入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「夏」(62)

2021年08月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今週、半ばには天気が回復するという予報だったが、そうならなかった。鬱陶しい天気が続いている間に8月も中旬が過ぎて、このまま山は秋に向かうだろう。昨日、焼き合わせの近くで、赤く色付いたツタウルシの葉を1枚だけ見付けた。きっと、病葉だ。それでも、そんな季節が遠くないうちに来る。短命だった夏を惜しむよりか、秋を、さらには早やその次の季節まで考えるようになってきた。
 生き急ぎ、と嗤われるかも知れない。それでもこの頃はやたらと気が急き、思い付いたらそれを片付けてしまわないと落ち着かない。それも、特に些細なことにこの気性が出てしまい、それが忙しい思いを加速させるようだ。

 4人がかりで、昨日囲いの中の3頭のホルスを里へ返した。最初は2度ほど逃げられ手こずるかと思ったが、ひと暴れしたら気が済んだのか割とすんなり検査用の囲い、パドックへ追い込むことができて、牛たちは無事にトラックに乗せられて山を下っていった。その後すぐ、第1牧区では給塩と全頭確認を行おうとして、ホルス1頭と和牛の確認に思いがけなく手間をかけてしまい、2頭をようやく湿地帯の中で発見でき、それで安堵して遅い昼飯を食べることができた。
 一息ついてから、気になっていたテイ沢へ草刈りに行った。前日、夫婦が淵の倒木を処理した時、登山道に覆いかぶさるように繁茂していたクマササが気になっていたからだが、やってもやらなくても大差のないことに、これまた「生き急ぎ病」が災いしたのだろう。
 その後も病はまだ続き、今度は雨が降り出す中、また撮影の下見に付き合わされた。これも以前から頼まれていたことで、早く何とかしたかった。幸い、まずまずの候補地が見付かり、あれで責任は果たせたと思う。牧場が縁になったのは間違いないが、企画はすでにここと直接に関わる話ではないから、今回をもって最後にしたい。というような一日が終わった。

 毎年、このころになると同じことを呟く。行きもしない旅のことで、そのことはもう少し見果てぬ夢にしておくが、時折、他の山にも行ってみたくはないかと聞かれることがある。旅も山も牧場の仕事をしている間はここを留守にできないと分かっている。それでも旅なら行ってみたそうなことを言い、山に関しては「いいえ、もう」と即答してきた。
 深く自分の山に対する気持ちを探ったわけではない。それでも問われれば決まってそういう返事をする。きっと、これからもそうだろう。
 本日はこの辺で。明日は沈黙します。
コメント
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