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スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

楽譜のソフト

2007-04-27 23:18:14 | 授業 その他
今日はニクラスのアレンジ・レッスン。

それぞれ好きな曲を選らんで4編成のアレンジを作ってこないといけない。
来週のレッスンが最後で、ファイナルを飾る大きなアレンジを作ることになっている。
今日は途中経過発表。

作ったアレンジは他の人に弾いてもらわないといけない。
なので、この2、3日は集まって練習、練習。
なぜかこの宿題にピリピリしている人もいて、ちょっとでも間違うと
「私のアレンジは完璧なんだから、下手な演奏で台無しにしないで」と怒られる。
命令口調もいちいち気にさわる。
普段はいい人なのに。
昔、オーケストラの人が、指揮者の性格次第でとてもやりにくくなると愚痴っていたことを思い出した。
その当時、ふーんって聞いていたけど今は「そう、そう」と思う。

完璧でかっこいいアレンジを用意されても、楽しくない人と一緒にはやりたくないものだ。

さて私の番。ヴェルムランドの明るい2拍子の曲。
(Rejländer från Skillingmarkという曲。TVfolk.netの右上の国旗でSwedenを選択。
曲名(melody欄)から探すと映像付で聞けます)
「みんながくらーい曲ばかり選ぶから、ハッピーな曲を選んだ」
と私が言うと、ニクラス、
「スウェーデン人、暗い曲すきだからね。OK. Make me happy!」
(じゃあハッピーにしてもらおうじゃないの!)

4人に弾いてもらうので私は監督のように譜面片手にそばの椅子に座って全体の様子を見る。
そしてニクラスのアドバイス。
「ユニゾンの箇所は効果的。でも何度も使うのは良くない。1度きりにしたら?」とのこと。
ふむふむ。
そしてoutro(introの反対。曲のエンディング)がイメージ道りに出来なかったとアドバイスを求めると
「räka(エビ)とかつけたら?」
「はい?海老?
例としてニクラスは細かいクロマチックな装飾を弾いてくれた。
「これ、海老
へー!
変な呼び方!

別の人のアレンジで興味深い例があった。
テクノロジーの進化で、今は便利なことにパソコン・ソフト上で音をいじってアレンジが出来る。
もちろん便利なだけに危険もある。
イメージ通り自在に操れるからと複雑怪奇なリズムにしたり、みんなで弾いたときに
かっこいいコードになるからという理由で変な指使いをしないといけなったりする。
その人のアレンジがあんまり弾きにくいから「自分で弾いてみた?」と聞くと
「Oh no、まさか。優秀なプレーヤーなら問題ないでしょ?
パソコンで聞いたときかっこよかったからこの通り弾いて」
いやいや。
何かが違う気がする。
「ここのリズムが分かりにくいから弾いてみて」と言うと
「え?パソコンでやったから…。鳴らしてみないとわかんない」
これは非現実的なアレンジというのではないでしょうか…。

と言いつつも、便利は便利。
ということで楽譜を作ったり再生するソフトについて。
スウェーデンでも一番メジャーは「フィナーレ」というソフト。
無料ダウンロード版は制限が多いらしい(未確認)。まともに買うと数万円。

私はScore Magineという1000円のダウンロード・ソフトを使っています。
シンプルな楽譜を書く分には問題ない。
楽譜の編集、MIDI、そしてGIFとして保存するというメニューもあり。

書道と柔道と筋肉と

2007-04-24 23:31:14 | 授業 その他
今日は音楽理論の後、午後からFys(体育)。
午後からFysならランチは控えめにしないとお腹がちゃぷんってなるよね、と言っておきながら
出てきた料理がおいしそうでたくさん食べてしまった。
チキンのクリーム煮込みとパスタとライスとサラダ。

今日のFysは、ダンスコースの学生が「腹筋」「背筋」「肩のストレッチ」など各部分ごとに音楽に合わせて運動を考えてきていた。
過激なハードロックにあわせて腕立てうせを延々やり、再び軍の訓練所のような雰囲気だった。
休憩をはさんでアクロバット。何?ソレ?と思うとマット運動のことだった。
マット運動って…小学生が最後かな?中学ではやったかな?
前まわりや、横に寝てごろごろ転がったり(バランス悪いと斜めになってマットから脱落する)した。

他にも色々やったのだけど、ここでふと楽器と結び付けて思う。
皆をみていると、楽器のそこそこ上手い人はマットにしろダンスにしろ体を動かすのが様になっている。
逆に、「運動が上手い=楽器が上手い」とは限らない。あくまで「楽器が上手い→運動もさまになる」である。
(ちなみに私は…どうなんでしょ?
自分のこととなると全く客観的に見れず、分かりません。)

そこで思ったのは、筋力と弓を持つ腕の関係。
ニッケルハルパの弓づかいを習うと、「腕は完全にリラックスして力をいれない」と言われる。
でも力を入れなかったら、弓のコントロールなんてできない。
これは、柔道なんかで腕がリラックスしているように見えるけど、瞬間的ににパッとつかみに入る、あの筋肉の状態と似ていると思う。
緩み具合と緊張具合、この筋肉の使い方になれるのが早い人は楽器の弓の動きも覚えるのが早いのでは。
後は、日本独特の書道。これにも似ている。
筆はほどよく緊張感を残しながら、力は抜く。
ぱっと緊張がとけるのは最後の一筆まで神経を集中してから。
紙の上で早く動かしたりゆっくり動かしたり、リズムにのってまるで踊っているようにも見える。
弓も筆も「毛」だから、似ていて当然??
じゃあ、運動や書道にむいてない人は無理なのか、と聞かれるとそんなことはないと思う。
でも、普段から筋トレなりストレッチなり体をしなやかに保つことは大事かも。

クルニングでパオー!

2007-04-20 23:39:08 | 授業 その他
スウェーデンに来て何度も思ったことがあるのだけど
金髪や白髪でブルーの服を着ると、顔がぱぁっと華やかにひきたつ。
目がブルーだとなおさら。

白金髪で緑色の目の友人は、グリーンの大きなピアスをすると
アクセサリーと目の両方がひきたってさらに顔写りが鮮やかになる。
そういう意味で、黒髪にこげ茶のアジア人が顔色が華やかにひきたつ色って
何色なのかな?研究価値アリ!

