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スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

久しぶりに帰ってきたウロフ

2007-02-02 23:22:36 | 授業 その他
ウロフがニューヨークとスコットランドのコンサートを終えて久しぶりに帰ってきた。
実は先週の金曜が誕生日だったらしく、今日はみんなで誕生日の歌を歌ってカードとプレゼントをあげた。
プレゼントは犬のお腹に磁石が入った小さなマスコット。
犬(hund、フンド)とbondopolska(ブンドポルスカ)のbondをかけている。そして、bondpolskaのリズムを「ぼふ、ぼふ、ぼふ」と教えてくれて、それが犬がほえているみたいといつも私たちが言っていたことからこのプレゼントにしたのだ。

今日も色々やったけど、ドキドキしながら待ち構えたのは宿題の、各自D-ドリスク・スケールで作ったショティシュ。みんなのを聞くと、「タッカ、タッカ」というリズム派と「タカタカ」というリズム派に分かれた。(私は後者)
そして、一人、7拍子の不思議な曲を作ってきていた。
「うーん…それはショティシュじゃないね」とウロフ。
(ショティシュは2拍子)
みんな自分のを弾くと、続いてウロフも一曲作ったのを弾いてくれた。

さて明日は大きなイベントがこの学校で開催されるので今からインターネットルームを閉鎖するそう。再オープンは日曜か月曜。
待ちに待った楽器製作もイベントの前に少し進める予定。
その話はまた来週。

3拍子と一般的スウェーデン人の関係

2007-02-01 23:53:56 | 授業 その他
Wik, Wiik, Vik(ヴィーク)などのスペルを見かけますが、バス停はVik
今日はWikの学校との音楽交流の日。

今までVikのお城でイベントするのだと誤解をしていた。
「Wikにはお城がある」「そこにある学校と交流する」
確かにそう言われた。
ただ、「そこにある」とは”Wikにある”という意味で、”お城にある”ではなかった…。とりあえず、その学校の目の前にお城があるのでその写真。
写真左は朝、右は夕方
前に書いたけど、このお城、建物は修復を重ねているのでさほど古くないけど1200年代から始まる歴史を持つ(ウプサラの果てのディフェンス塔だった)。

相手の学校について、まずはグループごとに分かれた。
相手は、ドラム、ベース、ギターと歌。相手側の用意した曲は、Åsa Jinderというニッケルハルパも弾くポップスシンガーの曲。気を遣ってくれたようで、それもワルツだった。
(ちなみに、スウェーデンでもニッケルハルパを知っている人は少なく、「ほら、Åsa Jinderが弾いているアレ」と言うと何となく分かるという場合が多いらしい)
かわいらしいワルツをかわいらしく弾いた。
歌がメロディを歌う上に、私たちニッケルハルパにも「メロディで」と言われたので、いたってシンプル。
でも、事前に指導を受けたマッツ先生によると、「人数が増えれば増えるほどアレンジはシンプルにしなさい」とのことだったのでこんなもんなのかな。

次に、私たちが持ってきた「Lappkungens polska」も試してみた。
この曲は「ラップランド(地方)の王」という意味。
友人による個人的な解釈では、ラップランドの王とは一般的に「山の王」を指すことが多く、トロールなどの怪物をイメージするというのだ。
言葉の意味はさておき、確かに荒々しい古代の王がゆっくりどっしりと歩いている雰囲気の曲だ。だから、あえてこの曲をチョイスした。スローテンポのへヴィメタ風にできそうだと感じたのだ。
出だしは、歌(歌詞はないので♪Tralaと歌う)とベース、ニッケルハルパのカチカチ音(弓を使わない)のみで始まる。
次に、ニッケルハルパが静かに入ってきて、激しいドラムソロ。
で、一斉に荒々しくジャカジャーン!という風に。
最後は初め同様、静かに終わる。コードも一生懸命考えたわりに、ギタリストは独自のコードを付けていたので口出ししなかった。

最後はグループごとに演奏。一グループ、ガルマルナ(Garmarna)のような怪しげな雰囲気を持つロックに仕上げていて秀逸なものがあった。
そのグループの友人とランチで話していたら、相手側のメンバーはフォーク音楽で使うbordun(英語ではdrone/ドローン)が理解しにくいと言っていたらしい。そのbordunを駆使して怪しげな雰囲気に成功していたので、最終的には相手側メンバーも楽しめたんじゃないかな。

ちなみにうちのグループのシンガーは「1と3拍目にアクセントがあるのが歌いにくい」と言っていた。(これがポルスカの基本。ロックやポップスにはない)
それでも3拍子自体に違和感がないというのはやはり国民性。

以前、私は日本で最後の一曲だけをロックギタリストと合わせたことがあって、その時に「3拍子!?弾いたことない!わからない!」と言われた。まぁ、1曲くらい何とかなるだろうと思って強行。すると強行作戦失敗でリズムがぐちゃぐちゃ。「あーあ…」と思っていたら終了後、聞いていた人に「ギターがあった方が良かった」と言われてショックを受けた。
ひょっとして、お客さんはギターの2拍子のリズムが正しくて私の3拍子のほうがズレてたと思ってたりして。
それか、2拍子の23拍子の3のどちらでも割り切れる12小節のフレーズだったから案外気づかれてないとか!?

