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癌はLDLをエサにする

2016-04-15 06:06:51 | 
Controlling 'bad cholesterol' production could prevent growth of tumors, study finds

Cancerous cells expand by controlling the body's lipid metabolism

April 8, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/04/160408132457.htm

いくつかの研究で、肥満と癌とのつながりが確認recognizeされてきた
アルバータ大学・医科歯科学部の小児学教授であるRichard Lehnerは、腫瘍細胞がどのようにしてVLDLやLDLを取り込んでscavenge成長するのか、そして悪性細胞の成長を抑制するためにどのようなメカニズムが使えるのかを理解すべく研究を進めた
LDLは一般に『悪玉コレステロール』として知られている

Cell Reports誌で発表された今回の革新的な研究はLehnerのグループが2年以上かけてグラーツ医科大学(オーストリア)のGerald Hoeflerと協力して実施したものだ
今回の実験で集められたデータは、フィードフォワード・ループの存在を示唆している
つまり腫瘍は脂質を『構築材料building blocks』として使って成長するだけでなく、脂質産生を増大させるために宿主の脂質代謝をも調節するようだ

『悪玉コレステロール』は肝臓のLDL受容体に結合する
肝臓はコレステロールを分解し、そして胆汁として生体外へ分泌する
結合しなければ血液中に留まって排出されないままである

「癌細胞が増殖するためには脂質が必要だが、
その脂質を自分自身で作ることも、宿主から得ることもありうる
なぜなら癌細胞の増殖は非常に早いからだ」
Lehnerはそのように説明する

「腫瘍は肝臓に向かって『私が成長するためにはもっとコレステロールが必要だ』という合図を出す
肝臓はプログラムし直され、それらの脂質を分泌するようになる」

この過程の間で鍵となる要素の一つは、我々の誰もが持つタンパク質が通常よりも多くなると
コレステロールを排泄するためのLDL受容体の量が減少するということである
血液中からのコレステロールの除去を低下させるタンパク質に対して腫瘍が影響を与え、
癌がLDLをエサにするfeed offために残しておくようにさせる

この発見からLehnerとHoeflerは
興味深い仮説に至った
それは肝臓のLDL産生を最小化することで腫瘍への定常的な供給を枯渇させ、したがって増殖の可能性を低下させるだろうというものである

実際、彼らの前臨床モデルでの実験は成功したことが証明された
腫瘍の発達は抑制され、VLDL(LDLの前駆体)の産生ならびに肝臓からの受容体によるLDL取り込みに影響するタンパク質が調節されることが確認された

Lehnerたちの次のステップは、
コレステロール産生の低下を促進する既存の薬剤を、癌の患者が受けている治療に加えてテストすることになるだろう

「我々がテスト可能な承認済みの薬剤が既に存在する」
Lehnerは言う

「それらは癌治療のために開発されたものではなく、高コレステロール血症の患者のために作られていた
しかしそれを癌の患者でテストして改善するかを調べることになるのは興味深いことだ」


http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2016.03.020
Tumor-Induced Hyperlipidemia Contributes to Tumor Growth.


Highlights
・リポタンパク質コレステロールは腫瘍の成長を支える
・腫瘍はVLDL/LDLレベルを増大させる
・Ces3/TGHを欠損させると、腫瘍による高脂質血症tumor-induced hyperlipidemiaが抑制されるが、それはPCSK9の阻害を介する
・腫瘍の成長はCes3/Tgh−/− マウスでは抑制される

Summary
BCR-Abl-形質転換された前駆体B細胞による腫瘍は、VLDL生産を刺激しつつVLDL/LDL代謝回転turnoverを鈍らせることにより、高脂質血症を誘導する

腫瘍による高脂質血症に腫瘍の進行が依存するかどうかを評価するために我々はVLDL産生を欠くノックアウト・モデルを利用した
このマウスはカルボキシルエステラーゼ3/carboxylesterase3(Ces3)、トリアシルグリセロールヒドロラーゼ/triacylglycerol hydrolase(TGH)を欠く

機構的に見ると、Ces3/Tgh−/−マウスにおける腫瘍成長の低下は、
腫瘍によって誘導されるPCSK9を介する 肝臓LDLR分解 ならびに LDL代謝回転の低下、それらの無効化による

 腫瘍→HNF1α→PCSK9↑─┤LDLR↓─┤LDL↑



関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2015/03/150316102028.htm
PCSK9を阻害するEvolocumabはLDLを低下させる
この薬剤は心血管疾患を低下させたが、今回の試験では心血管疾患自体が少なかった



関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151110083034.htm
LDLを低下させるワクチン
PCSK9を標的とするモノクローナル抗体のAlirocumabとEvolocumabが最近FDAによって承認されたが、モノクローナル抗体は一般に非常に高価である
PCSK9を標的とする今回のワクチンは、抗体よりも効果的でしかも安価だ



関連サイト
http://diabetologistnote.blog119.fc2.com/blog-entry-349.html
セリンプロテアーゼであるPCSK9は、肝臓から血液中に分泌され、LDL受容体のEpidermal growth factor (EGF)-like repeat にbindする。細胞内にinternalization された後、 PCSK9とLDL受容体の結合は強くなり、LDL受容体が細胞外へリサイクルされるのを抑制する。2)
PCSK9のloss-of-function mutation は、低コレステロール血症となる。 gain-of-function mutation では、高コレステロール血症 となる。
REGN722は、PCSKに特異的なモノクローナル抗体で、LDL受容体のdegradation を抑制する1)。スタチンはLDL受容体遺伝子発現を増強するが、PCSK9の産生も促進する。1)



参考サイト
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3545.html
>実は、がん細胞はブドウ糖しかエネルギー源として使えないことがわかっているのです。

は?