ところで、今日はそんな白髪にブルーのタートルニット姿の優雅な女性が
フォークミュージック(民族音楽)の歴史の授業に来てくれた。
なんとも優雅で知的な雰囲気をかもし出す女性で、聞くとウプサラ大学で
音楽学の研究をしていて退職したそう。
関係ないけど、Ivarsdotterというファミリーネームも興味をひいた。
Ericssonは、知っての通り元々は「Ericのson(息子)」という意味だった。
dotterは「娘」という意味なので「Ivarの娘」という意味だ。
Johansson、Jonssonなど「-son」はよく聞くけど、「-dotter」には初めて出会った。

さて、フォークの歴史。
今まで先生を変え、何度か授業があったので何でまた?と思ったら
今日は分野が違っていた。
スウェーデン語ではFäbodmusik。英語ではPastoral music
つまり、放牧などで暮らしていた人達の音楽で
クルニング(後に説明)、笛などを含むスウェーデン西部に伝わる伝統。

その昔、家畜に十分に食べさせるため、夏に人里はなれた森までいって
そこに暮らしながら家畜の世話をしなければならなかった。
そんな中使われていたクルニング(kulning)とは、
家畜とのコミュニケーション
(実際のCDを聞いた。答えるかのように?牛がモーっと言っていた)
遠方の人とのコミュニケーション
(対人間なので、決まったメロディやフレーズがある/互いに決めている)
クマや狼を追い払う手段で独特な発声法
で、するどい金切り声をつかう。
高い声、低い声、お話モードなどあるので「イコール金切り声」ではない。
また伝統的に女性だけど、子供の頃からやっていたという
男性のクルニングのCDを聞かせてくれた。
男性は無理ということはないらしい。

人から聞いたクルニングとヴァルロートの話を書いたことがあるけど
今日の授業のほうが正しい。
その時のブログでヴァルロート(Vallåt)は対人間と書いたのは間違い。
"ヴァルロートはそんな人々から生まれた、もっとメロディがある「曲」だ"と言っていた。
また特定のスケールを使うのでヴァルロート・スケールを指す場合もあるそう。
クルニングは発声法自体を指している場合が多いらしい。

写真左:最近あちこちで咲いている花。
写真右:授業では、クルニングの周波数を読み取った機械の用紙やグラフ
喉の状態のレントゲンまで見せてくれた。
例は、CDや、今日はアグネタ・ストルペ(Agneta Stolpe フォーク・シンガー 9/29参照)も
一緒に授業をしてくれたので沢山歌ってくれた。
(Nordic Notesの"Ola Bäckström ソロ関連"にアグネタのCDあり)
クルニングも聞かせてくれたけど、数キロ先まで届くというからには
すごい音量でアグネタは教室を出て行きオフィスなどにも断りを入れ
廊下からクルニングを聞かせてくれた。

午後からは実践編!
私達もクルニングをアグネタのもと挑戦!
クルニングは、上体、喉をリラックスさせ、腹筋、腰にぐっと力を入れて声を出す。
なのでまずはストレッチから。
続いて発声練習。複式呼吸(息を吐くときに腹筋を使うのでお腹はへこむ)の練習。
複式呼吸に合わせて、両腕を振り下ろす。

「ヴァーサ・ロペットの要領でね」とアグネタ。
クロスカントリースキーのように両腕を一気に振ります。
その時に複式ではく息に合わせ、徐々に声を出していく。
もちろん喉は使わない。お腹から出た息を吐き出す要領。

スキー以外にも弓を放つマネなど、取り入れながら徐々にクルニングの発声練習をしていく。
結構、ひっくり返ったような裏声で恥ずかしいのだけど
言われた通りにやるとちゃんとそれなりの声が出るから不思議だ。
喉や肩、胸周りのリラックスが重要で、恥ずかしいと思ううちは固くなって難しいかもしれない。
(ここにきて一人、ヤダ!ヤダ!と言いだしソファに座って見学していた)

まずはPaoooo!(パオー)という一番簡単な発声から試す。
あっちもこっちも「パオー!」「パオー!」の大合唱でここはジャングルかのよう...。
私も負けずに「パオーーーー!

そしていくつか典型的なものを教えてくれ、それを使って二人ずつペアで会話してみることに。
部屋の端と端に別れ、相手が何か言い(クルニングで)こちらが何か返すというもの。
アグネタが一人ずつチェックを入れてくれる。
そして簡単なヴァルロートを習っておしまい。
あれだけ声をだしたのに不思議と喉は疲れていない。

今度、牛を見たら試してみるか!

アドリブ合戦!

2007-04-18 23:36:51 | 授業 その他
今朝、ダンスの先生アンドレアスに「シェーナ!」と言われて目が点。

朝は血のめぐりが悪いせいか、固まったまま何も答えられなかった。
朝食のテーブルについてから「シェーナってさっきアンドレアスに言われたんだけど。何ソレ?」と友人に聞いた。
「やあ!って感じの挨拶よ」と友人。
「ふーん。でも、ここの学生は誰も言わないよね」と私。
するとその友人「シェーナって、確か10年前かもっと前かに流行ったみたい」
ふーん。今つかうとダサいのか聞いたら、そんなことは無いと言っていたけど、
ここの学生が言わないから気にしてしまう。
実際のとこ、どうなんでしょ。

今日はニクラスのアレンジ・レッスン。
午前中は、最後の課題になっているアレンジにどう取り組んでいるかを一人ずつニクラスがチェックして回った。
そしてニクラスの持ってきたCDをしばし聞く。
楽器編成とその楽器の役割(メロディ弾いているとか)を聞いてノートに書き記す。
聞いたCDはGigaから出ているエルブダーレンのCDで、
ブズーキとチェロが低音で絡まって聞き取りにくい。

午後からは、「ソロ」について。
なんでアレンジの授業でソロ?と思ったら、ソロの演奏はメロディを自在に操る
アドリブ能力があると非常によろしいということみたい。

ある人は「アドリブは曲を忘れちゃったときのためのテクニック」と信じていた。
それも一理ある?