話を戻して、心配した私がマッツ先生に「3拍子と一般的スウェーデン人の関係」を質問したところ、「サンタの歌をはじめ子供の歌、ピッピなどアニメの歌、なんでも3拍子の歌で育ってきたスウェーデン人は、3拍子を体で理解できる」と言われた。
日本の童謡となると「♪ずいずいずっころばし・・・」「♪しょ、しょ、しょじょーじ」「♪ゆーきーやコンコン」。3拍子がなかなか出てこない…。

追伸:昨日(1/31)のFolkhögskolanについて追記しています。

STIMと著作権の話を少し

2007-01-30 23:53:00 | 授業 その他
私たちのコンサートの日にちが一部決定。
5月20日ストックホルムの音楽博物館。
5月26日Toboのこの学校で。
それといい会場がみつかれば、ウプサラでも1~2回するかも。

今日のクラスミーティングでは、ディッテが、チケット代を決めるプロセスについての話があった。
一般的に、「プロフェッショナル」とは、「プロ並みに上手い」と技術レベルに言及する場合と、「職業としてそれで食べている」という意味とがある。
ともかくディッテの意見は、プロとしてやるならプロとしての値段を要求すること。自分達はプロ並みだと言っておきながら安くすると、それで食べている同業のプレーヤーたちに失礼になる。学生だと売るのか、プロだと売るのか、良く考えてきめたほうがいいと。

そして、STIMの話を少ししてくれた。(前もブログに書いたかも?)
STIMはプライベートの団体で、著作権管理をしている。スウェーデンでは死後70年間、著作権を守ってくれ、残った家族などに支払われ続ける。
そしてスウェーデンでは著作権の売買は決して出来ない(日本は知らないけど、アメリカやイギリスでは出来るらしい)。売買によって色んな問題が生じるらしく、このSTIMの著作権保護はヨーロッパ内ではよく機能していると言っていた。
日本でも有料コンサートで弾く場合、著作権の生じる曲はもちろん支払わないといけない。
このSTIMについての詳細は、今後の授業で詳しく触れるらしいのでまたその時に。

Bootコンサート

2007-01-26 23:36:08 | 授業 その他
今日はショックなことがあった。
ダンスコースの友人が、授業中にアキレス腱がきれたのだ。月曜日には手術で、向こう6週間は何もできない上に半年はダンス禁止と言われているらしい。学校はどうするのだろう…?後遺症が残らないように大事にすることが先決なんだろうけど、ダンサーが踊れないとは相当ツライだろうと思う。みんなのまとめ役、クッション的な存在だったから、もし学校をやめることになると悲しい。

話題を変えて今日の授業。私たちの作曲を披露する日。
みんな、なかなかのものを作っていた。アイリッシュ好きの友人が作ったショティシュは、エンゲルスカといった風の歯切れのよいリズムで逸品。
ディッテがいうには、「好きでも嫌いでも一旦時間を置きなさい。しばらくしてからでないと客観的に聞けないから」と。
ちなみに、今スコットランドにコンサートに行っているウロフ(来週帰ってくる)からも作曲の宿題が出ている。ウロフの作曲方法は、気に入ったフレーズはすぐ録音。また引き続け、録音。で、録音に録音を重ねながら作っていくそう。最後に出来た曲も録音し、しばらく時間をあけてからアレンジを変えたり、好きか嫌いか判断すると言っていた。(でも、「ヨハン・ヘディンは作曲するときに録音プロセスをとらない」らしい)こっちの宿題はまだ手付かず。週末にやらないとなぁ…。


そして、ブルガリアやルーマニアの7拍子の曲(前回1/12の「Anika Lasse Lasse」とは反対の「Lase Lasse Anika」)を習った最後には、再び「即興でハーモニーをつける練習」をやって今日はおしまい。

今夜は待ちにまったBootのコンサートダーラナに行った時はすごい人気。
でも、ここウップランド地方ではダメなのか?
曲調があまりに違うから?それとも、ここ、Toboが田舎過ぎるせい?
お客さんは、ほとんど来なかった…。
(多分、Toboだから。それと最近この近くでもライブしてたから)

楽器をやっている人にはお手本となる理想の音、プレーヤーがいると思う。スウェーデン語でförebildという。ビョーン・シュトービだというひともいればペール・ギュドゥムンソンだという人もいる。これはバイオリンの場合の話。私のförebildは、このBootでバイオリン(ヴィオラ・ダ・モーレ)を弾いているウーラ・べクストレム(Ola Bäckström)だ。この独特の音色と弾き方がたまらない。たとえニッケルハルパを弾いていてもウーラの音色やダーラナ地方の色が頭から離れない。

ニッケルハルパ奏者では、人によってはヨハンとかダニエルという人もいるけど、私はニクラスとトルビョン(11/18紹介のCD)の間で揺れる。ニクラスは、バイオリン的なのにニッケルハルパ的なダブルグレップをたっぷり使いリズムも自在に操るところが面白いと思う。トルビョンは激しくかき鳴らす情熱的な音も彼の作曲にも完全ノックアウト状態。でも残念ながら、CDしか聞いたことないのでförebildにするのは迷ってしまう。
それと、この学校を卒業して今、王立音楽院にいるニッケルハルパ・プレーヤーで、繊細かつダイナミックな弾き方をする人がいる(名前はド忘れ)。先で出てきそう!

話を戻して、このBootコンサート、お客さんが少ないとさぞ寂しかったでしょうって!?
いーえ。その反対。
めっちゃめちゃ盛り上りました!
前半1時間、たっぷりコンサート。Fika(ティータイム)をはさんで、1時間ダンスの演奏。
気持ちよく踊れた!ダンスの上手い友人のリードで始めてガンガル(Gangar)も踊り楽しかった。友人達は大興奮状態で、大声を上げながら(掛け声?)、気持ちよさそうに踊っていた。
ひょっとしてお客が少ないから、よりリラックスして普段の演奏をみせてくれたのかも。以前、見たステージとは雰囲気が違って楽しんで演奏しているのが分かる。私たちが踊り始めると、それまで座っていたウーラも立ち上がって弾き始めた。
アンコール2回の後は、私たちはノリにのっていたのでさらに要求、音楽がやんでも踊り続けた。3回目のアンコールではパーカッションのサミュエルが、ウーラのヴィオラ・ダ・モーレを手にワルツを弾いてくれた。
Bootが帰った後もすっと盛り上っていて、友人Dのフルートに合わせてダンサーたちは延々踊り続けていた。
(Bootは春か、夏までに新作CDが出るそうです。Bootとガラッと雰囲気変わってスウォップ(Swåp)という同じくウーラがメンバーのさわやかバンドもおススメ)

それにしても、アキレス腱をきった友人K。ソファに座ってみんなを見つめていて、精神的ショックを思うと本当に胸が痛む…。早く良くなりますように!

