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さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

ミカンに代わる作物として 増加傾向にある「国産レモン」

2025-01-05 14:49:06 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号では、国産レモンを使用した「レモン酒」の作り方を取り上げた。防腐剤の散布がなく外皮まで安心して食すことができる国産レモン。加工品として活用される機会が増える昨今、国内の生産量は増加傾向にある。今週はレモン栽培の動向を紹介したい。

【写真】国産レモンの作付面積と収穫量の推移

農水省の統計によると、国内の消費量は約5万トン。内訳は輸入が4.2万トン、国産が0.8万トンとされている。約84%を輸入に頼っており、その多くはアメリカやチリなど、中南米からとなっている。
その背景は価格の安さに加え、年間を通して安定的な供給体制が確立されているから。国産レモンは夏季の出荷が難しい。 レモンの栽培適地は、年平均気温が17度以上で、最低気温がマイナス3度以上。三大生産地である、広島、愛媛、和歌山が、瀬戸内海に面する比較的温暖な地域であることはそれ故である。

レモンは寒さに弱く、氷点下になる時間が数時間続くだけで、外皮の障害や枝枯れ、花の減少などが発生する、デリケートな作物である。 栽培できる地域が限られるが、昨今、ミカンに代わる高単価な作物として、国産レモンの栽培が拡大している。
統計によると1990年の作付面積は約125ヘクタールで収穫量は約2000トンであったが、2021年には作付面積が約736ヘクタール、収穫量は約8650トンと、作付面積は約5.8倍、収穫量も約4.3倍と増加傾向にある。
広島県内では収穫したレモンを長期低温貯蔵により、国産レモンの流通が難しい夏季に出荷することで、高単価で販売できる仕組みを取り入れるなど、様々な工夫が行われている。 その背景には、ミカンの消費量の減少に対し、地域の特性と柑橘栽培の技術を活かし新たな収益源を求めているという複雑な状況も見え隠れする。

(次田尚弘/和歌山市)

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新鮮で安心の国産果実で 家庭で作れる「レモン酒」

2024-12-29 13:30:30 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、麦との相性が抜群で、酸味と香りが融合した「レモンビール」の味わいと家庭での作り方を取り上げた。
レモンを使ったアルコール飲料として代表的であるのが「レモン酒」や「レモンスカッシュ」。果実酒として扱われ、梅酒と同じ方法で、家庭でも容易に作ることができる。
今週は国産の果実を使ったレモン酒の作り方を紹介したい。


【写真】レモン酒の仕込み手順

レモンを使った飲料として親しみ深いのが、レモンウォーター。飲食店などでスライスされたレモンを大きな瓶に浮かべ、ほのかなレモンの風味が味わえるもの。
レモン酒の作り方はその想像を覆すものである。

レモン酒は梅酒の作り方と同様であるが、事前の下ごしらえに工夫が必要。
まず、レモンの上下をカットしたうえで、果肉に達するまでナイフを入れ、果肉の外側に沿って外皮を落としていく。
すると、まるで皮を剥いた蜜柑のような、果肉だけのレモンが現れる。

続いてレモンの果肉2個(約100g)につき、氷砂糖100gとホワイトリカー200㎖を用意。果肉だけになったレモンを3等分したものとレモンの皮(白い部分は苦みが出るので切り取る方がよい)を、保存瓶の中に氷砂糖と交互に入れ、最後にホワイトリカーを注ぐ。

冷暗所に置き、皮を1週間程度、果肉を数ヶ月程度で引き上げる。長く置いたほうが完熟し味わいは増すが、1ヶ月を過ぎれば飲み始められる。

特筆すべきは、レモン酒は国産の果実ならでは。外国産のレモンは輸送中の腐敗を防ぐため、人体に影響が無い範囲の防腐剤が散布されていることが多い。
産地だから手に入る新鮮な果実を使ったアルコール飲料。来年のレモンのシーズンに向け、皆さんも仕込んでみては。

(次田尚弘/和歌山市)
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麦との相性が抜群 酸味と香りが融合「レモンビール」

2024-12-22 15:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、酸味と香りが強い早熟の「グリーンレモン」を取り上げた。
まもなくクリスマスを迎えるこの時期。ふと、輸入食品の専門店を覗いてみると、クリスマスにちなんだ食材のコーナーの一角で、「レモンビール」なるものを発見。
レモンとビールの相性はいかほどか。今週は、レモンビールの魅力と家庭で出来る作り方を紹介したい。


【写真】グリーンレモンを使った「レモンビール」

レモンビールはビールにレモンを加えたもの。ビールにレモン果汁を加えて製造されるため、発泡酒の分類となるものの、酒税はビールと同じ税率になるという。
レモンの果汁が加わることにより、アルコール度数はやや低くなり、概ね4%から5%程度となる。