というわけでアドリブの練習。英語でもスウェーデン語でもimprovisationと言います。

GとEコードを2小節ずつ計4小節で1つのパートとし、
一人ずつ順番にアドリブで弾く。それ以外の人はコードを弾く。
なんでも勝手に弾いていいのならまだ簡単。でも、ニクラスはいろんなルールを用意して私達を苦しめたのだ。
まずは
1、2小節は前に弾いた人のスタイルをマネして弾く。残り2小節は自分で考えたスタイルで弾く。
それから
2、2小節は前の人のテーマを受けて弾く。残り2小節は自分のテーマを持って弾く。
3、ポーズ(休止?)をたくさんつかってリズムをくずす。
4、ベースノートと和音で弾く。

そして違うコードでも試した。
ニクラス流なのか一般的なのか分からないけど、複数のコードにまたがってアドリブする時のテクニックについて。
それぞれのコードに共通する音を拾ってスケールを自分で作るのだそう。
そのスケールの音を弾いている限り安全だという考え。

そして最後はアドリブ合戦!
8小節のアドリブ→4小節のアドリブ→2小節のアドリブ→1小節のアドリブ
と順番に一人ずつ回ってくる。最後は1小節ごとで、なんとも気ぜわしい。
みんなしてげっそり。

ニクラスは友人と「1拍ずつ」というアドリブごっこ(?)をやったことがあり、面白かったと言っていた。
いやはや。

イースターホリデイのお知らせ

2007-04-05 23:31:38 | 授業 その他
明日からしばらくイースターホリデイ。
次の授業は4/16から
その間は楽器製作や友人を迎えたりするので、たまに更新する程度です。

そういえば、昨日はゲストが3人いたと書いたけど、実はもっといた。
ミカエル(以前、ウロフ一押しの若手職人と書いた)。
ウロフの見解では前途有望、エスビョンの作品並みにきっちりつくっている、
価格はこれから上昇間違いなし(現在は23000kr)。
彼もこの学校の卒業生で、おそらくエスビョンのもとで製作を習ったと思う。
と言うのも、初めてみた彼の楽器は細部がエスビョンの楽器にそっくりなのだ。
音色はすてきな柔らかい音、そして小さめボディで、
イマドキの傾向をばっちりつかんでいる。
この楽器が23000krって良心的。
彼の評判がかなり広まっていることを思えば、経験年数が少ないからと謙虚にやっているのかも。

実はこの数日、ビザ(滞在許可)関係でかけずりまわっている。
そして、今日も学校から校長のサインをもらった手紙を受け取ると、
スキャナーを借りるため10kmほど離れたエスビョンの家へ自転車をせっせとこいだのだ。

その時に、上記ミカエルの件を聞いてみた。
「似てない?」
「オー、イエス。他の人にデザインをコピーするならどうぞと、
いつもオープンにしてるからね」
それにミカエルは先日エスビョンちに泊まっていたらしく、私が目にした楽器も
当然エスビョンは見ている。
「でも、ここはそっくりだけど、これはなかったでしょ?」というエスビョン。
なるほど、よぉく見ると違う。
「もっと先を作ると、細部の違いが分かるようになるよ」
ふぅーん。
「で、色とか考えてる?」とエスビョン。
それが難しいのだ。
エスビョンは主に2色で、表板がライトブラウンで横や裏板は濃い茶色。
キーボックスも木目が最大限に生きるようにカッティングも色も考えてある。
そんなの見せられたねぇ…違う色って思いつきにくくなる。

「キーボックスを黒にしたいとか言わないよね!?」とエスビョン。
この黒は古い時代の楽器から来ているのだけど、エスビョンの意見では
木目など木の美しさが台無しになるそう。
好みでなければ避けたい、と。(もちろん注文には応じる)

すると、スキャナーを借りに来ただけのはずが、
「色といえば、秘蔵のハルパを見せてあげる。おいで」
と階下へ。
木箱を開けると、そこには明るいレッドブラウンのシルベバスハルパ(silvebasharpa)が。
200年ほど前の楽器だそうで、木目が美しい。
古さもあいまって均一な塗装ではなく、まるでゆっくりと熟成したワインをグラスに注ぎ、
日にかざしてみたような印象。

「このニッケル(鍵盤)のカッティングも当時の楽器としてこんな腕のいいのは
見たことが無い。これを見本として今の楽器を作っている」とエスビョン。
確かにシャープで美しいカッティングだ。
弓も美しく作ってあり、当時のものとしては優れた腕の職人に違いない。

当時の弓は面白い。弓の毛をピンとはるネジはついていない。
弓を持つ人差し指で毛をぐっと押さえ、親指で毛を外側へ押し、張りを出すのだ。

さて、話は長くなったけど、今日はディッテと個人レッスン

すると…昨日のヤツラがいるではないか!
アンデシュとエリック。マグヌスはウロフを選んだよう。
昨日から、教育方法を見学に来ている。
プライベートレッスンなのに。二人もギャラリーがいるなんてヤダ!
ディッテから、一切口を挟まないように言われた二人は無言で正面から私を見つめる。
なんでよ!先生の指導法を見にきたんでしょ。あっち向いたらいいのに。
というものの、始まると全く存在を忘れてしまった。

レッスンの合間には、以前から疑問の「立って弾く姿勢」を質問。
ゴムのバンドを使うようになってから、楽器がペタンと寝てお腹にくっついてしまうのだ。
ディッテによると、バンド左側部分のゴムに固い布を縫い付けるといいらしい。
弾力がありすぎて、上に持ち上がらないのだ。
いい布を探してきたら、またここで報告します。

アレンジ授業

2007-03-28 23:48:35 | 授業 その他
昨日は、ニクラスの宿題をめぐってあっちもこっちも喧嘩になって大変だった。
今朝は、みんな大丈夫かな?と心配していたけど、そこまで子供ではなかった。
元々、発端となった子(最初に怒った子)は、昨日の行動パターンから分かるようにあまり人がどう思うかというのは気にしない。
なので、今朝はそんなことあったっけ?という感じでご機嫌。
まぁー、元通りで一安心。

そして何も知らないニクラスを前に、授業は宿題の発表から。

宿題は、4編成のアレンジを考えてくるもの。
今回のルール: 曲前半はリズム中心のriff、曲後半はベースとコード。
3度で動くようなハーモニーは使わない。

ニクラスの宿題は毎回気が重かったのに、だんだん面白くなってきた。
4つの音(4編成なので)が重なったときにどう聞こえるか、自分のイメージを音として作り出す。あーでもない、こーでもない、といじるのは楽しかった。
みんなも同じように感じているみたい。

午後からは、今までの総まとめとして、
・リズミカルなリフ
・3度(4度や5度も)で動くハーモニー
・コード
・ベース
・ベースと一緒に動く伴奏
の全部を含んだ伴奏の実例を。
とても、複雑な動きのものだった。

そして、効果的なリズムや、くずし方の例。
一つ興味を弾いたのは「Hemiol」。
名前があるとは知らなかった。
この例はビス・カレの一番有名な曲(Polska No.32)のBメロで見られる。
メロディーが2拍で1セットになっているため、3拍子なのに2拍子的に聞こえるのだ。
伴奏についても、こういう曲で2拍子的なフレーズを使うとスウィング感が出る。

