靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

整理、出したものは必ず返ってくる

2012-05-16 00:01:43 | 今週の整理
1.家が売れることにほぼ決定。あと一ヶ月ちょっとの間に移る必要がある。この家に八年、しかしホントよく物を溜め込んだもの。(笑) 毎日あれもこれもと寄付したりして手放し、軽くなっている。手放す快感満喫中。引越しはシンプルな生活へと背中を押してくれる

2.新しい引越し先、知り合いの紹介から目途が二つほど。希望の地域で見つからない場合はそこに入ろうという受け皿ができ、ほっ。どうやら野宿にならずにすみそう。家が無くなるという感覚の大きさをかみ締める日々。それは今まで当たり前に感じてきた物事を見直していく期間でもあり。

3.目の前の困難を越えていくための力は、その先に据えたビジョンにフォーカスすることで、内からふつふつと湧き上がってくる。

4.出したものは必ず戻ってくる。自身の内での昇華を心がけ、その時点での自分なりの最善を出していく

5.どんな教えもメソッドも、自身に戻るきっかけでありツールであり。自身に戻ったのなら手放すことも。

6.究極の場面では言葉でなく「感覚」。それでも言葉は最後の最後までそこへ至るツールであり続ける。

7.夏休みまであと三日。三ヶ月の夏休み!まとめのプロジェクト発表や行事続き。今日は早朝からフィンガーフードを届けにプロジェクト発表場所へ。


Have a wonderful day!
日に日に鮮やかな緑広がるアラスカより。

「心の現実」という救い

2012-05-16 00:00:18 | 思うに
電話口から懐かしい声。しばらく近況を話し合った後、

「実はひとつお願いがあってね」
少し低いトーンで友人が言い出す。何事だろうと耳を澄ます。
「話をね整理するの手伝ってくれないかな」
「話?」
「うん、今朝ぐらいから湧き上がってくる風景や情景があってね、何だかものすごくリアルでね。こういうの退行現象っていうのかなと思ったり」
「子供時代のこととか?」
「もっと前かな」
「・・・。生まれる前のこととか?」
「そうかもしれないな。それを整理するのを手伝ってもらえないかなと思って」
「・・・。書き留めたりすればいいのかな」
「う~ん、書き留めるというよりも聞いてくれて質問とかしてくれたら」
「今そこに何が見えますか?その目の前の扉を開けたら何がありますか?・・・こんな感じ?」
声音を変えゆっくりとした口調で少しおどけてみせる私に、
「そうそう、そんな感じそんな感じ」と吹き出しながら答える友人。
「三十分程かな、時間取れない?」


頼みごとをしてくるなんて昔からめったになかった彼女のこと、よほどのことなのだろう。隣の部屋から三女と次男がミニカーで遊ぶ声が聞こえる。引越し準備のダンボール箱の山に背を向け、ノートと鉛筆を掴み、少し暗めの部屋の赤いソファに座った。

最初は一人で話し続けていた友人、言葉につまると質問してみる、また話し始める、質問、そんな繰り返しを三十分程、2つのストーリーを紡ぎだした。声の調子から随分と疲れた様子の友人。

その後何日かして、この二つのストーリーのおかげでそれまで抱えていた心理的な悩みがスカンと解消したと友人が嬉しそうに電話口で言った。大きな悩みが嘘のように消えてしまったのだそうだ。二つのストーリーを胸に抱き暮らすことで、大きな支えになっていると。


私自身は「前世」が本当にあるかどうかということは「分からない」としか言えないと思っている。もしあるのだとしても、「前世」を知ったところで「だから何?」としか言いようがない、今を生きていく上でどんな必要性があるというのか、そう思っていた。

それでも今回の体験で少し見方が変わったかもしれない。内に湧き上がるストーリーを紡いでいくこと。そのストーリーが「救い」になるということはあり得る。それが「前世」であろうとなかろうと、それは関係なく。フロイトはクライエントの語る「前世のストーリー」を「サイキック・リアリティ(心の現実)」と呼んだという。人の奥底の深層意識が紡ぎだすストーリー。それらを形にすることで、今もつ悩みに納得する解釈を与え、前向きに次へと進むことのできる力が湧き上がることがある。

人の心は幾層にも重なっているのだろう。一つ一つ層をはがしていくことで奥底に立ち上がる「現実」があるのかもしれない。そんな心の紡ぎだす「現実」は目の前の「現実」の枠組みをずらし、がんじがらめになった自身を解放してくれることがある。単一の「現実」に繋ぎとめられた足かせ手かせを断ち切り、自由に羽ばたくことを可能にしてくれることがある。友人との体験を通し、そんなことを思っている。

こんな体験に連れ出してくれた友人に感謝しつつ。