木星とその衛星 Photo by かんと氏
真っ青な青空が広がっている。青というより黒味のかかった深い群青と言った方がふさわしい色だ。その下の空と画する北アの峰々、槍の裾に残る雪田が大分小さくなった。
京都から来ているKさん夫妻の7泊の夏の休みが明日で終わる。過ぎてしまえば早いもの、昨年は9泊10日だったが、今夏は下界に大事な用があるらしく2日ばかり短い牧の夏となった。
昨年についてはそれが「年を取るとな、ここから京都の暑い夏に戻ると身体が適応できへんで、しばらく体調を崩してしもうたわ」とのお言葉。今年はそうならないことを念じてます。
Kさん夫妻と、昨夜は一緒に夏の星空を眺めた。広大無辺の漆黒の闇に煌めく無数の星々、日常にはない距離と時間がそこには存在している。138億年、46億年、250万光年、10万光年、限りがない。
羊飼いの若者が革袋に入れた葡萄酒を飲みながら、勝手な想像を膨らませた星の固まり、砂漠を行く隊商の長が行方を定める際に利用した星、アウトリガーの船先に置いた素焼きの器に水を入れ、そこに映る光を逃さぬようにしてインド洋を渡ったとされる星、いろいろな星のことが思い浮かぶ。
Kさんは、子供のころに京大の崋山天文台で眺めた土星のことが忘れられず、そのリングの色を熱く語ってくれた。氏だけでなく誰しもが、星空を眺めると子供のころに帰り、その時の素朴な感動を語りたがる。みんなが星の狩人になるのだ。
星の狩人と言えば、かんと氏がいる。今夏もやって来ることになっているが、氏の天体写真は幾度もここで紹介させてもらったから名前を憶えている人もいるだろう。本日の木星とその衛星のPHも氏の渾身の作品。
何年か前までは、ここにもたくさんの星の狩人が来ていた。それは、有名なあそこの夜空よりか、間違いなくここの透明度の方が高いからだと今でも思っている。
それが一人減り、二人減り、今では草原にマットを引き、横になって夜空を眺める人などいなくなってしまった。望遠鏡から眺めた土星や木星に感動の声を上げる子供も減った。
きょうはこの呟きに相応しい星の写真をと思いアレコレやっていたら、呟きが消えてしまった。今も、そのことを呟いたら、それまでが消えた。
すっかり、気力が萎えた。
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本日はこの辺で。