それから、効果的なイントロ、アウトロ、メラン・スペル(間奏)についても。

最後のアレンジ授業の発表は、まるでコンサート風にしたいとニクラス。
次回は、最後の曲のアレンジ計画書(?)みたいなものを作らないといけない。

そこで、私。
「ハイ!ニクラス先生、質問!」
素朴な疑問。ニッケルハルパ・オーケストラ(N.H.O.)でアレンジを考えるとき、実際どうやったのか。
適当に弾きながらカッチリしたアレンジを組んでいったのか?
すると、3枚のCDはアプローチ法が異なるのだそう。
「頭で考えてみんなで弾きながら決めた("Till Eric", "Byss-Calle")。3枚目は、それぞれを誰かが考えて全てのアレンジを譜面にして弾いた」のだって。

ニクラスって、毎回書いているけど、本当に本当に上手い。
左指の世界選手権なんてのがあったら、間違いなく優勝。
(置いてある楽器をつかむ手も早い!)
左指は誰よりも早く誰よりも正確で、感心するよりあきれてしまう。
どれだけ早いフレーズでも指が物足りなそうにしているのが見て分かる。
せっかちではない。きっと頭の回転が早いんでしょう。
理論についての質問、実例など、間髪いれず早口でわーっとまくしたてながら、指が同じ速さでついていく。
他のプレーヤーなら、一呼吸(2秒とか)はおくね、きっと。
ニクラス、ばんざい

特別講師、アンデシュ・ラーション

2007-03-23 23:43:39 | 授業 その他
昨夜この学校でコンサートをした「Anders och Patrik」は、めちゃめちゃ良かった!
みんなが楽しみにしていたのも納得。
知らなかったけどかなり有名だそう。

私の場合、コンサートはいつも一発目の曲で好きかどうか決まる。
この二人はまさに一発目ノックアウト・タイプだった。
アンデシュがマンドーラと歌。
パトリックがバイオリンとハーディンフェーレ(ノルウェイの民族楽器)。
(パトリックは、今はマールンの有名なフォーク・バイオリンの学校で先生もしている)
レパートリーはスウェーデン西部やノルウェイ中心。
(私的には「ヘビー級のビートと遠く響くメロディ」系)

この二人の演奏のかけあいは、漫才でも見ているかのようでゲラゲラ笑える。
言葉じゃなくて目線や表情だけで笑えるって不思議。
だけど、ホントに見ててハラがよじれる。
アンデシュは、「不思議の国のアリス」に例えるなら、白バラを赤いバラに必死で塗りなおしている庭師。パトリックは女王の側でラッパでも吹いてそう。
絶妙のコンビ!

スウェーデンで「コンサートとダンス」と書いてある場合、前半1時間ほどコンサートをして後半はダンスの伴奏(もちろんお客さんが踊る)。
終了時間は、開催場所やプレーヤーによるけど私の経験では大抵「踊る人がいなくなるまで」。

そして、なーんと!
彼らは7時から23:30まで、4時間30分弾き通したのだ

休憩は2回だけ(うち一回は「ニッケルハルパを弾け」と言われ私たちが弾いた)。
さすがに23時を過ぎる頃には、演奏と演奏の合間の動作がスローモーションになっていた。(演奏自体はダレてない)

多分、相当つかれているはず。
二人が交互に(一緒じゃなく)演奏することが多かったので、それで体力をつなでたのかな。
でも、交互だと踊るほうもたまったもんじゃない。
間髪いれずメドレーのように二人が入れ替わり立ち代り音を出し続けるから、こちらだってノンストップだ。
(ハリングを踊る様子の写真、昨日のブログに掲載)

今回、特に面白かったのは、歌一本でダンスの伴奏をしていたとこ。
ソロの歌のみで踊る機会はそうめったにない。アンダシュはとても伸びのあるいい声だった。

写真左:前半のコンサート
中央:彼らのCD
写真右:ダンス伴奏の様子

かわいそうに。このアンダシュ、その翌日つまり今日、私達の歌の特別講師で授業をしないといけなかったのだ。

うちの学校のダンスコースの先生アンドレアスと、アンダシュは一緒によく活動しているようで、その関係でこのコンサートと授業が実現した。

まずは、タコみたいな軟体運動から。
体をほぐし、顔も両手でぐにゃぐにゃします。

それから発声練習(音階と、アイリッシュでいうところのロールをまぜたやつ)。
そして6曲くらいならった。
主に、歌につける装飾などを習った。
ダーラナ西部の歌に細かい装飾をちりばめると、まるでアラブ風な曲に聞こえてくるから不思議だ。

合間にいろんな話をしていたけど、スウェーデン語だったので分からなかった。
授業後、友人のノートを借りて説明をお願いした。

スウェーデンでは、歌がメインのステージというのが昔からなく器楽メイン。
なので、アンダシュはイギリスで学んだそう。レーナ、マリア、アグネタなど有名どころのフォーク・シンガーはノルウェイから取っていると言っていたらしい。
でも、何を?パフォーマンス・スタイル?歌のテクニック?と今さら友人に聞いても、意味がない。「深く触れなかったからわかんない」と返された。残念。

ちなみに、この時買ったマリア・レーヨスのCD、帰国したらヤフーオークションで売るつもり。ダーラナ地方の有名シンガーで、ほぼ歌のみ、伴奏なしでしっとりいい感じで歌っていた。が、私の好みで、弦楽器の音色がない歌だけというのはちょっとしんどい。

moll, moll, そしてmoll

2007-03-16 23:14:56 | 授業 その他
友人Mは修士課程を後1年残して休学し、この学校に来ている。
この夏休みはアルバイト予定で企業に申し込みをしていて、ダメだった場合も想定し複数申し込んでいるそう。スウェーデンの新卒就職状況は悪いらしく、彼女は就職時に少しでも有利に持って行くためにと頑張っているのだ。

