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加齢がメラノーマの治療に与えるインパクト

2016-04-11 06:06:08 | 癌の治療法
Aging impacts therapeutic response of melanoma cells

April 4, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/04/160404134025.htm

癌のリスクは加齢により上昇するが、それは年を取るにつれて細胞にダメージが蓄積して慢性的な炎症が生じるようになるからである
今回ウィスター研究所を中心とする科学者の国際チームがNature誌で発表した研究結果によると、年老いたメラノーマの腫瘍細胞は、若い腫瘍細胞とは振る舞いが異なるという
微小環境microenvironmentの変化は、年老いた腫瘍細胞をより転移しやすく、そして標的治療に対して抵抗しやすくする
この研究結果の観点からin light of these findings、科学者たちは年老いたメラノーマ患者にとって抗酸化物質がどのようにしてより良い戦略として働くのかを実証した

「遺伝子変異を特に標的とする治療への応答ならびに転移、その両方に微小環境が深い影響を与えるという研究結果はとても魅力的だ
これは腫瘍が決して『島』ではなく/no tumor is an island、それだけで独立した存在ではないことを我々に教える
ドライバ変異に対する標的治療でさえ、腫瘍細胞がその微小環境とコミュニケーションすることにより影響を受ける」
ウィスターで腫瘍微小環境転移プログラムの準教授associate professorである筆頭著者lead authorのAshani Weeraratna, Ph.D.は言う

※No man is an island, entire of itself.(いかなる人も島ではなく、それ自体で独立してはいない; 人はみな持ちつ持たれつ(John Donne, 1624)


メラノーマは最も致死的なタイプの皮膚癌であり、進行した症例の患者が診断後に5年生き残れる可能性は20パーセントしかない
過去数年でメラノーマに対して複数の標的治療が承認されたが、これらの治療を受けた患者は結局は再発し、治療に抵抗するようになる


加齢と関連する癌の増加には複数の要因が寄与する可能性があるが、Weeraratnaのラボは特に腫瘍細胞の微小環境に生じる加齢に関する変化を初めて指摘した

皮膚の線維芽細胞dermal fibroblastは傷からの回復を助ける一方で、メラノーマ細胞の増殖と浸潤の一因ともなりうる
研究者は25歳~35歳または55歳~65歳の健康なドナーから得られた皮膚の線維芽細胞を使い、年老いた細胞集団におけるメラノーマ進行の違いにどのような要因が寄与するのかを理解しようとした


研究の結果、Weeraratnaたちは分泌される因子secreted factorの一つ、sFRP2が年老いた細胞中に存在することを特定した
sFRP2はβ-カテニンという別のタンパク質を負に調節し、通常β-カテニンはメラノーマ細胞の浸潤を妨げる

加えてβ-カテニンの喪失はいくつかのタイプの細胞で酸化ストレスを促進することがこれまで示されている
年老いた微小環境には遊離した酸素ラジカルを捕捉するスカベンジャーscavengerが少なく、活性酸素種(ROS)の活性が高くなることを研究者は示した

同時に、加齢によるβ-カテニンの喪失はメラノーマ細胞がROSを処理する能力を低下させ、遺伝子的に不安定な腫瘍になる

年老いたメラノーマ患者が経験するBRAF阻害剤のような薬剤への治療抵抗性は、ROS活性の増加ならびにβ-カテニンレベルの低下の両方とも抵抗性の増大に寄与することが判明した(BRAFはメラノーマ症例のほぼ半分で変異する遺伝子である)

また、ウィスターの科学者は抗酸化物質がどのようにして年老いたメラノーマ患者の治療にとって有効な戦略となりうるかを示した
N-アセチルシステイン/N-acetylcysteine (NAC) という抗酸化物質は、年老いた皮膚線維芽細胞の中にいるメラノーマ細胞を殺した

「我々の発見は加齢に適したやり方でメラノーマを治療することがどれほど重要かについて強調する」
Weeraratnaラボの大学院生graduate studentであり研究の筆頭著者first authorのAmanpreet Kaurは言う

「BRAFが変異した癌の治療に抗酸化物質が有効であることを確認した他の研究と一致して、この新たな治療戦略が年老いた集団にとってどれほど有益かというさらなるエビデンスを我々は得た」

ウィスターのビジネス開発チームは、標的治療に対する腫瘍微小環境の応答を包括的に問いただすためにバイオテクノロジー・製薬パートナーとの有意義なコラボレーションを積極的に探しているところである


http://dx.doi.org/10.1038/nature17392
sFRP2 in the aged microenvironment drives melanoma metastasis and therapy resistance

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/fig_tab/nature17392_F3.html
Figure 3: Loss of APE1 renders melanoma cells more sensitive to oxidative stress in an aged microenvironment.
h, Schematic of sFRP2 effects in melanoma cells exposed to aged or young fibroblasts.


 [加齢線維芽細胞]sFRP2─┤Wnt↓─(Frizzled)→β-カテニン↓→TCF↓→MITF↓→APE1↓─┤ROS↑→DNAダメージ応答(DDR)→PPM1D,ATF2,ING1,p21,53BP1,γ-H2AX

 [若い線維芽細胞]SOD3─┤ROS



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