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入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「夏」(68)

2021年08月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
                Photo by かんと氏(再録)

 良く晴れて、北アルプスの中腹には細く、長い雲の帯が続き、穂高や槍、あるいは山腹を斜めに削り込まれた山容が特徴的な常念もよく見えていた。日の光を浴びたまだら模様の山肌のうち、ハエマツ帯は薄青かったり、岩やがれきは灰色だったりと、馴染みの山並みが真っ青な空と二分してずっと遠くまで続き、白馬の辺りを過ぎて湧き立つ雲の中に消えていた。
 山だけを眺めていれば盛夏のころと変わらないのだが、そうした眺望を可能にしてくれている丘に吹く風や、背後の緑の森、そして昨日も呟いた空の色に、秋色を感じ始めている。

 昨夜(28日)の夜空は本当に素晴らしかった。あれほどの天の川は久しぶりに目にしたし、またしても入笠牧場の実力をしみじみと感じた。
 今年になって初めてだったが望遠鏡も持ち出し、そこで苦労して取り込んだ木星は一列に衛星を従え明るく輝いて見えていた。クラークの「2001年」やそのシリーズの影響ではないと思うが、人気の高い土星よりかも木星の方に親近感を感じ、特に「ガリレオ衛星」と呼ばれる天才・偉人が自作の望遠鏡で見たという衛星に対して空想の幅が広がった。
 こんなことを呟くと、タカハシの100ミリ屈折望遠鏡を自在に扱っているように誤解されてしまうが、実際は全くそうではない。あまりに久しぶりなため扱い方を忘れたり、それに窮し、恥ずかしながら望遠鏡に関してはまったく不満の残る観望会になってしまった。折角の見事な星空だったのに、もったいないことをしたと思う。
 まあ、望遠鏡は、カメラやPCと組み合わせて初めてその威力を発揮させることができるわけで、そういう分野に疎い者としてはもともと限界がある。まさに宝の持ち腐れだろうが、この上さらに望遠鏡に関する自分の知識、技術が向上するとは思っていない。それでも、まさに牧場に牛がいるように、ここの星空には望遠鏡はなくてはならない物だという考えは揺らがないだろう。
 昨年の観望会で眺めた土星や月だけでなく、その時一緒だったHAL、本人、鹿、牛と、その時覗いた望遠鏡も加えて描いた素晴らしい絵を送ってくれた子もいて、それはこの部屋に大切に飾ってある。子供たちが望遠鏡を覗き喚声を上げている姿を見れば、それは同じ世代のころに望遠鏡で月の表面を見てみたいと熱烈に願っていた自分の姿と重なる。薄暗い理科室に置かれた望遠鏡ほど、手に触れてみたかったものはなかった。

  明日は6時から撮影隊が来る。恐らく独り言をする時間はなさそうだから、沈黙を守る日曜日に少し呟くことにした。
 O槻さん、すっかり無沙汰を決めてしまっていました。このとりとめのない呟きが、少しでも入笠の記憶に繋がっていただければ幸いです。本日はこの辺で。
コメント
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