そんな彼女と夕食時に、「この学校を終了したらニッケルハルパを使って何ができるか?」というたわいのない雑談をしていた。そして、「ただの趣味でしょ?」と周囲の理解がなかなか得られない話、日本のワーク・スタイル(残業当たり前、長期休暇はほぼ無理など)について、色んな話をした。
その時の彼女のセリフは印象的。
「人生を椅子に例える話を聞いたことがあるよ。椅子の足それぞれが、”家族”だったり、”友人”、”音楽”、”仕事”など、人それぞれ。椅子の通り4本(4つ) の必要はないけれど…。でも、どれか一つにばかり体重がかかるとその椅子の足に負担がいって壊れるかも。どれか足が一本足りなくてもバランスが悪くって座れないでしょ。
仕事だって、欠けてはいけない一本の足だけど、そのうちの一つにすぎないし、そればっかり集中したらバランス悪くて座れない椅子と同じよね。趣味だって、一本の足と捉えている人には欠かせない大切なもの。どうやって人生を豊かにしていくかって難しいことだけど、このバランスって大事なポイントだと思う。」
そう言って、さわやかに笑っていた。

さて!タイトルの本題!
mollです。mollとは、「マイナー」つまり「短調」のこと。
暗い、くらーい調子ということ。

今日は、タンゴを練習した後、フィンランドのくらーい曲を習った。

タンゴはなぜか好きになれない。
この曲には「♪君が欲しくてたまらないのに~」と報われない恋を歌った歌詞があるそう。
「あぁ、かわいそうな僕(男の人の歌)!」と気持ちを込めて情熱的にジャジャン!と弾いてって。
そう言われても。ちっともそんな気になれない。
多分、主役が男ということもあり「アナタね、さっさとアキラメナサイよ」と他人事に思ってしまうせい?私とタンゴの相性はよくないみたい。
スウェーデン人にはエキゾチックな感じがするのかな。
みんなは気に入っていて、自分達のコンサートでダンスつきでやりたいと本気で言っている。
フィンランドで1900年初頭にタンゴ・ブームが到来したことと関係があるのかもしれない。

そうそう、フィンランドに話を戻すと、フィンランドのフォーク(民族音楽) は詩的なタイトルを持つ曲が多いそう。
ちなみにスウェーデンの場合、曲名は地名のままのことがほとんどで(その地方の曲という意味で)、とても実用的というか現実的というか…。

といっても、今日習った曲は「コオロギ」という名前。
正直、どこが詩的なのか!?
それともスウェーデン人に「まあ、コオロギってロマンチックね」と思う国民性があるのだろうか。

それはさておき、フィンランドの曲は、詩的な曲名を持つくらいだからメロディアスな曲が多い。なのでmoll(短調)の曲ともなると、暗い街道まっしぐらに突き進む。
ある人が「mollの種類には、”ren moll”、”harmonisk moll”、“melodisk moll”、そして”finsk moll”(フィンランド短調)がある」という名言を発したほど。(もちろん、フィンランド短調なんてそんなモノ、ありゃしない)
やはり、タンゴと同じで極端だからか今日の曲は私にはしっくりこない。

そんなくらーい曲を練習した後、もう一つ面白いことを聞いた。
ミクソリディという調。
日本語(カタカタ)では、ミクソリディアンだったかな?
例えばソから始まると、ソラシドレミファソ(ファはファ#でない)。

この調で適当に弾くと、澄んだ音がどこまでも高く遠く響く…そんな雰囲気。
(日本でのこと。以前アイリッシュでこの調のジグ(jig)を習ったことがあり、どんな感じがするか聞かれ「地に足のついた感じ」と答えた。
今思うと「調」の雰囲気ではなく、このジグ特有の「リズム」に対する印象だった気がする)

「さて、この調はどこで多用されているでしょう?」と先生ディッテ。
ハイっと友人E。
「ノルウェイ!」
なるほど。確かに。
ノルウェイって「谷を超え遠く響く」雰囲気の曲、多いもんね。

ということで、mollな一日でした。

アレンジ・レッスンの日

2007-03-14 23:31:21 | 授業 その他
写真右は今日のFika(ティーブレイク) 。

さて、ニクラスのアレンジ・レッスンの日。

先生のニクラス(Ranarim)は、ストックホルム在住のためか、いつも前夜から泊まり朝食から姿を見る。
そのニクラスを囲んで朝食中、友人Kが目の下にクマをつくって「グモロン...」(おはよう God morgon)とやってきた。
「昨夜は悪い夢みて眠れなかったの」と、友人K。
ニクラスをはじめ、みんなで「どうしたの?なんで?」と尋ねたけど、その子は「わかんない」と。
そして、ニクラスが先に席を立つと、すかさず
アメリカ人J「ニクラスがいなくなったから、今なら本当のこと言っていいよ。ニクラスの宿題のせいで悪い夢みたんでしょ!!」
すると友人K「イェース!全くそうなのよ」と。
アレンジを考えてきて発表する宿題、神経の細やかな人には前夜からかなりのプレッシャーらしい。
ちなみに私はソロだと緊張してヒヨコみたいに縮こまるけど、アレンジの宿題くらいじゃぁ熟睡できるので気持ちが理解できない。

さてさて、授業はさっそくその宿題の発表から。今回は
メロディ
コードに沿ったハーモニー
ベース(オクターブハルパ)
の3編成の楽譜を作りトリオで演奏するというもの。
なので、ハーモニーやベースの前にコード進行をじっくり考えてから。

私はビングシューの明るいポルスカをつかった。
(パンか何かの名前のタイトルがついている曲)
ディミニッシュはイマイチどう使ったらいいのかもてあまし、セブンスコードを多用した。
すると偶然?ブルースコードっぽいベースになり、ニクラスがえらく喜んでいた(←ちょっと変わった雰囲気に持っていくと喜んでくれる)
例の友人Kはダーラナ地方風の暗いワルツを用意していた。悪夢にうなされた割には、複雑なベースの動きでよく考えている。
ほほう!と聞いていて参考になった。

みんな自分の用意した曲を披露すると、いつものようにニクラスは、たった一度聞いただけで
「○小節目の○コードは3度じゃなくて、○コードの×度の音にしているのが良い…」
云々、矢継ぎ早にコメントを言い、色々と提案してくる。
ニクラスは、理論と頭と手(指)が完全に一致して一つになっている人。
ホント、毎回、恐れ入ります。

今日は特に新しいことは習わなかった。
前回やったディミニッシュ・コードなどの「実際と応用」について例を挙げ説明していった。

次回の宿題は
Aパート(曲の前半)
・メロディ
・ショート-リフ*
・ベース-リフに対するステンマ*
・ベース-リフ
Bパート(曲の後半)
・メロディ
・ベース
・ベース
・ベース
という4編成アレンジを考えてくる。

*リフ(英語でもスウェーデン語でもriffと書く)とは、
―メロディに対して、伴奏としてマッチし繰り返し使用するフレーズ

*ステンマ(stämma)とは、
―ハーモニーのような伴奏
「3度で動くステンマ」、「メロディにとらわれないステンマ」、「ベースに対するステンマ」など色んなステンマ・テクニックを駆使します。

「次回の宿題のBパート部分の練習」ということで、一人ずつさっそくこの編成でアレンジを書いて、さっそく出来た人から弾いていく。
「ベース3つ」をどう考えるかというと、単にコード進行を考えてそれに沿った動きにするだけ。
(慣れていないとありがちなのは、全体として音がまとまっていも、各パートで見ると低い音から極端に高い音に飛んだり「流れ」が無いことがある)

写真はその様子。ちなみに一番右はニクラスです。

いつもは正直ぐったりだったけど、なかなか面白くなってきた!