スクール・オブ・ロック!?

2007-01-25 23:41:52 | 授業 その他
スクール・オブ・ロックというタイトルの映画が以前あった。
まさかそんな先生という訳ではないけど、ロックなMats Anderssonが先生としてやってきた。どこかの音楽課でロックなどを教えているらしい。今度、Wiikでその生徒と音楽交流をする一環としてやってきた。

まずは、Mats作曲のESI Bluesなるものを弾いた。ESIはうちの学校の略称。
なのでこのレッスンのために作ったみたい。
いぇーい、のってるかぁーい?というノリのロックではなくて、とってもブルージーでかっこいい。
この日、キーボードとクラリネットとギターをMatsは弾いていた。
マルチな先生。
その後教室を移動し、スライドを使ってドラムの説明(どこにhigh, lowがある、譜面の書き方)や、クラリネットやサックスの譜面の書き方など(クラリネットはドならレと、一音上げて書くように、という意味が未だ分からない。同じト音記号なんだからドをドと呼ばないのはなぜ?)。
この日は一回目で、盛りだくさんだったのであっという間におしまい。

続いて午後からはダンスでした。
ヴェルムランド地方のポルスカと、ハンボ。

その前に、Långdanse(ロングダンス)を延々と1時間以上も踊って疲れたー!!
つかった曲は始め、Jig。次にロングダンスを歌いながら。最後にヴェルムランドの曲で。
という訳で、曲やリズムによって体、ステップのとり方が違うのを体にしみこませるためでした。
ロングダンスはほとんど歩くだけに近いけど、シンプルなだけに上手い下手が見ていてバレバレ。やはり、バランスよく筋肉をつけストレッチで体を柔らかくしている人は立っていても歩いても美しい。

ハーモニーと16部音符のポルスカ

2007-01-19 23:25:06 | 授業 その他
外はチラチラと粉雪が舞っています。

さて今日はマニアックな音楽ネタ。
Stämspelとsextondelspolskaについて。

Stämspel
メロディにstämma(ステンマ;ハーモニー)をつけて弾くこと、つまりハモって弾く。
これはスウェーデンの民族音楽の伝統スタイル。
このハーモニーはメロディに沿って一緒に動く。(クラシックとのハモり方の違いなど例を挙げて説明があったけど話が込み入るので別のときに)。

そして伝統スタイルは、即興でハモる。
「譜面に起こして紙で考えるのはニクラスとやるので、このクラスでは伝統的な方法になれて欲しい」とディッテ。練習では、一人がメロディをゆっくり弾いてもう一人がそれを聞きながらハーモニーを探す。「En gång till! (もう一回!)Långsamare!(もっとゆっくり!)」というやりとりを繰り返しながら考えてきてね、ということで毎回二人ずつ発表しないといけない。

この一環として曲の構成や流れを知る練習のために(曲の流れが分かるとハーモニーもつけやすい)、作曲の宿題も。
TSDT(T=トニカ、S=サブドミナント、D=ドミナント)という一番スタンダードなコード進行に沿って、それもグループごとに曲を作るというもの。ルールはこのコード進行のみ。

さっそく授業後、取り掛かった。
私たちは3人なので、Aパート、Bパート、Cパートまであるstorpolskaにすることに。一人、一パートずつ担当。私たち3人とも暗い曲がいいということで、G-moll(Gマイナー)で。でも私は転調好きなので、私が最後のCパートを担当してHb-dur(Bbメジャー)に。どんな曲になるのかな!?まだ未完成です。
ウロフからもD-ドリスクで(一番かんたん)ショティシュを作曲するよう宿題が出ている。これもやらないといけない!最近、宿題が増えてきた…。

Sextondelspolska(16部音符のポルスカ)
-slängpolska(スレングポルスカ)
-polones(ポロネーズ[ス])
などもsextondelspolskaに分類できる。

私が日本に一時帰国したときに弾いたVästerbottenのsextondelspolskaを「slängpolskaじゃないの?」と尋ねられたとき、上手く説明できなかった。そこで今日ディッテに確認したのでここにまとめます。

slängpolska(スレングポルスカ)は、南の地方の方言。だから、北には本来は無いし、ウップランド地方にもビスカレ(Byss-Calle)の有名なスレングポルスカがあるけど言葉が混ぜこぜになってしまっただけ。あれはスレングポルスカではない」とのこと。
スレングポルスカの特徴である”均等に刻むビート”に似ていると、ごっちゃになってそう呼ばれてしまうことがある、という訳。
また、スレングポルスカのダンスが踊れる曲も、ごっちゃになってそう呼ぶ人がいる。Svängpolskaも16分音符のポルスカだけど、これも単なる方言だと言っていた。確かにヘルシングランド地方のCDを聞いていたときにこの言葉を見たことがある。

poloneseは、もう少し奥が深い。17~18世紀に、ポルスカのことをこのフランス語で(色々なスペルで記録されている)呼んでいたそう。フランス語との関係は歴史的背景があるみたい。もともとポルスカの原型は大陸から来ている。(ポルスカの歴史については今度、授業があるのでその時に。)
南の地方の古い記録にあるポロネーズと同じ曲のことを指してスレングポルスカだと(同じ南部なので)呼ぶ人もいる。
:ダンスの種類としてのポロネーズもあり、ダンサーにとっては単純にポルスカだと言い切れない場合があるらしい。

セッションにならない!

