Hippo dances with hormones
Hints from fly research for study of cancer, stem cells
July 2, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150702132305.htm
ショウジョウバエは癌を発症しないが、癌と幹細胞の学者たちはこのハエをたくさん研究してきた
特に、カバ/hippopotamusに似たような臓器の過剰成長を示した変異ハエである
ショウジョウバエのHippo経路は、細胞の増殖を阻害し、臓器の大きさを制限する
ヒトのHippo経路は、胚性幹細胞の形成、癌の増殖の抑制、傷の治癒と再生に関与する
今回のハエでの研究では、Hippo経路の破綻による異常な成長は、ステロイドホルモンであるエクジソン/ecdysoneへの応答に関わる遺伝子に依存することが判明した
「エクジソンは、ある程度はエストロゲンのハエバージョンと言える」
ハエの幼虫larvaeでエクジソンは変態metamorphosisを引き起こし、
羽や眼のような成体の構造が成虫原基imaginal discと呼ばれる小さな部分から出現する
[ハエの幼虫]
エクジソン→成虫原基→変態
エクジソンはエストロゲンやテストステロンなどステロイドホルモンと似た化学構造を持ち、性特異的ではないが、ステロイドホルモンと似たようなメカニズムで作用する(細胞内に受容体がある)
Hippo経路が壊れると、結果として過剰な成長が成虫原基に生じ、
それはエクジソン応答に関与するタンパク質のTaimanに依存する
この成虫原基の「腫瘍」において、Hippoとエクジソンシグナルの組み合わせによって活性化される遺伝子には、
通常なら生殖器reproductive organsの生殖細胞系幹細胞germline stem cellsでのみスイッチが入る遺伝子が含まれる
生殖細胞系の幹細胞の因子のHippo経路による活性化には、エクジソン応答遺伝子が必要である
Yorkieは通常はHippo経路の上流によって抑制restrainedされているが、解放unleashedされると、核内へ移動して、増殖と関連する遺伝子のスイッチを入れる
Yorkieはdisc tumorsにおいて発達増殖プログラムをengageするだけではなく、
生殖細胞系の幹細胞でのみ見られる異所性のectopicプログラムのスイッチを入れることができる
YorkieはTaimanは物理的に相互作用し、Taimanはエクジソン応答に重要である
[ハエの幼虫]
Hippo─┤ Yorkie
エクジソン→Taiman
Yorkie+Taiman→(生殖細胞系幹細胞遺伝子)→成虫原基→変態
Taimanのヒトで最も近い親戚はAmplified in Breast Cancer-1/AIB1(あえて訳せば『乳癌において増幅される因子-1』)であり、
この発見は、ヒトにおいて、AIB1と、YorkieホモログのYap1とTazとのつながりの可能性を指摘する
[ヒト]
Hippo─┤Yap1/Taz
ステロイドホルモン?→AIB1
Yap1/Taz+AIB1→癌幹細胞の増殖?
「ヒトの癌ではこれらのタンパク質の両方ともしばしば過剰発現しているので、我々はこの発見が癌の(特におそらくは癌幹細胞における)増殖メカニズムの研究と関連があるかもしれないと考えている」
http://dx.doi.org/10.1016/j.devcel.2015.05.010
The Ecdysone Receptor Coactivator Taiman Links Yorkie to Transcriptional Control of Germline Stem Cell Factors in Somatic Tissue.
Taimanはecdysone受容体コアクチベータ
YorkieはHippoの転写コアクチベータ
Braking mechanism identified for cell growth pathway linked to several cancers
June 26, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/06/150626095513.htm
YAPとTAZという2つの転写共役因子/コアクチベーターはHippo経路ではたらき、遺伝子の発現を誘導することで細胞の増殖を促進する
今回の研究で、この2つには自己制御メカニズムが備わっているbuilt-in self-control mechanismことを発見した
さらに、YAPとTAZは増殖を促進することに加えて、抑制性の遺伝子、例えばNF2(マーリン)を誘導して細胞の成長シグナルを抑える
http://dx.doi.org/10.1101/gad.262816.115
A YAP/TAZ-induced feedback mechanism regulates Hippo pathway homeostasis.