ディミニッシュ・コード...?

2007-03-02 23:38:47 | 授業 その他
昨日22時過ぎにトボトシュダグ(「トボの木曜日」音楽イベント)が終わって片付けた後、昨日書いたクラスメートを訪ねてヴェステルボッテンからきた人を交え、数人でセッションをしていた。私も途中から参加。

ちなみに、こちらでは(ここの生徒は。)セッションのことを「ヤム」と言います。
文字にすると「jam」。そう、ジャム・セッションのこと。スウェーデン語の"j"はジャ・ジュ・ジョとは言わないみたい。(Johan→ヨハンのように)
でも、翌日(つまり今日)はニクラスの授業がある!と思い、0時をまわる前に戻ることに。

早く帰って正解。今日のニクラスの授業も頭をつかって疲れた。

そういえば先週melodifestival(テレビ)見たよ!と8組中6位って健闘したねと言ったら、「出場できただけでもラッキー」とニクラス。
なんでも年間で3000曲位の中から選ばれた30~40曲だけがテレビ出場できるからなのだそう。

まず初めは宿題の発表から。
「宿題は練習しないとイタイ目にあうよ!(イタタ…、イタタ…)」とニクラスがホワイトボードに書き残していた。
さて練習の成果を見ようじゃないか!と、
「Make me happy.」(僕のこと喜ばせてね!)とニクラス。
「I’m sure I will make you laugh...」(笑わせる自信はあるよ)と、自分の宿題に自信のないアメリカ人Jの即答。

宿題は、ハーモニーとコードをつけ3編成の楽譜を作って3人で弾くというもの。
私は、自分のHPに楽譜も載せている「Flodensdöd」をつかって。
1小節目のハーモニーを「ララシbbララ」とし、コードは「D」にした。
一緒に弾いてと頼んだ友人に練習中「エジプトのファラオを連想してしまう」と言われた。
確かにオドロオドロしい雰囲気だったけど、あまり深く考えず手直しもしなかった。
するとニクラスが「クビント(5度)を使ったね!中世風になるから(今回は)使わないようにって言ったよね!」と。そうそう、前そんなこと言っていたかも。
「ファラオ」って言われた時に気づくべきだった。
ちなみに、文字にするとニクラスってひょっとして厳しい!?と思われてしまうかもしれないけど、全然そんなのじゃない。いつもニコニコして、常にイタズラ心いっぱいみたいな人。

今日の内容は、セブンス・コード、ディミニッシュ・コードを初め、C、C9やCadd9、Csusなどなど、ちょっと変わったコードの勉強。
良くギター用の本とかである「コード理論」のような内容ではなく、あくまで「和声とその機能」という視点の話。
特に「機能」を理屈でいじると酸欠になりそう。
スウェーデン語で一日中聞くのもしんどい。
音符や実際に弾いてくれたり例と知っている単語を頼りに一日中、空想
もとい、想像して話を聞いている状況。
とは言っても、授業終了後に英語によるQ&Aコーナーを設けてくれているので疑問はここで解決できる。

写真の右側
こういう書き方、はじめて知った。
C-dur(Cメジャー)の曲で、「Do→C」とコードが動くとき(oはディミニッシュを表す)、機能としては写真のように、ドミナントを表す「D」に「斜線」を弾いてその下に「5」、「7>9」と上に書く。つまり、「7thから9thになって、ドミナントのベース音が無いかわりに、5thがベースにきている」という意味。

後半は、Kadenser(カデンツ、トニックやドミナントなど)19例、次から次へと弾いてくれた。
19例ともそれぞれ例となる19曲を挙げて。
ともかく、早口に機能を説明しながら弾く指もコードを思いつくスピードも速い速い…。
「こんなの慣れだから。すぐに出来るよ」とニクラス。
本当?

ブロール・ユート美術館

2007-02-28 03:48:53 | 授業 その他
今日は、学校からみんなでウプサラへ。

まずは、 ブロール・ユート美術館(Bror Hjorths hus)。
このブロール・ユートは、スウェーデンを代表する芸術家の一人で実際に住んでいた家を改造、増築している。(写真左上は、美術館の門)
作品は彫刻、絵画などなど。ウプサラ駅前の大きな像は彼の作品
テーマは音楽、愛、生活などで、とくに「愛」については、今も昔もかなり議論を呼んでいるらしい。ウプサラ駅前の像もそうだが、アソコの描写を誇張している。

ビングシュー(Bingsjö)を代表するバイオリンプレーヤー(もちろんフォーク・バイオリン)ユート・アンダシュ(Hjort Anders)、同じくウップランド地方を代表するヴィクスタ・ラッセ(Viksta Lasse)と、ブロール・ユートは交流が深かった。

その息子であるウーレ・ユート(Ole Hjort 1930年生れ 写真右上はGIGAから出ている彼のソロCD)は当然これらのプレーヤーと小さな頃から親しみ、現在はウップランドを代表するバイオリンプレーヤーだ。かつてはロイヤル・オペラ・オーケストラのバイオリニストでもあったので、腕前は確かだ。
このウーレの案内で今日は美術館を案内してもらった。

これらのプレーヤー、他にもフォークのジャンルでは有名なオーガスト・ボリン(August Bohlin 今ある形のクロマティックニッケルハルパを完成させた)などの絵もたくさんある。
美術館は、ブロールの展示と、その都度入れ替わる展示をしている。(写真左下は受付)
今はElsa Beskowという昔(友人は100年位前じゃない?と言っていた)の絵本作家。登場人物の服もアンティークでとても素晴らしい。友人達は口々にほめていた。教科書でもこのElsaの絵が未だに使われるらしい。

一通り、ウーレに案内してもらった後、数曲弾いてくれて後にした。年齢は結構いっているはずなのに、音色は衰えをしらず素晴らしい演奏だった。軽やかに情熱的に弾いてくれた。

