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さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

酸味よりも甘味が先行 県内でも栽培「マイヤーレモン」

2024-12-01 15:33:34 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、瀬戸内の魅力を凝縮し、サッパリとした味わいの「レモン鍋つゆ」を取り上げた。国内におけるレモンの三大産地は、広島県(約4400t)、愛媛県(約1700t)、和歌山県(約800t)と、瀬戸内海に面した地域での栽培が盛ん。レモンにも様々な種類がある。
今週は和歌山県内でも栽培される希少品種「マイヤーレモン」を紹介したい。


【写真】和歌山県産の「マイヤーレモン」

マイヤーレモンはレモンとオレンジが自然交配した品種とされる。中国が原産で、日本の実業家がアメリカから国内に持ち帰り、兵庫県川西市の専修学校で栽培。昭和35年(1960年)頃、伊丹市の農家に譲渡され栽培が広がった。現在も伊丹市内での栽培が盛んで、市のマスコットキャラクターに起用されるほど。地域の特産品として定着している。

生産量が多くないため統計データは無いが、国内で栽培されるマイヤーレモンの約9割が三重県産とされる。栽培に欠かせないのが豊富な水分であるという。豊富な雨量と水はけの良さが栽培の条件で、国内の平均的な降水量の2倍近くの降雨がある三重県御浜町や紀宝町が主な栽培地。以前、紀宝町を取り上げた当コーナーで紹介のとおり。同様の条件が揃う和歌山県内でも栽培が進んでいる。

見た目は一般的なレモンと比べると丸みを帯びた形状。輪切りにしてみると外皮の薄さに驚くと同時に、香りの高さと果汁の多さに気付かされる。皮まで食べられるレモンと言われ、お菓子やジャム作りに重宝されるほか、一般的なレモンより果汁が2~3割多いことからジュースに使用されることも。酸味よりも甘味が先行する不思議なレモンである。

収穫は10月上旬頃から。収穫の開始時期は果実が緑色で、12月に入ると黄色のものが出回り始める。果汁たっぷりで魅力的な味わいのマイヤーレモン。ぜひ、食してみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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瀬戸内の魅力を凝縮 サッパリ旨い「レモン鍋つゆ」

2024-11-17 20:16:30 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、地域の特産品を組み合わせ、冬の食卓を彩る「柑橘鍋つゆ」を取り上げた。
様々な鍋つゆが親しまれるなか、元祖の柑橘鍋ともいえる存在が「レモン鍋」である。
かつて、筆者が住んでいた広島県では、冬の風物詩として飲食店で提供されるほど。
昨今は複数のメーカーからレモンを使った鍋つゆが売り出されるなど、ファンが増えている模様。今週は「レモン鍋つゆ」を紹介したい。


【写真】白菜との相性抜群の「レモン鍋つゆ」

筆者が購入した鍋つゆは、塩気を感じる鳥ガラスープをベースにしたもの。つゆの色は少し白みを帯びた透明で、爽やかなレモンの香りが漂う。チキンがベースであるため、鍋には鶏肉を入れることにした。

一般的な鍋の具材である白菜やエノキ、椎茸などを入れ温める。食してみると白菜との相性が良く風味が際立つ。鶏肉もあっさりと食することができ、素材の味を引き立て、箸が進む。一方で椎茸は互いの香りが邪魔をするのか、筆者にとってはあまり魅力的な味わいではなかった。

鍋のトッピングにオススメしたいのが中華麺。レモンの鍋つゆは、豆乳鍋のように、つゆを多く飲むことはないため、つけ麺のような食べ方になるが、レモンの風味と小麦を使った麺の食感が合う。つゆの楽しみ方としては、チーズを入れリゾット風にして食する方法がある。

2021年の農水省統計によると、レモンの収穫量第1位の都道府県が広島県(約4400t)、第2位が愛媛県(約1700t)、第3位が和歌山県(約800t)と、和歌山県は全国シェアの約1割を占める。

瀬戸内レモンの名で、広島県や愛媛県が産地として知られるが、実は和歌山県もレモンの産地。柑橘の一大産地として、レモンを使ったご当地ならではの商品が生まれることを期待したい。

(次田尚弘/神戸市)
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地域の特産品を組み合わせ 冬の食卓を彩る「柑橘鍋つゆ」

2024-11-10 19:30:01 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
11月7日、大阪管区気象台は近畿地方で「木枯らし1号」が吹いたと発表。昨年より4日早く、朝晩は冷え込むようになった。秋の深まりを感じるこの時期は、お鍋の季節の到来でもある。

昨今、豆乳鍋を筆頭に、豚骨醤油鍋やキムチ鍋まで、様々な「鍋つゆ」が販売され、冬の食卓のレパートリーが増えた方も多いのではないか。
先日、とある食料品店で「柑橘鍋つゆ」なるものを見つけた。柑橘を使った鍋つゆとはどのようなものか、実際に食してみた。


写真】柑橘の果汁と鶏ガラスープで作られた「柑橘鍋つゆ」

購入した鍋つゆには3種の柑橘が使われている。「柚子(ゆず)」「酢橘(すだち)」「柚香(ゆこう)」の果汁が配合され、塩味の鶏ガラスープをベースにしている。
使用されている食材は全て徳島県産。柚香という柑橘は徳島県の山間部でのみ栽培されている希少品種。柚子とダイダイの自然交配による品種とされる。

