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入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「春」(38)

2023年04月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 夜中の激しかった雨音が止んだ。雨雲の中に、時折太陽の位置が分かる。しかしきょうは天候の回復を見込むことは無理だろう。細かい雨は依然止もうとしない。



 追い上げ坂の新しい牧柵設置がこの3日ばかりの間に予想以上に進んだ。これで、有刺鉄線がもう100㍍もあればきょうにも完成するはずだが、それを回収する先が思い当たらない。
 支柱も、有刺鉄線も昨秋以来、放牧に必要でなくなった牧区の既存の物を使い回しでやっている。その殆どが、ここで働くようになった以前からあったものだから、恐らく20年以上は経っているだろう。
 面白いことに、その当時の有刺鉄線の方が耐用年数があって、今の新しいのはすぐに錆びるし、強度も落ちる。
 
 昨日は40度位の斜面でバラ線(有刺鉄線)を張っていたら、激しく雪が降ってきた。そんな状況は、後期高齢者のやる仕事に相応しいかと言えば否とだろう。だが、本人にはあまりそういう認識がない。
 実際の体力は、オツムと同じく、あるいはそれ以上に劣化が進んでいるはずで、それでも、あまり身を庇うというわけでもなく、若いころとほぼ同じような気でやっている、やってしまう。身体に格別な問題がなければ、野良仕事をする人たちなら多分誰でも変わらないと思う。
 それでも、肉体上の年齢調整は無意識の裡に行われているような気がする。その証拠に、さんざん岩登りに励んだ身が、いつの間にか高所がすっかり苦手になってしまった。また、どこか他所の山に出掛けたいと思うこともない。

 古い鉄の支柱には細い穴が開いている。その穴に針金を通してバラ線と支柱を結び付けるのだが、風の強い日は、その穴を吹き抜ける風がボーボーとオーボエのような音を鳴らす。その心細くなるような不気味な音を、昨日は懐かしく聞いた。
 支柱やバラ線には、見覚えのあるステンの16番という針金が付いていたり、切れたバラ線を結線した跡もある。ステンは粘性がないため鹿に簡単に伐られることが分かり、今は使っていないからかなり以前の物だ。
 風の中、単身で牧柵の補修に専念しながらぼんやりと先のことを考えていたころから、当時では思いもしなかったほど長い年月が過ぎていった。

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 本日はこの辺で。

 
 

 

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