その後は、すぐ近くのウプサラ大学のカフェテリアでランチ。
62krでメインを選べて、サラダバー、パン、飲み物、コーヒー。
パンとコーヒー抜きは55kr。
他にも色んなメニューがある。
やはりスウェーデンに特徴的な、明るい色の木をふんだんに取り入れ、トレイも明るい色の木で光もたっぷりそそぐ明るいカフェテリアだった。

その後は、歩いて15分ほどのところにあるSOFIという資料館へ。
ここには”folk life”についての資料が保管されている。
folkを日本語で"フォーク"とすると、”70年代フォークソング”かのような。
「民族」と訳すとこれまたピンと来ないと言われそう。
つまり、「伝統的な文化」についての資料が置いてあるということ。
例えば、「ゴットランド島の18世紀の結婚式で使われていた手袋について」など調べられる。もちろん「音楽」のジャンルも置いてある。

原始的なのだが、まずカタログ室へ入ると、地方、ジャンルなどカテゴリー別に分かれた小さな引き出しがたくさんあり、インターネットでキーワードを入力して検索するように、自分の調べたいキーワードを元に探していく。
小さな引き出しを開けると、小さな図書カードのようなカードがぎっしり入っている。そこに資料の名前が書いてあるので、それをメモして受付へ持っていく。
コピーはA4サイズで一枚3クローネ。コピーを頼む場合は、後日受け取りに再び行きます。

実際にどんな資料を保管しているのか見せてもらった。
百科事典のような分厚く古い本を開くと中は全て流れるような手書き!地方による衣装など詳細を絵でも書いてあった。
また、別の資料は、楽譜で5線も含めて全てカードのようなB5 ほどの紙に手書き。裏にはびっしりと文字がかかれていた。
そういった、古い資料ばかりなので貸出はしていません。

人間工学?

2007-02-27 23:53:51 | 授業 その他
今日は、ergonomiskの専門家によるレクチャー。
辞書をひくと「人間工学の」というなんとも恐ろしげで不可解な日本語が出てきた。
要は筋肉とかエクササイズとかに詳しい人ってこと。

1ヶ月前に、姿勢を見てもらうため一人ずつ、演奏を4方向から映したDVDを送っていた。これを見た、

専門家先生による所感
注:ニッケルハルパのことはこのDVD以外、何も知らない。

--人の正しい姿勢を考えるとこの楽器は、立って弾くものだ。
座って弾くと、骨盤が傾き重い楽器で不均等な負担が体にかかる。
--椅子に座って弾くときは、角度(前下がり、後ろ上がり)を調整できるような椅子が好ましい。椅子の背に座って、半分立ったような姿勢もOK。
一番良くないのは、膝の上に置いたニッケルハルパを猫背で構え、顔を上げた状態。
せめて、首からバンドをかけまっすぐの姿勢で弾いたほうがいいとのこと。

その後、楽器をもった立ち姿を一人ずつチェックして行き(私は背中の筋肉が極端に少ないといわれた)、演奏の姿勢から分析した効果的なエクササイズをいくつか紹介してくれた。

全部は書ききれないので、二つ紹介。
1、椅子に座り、右手で椅子の右側を持ち、左に体を傾ける。左手は傾けた頭に添え、軽く左へ力を加える。(右の首から肩のストレッチ) →反対側も同様に
2、壁を両手で押し、腕立て伏せのような運動。これは平らな壁ではなく、コーナー(角)を使う。コーナーでやると、平らな壁や床よりも深く出来るので(平らな壁だと頭を打ちつける)。これは「筋トレ&肩甲骨部分のストレッチ」。

歌の話を少しだけ

2007-02-13 23:29:04 | 授業 その他
予告
興味のある人もいるかもしれないので予告すると、明日(2/14)はヨハン・ヘディン(Johan Hedin)が特別講師で来ます。
ちなみにこのブログは一日遅れで更新しています。(日付や時間は後で操作したもの)

音楽理論の授業は、いつも「授業+演奏/歌」という構成。
演奏か歌かは毎回選べるけど、今日は歌の楽譜しかなかったので、とうとう避けてきた歌をうたうことに。
避けていた理由は、
1、スウェーデン語の歌詞が覚えられない 2、つられる(ハモリのこと)
という訳で、つられまくって散々。歌詞もあきらめて♪Trala...と歌った。

ちなみにこの授業、「譜面を見て楽器なしで歌えるか」という基準で2グループに分かれている。
2グループとも参加していたと以前書いたけど、その後の演奏に参加できなくなるので、結局「楽器なしで歌える」ほうのグループに今はいる。
そんなに難しいことはやっていないので、音大出身者など数名この授業自体全く参加しない人もいる。

次回はレトヴィックのvallåt(ヴァロート)を歌う予定。
ちなみにこのヴァロートとは、英語では一般的にherding tuneと訳される。
人里はなれた山などで放牧などしていた人達が歌っていた(または角笛などで演奏していた)曲。
放牧の間、一人寂しくヒマをもてあまして弾いていた曲、なんてのも聞いたことあるけど。大体においては、そういう人々の間でのコミュニケーション・ツールだったらしい。
例えば「行方不明だったうちのヤギは見つかったよぉー!もう大丈夫だよぉ!」と、遠くのAさんまで歌って伝えたりするらしい。それが聞こえたBさんはが、「そっか、よかったね」と安心、といった具合。「携帯電話が無かった時代の話」という例えをよく聞く。

これと別にkulning(クルニング、クゥラ)というのがある。
このクルニングも上記と同じような人々の間で歌われたけど、目的が違う。ヴァロートが「対・人間」なら、こちらは「対・家畜」。
特別な発声法を使い遠くまで届く、するどい金切り声のようなもの。
これを歌う人に尋ねると、実際に家畜はよく言うことを聞いてくれると言っていた。
でも別の人からクルニングの説明として、上に書いたヴァロートと同じ説明を受けたことがあり、本当に対家畜だけ?と思うふしもある。
これについて、再びアグネタ・ストルペ(Agneta Stolpe)を講師に迎え授業があるので、もう少し詳しくかけると思います。
でも、私に「ひーっっ!!」って声、出せるのかな。

ニクラスのアレンジ・クラス

2007-02-09 23:07:49 | 授業 その他
前回は風邪でお休みだったニクラス。
なので、たっぷり時間はあったはずなのに、出された宿題(コード理論で習った変わったコードを可能な限りつけ、ベースアレンジもして、3部編成の譜面を作りトリオとして練習してくるというもの)を前日にバタバタ大慌てでやって当日は、
「宿題は、練習するもの!れー・んー・しゅー・うー!!!」
とおっきくホワイトボードに書いていた。そうは言うけど、でもねぇ…。