徳島県では「香り柚子、酸味酢橘、味柚香」といわれるほど親しみ深い柑橘のひとつ。筆者が購入した鍋つゆには、3種全てが配合されており、徳島県が誇る柑橘を凝縮した逸品である。スープに使用されている鶏ガラも徳島県産の「阿波地鶏」。大手航空会社におる地域振興のプロジェクトの一環で開発されたもので、地域の特産品の消費拡大を目指している。

鶏ガラスープであるため、鶏肉をベースに野菜を入れ、鍋つゆを注ぐ。食してみると柑橘のほのかな風味に薄い塩味を感じる。鶏ガラスープであるが強調し過ぎることなく、柑橘の旨味を引き立てる程度の薄味で、あっさりとした鍋を楽しみたいときにオススメしたい。

地域の特産品を組み合わせ、人気を博す鍋つゆの領域への挑戦。あっさり味の新たなジャンルとして、食卓に浸透することを期待したい。

(次田尚弘/神戸市)
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ロゲイニングやeスポーツ 「温泉」と「サイクリング」の融合

2024-11-03 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、和歌山市内の温泉が、有馬温泉の「金泉」と同様の「鉄泉」と、「銀泉」と同様の遊離二酸化炭素量が豊富な「炭酸泉」の両方を含む、ハイブリッドな存在であることを取り上げた。
有馬温泉では、地域が持つ魅力を活かした、新たな旅行者の獲得に向けた取り組みが始まっている。


【写真】多様な切り口で誘客を図る「有馬温泉」

過去に神戸市などが企画し開催された「サイクルロゲイニング」のイベントでは、有馬温泉を中心に六甲エリアなど、サイクリストのレベルに分けた6つのコースを用意。完走後に有馬温泉の好きな温浴施設で日帰り入浴を楽しめるというもの。

サイクルロゲイニングとは、自転車で特定の地域を巡るイベント。ロゲイニングとはナビゲーションスポーツの一種とされ、地図をもとに制限時間内にチェックポイントを巡り得点を集めるスポーツ。
有馬温泉では、周辺地域の美しい景観や起伏の激しい地形を組み入れたコースを設けるなど、神戸の自然資源を活かしたサイクルツーリズムが推進されている。

また、世界各国からサイクリストがバーチャルで参加し、有馬温泉から六甲山を目指すオンライン上のレースが行われ、後日、実際に現地でレースを行うオフライン型のイベントを開催し、世界からの誘客を図るなど、eスポーツとの連携も進む。

和歌山県内では鉄道沿線の活性化を目的としたサイクルロゲイニングが開催されている。
チェックポイントとされる観光地を巡り完走した参加者に、土産品を提供。人気を博し、和歌山県がサイクリング王国と称される所以ともいえるイベントである。

観光資源とサイクリングを組み合わせた取り組みが進む昨今、サイクリング初心者でも気軽に楽しめるものとして、市内の魅力的な温泉が活用されることを期待したい。

(次田尚弘/神戸市)
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金泉と銀泉のハイブリッド 高濃度の炭酸ガス、市内の「療養泉」

2024-10-27 16:37:21 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、茶褐色をした和歌山市内の温泉が、有馬温泉の金泉と同様の「鉄泉」であり、全国的にも珍しい存在であることを取り上げた。温泉分析表を見るなかで、更なる魅力が見えてきた。
今週は泉質欄で「含二酸化炭素」と記され、溶存ガス成分中の「遊離二酸化炭素」の含有量が多い温泉の効能を紹介したい。

和歌山市内の温泉の特徴を調べるなかで目に留まったのが「遊離二酸化炭素」の量である。有馬温泉には、金泉と銀泉の2種類があることを皆さんもご存知だろう。銀泉は金泉と打って変わって無色透明。泉質は炭酸泉に分類される。有馬温泉で炭酸煎餅が製造され温泉客に人気であるのはそれが理由である。


【写真】有馬の温泉やぐら(神戸市北区)

環境省によると、昭和23年に制定された「温泉法」により、地中から湧出する温水のうち、摂氏25度以上、遊離二酸化炭素が1㎏中1000㎎以上のものを、治療の目的に供しうる「療養泉」と定義している。有馬温泉の銀泉は1㎏中1000㎎以上の二酸化炭素を含み療養泉とされる。

和歌山市内の温泉もこの数値を上回るもので療養泉に分類される。更にいえば、金泉と同じ鉄泉であるため、いわば、金泉と銀泉のハイブリッドといって過言ではない。

炭酸泉の効能は、温泉に溶け込んだ高濃度の炭酸ガスが皮膚から吸収されることで血管を拡張し血行を促進する。欧州では炭酸泉が多く、医療にも取り入れられており「心臓の湯」として名高い存在。日本では全国の温泉の約0.5%程度と希少性がある。

有馬温泉の金泉と銀泉に類似する全国的にも珍しい湯が身近なところに。深まる秋を感じながら、自然の恵みを受けてほしい。

(次田尚弘/神戸市)
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