飲んでみるとビールとレモンの相性の良さに驚かされる。ビール特有の苦みがレモン果汁により抑えられ、フルーティな味わいが広がる。
それでいて、ビールの醍醐味であるキレやのどごしもあり、飲みやすくてさっぱりした味わいを楽しめる。濃い味付けの料理とも合う。

自宅でも簡単に作ることができる。ここで活躍するのがグリーンレモン。完熟したイエローレモンと比べ果汁が少ないため、量が必要になるものの、強い酸味と香りが味わいを際立たせてくれる。

レモンの量は好みだが、インパクトを感じるのは、350㎖の缶ビールに対しレモン1個というところ。
先に果汁をコップに入れ、ビールを注ぐ。想像以上に泡立ちするので注意されたい。
ビールの苦みが苦手な方や、深いコクを味わいたい方には、メープルシロップや蜂蜜を適量混ぜることもおすすめ。

この時期ならではのレモンビール。クリスマスの食事の席で一杯いかが。

(次田尚弘/和歌山市)
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収穫時期の違いで2つの呼び名 酸味・香りが強い「グリーンレモン」

2024-12-15 15:45:15 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、ポルトガルが原産の「リスボン」と、柚子の変異種とされる「日向夏」を交配した新鋭の国産レモン「璃の香」を取り上げた。
この時期に販売されるレモンは、緑色と黄色のものがあり、緑色のレモンには「グリーンレモン」の名が付けられている。


【写真】和歌山県産の「グリーンレモン」

しかし、グリーンレモンという名称の品種は無く、あくまで呼び名。一方、一般的な黄色のレモンは「イエローレモン」と呼ばれる。
いずれも同じ品種である両者の違いと、それぞれの魅力を紹介したい。

そもそも、呼び名が異なる理由は果皮の色に関係する。果実が若く果皮が緑色のうちに収穫されるため、グリーンレモンと呼ばれる。収穫時点では緑色をしているが1ヶ月程経過すると果皮の色が黄色くなり、一般的な黄色に変化していく。
外国産のレモンが黄色であるのはそれが理由で、グリーンレモンとして収穫されたものが日本に到着する頃には黄色になっているというもの。バナナと同じ原理である。

国産のイエローレモンは収穫後に貯蔵した後に販売されるわけではなく、あくまでも樹上で完熟したものを収穫し出荷。それ故に、10月から12月頃に収穫した早熟のグリーンレモンと、1月から4月頃に収穫した完熟のイエローレモンは同じ木に成ったものである。

グリーンレモンの特徴は、酸味と香りの強さ。料理や飲料において独特の風味を出してくれる。
一方、イエローレモンは酸味が和らぎ甘味が増し、風味も穏やかになり、果汁も多くなる。

今はグリーンレモンとイエローレモンの両方が出回る時期。食材によって異なる色のレモンを使い分け、最盛期ならではのフレッシュな味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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リスボンと日向夏を交配 新鋭の国産レモン「璃の香」

2024-12-08 13:31:31 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、果汁がたっぷりで酸味よりも甘味が先行する「マイヤーレモン」を取り上げた。
全国3位のレモンの生産地である和歌山県。レモン栽培は他の品種でも。今週は2015年から栽培は始まった「瑠の香(りのか)」を紹介したい。


【写真】サイズが大きく果汁も多い「璃の香」

瑠の香は、ポルトガルが原産の「リスボン」に、柚子の変異種とされる「日向夏」を交配して生まれた品種。登録上はカンキツ属の交雑種であるが、外観や利用用途がレモンに近いため、レモンの新品種として普及が進んでいる。

果実のサイズは200g程度と大きめ。親品種のリスボンの約1.3倍とされる。外皮が薄く、種が少ない。果肉の割合が約8割と実がしっかりと詰まっており果汁が豊富。

食してみるとマイヤーレモンほどの甘味は無く、レモンらしい適度な苦味を感じる程度でまろやかな味わい。香りは日向夏との交配種とあって、レモンの香りは控えめで、春柑橘のような香りがする。皮ごと調理でき、マーマレードなどの加工品として利用されることも多い。

璃の香の強みは、レモンに多い病気である「かいよう病」の発病割合が一般的なレモンよりも低いこと。一般的に約半数といわれる発病割合が、璃の香の場合は2割以下と耐性に優れた品種である。

黄色に熟した果実の収穫期は11月下旬頃から始まる。農水省統計(2021年)によると、主な生産地は静岡県で収穫量は6t程度。昨今は各地に栽培が広がっており、筆者は有田川町で栽培されたものを購入した。

香川県では、ブランド化を目的に県内で栽培されるレモンに「さぬき讃レモン」の愛称を付ける取り組みを開始。璃の香もそのひとつとされ、今後の栽培拡大を期待されている。

旬を迎えているレモン。ぜひ、県内産のフレッシュな味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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