Hints from fly research for study of cancer, stem cells
July 2, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150702132305.htm
ショウジョウバエは癌を発症しないが、癌と幹細胞の学者たちはこのハエをたくさん研究してきた
特に、カバ/hippopotamusに似たような臓器の過剰成長を示した変異ハエである
ショウジョウバエのHippo経路は、細胞の増殖を阻害し、臓器の大きさを制限する
ヒトのHippo経路は、胚性幹細胞の形成、癌の増殖の抑制、傷の治癒と再生に関与する
今回のハエでの研究では、Hippo経路の破綻による異常な成長は、ステロイドホルモンであるエクジソン/ecdysoneへの応答に関わる遺伝子に依存することが判明した
「エクジソンは、ある程度はエストロゲンのハエバージョンと言える」
ハエの幼虫larvaeでエクジソンは変態metamorphosisを引き起こし、
羽や眼のような成体の構造が成虫原基imaginal discと呼ばれる小さな部分から出現する
[ハエの幼虫]
エクジソン→成虫原基→変態
エクジソンはエストロゲンやテストステロンなどステロイドホルモンと似た化学構造を持ち、性特異的ではないが、ステロイドホルモンと似たようなメカニズムで作用する(細胞内に受容体がある)
Hippo経路が壊れると、結果として過剰な成長が成虫原基に生じ、
それはエクジソン応答に関与するタンパク質のTaimanに依存する
この成虫原基の「腫瘍」において、Hippoとエクジソンシグナルの組み合わせによって活性化される遺伝子には、
通常なら生殖器reproductive organsの生殖細胞系幹細胞germline stem cellsでのみスイッチが入る遺伝子が含まれる
生殖細胞系の幹細胞の因子のHippo経路による活性化には、エクジソン応答遺伝子が必要である
Yorkieは通常はHippo経路の上流によって抑制restrainedされているが、解放unleashedされると、核内へ移動して、増殖と関連する遺伝子のスイッチを入れる
Yorkieはdisc tumorsにおいて発達増殖プログラムをengageするだけではなく、
生殖細胞系の幹細胞でのみ見られる異所性のectopicプログラムのスイッチを入れることができる
YorkieはTaimanは物理的に相互作用し、Taimanはエクジソン応答に重要である
[ハエの幼虫]
Hippo─┤ Yorkie
エクジソン→Taiman
Yorkie+Taiman→(生殖細胞系幹細胞遺伝子)→成虫原基→変態
Taimanのヒトで最も近い親戚はAmplified in Breast Cancer-1/AIB1(あえて訳せば『乳癌において増幅される因子-1』)であり、
この発見は、ヒトにおいて、AIB1と、YorkieホモログのYap1とTazとのつながりの可能性を指摘する
[ヒト]
Hippo─┤Yap1/Taz
ステロイドホルモン?→AIB1
Yap1/Taz+AIB1→癌幹細胞の増殖?
「ヒトの癌ではこれらのタンパク質の両方ともしばしば過剰発現しているので、我々はこの発見が癌の(特におそらくは癌幹細胞における)増殖メカニズムの研究と関連があるかもしれないと考えている」
http://dx.doi.org/10.1016/j.devcel.2015.05.010
The Ecdysone Receptor Coactivator Taiman Links Yorkie to Transcriptional Control of Germline Stem Cell Factors in Somatic Tissue.
Taimanはecdysone受容体コアクチベータ
YorkieはHippoの転写コアクチベータ
Braking mechanism identified for cell growth pathway linked to several cancers
June 26, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/06/150626095513.htm
YAPとTAZという2つの転写共役因子/コアクチベーターはHippo経路ではたらき、遺伝子の発現を誘導することで細胞の増殖を促進する
今回の研究で、この2つには自己制御メカニズムが備わっているbuilt-in self-control mechanismことを発見した
さらに、YAPとTAZは増殖を促進することに加えて、抑制性の遺伝子、例えばNF2(マーリン)を誘導して細胞の成長シグナルを抑える
http://dx.doi.org/10.1101/gad.262816.115
A YAP/TAZ-induced feedback mechanism regulates Hippo pathway homeostasis.