2007-01-16 23:51:18 | 授業 その他
火曜の朝はFys(体育)からと決まっている。
Fysはストレッチ中心のときと筋トレ中心のときがあるけど、どちらも楽器の演奏にもダンスにも必要。私は真っ直ぐ立っているつもりでも、いつも「もっとお腹に力をいれないと」と注意される。立つだけでも結構つかれる。

今日のウォーミングアップはマグネットごっこ(!?)から。ゴングロート(gåntlåt 歩く用の曲)に合わせて、好きな方向に歩きまわり誰かと接近したら磁石のように反発しあう(素振りをする)。
視界にある相手の動きを見て瞬時に自分の体を反応させる練習でもある。
演奏でもダンスでも、相手の目線、手の動き、体の向きなどなど微妙なサインを感じ取って瞬時に情報処理し反応するので同じことだ。

さて、夜のこと。
毎週火曜はセッションの日にするとみんなで決め、今日が第一回目。
セッションになるのかな。
というのも、なぜか分からないけど、私たちは全くセッションが盛りあがらない。盛り上らないから、誰も「セッションしよう」と言い出さない。
それが、「火曜日はmusik kväll(=music night)にするよ!」と言う。

さてさて、最初は私をいれて5人。いい感じで始まった。スコーネ地方の曲に、ノルウェイに近い所の曲。アレンジや伴奏も試みたり。

すると、もう二人やってきた。ちょっといやな予感。
というのも、一人は皆が何を弾ていようが自分の好きな曲を好きに一人で弾き続ける。
そしてもう一人、彼女はウップランド地方の曲ばかり弾きたがる(ウップランド以外の曲は覚えようともしないツワモノ)。

スウェーデンの曲は地方ごとに特徴があって(注:ダーラナ地方はさらに村単位で曲調が異なる)、一つの地方だけに偏って弾くと似た曲が多くなる。
それは良いとしても、特に、底抜けに明るいウップランド地方の曲は、好みが分かれるところだと思う。

そして、予感は的中。ウップランド一色になってしまった。

すると、もう一人やってきた。
彼は、マニアックで変わった曲や、難易度の高い曲を弾きたがる。しかも、グループをリードしたがるので彼が一旦リードを取るとマニアックな人しかついていけなくなるのだ。

でも、今日は彼女の勝ちっぽい。
リードを全く取らせずウップランド一色で飛ばしている。日ごろ、彼がウップランドの曲を弾かないことに仕返しでもしているかのような気迫さえ感じる。リードが取れないのが我慢ならないのか、ウップランドの曲がいやなのか、彼は早々に去ってしまった。

そのうち、もう一人「面白くないなぁ」と言いたげなアクビをして帰っていった。それを合図に、一人、また一人と帰っていく。そういう私もなぜか面白くなく、ねばってみたものの9時半には帰ることに。

来週もやるのかなぁ?やはり私たちにセッションは無理っぽい気がするけど…。
他にも今日は参加しなかった人の中にも個性的な人はまだいる。
セッションはいつもこんな感じで全くまとまらない。
会話では主張は激しくないのに、音楽となると途端に主張を譲らなくなる人が多い。

セッションとは、社交の場。誰かが言っていた。
場の空気を読み、相手に思いやりを持って、そしてみんなで楽しむことが必要なのでは?

コンサート当日

2006-12-16 23:41:29 | 授業 その他
いよいよ、コンサート当日。
熱く議論を重ねた日々、毎夜続いた練習。先生の中には夜は22時過ぎまで残って指導してくれていた。思いいれはとっても強い。

本番15分前には2階に全員集合し、「k、p、t」「p、b、t」など意味不明な子音の発声練習がはじまった。クラスメートJが「僕、歌の出番ってないから意味ないと思うんだけど」とつぶやいた声はみんなの視線を集めたものの無視され「na-,na-,na-…」とみんなで大声で音階を歌う。でも、発声はいい具合に体の緊張をほぐすからね。
本番はいい具合にすすんだ。例のショティシュ・チャンピョンシップもかなりうけまくり。
ダンスも伝統をベースに大胆な創作を混ぜたり、伝統的なものもダンスと音楽を複雑な構成にからめている。
ニッケルハルパでジャズナンバーの「インザムード」を弾き、昔風の派手でアクロバティックなダンスも披露。会場の使い方も空間を最大限に活用。工夫と創作という点では過去のコンサートを上回るだろうな。
終わって思うのは、やはり挑戦は大事だということ。あまりに突拍子もないと、ついつい話を聞いているうちに面倒だと思ってしまう。でもここの学生たちは、突飛なアイデアでも実現不可能そうでも常に「やってみよう!やってみてからダメかどうかを考えよう」という姿勢。やはりいいものを作るにはチャレンジ精神と情熱がいる!

ところで。ちびっ子たちがやたらいて幼稚園のようだった。
あっちからこっちから走りでてくる。
エスビョン(楽器の職人さん)とこのちびっ子と、ウロフ(先生)とこのちびっ子たち、それと見知らぬチビ達と、たくさん。
エスビョンとこの金髪にブルーの目のチビが一生懸命私にスウェーデン語で話しかけてきた。子供とはいえ何言ってんだか、さっぱり。とりあえず知ってるスウェーデン語が通じるか試そうと(←ごめんなさい)「このドア開けられる?」と聞いてみた。そしたら「Nej(ううん)、だって、○×△□」と再び分からなくなった。とりあえず「どうして?」と聞いてみたると「だって□□×△…」。ああ、こりゃダメだ。もっと小さい子で試そうと、今度は背後に立っていたウロフの赤毛のチビっ子で実験。「お名前、なあに?」とスウェーデン語で聞いたけど、口をぽかーんと開けて無言。むむ、なぜ通じない?と思ったら
「この子、まだ1歳半だからしゃべれないよ」と。
むむ、なんと。
外人は年齢不詳な顔をしている。

写真左:終了後にもらったバラ
写真中:ステージ横で飾っていたクリスマスツリー
写真右:コンサート終了後、先生、卒業生を交えてセッション。(明け方近くまで続いた)

ひょっとして・・・音楽になってない?

2006-12-15 23:21:18 | 授業 その他
いよいよ、明日がコンサート本番。
細かいリハが続きます。

ウロフ監督のもとにリハ。
結構出来ていていい感じだからとリハを今までしてこなかったワルツ。いよいよだからとウロフに聞いてもらったところ、”Oh... It was... very careful.”正しい英語なのかどうかは知らないけど弾き終わった直後、ウロフがゆっくりと選びながら言った言葉。
「何のミスもなかった。強弱もはっきりつけているし、アレンジも面白い。でも、間違えないよう注意しながら気をつけて弾いているのが分かる」というのだ。「その先にあるのが、it’s "music".(それが"音楽"だ)もっと弾きこめ」と、おっしゃる。
つ、つまり、間違ってないけど音楽になってないと!?
うぅぅむ。それはまた難しいことを。
前回の「グルーヴィーに弾いて」と同様、抽象的なコメントが多い。
でも、実はその言葉、まるで私の心のうちを読まれたよう。私はベースを弾いていて、間違わなかったしピアノもフォルテも強弱を間違えてない。でも、確かに間違えないよう気をつけた。「出来てるから」と練習やリハの回数が極端に少ないせいでみんな慎重に弾いたんじゃないかな。でも、それはウロフの耳にははっきりと音となって聞こえたのだろう。おそるべし。ナメタラあかん。(なめたことないけどね)

他にもダンスの先生アンドレアスや、ディッテからも細かい指示。
立つときに手を前で組んではならぬ(一人いて、軍隊のようと言われていた。軍隊って何のこっちゃ)、ステージでIちゃんが数センチ前に出すぎているせいで私がグループからはみだして見える、云々。立ち振る舞い、マイクの使い方(特に私のコメンテーター演技でマイク指導が)、椅子など曲の間のセッティングのスムーズさ等など。
曲の紹介をするときの発声法はもとより、言葉遣いも注意。
一人ダーラナ出身の友人が「今からボーダ(町の名前)の曲を弾こうと思います」と言うとすかさず注意。
「~弾こうと思います」「~弾いてみます」と言うんじゃない、「弾きます」と言いなさいって。
日本で昔受けた言語学やコミュニケーション学の授業や、面接指導を思い出した。
「今度就職することになりました」と状況でそうなったかのような表現はせず、意思をはっきりと「今度就職します」と言いなさいと。シーンによって言葉を選ぶ重要性は万国共通、とその注意を聞きながら一人で納得。

ダンスの伴奏では、さらに細かい指示。「ダンサーとアイコンタクトをもっと取りなさい」と。「ちらっと見るのではない。弾きながらダンサーを見つめ、そのダンサーがミュージシャンから感じてるエネルギー(フィードバック)を受け取って、それが音になるのだ」そう。
ミュージシャン同士でお互いを感じあうことは今までも何度も言われて来たけど、伴奏でダンサーとこんなに弾きこんだことがなかったから、先生のアンドレアスにはまだ足りないと感じるみたい。

そうそう、これを読んでいる方へ。複数人で弾く機会がある方。
リードを取る機会を平等に持つことをおススメします。私たちのコンサートでも平等に全員がリードを取るよう一曲ずつ決めています。授業でもこのリードを取る練習を結構します。

リーダー(リードを取る人)は
弾き始めの合図を、呼吸、目、足など体で表現。頭には弾きたいテンポやイメージを思い浮かべてないといけない。(人によって様々。ハッと息を吸うのを合図にする人、前かがみ体勢から体を持ち上げるて合図を出す人など)
メロディに強弱を出す時も体(弓さばき、目線、足など)で合図を出す。


そして、そういう合図受ける取る側もリーダーに対してアンテナを敏感にはってないといけません。リーダーがこうしろと言うならそうしないといけないし、終わりもゆっくり終わるのか勢いよく終わるのか、じっとリーダーの動きを見守って呼吸を合わせます。

ひいては、リーダーだけでなく隣で弾いている人や音にも敏感に感じ取る練習になります。そうするとどうなるのか。グループで弾く際に音に一体感がうまれ、お互いの音を聞きながら盛り上げていくこともできるのです。

「弾くのが上手い=リードが上手い」とは違うと思います。「サインの出し方・サインの受け止め方」であって、演奏と同様に練習が必要(自然と上手い人もいる)。これに慣れると演奏中の自分の全体の音にも客観的になれたり余裕が生まれたり。
ともかく、意外にリードをとってみると面白いのでお試しくださいませ。

ショティシュ・バトル。なんちゃって。

2006-12-12 23:54:35 | 授業 その他
今日は音楽理論の授業以外は全てリハーサル。
ちなみに、こちらはニクラスの実践的なアレンジ・クラスと違って、卓上のお勉強と譜面を使ったアンサンブル(演奏)。
KMH(王立音楽院とでも訳すのかな。スウェーデン最高峰の音大)の模擬試験も希望者は受けたられたり、授業内容はそういった固いもの。

そして、一つ私の参加しないダンスのリハを見て感心。おもしろかった。
部屋は中央を囲んで4つに分けているので、正面と客席3面となっている。
通路もドアも4つ。
短調で暗いTraraのメロディにあわせ(歌詞はなく♪Trara・・・と3人が歌う)その4つのドアと通路を使い
-一人で入ってきてゆっくり歩き、そのまま反対側のドアから出て行く
-数人並んで入ってきてアップテンポで歩き、そのまま反対のドアから出て行く
-違うテンポの歩きで二人入ってきて…以下、同様。
入ってくるタイミングも人数も、使うドアもあっちからこっちからと、ランダム。
-たまに中央で交差した二人がポルスカターンをし、そのまま分かれ各々反対側のドアから出て行く
-一人で入ってきた長い布をまとった男性が中央で一人でターンをし、再び歩きだしドアから出て行く
複雑に計算されたこの動き。静かに歩く姿は単に歩くのではない。地に根をおろしたような、美しく踊るようなステップで歩き(軽やかモデルウォークと違う)、目は一点を見つめターンは一種のトランス状態のよう。
見ている人にはすごく原始的、太古の儀式の一部を垣間見たかのような印象を与える。
昨日も書いたけどやっぱり不思議。何がベースになってこういうのが思いつくんでしょ。

さてさて、私の出番
今日はショティシュ・ワールドチャンピョンの初台本読み合わせ。
これについては以前も触れたけど、コンサートで、ショティシュというスウェーデンのフォークダンスをワールドチャンピョン決勝戦に見立てて2カップルが踊るのだ。コメンテーターは、国際試合ということでスウェーデン語、英語(米国人)、日本語(私)。なぜかお互いがお互いの母国語で会話しあうというなんとも不思議な設定。

私には「スウェーデンのスシ(寿司)はまずい」とか「ウィリアム・シェイクスピア」、「エンヤは最低」(本心じゃないです)など、カタカナをやたら言わせる台本。「日本語は分からないけど、何について言っているかたまに分かる」という風にしたいらしい。
でも、実はこれ。英語圏の国じゃ無理。例えば、アメリカ人に「マクドナルド」とカタカナ読みで言うと通じないけど、スウェーデン人には普通に通じる。これまた言語的共通点。

読み合わせの後は、ダンサーを交え実際の部屋へ移動。

いつもskype電話で使用しているマイク付ヘッドセットを装着してコメンテーターらしくスタンバイ。そしてダンサーを見てびっくり!ものすごい格好をしていた。
ダンサーの中にはダンスコース以外にも演奏コースからもいて、そのクラスメートの後ろ姿、本人のOKが出たので写真掲載。なんとTシャツとスパッツの上から競泳水着!
対戦側も負けてません。赤のテカテカ光るホットパンツの下に黒タイツ、白のランニングシャツに頭には7色ヘアーバンドとこれまた凝ったダサダサ・ルックで笑える!

一組はノルウェイ代表、一組はカナダ代表という設定で、ちゃーんとコーチもついています。もちろん審判も。伴奏はフルート一本。

テレビCM中(という設定)のウォーミング・アップから。コーチが「違う。この動きはこうだろ」などとダンサーと最終確認。私たちコメンテーターはその間、髪を整えたり携帯電話したり。
そして審判の入場を合図にキューサインが入り「ショティシュ・ワールドチャンピョンシップ2006にようこそ!」。
審判がコインを投げ、先行(先攻?)チームを決定。
踊りは完全な創作。ショティシュの典型的な構成は「前半は前進、後半はターン」この「前進」部分で、白鳥ジャンプ、ディスコ、雪かき、スピードスケート、ゴラムの真似など実にクリエイティブな動きを見せてくれる。
そこに私たちの「この動きは2004年パリ大会でも見せた余裕のジャンプですねー」などそれらしいコメントが入る。
そしてその後、ハプニングが起き…。さて優勝は果たしてどっち!?
(ネタばらしはこの辺で。リクエストあればコンサート終了後に結末に触れることに)
最後に「来年のシンガポール大会でお会いしましょう!」で締めくくり。

やってみた感想は…、台本の読み合わせの時と違い、ダンスのスピードと変化に合わせて私たちのセリフを載せていくので、タイミングがえらく難しい。書いてあることの半分しか言えないくらいの速度で進行する。通しで4、5回やってなんとかつかんだけど、台本が大幅変更の予定。

で、寮に戻ってくるとルッセカッテル(サフラン入りパン)を作っていた!
その話はまた明日。
今日はこの辺でおやすみなさい。

古いタイプのハルパ

2006-12-09 05:16:14 | 授業 その他
今日は昨夜に引き続き職人向けの週末セミナー。
このセミナーを私たち学生に公開したのは今年が初めてなんだって。なのに、私を含めて3人しか参加しなかったのは残念。
その他、一般参加者はぱっと見た感じ30人くらい。

毎年セミナーのテーマは違っていて、今年はガンマル・ハルパ。
古いタイプのハルパについて。
起源についての最新研究報告がペールウルフからあったり、ハッセ・イッレが演奏したり、その他は寸法や材質についての説明なども。先端に磁石のついた見たことのない計測器(アナログ)で木の厚みを測ったりもした。

古いタイプ
一本の木で作ることが多く(組み立てでない)、そのため小ぶりの楽器が多い。
そして、現在のf字孔と違い、丸穴が後方に開いているので前方に小さなハートの形をした穴が開いていることが多い。(ブリッジよりかなり後方の穴で音が小さくなるため)
写真もたくさん撮ったので、そのうちHPに整理するつもり。

細かい話はやはりわからなかったけど、展示の楽器を自由に見て回ったときに聞いた説明や、ペールウルフが今度、要点を英語でまとめてくれるというので、それでだいたい内容は把握できるでしょう。

弦やその他パーツの販売もしていたので、12本それぞれサイズの違う共鳴弦(つまり12種)を買うことにした(現在、私は2種類の共鳴弦)。
すると、「え?その楽器に使うの?」と。
いいでしょ。勝手でしょ。
「その楽器で音色にこだわるっていうの?」とでも言いたげ。ふん。
そういうのも、ハイレベルの職人さんなどなど色んなこだわりの人たちばかり集まっているからでしょう。

昨夜も似たようなことが。職人さんたちと弾いていて、自分の作った楽器がいかにこだわっているか「音だけじゃなく見た目も。ほらこの塗装、美しいでしょ」と言っていて、その後、私の楽器を見て「これとそれじゃ、全然違うよね!」って。ふん!それ、ウッレ・プラン本人に言えるものなら言ってごらん!そこにいるから!
といっても、からかってるだけって分かってるけど。
そうそう、ちなみに12種の共鳴弦を使うのは最近の流行。「その楽器に使うの?」の後、「はやってるだけだよ」とも言われた。
だってさ、流行ってるんなら試してみたいもん。
試したら感想を書きます。

写真左:コントラバスハルパ(kontrabas harpa)で、nyckel部分の曲線が美しいデザイン。
写真中:古くは楽器や音楽は悪魔の使いとされていた。働く人の手をとめさせたり、我を忘れて踊る姿からそう思われていたみたい。この写真で、十字架をペグの一つにだけ施してあるはそのため。
写真右:セミナー中の様子。

グルーブ感が出ていない

2006-12-08 23:15:18 | 授業 その他
「グルーブ感が出ていない」
今日、ウロフに言われた言葉。

以前、ブログで紹介したノリノリのスレングポルスカの話。ディッテとのリハでは「ジャカジャカジャーン!いぇーい!」って感じだったのに。
ウロフはヴェーセンというかなりノリのいいバンドをしてるから?その辺がシビアなのでしょう。テンポも落とすようにいわれたので、ウロフの頭には静かでグルーヴィーなイメージがあるみたい。

ともかく、私たち三人が全くかみあってないと言うのだ。テンポがずれてるとかではなく、もっと細かい点についてなので難しい。ウロフはよく歯車に例える。3人の歯車がぴったりかみ合っているかどうか。
ワン・フレーズだけを何度も何度も弾かされた。言葉では説明してくれないので、繰り返し繰り返しウロフが弾いて私が弾いて。その後、私と伴奏のもう一人、二人でそのワンフレーズを弾く。「時々良くて、時々だめなのが分かる?」と聞かれる。
うーん…。録音してみれば分かると思う。けど、弾きながら細かいところが聞こえない。
「ゆったりしたフレーズでも、この曲は常にタカタカタカタカという16部音符のリズムを常に意識して。そして、もっとお互いの音に耳を澄まして」と言う。「相手の楽器に注目するのではなく、ここに意識を持ってきて」と私たちの中間にある空間に握ったこぶしをかざし、ここの音を聞きなさいと。
よく分からないから言われたとおりにするしかない。もっと相手の呼吸を感じながら、言われた所あたりの音に集中して弾いてみる。そして、やっとOKがでた。OKといっても、方向修正が正しい軌道に載ったのでこの調子で頑張れというOK。
「でも。You...」と、ブルーグレーの瞳を私の方に向け「今弾いたフレーズの一箇所、オフビートを強調しすぎている」と。なんでダメなの??グルーブ感が崩れるの???ともかく、どっと疲れが。

写真左は学校、裏庭のツリー。
写真右は、フォシュタ・アドベント(先週末記事参照、第一回目のアドベント)なので、一本だけろうそくに火を灯している様子。

ニクラスによる影響とは!?

2006-12-07 23:03:54 | 授業 その他
やっとネットの不具合が戻る。

昨日も今日もコンサートのリハばかり。
コンサートの出番が増えていく。

少人数編成で弾くのは、
ワルツ、スレングポルスカ、中世の曲、ダンスの伴奏
のはずだった。でもここに
ヘルシンボリ・ポルカ(Helsingborgs polkan)
が追加。

暗い曲と3拍子の曲が多いということで、明るく2拍子のポルカが追加されたのだ。
先生いわく「ポルカやポルケットは、個人的な意見では軽いので(実際には英語で「It’s shallow.」と言った)好きじゃないけど」と前置きをした上で、それでもコンサートとなると1曲あるとスパイスになる、と。
全国のポルカファンの皆様、ごめんなさい。私もポルカはあんまり好みではない…。アイリッシュ・ポルカはいいけど、ドイツ・ビアホール風のポルカが苦手。でも確かに、一曲あると面白い。コミカルな雰囲気で楽しい曲ではある。
そこで早速リハを。一人がコードを弾き、残る3人でメロディ。
なんかシンプルじゃない?3人もメロディ弾くくらいなら違うことしたら?と思って私が尋ねたところ、「このままで十分。ニクラスによる悪い影響では」と言われた。
アレンジの授業であれやらこれやら習うと、みんな複雑なアレンジをしたがるらしい。でも、時には伝統に戻ってシンプルなスタイルの良さにもう一度目を向ける必要があると。
なるほど。そうかもしれない。それにしても3人もメロディは要らない気がするけど、ま、いっか。

ダンスの伴奏のリハも。こちらもなかなかアイデアが練ってあって面白い。
ゴットランドのスレンポルスカを、ダンサーが途中で部屋に入ってくるまでは、まるで演奏だけかのように弾く。で、そのあと演奏の音がフェイド・アウト。音楽がやんでもダンサーはしばらくポルスカを踊り続け、この後、リズミカルでモダンな創作ダンスに突入。
手をたたいたり足を踏み鳴らしたりしながら複雑な動きをする。
私たちが曲を弾き始めると再びポルスカを踊り始め、最後はツーステップのポルス(pols)ターンをする人もいたり、女性を抱え上げたり、掛け声をかけたりとエキサイティングなターンをそれぞれが全身で表現して終わる。かなりいい感じに盛り上る。
でも音楽がやんだ後に再び始まるところ、じっと凝視してカウントしてないと入りそこねるので難しい。

そして、さっき演奏ではないけどもう一つ頼まれてしまった。
ショティシュ(schottis)というダンスを使って、ワールド・チャンピョンシップ風にみせかけたバトルをやるらしい。そこで、プロレスの実況中継みたいにスウェーデン語、英語をやるので、日本語のコメンテーター役をやって欲しいと。
お安い御用。どうせ私の日本語が分かる人なんていないだろうから、緊張せずにできそう。来週のリハが楽しみ。

突然の出来事が三つ

2006-12-06 23:59:29 | 授業 その他
今日は突然の出来事が三つ。
一つは靴下と靴に穴が。靴下に穴って中学以来。いかに乏しい物資で頑張ってるかってことが分かる。でも…靴に穴って…、小学校ぶりかな。
二つ目は先生のニクラスが風邪でダウン。レッスンはキャンセル。
もう一つは学校が契約している怪しげなプロバイダーがダウン。
ネット世代としては、これがないとどうにも不安で仕方ない。急に外国にぽつり一人でいることを実感。

さてさて、授業がキャンセルで今日は一日リハーサル。
そして、学校からのお知らせなどのミーティングも。
今回は色んな話がでて、学校に関係のない人でも「へー、そんなことするのね」と思うような話題が多かったのでここで紹介。

