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小細胞肺癌が化学療法に抵抗する方法

2016-04-07 06:06:06 | 
Small cell lung cancer: Newly discovered clues to cause of chemoresistance

April 4, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/04/160404090713.htm

一般に小細胞肺癌は進行するまで発見されず、既に転移が形成されている
化学療法は初めこそ有効だが一年以内に癌は再発し、今度は化学療法に応答しなくなる
今回ウィーン医科大学外科部のGerhard Hamiltonを中心とする研究グループは、この化学療法への抵抗性がなぜ起きるのかを明らかにすることに何とか成功した
彼らの研究結果はCell Adhesion and Migration誌とTrends in Cancer誌で発表された


肺癌はオーストリアで最も一般的な癌の一つである
毎年4000人が肺癌で死亡し、その大半が長期のヘビースモーカーである

組織学的には肺癌の約85パーセントが非小細胞肺癌/Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC) であり、NSCLCは標的治療ならびに免疫療法にとてもよく反応を示す
残りの15パーセントは小細胞肺癌/Small Cell Lung Cancer (SCLC) で、SCLCは神経内分泌細胞から構成され、非常に急速に転移する
SCLCへの治療は細胞に有害な化学療法と放射線療法である
プラチナ系とエトポシドを組み合わせた化学療法に対して最初はとても良い反応を示すが、一年以内に抵抗するようになって再発する
さらなる治療としてトポテカンやアントラサイクリンが使われるものの応答率は低く、この段階になると患者は数ヶ月しか生きられないと予測される

この種の癌の特異性peculiarityは大量の癌細胞が血管へと移動することであり、血液に乗って循環し、体内のどこか別の箇所に転移する
一年前、Gerhard Hamilton率いる研究グループはRobert Zeillinger(婦人科学・産科学部の分子腫瘍学グループ)、Maximilian Hochmair (オットー-ワーグナー病院)と協力して、このような循環する腫瘍細胞(CTC)を永続的に培養することに何とか成功した
そこから明らかになったのは、個々の循環腫瘍細胞は化学療法薬に感受性ではあるものの、全てのケースで巨大な集合体(がんクラスター/cancer cluster)を自発的に形成し、それは酸素が乏しい中心部を持つということだった
がんクラスターは化学療法に抵抗性だが、その理由はまず薬剤が十分に浸透しないためであり、加えて酸素不足のため細胞の多くが休止状態dormantになるためだ
この酸素の欠乏は放射線療法も有効ではないことを意味する
なぜなら、酸素がなければ癌細胞を破壊するために必要な酸素ラジカルも存在できないからだ

研究者たちは今回の研究で、化学療法・放射線療法への抵抗性は循環腫瘍細胞(CTC)によるクラスターの形成が原因であるということを革新的な証拠を提供する
治療に関して言うとas far as treatment is concerned、一回目の化学療法first cycleは腫瘍容量と循環癌細胞の大部分を破壊するが、循環癌細胞がクラスターを形成し、結果としてその後の再発につながることを今回の研究は意味する

したがって、これらのがんクラスターの形成を阻止するか破壊するための、全く新しい治療アプローチが開発されなければならない
小細胞肺癌は悪性転移癌モデルを踏襲followするものであり、ゆえに今回の研究結果は他の悪性疾患に十分等しく当てはまりうるだろう


http://dx.doi.org/10.1080/19336918.2016.1155019
Small cell lung cancer: circulating tumor cells of extended stage patients express a mesenchymal-epithelial transition phenotype.
小細胞肺癌: 長期間の/進行したステージの患者の循環腫瘍細胞は、間葉上皮転換の表現型を示す


ABSTRACT
小細胞肺癌(SCLC)は、悪性の増殖、早くからの転移、進行した段階での予後の悪さが顕著である

SCLCでは循環腫瘍細胞(CTC)が異常に多く、そこから我々は永続的なCTC培養の確立に初めて成功した

CTCは癌幹細胞(CSC)と上皮間葉転換(EMT)の性質を持つと推測されているが、腫瘍が遠い場所at distal sitesで血管外に遊出extravasationすることは上皮的な性質(E)が特徴である

我々はSCLCの二つのCTC細胞系統(BHGc7とBHGc10)、そして原発腫瘍と転移に由来するSCLC細胞系統を、多能性幹細胞マーカーと成長因子の発現に関して分析した
E-カドヘリンとβ-カテニンの発現はフローサイトメトリーflow cytometryで決定した


分析の結果、幹細胞と関連するマーカー(SOX17、α-フェトプロテインfetoprotein、OCT-3/4、KDR、Otx2、GATA-4、Nanog、HCG、TP63、Goosecoid)は、二つのCTC系統では発現していなかった

※fetoprotein: フェトプロテイン、胎児タンパク質。正常胎児の血清中に多く含まれるタンパク質

対照的に、HNF-3β/FOXA2、SOX2、PDX-1/IPF1、E-カドヘリンに関しては発現が高かった

E-カドヘリンの発現は、二つのCTC細胞系統と、そしてCTC以外では胸膜pleuralの浸出液effusionに由来する細胞系統(SCLC26A)と、骨転移に由来する細胞系統(NCI-H526)に限定された

したがって、進行extendedしたSCLC患者から確立されたこれらのCTCは、上皮表現型epithelial phenotypeを抑制するような幹細胞マーカーを欠く

代わりにそれらは、間葉上皮転換(MET)と一致するE-カドヘリンを高レベルに発現し、巨大な腫瘍スフィアtumorosphereを形成する
このようなスフィア形成はおそらく第一線first-lineの化学療法による選択圧selection pressureに応じて生じたものである

HNF-3β/FOXA2ならびにPDX-1/IPF1の発現は、インスリン/IGF-1受容体、IGF結合タンパク質(IGFBP)への成長因子依存growth factor dependenceと関連があるようだ



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ウィーン医科大学外科部の研究チームが小細胞肺癌の循環腫瘍細胞を培養することに成功