そうそう、ちなみにニクラスは次の土曜のmelodifestivalenというテレビ番組にでます。ラーナリム(Ranarim)というバンドとしてではなく、一ミュージシャンとして。誰かシンガーのために曲を書いたようなことも言っていた。スウェーデン在住の方は興味あればぜひ見てあげてください。

今日は、セブンスコードやマイナー調とメジャー調の違いを簡単にやってから、実際にコードに沿ったハーモニーを考える練習をニクラスの用意してきた譜面をつかってみんなで考える。
端から順番にあてるので久々にドキドキした。
私のこのとを、お辞儀しながら「~さん、では9小節目は?」と言う。もちろん、私はお辞儀なんてしない。第一「~さん」なんて日本語どこで覚えてきたんだ???(←日本で覚えたんでしょうけど)

みんなでやった練習とは
・書かれているコードに沿ってハーモニーを作る
・書かれているハーモニーに沿ってコードをつける
そして、Eklundapolskaをコード進行の違うハーモニーを即興で4通りほど弾いてくれた。「ここはシックス(6度)、ここでタシュ(3度)、ここはクヴィント(5度)」と言いながらかなりの速度で次々弾いていく。すごいなぁ。
面白いなと思ったのは、「5度の和音は連続して使わないように。これをやると中世の曲みたいなるからね」と。
へぇぇぇぇ、中世風って…。

その後は、二人一組に分かれて別室で、楽器を使わず譜面だけでハーモニーを作る。
Jと一緒に、senpolskaを選び、まずはスタンダードなものを考えた。
次に私が「最初はしっかりした出だしで低く始めてその後、盛り上りで高い音にしたい」と言って二人であーでもないこーでもないと言っていると、巡回中のニクラスがやって来た。
私がイメージを伝えて、でも最初に低い音を出してもなんか違うというと、
「じゃあ、こういうのは?」とジャカジャーン!とダブルストップを多用してまさに私のイメージ通りに弾いてくれた!すごいね、さすがニクラス。

名付けて「ミッキーマウスマーチ」

2007-02-06 23:50:13 | 授業 その他
今日は学校の調理師が誕生日。白髪の年にみえないので、おそらくもともと白金髪で、白髪と混ざってるのかな。そう思わせるようなとてもきれいなサラサラヘアで、私服もスカーフ遣いなどおしゃれ。午後のFIKAに花をあげてみんな歌うと、泣き出してしまった。

以前、日本では誕生をどう祝うの?と聞かれて困ったことがある。
習慣としては祝わないんじゃない!?と思って。
スウェーデンでは、お決まりの歌(♪100年は生きるよ!)を歌った後、誰かが代表して”4倍長生きを!”(みたいな内容の決まり文句)を言った後、全員でhurra! hurra! hurra! hurra!(フレー!フレー!の意味)と4回いう。そしてカードとプレゼントを渡す。学校や家庭だけではなく、職場でもやる、と言っていた。もちろん全員の誕生日をチェック済みで、数日前から歌うタイミングなど軽く打ち合わせる。

日本は決まった形はない。あるとしたら、ケーキにロウソクを立てて、外国から入ってきた「♪ハッピバースデー」の歌を歌ってろうそくを消す。それか、カットケーキを買う、プレゼントを渡す、くらいでは?由縁は知らないがどう考えても外国くさい。
これをするのは学校のお誕生日会か、外国風のこと(クリスマスとか)をする人々ではないかと思う。
私はしない訳ではないけど、うっかり当日に離れた実家の両親や友人の誕生日を忘れてしまってることがある。その話をこちらでするとびっくりされた。
もし私のこの、日本では昔から誕生日を祝う風習はないという推測が本当だとしたら、それはそれで寂しいなぁと思う。

午後は、演奏と歌の授業。
演奏の授業では名付けて「ミッキーマウスマーチ」について。
これは、「弾きたくないけど、人からお金をもらうなどして、弾いてくれと頼まれる曲」をディッテがこう呼んでいるのだ。
演奏を職業にしなくても、”結婚式で”、”パーティで”、とやたら頼まれるだろう、上手く弾けるようにして自分のもの(アレンジなど)しておくといい、という訳。
これは2/1にvikの学校と音楽交流をしてどうだったか、という話から逸れてこの話題になった。(vikの話とは、こちらは楽器の特徴やアレンジを準備してから行ったのに、あちらは全然。しかもニッケルハルパの特徴を知らずに「適当に長い音をだして」などと言ってくる。ニッケルハルパでシンプルなロングトーンの伴奏は向かないのに、という別のグループの話)

この「ミッキーマウスマーチ」に挙げられたものは、
Gånglåt från Äppelbo, Gärdebylåten, Delsbo brudmarsch, Gotland Brudmarsch, Jämtland burudmarschの5つ。(brudmarschはウェディングマーチ)
このうちGärdebylåtenを使って、それぞれ2、3人づつになりアレンジに取り組んだ。これは私が譜面から覚えた初めての曲。なのでばっちりハーモニーも暗記している。そうディッテ言うと、「それを頭から振り払って自分のをつくってみて」と。それは難しい。コードにそって自由に動くriffのようなものを作ってみたけど、全然パッとしない。

他にもディッテは自分の経験を振り返りながら、アメージンググレースを弾いてくれとか、あれがいい、これがいいと、楽器の特徴を無視してリクエストされてやっかいだ!という話をしてくれた。(アメージンググレースはニッケルハルパに向かないらしい。その時は、代わりにバイオリンで弾いたと言っていた)

私は日本で、普通に楽器の話をしていて、ハカセタロウの情熱大陸のアレを「弾いて」とか「弾ける?」とよく聞かれる。(ちなみに、出だしの♪ターラーララーまでしか知らない)
他には「童謡の”紅葉”とか、もっと一般的な曲も弾いたら?」とも言われる。
でも、クラシックバイオリニストのコンサートに行って、”♪ババンバ、バンバンバン~(8時だよ全員集合!)”を突然弾き出したらびっくりするでしょう。「場がなごむ」という点ではメリットなのかな。普通の曲も弾いたら?と言う人の多くは、このジャンルの音楽が苦手なのかもしれない。
結局は、友人の結婚式とか、イベントで弾くとか、ケースバイケースで答えはないのでしょう。