・最後の第三回のコンサートはウプサラに会場を借りるかも。でも日にちに注意で、その頃の週末にウプサラでヴェーセンのコンサートがあるのでズラさないといけない。

・その別に、ストックホルムの音楽博物館で5月にコンサートができるかも。
確か何年か前に行ったことがあるニッケルハルパも展示してある博物館のことかな。

・ウプサラ大学のダンスクラブが伴奏を依頼してきたけど、どうする?って話。
面白いのが、無報酬と聞くとみんな「No」。「タダでも弾いてくれると軽くみられてはいけない。イメージに関わる」と言うのだ!そんなプロなみに上手くないのに、意識だけは「安売りしない」とはっきりしているらしい。結局「学校としてはお断りするけど、個人的に興味がある人が行くかもしれない」という返事をすることに。
それはともかく、こういう細かいプロセスがつくづく日本的だなぁ。(アメリカ人のクラスメートは、「それ、どこで?いつ?」と、行きたい人は行けばいいというノリ。)それが良い悪いという話ではなく、前も書いたけど日本人とスウェーデン人の共通点を多く感じます。

・1~3月にかけ各自テーマを決め発表しないといけないらしい。紙での提出の別に、数曲演奏も交えたプレゼンテーションをするというプロジェクト。

過去の例が、「ハーディガーディやチェロなど他の楽器の曲をニッケルハルパに応用」、「スモーランド地方の伝説を芝居にし、それに曲をのせる」、「古い本に書いてあるだけのダンスを音楽と共に再現」とか、「ゲームの電子音をニッケルハルパで再現」なんてのもあったみたい。(そ、それは…、マーケットが広がる…?)
他にも、フィンランド人が「フィンランドの音楽」、フランス人による「フランスの音楽」などなど…。

それじゃ、私は「日本の音楽」なんてのが無難?
この例を聞く前から、琴、三味線、沖縄のサンシンなど日本の弦楽器の曲で何かできないか調べてみるつもりではいた。
私の出身地では地区によって曲も違うという土着の曲がいくつかある。現在、実家がある地区では獅子舞が無形文化財に指定されていてその曲を使うこともできる。こっちの方が本当の意味でフォーク音楽だけど、「紹介」中心になるような気が。やはり弦楽器の曲から広げたほうがやりやすいかな。
それか、「ニッケルハルパ・アジア進出大作戦」なんてのもアリ?気候などメンテナンス面も配慮して、どうアジアにこの楽器の魅力をプロモーションしていくか!?
事実は未確認だけど、日本以外のアジアでニッケルハルパを弾いている/持っている人の話を聞いたことがない。とはいえ、アジア全体の嗜好なんて一人じゃ把握できないから非現実的か。
具体案はまだ何もないのだけど、旅の行き先をどこにしようと考えるのに似た楽しみがある。

パラレルな関係から発展形へ

2006-12-01 23:12:57 | 授業 その他
「パラレルな関係」ってまるでドラマチックなお話が始まるみたい。でも、違います。コード理論のまじめなお話。

ニクラスのアレンジクラス。
コード理論は入門程度しか知らないので、今日の授業は私には未知の域。
初めて知った概念で、英語はもちろん日本語でも何というのやら。

1、Mellan dominant
mellanって「真ん中」って意味じゃなかったけ?牛乳やビールの表によく書いてある。牛乳でlätt(light)は低脂肪乳で、メランは低脂肪と無調整乳との中間。メランのビールは、アルコールがlättの次に強くて3%前後だったかな。
で、メラン・ドミナントとは、なぜに「メラン」なのか謎だけど、ある調でそれぞれの音の5度上にあるコード。
例えば、Cメジャーの調で、Dmの5度上はAなので、Dmのメラン・ドミナントはAマイナー。

2、Dominantens dominant (DD)
言いにくいので、「ドミナント・ドミナント」と言っていた。文字では「DD」。「ドミナントのメラン・ドミナントがその調の”DD”」だそうで。私の怪しげな説明はここでは省いて例だけ挙げると、Cの調のドミナントはGで、Gのメラン・ドミナントがDなので、つまりCの調の”DD”は、Dメジャー。日本語では何と言うのでしょう?
なんでDDが必要になるかというと、
halvslut(曲の途中の区切れるとこ)のよくあるコード進行(Cメジャーの調の例):
DD→ドミナント
「Dメジャー」→「Gメジャー」
と動くパターンが多いらしい。

そこで、ニクラスがメンバーでもあるニッケルハルパ・オーケストラ(N.H.O)のCDの9曲目を。(一番新しい白いジャケットのCD。持ってる人は聞いてみて)
1のmellan dominant ackordと2のDDが多用されている例として、ニクラスが「ほら、ここがパラレル。ここはメラン・Dで、このhalvslutでDD使ってるでしょ。」と解説&巻き戻しながら、みんなでしばし聞く。

そうこうするうちにランチタイム。
写真は、ニクラスがおもむろに販売はじめた自分のCD。おススメCDでもRanarimというバンドはいいと書いたけど、そのバンドの最新作。今秋には新作発表ライブを日本でもやったとこ。
実は私はCDを買う機会は幾らでもあると思ってまだ買ってなかったのだ。買ってなくて正解。本人から買うと店頭より安い。
するとアメリカン人のクラスメートが「サインもちょうだい」と。やったね。「ムーラハルパの絵も書いて」「オクターブハルパがいい」とみんな言いたい放題。「サイン、日本語で書いて」と困らす私。「サイン、英語で書いて」と意味不明なアメリカ人。

そうそう。ランチ後、私がこないだの整体?の先生のHåkanに習ったストレッチをしていると、ニクラスが「それ、誰に習ったの?」って。Håkanのことはもちろん知っていてとても腕のいい人なんだって。
で、このストレッチ、実は長いバージョンのごく一部らしく、全体を教えてくれた。あんまり長いから皆でやってみた後、ホワイトボードに詳しく書いてくれた。ここに書くには長すぎるので別の機会に。

午後は、さらにコード進行のよくあるパターンをまとめた紙をつかって授業。
あー、それにしても。次の宿題。コードつけるの本当にキライ。
パラレル、メラン・D、DD、それとこのよくあるパターンを織り交ぜて、コードをつけて、その別にベースも作って3部構成にしてきてって。

授業後アメリカン人、「誰も曲にコードつけるときに、”そこはメラン・Dにしようよ。”とか、”ここでDDにしたら良くない?”なんて言う人いないのに。」と不満げ。
その通り。
でも、ルールを知ると可能性が広がるんでしょう…、と信じて。