調に染まりつつある道端や森の中によく映える。
 昨日はツタウルシについてあんなことを書いたが、赤く色付かないうちに萎れ、枯れかけているのは「焼き合わせ」一帯の落葉松の森の中だけで、他は大丈夫のようだ。あそこはいつもならどこの森よりも絢爛たるツタウルシの紅葉を見ることができる所だが、今年は年中霧が立ち込め、また雨もよく降っていたから、その影響でも出たのだろうか。

 何か予定が入ると決まって、それを妨害するかのように雨が降る。明日は映画撮影と農協の理事者の牧場視察が前から決まっていたが後者は中止になった。撮影に関しては、幾日か好天が期待できるうちにと気を揉んだが、ここと同じような撮影要件を求められている場所は他にもあるだろうから、またまた先方の都合を待つしかない。それにしても、季節はどんどんと進む。放牧地の草の色は、いつまでも現状を保てるわけではない。
 牧場視察については、現状を見て、知って、理解してもらうには滅多にない機会だと期待していただけに、残念だった。今後どんな方向に進んでいくにしても、これだけの潜在資源を有効活用しないまま、忘れてしまっていてはあまりにも惜しい。牧場に来て、美しい森や谷や渓流に接し、あるいは澄んだ星空を眺め、「入笠を見直した」、「入笠にもこんなところがあるのか」と言ってくれる人が増えつつあるのだから。

 Fさん「ホンモノの御所平峠」とか「35年ぶり」とか「妻も大感激しました」とか、嬉しい言葉をたくさんありがとうございました。どっかのやっているキャンプ場の高級化などとは無縁の、あるがままの自然を喜んでもらいたいと願っています。巣鴨さん、それはよかったです。「天体望遠鏡が欲しくなった」人は誰かな。かんとさんの天体写真、ご期待ください。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「秋」 (30)

2015年09月23日 | 入笠牧場からの星空

 「星は昴(清少納言)」                              Photo by かんと氏

  キャンプ場からテントが消え人気も絶え、閑散とした小屋の周囲の雰囲気からはまた秋が、一段と深まったような気がする。長雨のせいなのか、気温の差があまりなかったせいなのか、今年のツタウルシの紅葉はいつになく精彩に欠け、あの激しいまでの艶やかさを見せてくれない。それでもしばらく続く好天で、季節は精一杯の取り繕いを始めたようで、少しづつ森は色彩を増やしつつあるようだ。
 面白いもので、春の新緑のころと同じように、木々の葉が色付き始めるとその樹種を当てることができるようになる。中でも山桜は遠くからでもすぐそれと分かる渋い赤色を見せ、木々の間でひと際目立っている。そうやって見れば、落葉松の葉が黄色く色付くのが例年よりか今年の秋は早い気がする。今朝は来る途中のあちこちで、道の上に落ちている山栗のイガもたくさん目にした。

 昨日は客を1名案内がてら、秋の山道を歩いた。法華道の赤坂口へ通ずる古道へと下り、山腹を巻き御所が池へ出て、さらに芝平の諏訪神社口から上ってくるもう一つの法華道を通り牧場へ帰る、という順路だった。この山道は、近年荊口に住むようになったT夫妻が整備しているということは聞いていたが、なるほど赤い標識布だけでなく、木に紐で巻き付けた木製の標識も幾か所かあり、またクマ笹を鎌で刈った跡もあって、二人のご苦労を微笑ましく感じながら帰ってきた。
 まだここに詳細を記すのは控えるが、将来鹿嶺高原へのコースに加えて二つの法華道と、もう一つの古道である石堂越えを結ぶコースでもできれば、入笠のイメージが大分変わる。伊那側は、登山者の山の性格が今よりもきっと強まるだろう。そうなれば「岩っこルート」の復活も、考えなければならない。

 今日で終わる大型連休には、ここ入笠牧場のキャンプ場や山小屋へ、そ・れ・な・りの利用者にお出でいただいた。ありがとうございました。ブログを読んで来てくれた方も増え、喜んでいます。4人家族の”巣鴨さん”からは貴重な提言もいただきました。ランチャーステーキ美味しくできましたか。気の毒をしたMさん一家、魚釣4人組、珍しい名前のFさん夫妻、100名山踏破者のいた4人組、鶴さん夫妻、氏名不詳の夫妻・・・、言葉を交わすことできなかった方々も、ぜひまたお出掛けください。そうそう、奥さんをさん付けで読んでいたチョウ保全のTさんも。
 かんとさん、素晴らしい天体写真ありがとうございました。順次掲載させていただきます。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。

 
 
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「秋」(29)

2015年09月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



  下界は政につき、やたら喧(かまびす)しいが、山には穏やかないい季節が来た。ここ幾日かは、その満ち足りた山の気分を背負い携え、夜の山道を里へと下る。そして、待望の秋の味覚に酔い、はまる。上のキノコはクロッカワとコオタケ、タッケマツ(松茸)も忍び込んでいる。炭火で焼いて、生醤油に付けて食べるだけだが、これがたまらない。口中のクロッカワのえも言われぬ苦味が誘い、けしかけ、酒量は止まる所を知らない。
 小中が同級生だったKM子さんとご主人のS氏が松茸採りの名手で、赤松の山にはクロッカワも二人を待っているらしく、そのおこぼれに与るのがこの季節の有難い習いとなっている。


      こんなふうに

 穴場のキャンプ場では今夜もだれか焚火を始めたらしく、煙がここからも見える。小黒川に釣に来たという男女4人、ちゃんと入漁券も用意してきていて感心させられる。今夜はきっといい夢をみるだろう。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「秋」 (28)

2015年09月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  みんな愉快な連休を過ごしていますか。”穴場”と言われている入笠牧場の山小屋やキャンプ場にも、ぽつりぽつりと人が来てくれるようになりました。今夜は直火を焚いて、楽しい山の夜を過ごすようです。
 以下は、先日どこかへいってしまった記事の再録です。

 入笠山には1匹の野良ネコがいる。今日も見た。いや、昨年も見た。行動範囲はやたらと広く、伊那側で見たかと思えば富士見側でも確認されている。牧場の管理人も野生化するばかりだが、件(くだん)の猫はもっと凄い。もちろん、間違えても人に懐こうなどとはしない。まさしく山猫と言ってよいだろう。黄色の毛をして、それほど大きくはない。
 その猫が、昨冬を無事乗り越えたのは、マナスル山荘本館のY氏の支援があったらしいが、それにしてもこの雪深い山の冬を乗り越え、雪が消えるとまた野生の世界に戻っていったというのがエライ。敵となる野生動物の多い森や林や牧場で、たった1匹で自給自足しているのだから。可愛いとなどまったく思えなかったその野良猫に、少しづつだが情が移り始めている。必死で生きようとしているあっぱれ健気な姿には、上等な餌でもやりたくなる。
 
 昨年の12月、雪の入笠に来る途中に行方を絶った愛犬キクのことは、諦めている。とてもこの野良猫のように狡猾に、こんな山の中で生きる知恵はない。勝ち負けは関係なく、相手を敵と思えばキクは誰にでも、何に対してでも攻撃しようとした。そう、すれちがう大型トラックにまで。
 そういう性格の犬の最後がどうだったのか、失踪した場所を通るたびに考える。息を引き取るとき、キクの頭の中に浮かんだのは一体何だったのだろうかと。自分の小屋から見える見慣れた退屈で安全な風景だったのだろうか。それとも迎えに来てくれない飼い主のことだったろうか。


 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。

 



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする